森永製菓 【東証プライム:2201】「食品業」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、取り巻く経営環境が大きく変化する中、持続的な成長を目指すべく、2021年に新たに企業理念を策定いたしました。企業理念は、わたしたちの使命(パーパス)、わたしたちが目指す未来(ビジョン)、わたしたちが大切にする想い(バリュー)と、これらを一言で表した『コーポレートメッセージ』(おいしく たのしく すこやかに)で構成しております。この企業理念を当社グループにおける全ての活動の拠り所として、ステークホルダーの皆様と社会の期待に応えることで持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値向上を図ってまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
① 経営環境
日本国内の人口動態の変化、気候変動や資源不足、デジタル技術の発展、生活環境の変化など、今後予測される経営環境の変化は安定的な事業活動にとって脅威であるとともに、市場のニーズに迅速に対応していくことで大きな機会になり得ると捉えております。
② 2030経営計画
当社グループは、企業理念のもと、持続可能な社会の実現に貢献しつつ中長期的な成長を遂げ、企業価値を高めていくため、2030年に向けた長期経営計画「2030経営計画」を推進しております。
2030ビジョン
当社グループは、2030年の目指す姿として2030ビジョン『森永製菓グループは、2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります。』を定めております。「ウェルネス」とは、「いきいきとした心・体・環境を基盤にして、豊かで輝く人生を追求・実現している状態」と定義し、顧客・従業員・社会に、心の健康、体の健康、環境の健康の3つの価値を提供し続ける企業になることを目指してまいります。120余年の歴史で培った信頼と技術を進化させ、あらゆる世代のウェルネスライフをサポートしてまいります。
基本方針
方針1)事業ポートフォリオの転換と構造改革による収益力の向上
<重点領域への経営資源集中>
高い収益性、成長性が見込める事業として、「inゼリー」など「in」ブランドを中心とするin事業、冷菓事業、通販事業、米国事業を選定し、これらを重点領域と定めました。重点領域への経営資源集中によって当社グループの成長を牽引してまいります。
<基盤領域による安定的なキャッシュ創出>
菓子食品事業など着実な売上高拡大と収益力向上を目指す事業を基盤領域と定め、重点領域への投資原資の安定的な創出に取り組んでまいります。
<探索・研究領域の取組み>
ウェルネスを基軸とした国内外におけるビジネスモデルの創造や商品開発など、新たな取組みを総称して探索・研究領域と定め、次世代成長を担う新事業の育成を目指してまいります。
<機能部門を中心とした構造改革による収益力の向上>
重点領域への投資原資を創出するとともに、様々な経営リスクに備えるべく、生産、物流、販売など機能部門を中心に、全社的に構造改革を実行していくことで、収益力のさらなる底上げに取り組んでまいります。
方針2)事業戦略と連動した経営基盤の構築
「2030経営計画」の達成に向けた事業戦略と連動し、「人」「技術」「キャッシュ」そして「デジタル」という経営に不可欠なリソースを最大限活かすことで経営基盤をより強固なものにしてまいります。併せてコーポレート・ガバナンスの改革を推し進め、経営の透明性向上を図ってまいります。
方針3)ダイバーシティ&インクルージョンの推進
「一人ひとりの個を活かす」という考えのもと、ダイバーシティ&インクルージョンを推進することで、多様な人材が活躍できる環境・風土をベースに社会課題の解決につながる新しい価値(イノベーション)を創出できる環境の整備を推し進めてまいります。
経営目標
「2030経営計画」における経営目標・指標は以下のとおりであります。
2030年売上高 | 3,000億円以上 |
<重要経営指標> | |
売上高営業利益率 | 12%以上 |
重点領域売上高比率 | 60%以上 |
海外売上高比率(注1) | 25%以上 |
ROE(注2) | 15%以上 |
ROIC(注2、3) | 12%以上 |
DOE(注2) | 4.5%以上 |
(注1)2030経営計画策定時(2021年5月)の目標(15%以上)よりアップデートしております。
(注2)2030経営計画策定時には目標を開示しておりませんでしたが、新たに追加しております。
(注3)貸方アプローチで算出 計算式:NOPAT÷投下資本(有利子負債+株主資本)
2030経営計画全体像
③ サステナブル経営
パーパスに基づくサステナブル経営を推進
現在、グローバル社会では、気候変動問題をはじめとする社会課題の深刻化やデジタル化の急速な進展など、企業活動に大きな影響を及ぼす環境変化が今までにないスピードで起き、将来の見通しに関する不確実性も高まっております。そのような中、パーパス・2030ビジョンを実現するには、ありたい姿に向けた課題を明確化したうえで、長期視点を持ち、全社グループを挙げて取り組んでいくことが必要であります。
当社グループは、創業時より社会への貢献を強く意識して事業を行ってまいりましたが、新たな企業理念の策定を機に、グローバル社会の一員としてSDGsの達成を含めた持続可能な社会の実現に向けた取組みを、これまで以上に積極的に進めていくことといたしました。このような取組みの積み重ねが、当社グループのビジネスをよりサステナブルなものとし、持続的成長と中長期的な企業価値の向上につながると考えております。
当社グループのマテリアリティを特定
当社グループでは2024中期経営計画策定に当たり、経営を取り巻く外部環境変化を踏まえて、マテリアリティの見直しを行いました。マテリアリティへの対応を通じて、社会価値の創造とレジリエントな経営基盤づくりを着実に進め、持続的成長を実現してまいります。
<当社グループのマテリアリティ特定プロセス>
外部環境変化を踏まえ、新たに抽出・整理した取り組むべき課題について、社外ステークホルダー16名(投資家3名、取引先5社、NGO1名、アドバイザリーボードメンバー3名、社外役員4名)と社内のキーメンバー11名で重要性評価を行いました。その結果を基に役員で議論を重ね、当社グループのマネジメントや業務とのつながりを総合的に考慮して統合し、社内決議及び取締役会報告を経て、5つのマテリアリティを特定いたしました。
④ 2021中期経営計画(2021-2023)振り返り
2030経営計画の1stステージである2021中期経営計画は、「飛躍に向けた新たな基盤づくり」をテーマに事業活動を推進してまいりました。外部環境の様々な変化に対応すべく、ブランド力や技術力に磨きをかけながら、価格改定や様々なコスト低減の取組み等機動的に対策を講じるとともに、資本コストや株価を意識した経営の実践として株主還元の強化を図り、企業価値向上に努めてまいりました。
結果として、米国事業を中心に重点領域の各事業が売上成長を果たし、重点領域売上高比率、海外売上高比率ともに目標を大きく上回りました。また、無形資産への積極的な投資により事業成長を支える経営基盤の構築を推し進めました。2021中期経営計画最終年度である2023年度には、コロナ前水準の営業利益へV字回復を果たし「飛躍に向けた新たな基盤づくり」に一定の成果を挙げることができました。
収益性の観点では、ROEは目標を達成しましたが、売上高営業利益率は目標未達となりました。基盤領域を中心とした資本収益性の向上、グローバル視点での構造改革や経営基盤のさらなる強化が課題であると認識しております。
経営目標
「2021中期経営計画」の経営目標及び重要経営指標と当連結会計年度の実績は以下のとおりであります。
<経営目標> | 2024年3月実績 | 2024年3月期目標 |
売上高 | 2,133億円 | 1,900億円 |
営業利益 | 202億円 | 215億円 |
<重要経営指標> |
|
|
売上高営業利益率 | 9.5% | 11%以上 |
海外売上高比率 | 12.7% | 9%以上 |
重点領域売上高比率 | 50.6% | 47%以上 |
ROE | 11.8% | 10%以上 |
配当性向 | 33.2% | 30% |
⑤ 2024中期経営計画(2024-2026)
2025年3月期を初年度とする「2024中期経営計画」では、2030経営計画達成をより確実なものにするための2ndステージと位置づけ、キーメッセージを「飛躍に向けた成長軌道の確立」と定めました。
成長し続ける永続企業を目指して、重点領域の成長、経営基盤の強化に向け積極的な投資を継続するとともに、基盤領域及び機能部門を中心とした構造改革を推し進めてまいります。ROICマネジメントの実践を通して、これらの戦略をスピードをもって実行することにより、成長性と資本収益性の好循環を生み出し、2030年に向けた成長軌道を確かなものにしてまいります。
⑥ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
重点領域による成長の牽引
「inゼリー」を中心としたin事業や「チョコモナカジャンボ」をはじめとした冷菓事業、「おいしいコラーゲンドリンク」などの通販事業の拡大、米国事業では「HI-CHEW」を中心としたブランド育成と事業基盤の強化など重点領域に経営資源を集中してまいります。
in事業においては、ゼリー飲料のトップランナーとして「inゼリー」のさらなるシーンとターゲットの拡大を進めるとともに次世代成長ドライバーを育成いたします。冷菓事業は独自価値を有する商品群の技術深耕により、強いものをより強くするとともに、価値提供領域を拡大していく「芽の創造」にも取り組むことで事業成長を実現してまいります。通販事業はこれまで蓄積してきた顧客データを活用し、1to1マーケティングの実践と顧客ニーズに応える商品・サービスの提供によって定期顧客の育成を図るとともに、DtoCの仕組みを構築し新たな事業領域への進出を目指します。米国事業においては、「HI-CHEW」のさらなる拡大と「Chargel」をはじめとした次世代成長ドライバーの育成を図るとともに、事業成長を支える基盤強化を着実に進めてまいります。
基盤領域の資本収益性向上
菓子食品事業においては、「ハイチュウ」「森永ビスケット」など主力ブランドへの集中によるカテゴリーポートフォリオの転換、保有資産を活かした売上高の拡大、維持更新投資の選択と集中による段階的アセットライト、コスト低減や販売費効率化、機動的な価格改定など高収益基盤の構築に向けて様々な取組みを実施してまいります。
探索・研究領域による新たなビジネス創造と育成
ウェルネスを基軸に、国内では独自技術を活用した口腔ケア領域への挑戦や当社独自の素材であるパセノール™ビジネスの育成、海外では、ゼリー飲料やコラーゲンドリンクにおける市場創造に取り組み、次世代の成長を担う芽の創造と育成に取り組みます。
機能部門の構造改革
製造部門のスマートファクトリー化のさらなる進化や市場変化を見据えた販売部門の組織最適化による生産性の向上、物流体制の変革により全社的な資本収益性の向上を図ってまいります。構造改革を支える人材育成の強化や職場環境のさらなる改善等、従業員のエンゲージメントを高める取組みを推進してまいります。
経営基盤の構築
成長軌道の確立に向け事業戦略を横断的に支える経営基盤を構築してまいります。
人事戦略では、「ダイバーシティ&インクルージョン」「人材育成・組織風土づくり」「健康経営の推進」の取組みを進め、人的資本経営を実践してまいります。また、R&D戦略ではグローバル視点の「既存技術深化」「新規技術探索」による価値の創出、DX戦略においてはデジタル経営基盤の拡張とAI技術等による業務高度化・効率化、経理財務戦略ではROICマネジメントの全社推進を行ってまいります。
⑦ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「2024中期経営計画」における最終年度2027年3月期の経営目標・指標は以下のとおりであります。
なお、2026年3月期よりすべての連結子会社の決算日を3月31日に統一する予定であります。これによる業績に与える影響は軽微の見込みであります。
2027年3月期 売上高 | 2,460億円 |
同 営業利益 | 246億円 |
<重要経営指標> | |
売上高営業利益率 | 10.0% |
重点領域売上高比率 | 53%以上 |
海外売上高比率 | 16%以上 |
ROE | 12%以上 |
ROIC(注) | 10%以上 |
DOE | 4.3% |
(注)貸方アプローチで算出 計算式:NOPAT÷投下資本(有利子負債+株主資本)
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