極東証券 【東証プライム:8706】「証券業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ課題全般
サステナビリティ課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しております。そのため当社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、企業価値の向上及び金融・資本市場を通した持続可能性への貢献を行ってまいります。
① ガバナンス
当社グループは、経営の基本理念に則り、独自のビジネスモデルを通して持続的な成長を目指してまいります。そうした中、当社グループにとって重要と考えられるサステナビリティ課題について、取締役会等で継続的に議論を行い、そのうえで基本方針や推進体制等を整備するなど、ガバナンス体制の構築を行っており、サステナビリティ課題(TCFDへの対応を含む)への取組みの進捗状況を取締役会に定期的に報告することとなっております。
② 戦略
当社グループは、独自のビジネスモデルを堅持し持続的な成長を目指すため、サステナビリティ重要課題を設定しております。同重要課題への取組み内容(戦略)は下記のとおりとなっております。
(サステナビリティ重要課題)
(サステナビリティ重要課題への取組み)
| 重要課題 | 取組み内容 |
ビジネス戦略 | 独自のビジネスモデルの追求 | ・Face to Faceのビジネスモデルの堅持と進化 ・ビジネスモデルの根幹である人的資本への投資 ・持続的な発展の基となる健全な財務基盤の構築 |
人生100年時代を見据えたサービスの拡充 | ・高齢化の進展に対応した顧客サービスの拡充 ・様々な年齢層に適合した商品提供 | |
DXの活用による営業活動の強化 | ・デジタルツール活用による営業員へのサポート ・お客さまの利便性向上 ・お客さまによる新たなアクセス方法の研究 | |
引受業務を通じた新興企業への支援 | ・顧客等のリスクマネーを、新しい技術やサービスを持つ 新興企業に提供 | |
事業基盤 | ガバナンス・コンプライアンスの強化 | ・国内外の金融資本法制への適切な対応 ・コンプライアンスの徹底 ・コーポレート・ガバナンスの整備 |
リスク管理体制の強化 | ・マーケットリスクをはじめとする各種リスクの管理 | |
持続可能な地球環境への対応 | ・ペーパーレス化、再生紙の利用 ・省エネ製品の導入 ・ESG要素を踏まえた自己投資 ・環境関連の品揃え強化 ・TCFD提言に基づく情報開示 | |
金融リテラシーの向上 | ・正確な金融知識の普及により、リターン・リスクを十分 理解したうえで投資判断ができる投資家を増やす | |
人材の育成・多様化 | ・スキルアップ研修等の実施 ・働き方改革 ・人材の多様性 ・人権の尊重 | |
地域社会への貢献 | ・芸術活動への協賛 ・寄付を通した社会への貢献 ・地域コミュニティへの協力 |
③ リスク管理
当社グループの事業リスクの網羅的な把握、その評価・分析及び対策について協議し、今後の方向性を定めることその他のリスク管理のために必要となる事項を取扱うため、リスク管理委員会を設置しております。委員会においては、全社的なリスク管理の一環としてサステナビリティ関連のリスクを取扱うこととしております。また、委員会における審議内容は、代表取締役社長及び取締役会に報告することとなっております。
④ 指標及び目標
上記「②戦略」において記載した、当社グループのサステナビリティ重要課題への対応状況を示す指標及び目標は下記のとおりとなっております。
| 重要課題 | 目標 | 指標及び2022年度実績 |
ビジネス戦略 | 独自のビジネスモデルの追求 | ・オンライン証券会社や他の中堅証券会社との差別化を図るため、お客さまとの直接対話を行う対面による営業スタイルを堅持いたします。その営業スタイルの質的な向上を図り、当社グループの提供する商品やサービスを求める新しい顧客層を開拓するとともに、全体的な預り資産の増加を図り、顧客基盤の拡大に努めてまいります。 ・役職員がその業務を遂行するうえで必要とされる様々な資格の取得を支援するとともに、若年研修、リーダー研修などの研修プログラムを充実させ、お客さまの期待に応えられるような人材の育成や拡大を図ってまいります。 ・自己資本を充実させることにより強固な財務基盤を構築するとともに、自己資本を効率的に運用することによって収益性を高め、企業価値の向上を目指してまいります。 | ・紹介による新規開拓口座割合 53.8% ・ROE・ROIC>株主資本コスト・加重 平均資本コスト ROE2.5% ROIC△0.5% ・顧客ロイヤルティ指標(CX指標) 5.53>5.41(対面証券平均) ・営業員のFP取得率 91.9% ・テクニカルアナリスト取得数 79名 ・通信教育提供数 45講座 ・自己資本比率 66.7% |
人生100年時代を見据えたサービスの拡充 | ・資産寿命を延伸させるための安定的な資産運用や資産相続アドバイスなど、総合的なコンサルティングサービスに対するニーズに応えることによって新たな顧客層の取り込みを図ってまいります。 | ・定期分配型投資信託の販売額(高齢者の ライフスタイルに適した商品の提供) 約161億円 投資信託販売額の全体(約199億円)の約84% | |
DXの活用による営業活動の強化 | ・当社グループが他社との差別化を図るためのビジネスモデルの根幹は、特色ある旬の商品やサービスをFace to Faceでお客さまにいかに提供できるかというところにあります。その観点から、営業活動を高度化させるデジタルツールを活用してまいります。 | ・営業担当者のモバイル端末に、STARモバイルの機能を導入。外出先において、お客さまの口座情報へのアクセスが可能となった。
| |
引受業務を通じた新興企業への支援 | ・引受幹事証券会社として、新技術、新サービスを提供する企業に必要なアドバイスや情報提供を行うとともに、上場時の株主づくりに貢献してまいります。 | ・IPO引受件数 24件 ・IPO関与率 25.8% (全IPO件数 93件。東京プロ市場、REITを除く) | |
事業基盤 | ガバナンス・コンプライアンスの強化 | ・「お客さま本位の業務運営に関する方針」を徹底し、役職員全員がより高い倫理観に基づいて業務を遂行するとともに、コンプライアンス体制の更なる強化を図ってまいります。 | ・昨今の証券営業に係る注意点を考慮した コンプライアンス・チェックを営業店で 実施 ・外務員の資質向上のための研修を実施 ・株主総会資料電子化への対応の研修を受講 |
リスク管理体制の強化 | ・管理すべきリスクが多様化する現状に鑑み、新たに認識されたリスクや今後発生すると予想されるリスクを的確に把握し、それに対する対応策などを早期に策定するなど、リスク管理の更なる強化を図ってまいります。 | ・リスク管理委員会を新設し、3回開催。重点リスクのモニタリングやリスク管理に係る諸課題を協議
| |
持続可能な地球環境への対応 | ・中長期の観点から、お客さまのESG投資に係るニーズの把握やそれに適う金融商品の提供等の検討を行ってまいります。また、自己投資の分野においては、脱炭素社会に向けて推進される代替エネルギーの開発など有望分野への投資について引き続き取り組んでまいります。 | ・CO2排出量 299t ・ESG債・ヘルスボンド・グリーン ボンドの販売額 約2億7,000万円 | |
金融リテラシーの向上 | ・金融リテラシーの向上のための施策を行い、お客さまに販売する金融商品について、内在するリスク・リターンの関係をより分かりやすく説明してまいります。 | ・投資セミナーへの協賛 16万円
| |
人材の育成・多様化 | ・環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を図るために、人的資本の充実を目指してまいります。 ・「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」を推進するとともにハラスメントの防止やメンタルヘルスも含めた役職員の健康管理の増進等に取り組んでまいりました。今後も、これらの取り組みを継続するとともに、適材適所の人員配置や差別のない人材登用等、あらゆる面で役職員が働きやすい職場環境を整備することを課題として認識し注力してまいります。 | ・人的資本投資の状況 総額 約1,080万円(2021年度比約4%増) (内訳) ・AFP養成講座 約 90万円 ・マネジメント・営業スキル研修 約150万円 ・ビジネススキル研修 約 50万円 ・ビジネス法務研修 約 50万円 ・その他研修費用 約740万円 ※上記以外の指標については後述の「(2)人的資本」の項目を参照 | |
地域社会への貢献 | ・自ら提供する金融サービスを通じて国民の資産形成や金融リテラシー向上に貢献することや、質の高い教育や研究を支援する目的で、学術活動及び金融・経済等に係る教育分野への寄付を行ってまいります。 | ・分野別の寄付件数・金額等 (内訳) ・学校法人への寄付金額 1,510万円 ・日本証券業協会主催の「こどものみらい 古本募金」への参加 ・一般社団法人日本橋兜らいぶ推進協議会 への参加 |
(2)人的資本
① 戦略
当社グループの企業価値を他社と差別化している要因は、「お客さまからの信頼」というブランドと「特色ある旬の商品の提供」というノウハウであると考えております。これらを活用して、今後の環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を図るためには、人的資本の充実が最も重要であると考えております。
当社グループはこうした考えのもと、独自の金融サービスを提供するために不可欠な高度な能力を備えた人材の獲得及び人材育成プランを実施してまいります。また、人材の多様性の拡大に努め、女性の更なる活躍のための社内環境整備やそれぞれの職域職種における多様な働き方を支援するための制度整備を実施してまいります。さらに役職員の健康の維持促進やリフレッシュ機会の提供など、多様な能力をもった役職員が高いパフォーマンスを発揮できる環境を整備してまいります。
② 指標及び目標
| 指標 | 目標 | 2022年度実績 |
人材獲得・育成 | 営業員のFP取得率 | 100% | 91.9% |
中途採用者管理職比率 | 50% | 49.2% | |
多様性の拡大 | 女性管理職比率 | 25% | 19.5% |
男性の育児休業取得率 | 100% | 0% | |
職場環境の整備 | ストレスチェックスコア (パフォーマンス評価) | 100% | 93.7% (注)1 |
月平均所定外労働時間 | 30時間以下 | 24.6時間 | |
有給休暇取得率 | 70%以上 | 42.8% |
(注)1.ストレスチェックスコア(パフォーマンス評価)につきましては、非連結子会社である株式会社極東経済研究所を含んだ実績値であります。
(3)TCFDへの対応
① ガバナンス
上記「(1)サステナビリティ課題全般 ①ガバナンス」の項目に記載のとおり、当社グループは、TCFDへの対応も含むガバナンス体制の構築を行っております。
② 戦略
当社グループは、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照のうえ、2℃シナリオ及び4℃シナリオが実現した場合の2つの社会を想定いたしました。
2℃シナリオ | 新たな政策・制度を導入し、2100年時の気温上昇が産業革命前に比べて2℃未満に抑制されるシナリオ |
4℃シナリオ | 新たな政策・制度が導入されず、2100年時の気温上昇が産業革命前に比べて4℃以上となるシナリオ |
その想定のもと、気候変動が当社グループの事業活動に与えるリスク及び機会を以下のとおり抽出し、対応を開始しております。
<リスク>
種類 | 気候関連 のリスク | 当社グループにとってのリスク | ビジネス・戦略・財務等への影響 | |
2℃シナリオ | 4℃シナリオ | |||
移行リスク | 政策・法規制 リスク | ・環境基準を満たす機器への入れ替え義務化によるコスト増 | ↗ | → |
・環境関連の情報開示義務が拡大することにより、対応コストが増加 | ↗ | → | ||
技術リスク | - |
|
| |
市場リスク | ・グリーン投資を志向する顧客ニーズの変化への対応の遅れにより、当社の市場競争力(商品・サービス)の低下や収益機会を逸してしまうこと | ↗ | → | |
・顧客ニーズの変化に伴う新たな営業手法・サービスの導入が必要となった際のコスト増 | ↗ | → | ||
・気候変動への取組内容・開示情報の不足により、当社のESG格付が下落し、ESGインデックスからの除外やウェイトの縮小となり、機関投資家が当社株の保有を削減し、株価が下落 | ↗ | → | ||
・電気やガソリン等のエネルギー価格上昇による事業コストの増加 | ↗ | → | ||
評判リスク | ・ESG商品の品揃え不足による顧客離れ | ↗ | → | |
・再生可能エネルギーへの切替等を行わないことによる当社のイメージダウン(例:ガソリン車の利用、省エネ機器の不使用) | ↗ | → | ||
・ESG格付低下による当社株価の下落 | ↗ | → | ||
物理的リスク | 急性リスク | ・台風や大雨による当社社員の被災、本社ビル等の損壊 | ↗ | ↑ |
慢性リスク | ・気温上昇による屋外での活動の制限(例:熱中症の危険性増大・海面上昇による道路浸水) | ↗ | ↑ | |
・業務における使用電力の増加(例:気温上昇による冷房器具の使用増) | ↗ | ↗ |
<機会>
気候関連の機会 | 当社グループにとっての機会 | ビジネス・戦略・財務等への影響 | |
2℃シナリオ | 4℃シナリオ | ||
資源効率 | ・事業コスト全般の削減 | ↗ | → |
エネルギー源 | ・事業コスト全般の削減 | ↗ | → |
製品とサービス | ・顧客ニーズの変化を捉えた新規商品の提供(例:新興国の発行体や新興国通貨建のグリーンボンド、天候デリバティブを組み込んだ個人向けの社債・投資信託) | ↗ | ↗ |
・顧客ニーズの変化に伴う新たな営業手法・サービスの導入(例:新規顧客へのコンタクトや情報提供のデジタル化による収益機会の獲得) | ↗ | ↗ | |
市場 | ・グリーンボンドの引受・売出を行うことによる新たな収益源の確保 | ↗ | ↗ |
・環境関連のベンチャー企業や脱炭素社会に向けての有望分野への自己投資による当社の収益増 | ↗ | ↗ | |
レジリエンス | ・再エネプログラム、省エネ対策の推進による取引先からの信頼性向上 | ↗ | → |
その他 | ・気候変動への取組内容・開示情報の充実により、当社のESG格付が上昇し、ESGインデックスへの組入やウェイトの増加により、機関投資家が当社株の保有を増加させ、株価が上昇 | ↗ | → |
<対応>
項目 | 対応策 |
環境基準への対応 | ・社用車(リース含む)の電気自動車への転換や電力の再生可能エネルギー等への切替を検討 |
環境関連開示の義務拡大 | ・環境関連開示に適切に対応し、その他の非財務情報の開示も充実を図ることで、当社のESG評価を向上させる |
顧客ニーズの変化 | ・外資系金融機関と連携し、当社が得意としてきた他社とは差別化された商品(グリーンボンド等のESG関連商品)の発掘(開発)を行う |
新たな成長分野への投資 | ・環境関連のベンチャー企業や脱炭素社会に向けての有望分野への自己投資 |
平均気温の上昇やゲリラ豪雨の増加、異常気象の激甚化 | ・Face to Faceの営業が円滑に継続できるような体制を整備(WEBによるリモート面談やリモートワークを可能とするツール導入等のデジタル化) |
・新規顧客へのコンタクトや情報提供のデジタル化による新たな収益機会の獲得 |
③ リスク管理
上記「(1)サステナビリティ課題全般 ③リスク管理」の項目に記載のとおり、当社グループは、リスク管理委員会において、全社的な事業リスク管理の一つとして気候関連リスクの管理を行っており、委員会における審議内容は、代表取締役社長及び取締役会に報告することとなっております。
④ 指標及び目標
温室効果ガス排出量実績と2030年度削減目標
- 検索
- 業種別業績ランキング