森永製菓 【東証プライム:2201】「食品業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
当社グループのサステナビリティに関するリスクと機会の分析、目標設定、進捗モニタリングについては、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」にて審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について取締役会が監督しております。ESGの取組みは、役員報酬の一部と連動しております。
また、サステナブル経営の質的向上を図るために、「ESG委員会」の諮問機関として、サステナビリティ・アドバイザリーボードを設置しております。社外有識者3名に参画いただくことで、急激に変化する外部環境や多様化するステークホルダーのニーズを適切に把握し、対応を図っております。
多岐に渡るサステナビリティ活動を適切に推進するために、「ESG委員会」傘下には、取締役を委員長とした5つの分科会を設置し、個々のテーマについて、管理・推進に取り組んでおります。
「ESG委員会」は2022年度、8回開催し、持続可能な原材料調達や、気候変動問題への対応など、全21議題を扱いました。「ESG委員会」での審議事項は、経営に関する様々な意思決定において考慮されております。
② リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。サステナビリティに関して特に重要とされるリスクについても、同委員会にて適切に管理しております。また、サステナビリティに関するリスク全般については、「ESG委員会」にて管理し、対応策の進捗モニタリングを実施しております。
両委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
(2) 重要な戦略並びに指標及び目標
① 戦略
パーパスに基づくサステナブル経営及びマテリアリティ特定プロセス
パーパスに基づくサステナブル経営及びマテリアリティ特定プロセスについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題 ③ サステナブル経営」をご参照ください。
マテリアリティに対する主なアクション
特定した5つのマテリアリティと、マテリアリティに含まれる主な課題に対して、リスクと機会を分析したうえで、2030年に向けたアクションを設定し、取組みを進めております。
マテリアリティ1.世界の人々のすこやかな生活への貢献
マテリアリティに含まれる主な課題 | 想定される主な機会とリスク ( ●:機会 ▲:リスク) | 2030年に向けた主なアクション |
1.おいしく健康的な食の開発 | ● 健康志向拡大に伴うビジネス機会 拡大 ▲ 対応遅れによる中長期的な市場競 争力低下 | 「心と体の健康」に貢献する商品の開発・提供 |
2.生活者のニーズに応える新た な価値を持つ食品の開発 | ● 潜在市場開拓によるビジネス機会 拡大と競争力向上 ▲ 対応遅れによる中長期的な市場競 争力低下 | |
3.サステナブルな商品の開発 | ● 生活者のサステナブル意識の高ま りに伴うビジネス機会拡大 | サステナブルな価値を持つ商品の開発・提供 |
4.食品安全・品質保証 | ● 社会的信頼性の向上 ▲ 社会的信頼性とブランド価値・企 業価値の低下 | 安全・安心な食の提供 |
5.商品の社会・環境情報の適切 な伝達 |
マテリアリティ2.多様な人材の活躍
(人的資本に関する戦略並びに指標及び目標の詳細については、「(3) 人的資本に関する戦略(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)並びに指標及び目標」をご参照ください。)
マテリアリティに含まれる主な課題 | 想定される主な機会とリスク ( ●:機会 ▲:リスク) | 2030年に向けた主なアクション |
1.ビジョンの実現に向けた人材 育成 | ● パーパス・2030ビジョンの実現に 貢献する人材確保 ▲ 対応遅れによる持続的成長力の 低下 | パーパス・2030ビジョンの実現に貢献する人材・風土・組織づくり |
2.ダイバーシティ&インクルー ジョン | ● イノベーション創出力や環境対応 力の向上 ▲ 対応遅れによる組織の競争力・社 会的評価の低下 | 多様性と活力ある組織づくり |
健康的で働きやすく、働きがいのある労働環境の実現 |
マテリアリティ3.持続可能なバリューチェーンの実現
マテリアリティに含まれる主な課題 | 想定される主な機会とリスク ( ●:機会 ▲:リスク) | 2030年に向けた主なアクション |
1.持続可能な原材料調達 | ● 安全で高品質な原材料の長期的安 定調達の実現 ▲ 対応遅れによる農産原料の調達リ スク拡大 | 持続可能な原材料調達の推進 |
2.農産原料の生産段階での人 権・環境問題 | ● 人権・環境リスクの低減 ▲ 社会的信頼性とブランド価値・企 業価値の低下 | CSRサプライチェーンマネジメントの推進 |
3.フードロスの削減 | ● 製造ロスや返品の削減によるコス ト削減 ▲ 対応遅れによる社会的評価の低下 | フードロス削減の推進 |
4.地域社会との共存共栄 | ● 社会的信頼性の向上 ▲ 事業所などの操業リスク拡大 | 地域社会との共存共栄 |
マテリアリティ4.地球環境の保全
(気候変動に関する戦略並びに指標及び目標の詳細については、「(4) 気候変動」をご参照ください。)
マテリアリティに含まれる主な課題 | 想定される主な機会とリスク ( ●:機会 ▲:リスク) | 2030年に向けた主なアクション |
1.気候変動の緩和と適応 | ▲ 農産原料の調達リスク拡大 ▲ 炭素税などによる生産コスト上昇 ▲ 対応遅れによる企業価値の低下 | 気候変動問題への対応 |
2.プラスチック容器・包装の環 境配慮・循環利用 | ● 外部連携によるイノベーション 創出 ▲ 対応遅れによる企業価値の低下 | 容器・包装における環境配慮の推進 |
水資源の有効利用 |
マテリアリティ5.経営基盤の強化
マテリアリティに含まれる主な課題 | 想定される主な機会とリスク ( ●:機会 ▲:リスク) | 2030年に向けた主なアクション |
1.コーポレート・ガバナンスの 強化 | ● 経営効率と企業価値の向上 ▲ 資本市場からの評価の低下 | 透明性・効率性の高いガバナンス体制の構築 |
2.経営基盤のグローバル化 (海外進出基盤の強化、現地の文化などの尊重) | ● 進出先の国・地域から信頼獲得 ● 経営戦略の推進力・実行力向上 | 経営基盤のグローバル化の推進 |
3.人権マネジメント | ▲ 社会的信頼性とブランド価値・企 業価値の毀損 | 人権マネジメントの強化 |
4.次世代フードテクノロジーへ の対応(次世代フードサービス・DX・ロボット対応など) | ● 生産性向上 ● イノベーションによるビジネス 機会拡大 | DXを活用した事業運営の進化 |
5.ESG情報開示による社会的 信頼・評価の向上 | ● 社会的信頼性と企業価値の向上 | ESG情報開示の強化 |
② 指標及び目標
特定したマテリアリティについて、2030年に向けた長期目標を設定しており、各目標に向けた進捗管理を実施しております。
マテリアリティ (重要課題) | 2030年の長期目標 | 2021年度 実績 | 2022年度 実績 | 対象範囲 | |
2021年度 | 2022年度 | ||||
1.世界の人々の すこやかな生活への貢献 | ウェルネスカンパニーに向けた新たな取組みにより、日本人口の7割以上に健康価値を提供(注)1 | 詳細要件 検討中 | 詳細要件 検討中 | -
| - |
2.多様な人材の 活躍 | 従業員意識調査における、以下項目の肯定回答率 80% |
| |||
| 当社グループは事業を通じて、人々のすこやかな生活や、より豊かで持続可能な社会づくりに貢献している | 89.7% | 90.4% 87.5% | 森永製菓㈱単体、出向者を除く正規従業員 | 上段:森永製菓㈱単体、出向者を除く正規従業員 下段:国内グループ連結、海外グループ会社への出向者を除く正規従業員 |
多様な人材が活躍し、企業の成長・永続性につながっている | 70.1% | 72.0% 66.5% | |||
働きがいがあり、心身ともに健康的に働けている | 74.6% | 75.6% 71.2% | |||
3.持続可能な バリューチェーンの実現 | 持続可能な原材料調達: カカオ豆100%(注)2 | 9% | 34% (参考) 2023年3月単月実績:72% | 国内の 森永製菓 製品
| 国内の 森永製菓 製品
|
持続可能な原材料調達: パーム油100%(注)2 | 2% | 9% (参考) 2023年3月単月実績:45% | |||
持続可能な原材料調達: 紙100%(注)2 | 98% | 99.9% | |||
CSRサプライチェーンマネジメント: 原材料取引額構成比80%以上に実施(注)3 | 原料81% | - | 森永製菓㈱単体 | - | |
材料81% | - | - | |||
フードロス削減: 70%削減(注)4 | +8% | - | 国内グループ連結 | - |
マテリアリティ (重要課題) | 2030年の長期目標 | 2021年度 実績 | 2022年度 実績 | 対象範囲 | |
2021年度 | 2022年度 | ||||
4.地球環境の 保全 | 温室効果ガス(GHG)削減 ・2050年度 GHG排出量 実質ゼロ(注)5 ・2030年度 CO2排出量 30%削減(注)6 | +2% | - | 国内グループ連結 | - |
プラスチック廃棄物削減 「i n ゼリー」のプラスチック使用量 25%削減(注)7 | 削減検討中 | 削減検討中 | - | - | |
5.経営基盤の 強化 | 一律の2030年目標は定めず、個別に必要な課題対応を推進 | - | - | - | - |
(注)1 対象:当社が定義する<心の健康を深掘り><体の健康を加速><心の健康から体の健康へ進
化>した商品。人口割合はインテージ社SCI年間購入率(対象:全国15才~79才消費者)より
算出。今後、グローバルでのありたい姿の設定を検討
2 グループ連結。紙は製品の包材が対象
3 グループ連結
4 対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内グループ連結、原単位、
2019年度比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化等、食資源循環に戻すものを除き、
焼却・埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義
5 グループ連結
6 Scope1+2(国内グループ連結、2018年度比)
7 対象:包装材料におけるプラスチック使用量(原単位、2019年度比、バイオマスプラスチック
への置換を含む)
(3) 人的資本に関する戦略(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する
方針)並びに指標及び目標
① 戦略
<人的資本経営の取組み>
当社グループは、2021年に策定した企業理念においてパーパスを掲げ、持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的成長に向けて企業活動を推進しております。そのうえで「2030経営計画」においては、「2030ビジョン」を定め、顧客・従業員・社会に対して「心・体・環境の健康」を提供し続けることを目指しております。これらを実現する原動力は「人」であると考えており、「人」の持つ力、すなわち人的資本の価値を最大化すべく人的資本経営を推進しております。
具体的には、「2030経営計画」と連動した人事戦略を推進し、人的資本投資を実行します。「2030経営計画」の達成において、ダイバーシティ&インクルージョン(以降D&I)の実践は、経営戦略の方針3に位置付けており、必須の取組みと考えております。一人ひとりの「個」を活かし、それらが集まった多様な「個」から、知の多様性を生み出しかけ合わせることで、変化への対応力=レジリエンスを高めるとともに、新たな価値=イノベーション創出を促進します。それと同時に、従業員が自身の強みや希望に合わせて能力を磨き、キャリアを切り拓いていく「キャリア自律」を推進し、多様な人材の活躍を推進いたします。
また、人材育成については、「2030経営計画」において事業ポートフォリオの転換や収益力向上に向けた構造改革、経営基盤の強化等を計画しており、様々な業務の進化や変革を実行できる人材の育成が必要と考えております。そのような進化や変革を牽引するリーダーの育成や、各戦略を実行する人材の育成に向けて、積極的に人的資本投資に取り組みます。
さらに「2030ビジョン」においては、従業員に対して「心と体の健康」を提供していくことを掲げており、重要な取組みと考えております。従業員それぞれが自身の持つ能力を最大限発揮できる職場環境を実現すべく、健康経営を推進いたします。
以上の取組みにより、人的資本の価値を最大化し、中長期的な価値創造を実現することで、持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的な企業価値向上を図ります。
<重要戦略への取組み>
a. D&I
当社グループは、2012年に人事部にダイバーシティ推進担当を設置し、2020年4月にはさらなる「D&I」推進の加速に向けて、ダイバーシティ推進室を新設いたしました。全ての従業員が当社グループのダイバーシティポリシー及び5つの指針を体現するため、D&Iの「理解の促進」と「行動具体化の促進」の取組みを進めております。「理解の促進」としては、ダイバーシティポリシー浸透研修、D&Iに重要なインプットの場づくり等、「行動具体化」としては、浸透研修後の職場分科会の実施、職場分科会アンケート分析後の部門別フォロー等を実施しております。
また、従業員が自身の強みや希望に合わせて能力を磨き、キャリアを切り拓いていく「キャリア自律」の推進に向けて、「キャリア自律」の考え方の浸透と、従業員のキャリア構築を支援する仕組みづくりを実施しております。
さらに、人材の多様化を促進すべく、新卒のコース別採用や、キャリア採用を進めるとともに、属性別の活躍に向けて「女性活躍推進」「シニア活躍推進」といった施策も並行して実施しております。
Ⅰ.D&Iに対する理解の促進
ⅰ.ダイバーシティポリシー浸透研修
全ての従業員の「ダイバーシティポリシー及び5つの指針」の理解促進に向けては、まず職場リーダーであるマネジメント者の理解を深めることが重要と捉え、2021年度より、部下を持つマネジメント層に対し、ダイバーシティポリシー浸透研修を実施しております。2022年度は約370名が受講し、D&I推進のために重要な情報のインプットや、自職場でのD&Iの推進状況を把握するとともに、ありたい姿に向けたアクションプランを策定いたしました。
ⅱ.D&Iに重要なインプットの場づくり
D&I推進に向けた重要な考え方の一つにアンコンシャスバイアスがあります。この考え方の理解促進を目的とし、アンコンシャスバイアス研修を実施いたしました。役員向けには外部講師による講義及びワークショップ、グループ全従業員向けにはeラーニング動画での研修を行い、気づきや行動変化のきっかけを得る機会といたしました。また、他社合同イベント(食品企業6社合同イベント)によるセミナーをはじめ、各種講演会や階層別研修、意見交換会を実施し、従業員のD&Iに関する理解促進に繋げました。
Ⅱ.D&Iに向けた行動具体化の促進
ⅰ.浸透研修後の職場分科会の実施
マネジメント層が主体となって職場ごとに課題を確認し、行動計画を立てて実践するという取組みを実施いたしました。メンバー全員を巻き込みながらアクションプランを策定することで、より職場に適したD&Ⅰの実践に繋げます。今後は、活動におけるPDCAの質的向上を目指してまいります。
ⅱ.職場分科会アンケート分析後の部門別フォロー
アンケート結果を分析し、部門ごとの課題抽出、対応策の検討・実行を行っております。2022年度は、特に人数の多い生産部門、置かれている環境が異なる海外(現地法人含む)に対するフォローに注力いたしました。
Ⅲ.キャリア自律の推進
「プロティアン・キャリア(変幻自在なキャリア)」の考え方を定め、「個人が自立的に学び、キャリアを考える」ことを推奨しております。2022年度には、「プロティアン・キャリア」に関するeラーニングを、グループ会社(一部を除く)を含む2,400名強に展開いたしました。また、経営トップからのキャリア自律に関するメッセージを添え、従業員の意識を高めていく工夫も実施いたしました。
Ⅳ.人材の多様化に向けた取組み
ⅰ.多様な人材の採用・活躍推進
新卒採用
2022年度から経理、ITの2コース、2023年度はセールススペシャリストを加え、3コースで専門人材を募集し、多様な人材の採用を進めております。
キャリア採用
2022年度のキャリア採用人数は、全採用人数の22%となっております。今後も計画的に採用を継続してまいります。
準社員から正社員への登用
2022度の登用者数は、全採用人数の10%となっております。
ⅱ.女性活躍推進
女性に特化した研修として2022年度は「LADY,GO UP!」を実施いたしました。外部講師による基調講演、開催企業内の女性管理職によるパネルディスカッション、ワークショップ等を通し前向きなキャリアビジョンを描くための場といたしました。2023年度も女性活躍推進に向けた研修を継続してまいります。
ⅲ.シニア活躍推進
アンラーニング研修
生産人口年齢延伸を踏まえ、役職定年年齢到達者を中心とした50代を対象に、現役意識の醸成やWill×Can×Mustの再考をする機会を2022年度から設けました。2022年度は43名が受講、2023年度には延べ130名の受講を予定しております。研修後も個別面談等で行動変容に向けたフォローを行っております。
シニア活躍度の見える化
56歳以上のミドル・シニアの活躍度について、各部門長の現状認識、及びミドル・シニア層を現有戦力として活かす具体策の把握を目的として、グループ会社も含めた部門長を対象にアンケートを行いました。特徴的な傾向の把握に繋がり、2023年度はさらなる活躍に向けた取組みを計画しております。
b. 人材育成
「人材育成」については、「経営計画に連動した人材育成」と「個人のキャリア開発」との両立を目指しております。「経営計画に連動した人材育成」として、サクセッションプランの策定・推進、専門人材の確保・育成を実施するとともに、「個人のキャリア開発」を支援する取組み等を充実させております。
Ⅰ.サクセッションプランの策定・推進
ⅰ.役員候補:エグゼクティブコーチング
数回に及ぶプロフェッショナルコーチとの1対1のコーチングを通して、全社リーダーとしてのあり方などのテーマで、自ら気づきを得る機会を設けております。
ⅱ.部長候補:他流試合型研修、森永レシピ研修
他流試合型研修は、会社で選抜した従業員を派遣し、他社の選抜層と共に社会課題などのテーマについてディスカッションを行い、社会を捉える視野の拡大や外部との共創力の醸成等を図ります。森永レシピ研修は、問題解決のフレームワークを学ぶワークショップで、2019年度にスタートして以降、累計で200名強の受講者がおります。
ⅲ.マネジャー候補:次世代リーダー研修
30歳代の選抜社員に対し、9ヶ月にわたって次世代リーダーに求められる要件開発に取り組む研修を実施しております。現在4期まで実施しており、累計の受講者は49名であります。一部の受講者は既に職位を担っております。
Ⅱ.専門性の高い人材の確保と育成
ⅰ.人材要件定義・要員計画
当社グループの継続的な成長のためには、各業務領域において、高い専門性を有する人材が必要と考えております。中長期的な育成及び短期的な人材確保に向けて、想定する専門性をレベル別タイプ別に定義いたしました。そのうえで、2030年まで3年毎に必要人数を設定し、人材育成及び確保に向けて取り組んでおります。なお、2022年度は重点領域のうち、DX人材、経理/CFO人材、グローバル人材を対象といたしました。
ⅱ.育成計画
育成については、2023年度から人材要件定義に基づいたエキスパート養成メニューの提供を開始いたしました。eラーニングを中心とした継続学習のほか、幅広い知見を得られるメニュー構成になっております。また、キャリア自律の考えに基づき、従業員の主体性を尊重し、受講者の一部公募も実施しております。
Ⅲ.自律的な能力開発を推進する主な取組み
ⅰ.人材育成プログラムによる育成
当社が定義する6つの能力の現状を上司と本人で把握し、さらに伸長させていくための育成メニューと連動させることで、計画的な能力開発に取り組んでおります。
ⅱ.社内公募
一部の部署について、従業員の手挙げによる公募での異動を可能とする仕組みを整備いたしました。公募された部署への異動希望者は、上司の許可を得ずに応募することを可能としております。
ⅲ.従業員の主体的な学びの支援
従業員が主体的な学びを実践できるよう、イントラネットのトップ画面に「学びのプラットフォーム」を設置いたしました。資格の種類の充実や奨励金制度の見直し等を実施し、従業員のキャリア開発を促進しております。
c. 健康経営の推進
当社グループが永続企業(サステナブルカンパニー)として、心と体をすこやかにする食を創造し、誰もが笑顔で過ごせる持続可能な社会の実現に貢献していくためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが重要と考えております。そして、当社グループでは2030ビジョン「ウェルネスカンパニーに生まれ変わる」を掲げており、下記のとおり、健康経営を推進しております。
Ⅰ.基本方針と推進体制
ⅰ.健康宣言
「森永製菓健康宣言」を指針に掲げ、従業員の「心と体の健康」を維持・増進する取組みを支援しております。従業員が健康でやりがいをもって働くことができる職場環境を整備することで、従業員の活力向上や生産性向上等を通した組織の活性化を実現し、当社グループの持続的な成長と社会により良い価値を提供することを目指しております。
ⅱ.推進体制
代表取締役社長直轄の「最高健康責任者(Chief Health Officer;CHO)」を人事部担当役員が担い、また人事部と森永健康保険組合の他に産業保健スタッフも参画する「健康推進委員会」を設置し、理念や方針の策定、施策の検討・実施に関する意思決定を行っております。全国の主要事業所に配置される健康管理担当者、安全衛生スタッフが具体的な施策の展開を担い、従業員や家族の健康課題に継続的に向き合い、健康増進を進めております。
Ⅱ.取組み
ⅰ.心の健康
心の健康の定義
従業員・顧客に提供する「心の健康」の達成に向けた第一歩として、心が健康な状態を6つの要素で定義した「こころく」を制定いたしました。従業員一人ひとりが「こころく」に共感して日々の業務に落とし込み、自発的に行動している状態に向けて推進することにより、従業員エンゲージメントの向上と事業活動への寄与を目指しております。
(具体的な取組み)
・「こころく」の策定
・「こころく」の理解深耕に向けた従業員向けセミナーの開催
・「こころく」の認知・浸透に向けたアイコン策定と、意識付け強化のための職場各所でのアイコ
ンの掲示
・「こころく」の事業活動への寄与に向けた商品開発業務との紐づけ
メンタルヘルス対策
自己管理能力の向上やメンタルヘルスに対する意識を高めるため、役職者研修やセルフケアセミナーでの啓発を定期的に実施しております。ストレスチェックの受検率は制度導入以降95%以上を維持しており、従業員自らが気づく機会の提供と集団分析による環境改善に活かしております。また社内外に専門的な相談窓口を設け、従業員が相談しやすい環境も整備しております。
(ストレス耐性強化策)
パルスサーベイを活用したストレス耐性強化研修では、研修前後の変化を自らが知ることで実践的な行動へ繋げる効果を期待し実施いたしました。パルスサーベイ結果では研修前と比較し、全ての項目で改善傾向が見られたことに加え、研修後の受講者アンケートも95%以上が実施内容について「満足」と回答いたしました。
ⅱ.体の健康
全社健康増進イベント「ハビット」
従業員とご家族の健康づくりと生活習慣改善を目的に、一人ひとりが健康に関する目標を立てて運動や食生活改善などを行う森永健康保険組合独自の取組み「ハビット」は、今年で21回目を迎え、参加者も今年は1,900名を超えました。
エイジフレンドリーな職場づくり
職場には、さまざまな年齢層の従業員がおります。エイジフレンドリー※な職場づくりは、年齢に関係なく、全ての従業員を尊重することを目的としております。例えば、豊富な知識と経験を持つシニア層の安全とさらなる活躍を支援するため、当社グループの工場において、シニア教育や体力測定、当社独自の転倒予防体操を展開し、全員が安全かつ健康的に長く働き続けることを目指した取組みを行っております。
※エイジフレンドリーとは「高齢者の特性を考慮した」を意味する言葉であります。
ⅲ.労働環境の整備
ヘルスリテラシーの向上
外部講師や産業医を講師に迎え、毎年「健康フォーラム」を開催しており、2022年度は「コロナ禍における運動と健康」をテーマに実施いたしました。全国各地より80名以上の従業員がオンラインで参加し、画面越しで運動を実践する試みが好評でありました。
総労働時間短縮に向けた取組み
健康を損なうリスクが高い長時間労働を発生させないため、労働時間管理の精度向上をはじめ、様々な施策を実施しております。また労働組合とともに「労働時間対策労使会議」を開催し、現状把握と対策について意見交換を行い、労働環境の改善に努めております。長時間労働が減ったことにより得られた時間は、キャリア資本※の蓄積やワーク・ライフ・バランスの実現に活かす等、より健康的な生活の促進に繋げております。
※キャリア資本とは、当社におけるキャリア自律の考え方「プロティアン・キャリア」における
「ビジネス資本」「社会関係資本」「経済資本」の三つを指します。
労働安全衛生の取組み
当社グループは、「労働安全衛生方針」に沿って企業経営の基盤である労働安全衛生活動を通じて、年齢・経験・言語・雇用関係・働く場所等の一人ひとりの違いにかかわらず、安全で働きやすい職場環境の維持・向上を目指しております。例えば従業員の安全と健康を最優先に考えた定期的な安全教育の実施や、職場の安全管理の徹底、事故や災害の予防活動に取り組んでおります。
Ⅲ.外部評価
ⅰ.「健康経営※優良法人2023(大規模法人部門)」認定
当社は「健康経営※優良法人2023(大規模法人部門)」に認定され、今回で6年連続の認定となりました。「森永ファクトリー体操」や「高齢従業員特有の健康課題に対する取組み」などが評価されました。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標であります。
ⅱ.スポーツ庁「スポーツエールカンパニー※2023」認定
全社向けの「ハビット」、工場従業員向けの「ファクトリー体操」など体の健康についての取組みの象徴として、「スポーツエールカンパニー※」の認定を取得いたしました。2023年が初めての取得となり、今後も継続的な認定取得を目指すことで、ウェルネスカンパニーへの生まれ変わりを加速させてまいります。
※スポーツエールカンパニーとは、スポーツ庁が従業員の健康増進のためにスポーツの実施に向け
た積極的な取組みを行っている企業を毎年認定しているものであります。
d. 従業員との対話
重要戦略について、従業員とのエンゲージメントを高める取組みとして、経営トップと従業員との対話を大切にしております。経営トップが各事業所を訪問し、従業員と対話し、従業員の理解を深めるよう取り組んでまいりました。2021年度から2022年度にかけて、海外グループ会社を含む約1,600名の従業員とディスカッションを行うことでトップの想いを共有しております。
②指標及び目標
指標 | 実績 (2022年度) | 目標 (2023年度) |
| |
D&I | ダイバーシティポリシー研修 受講者数 | 370名 | 400名 | (注)1 |
人材育成 | 研修費(2021年度実績を100とした時の率) | 129% | 140% | (注)2 |
役員候補者準備率(現行の常勤取締役人数の2倍を100とした時の率) | 114% | 100%以上 | ||
部長候補者準備率(現行の部長人数を100とした時の率) | 136% | 100%以上 | ||
健康経営 | 全社健康増進イベント「ハビット」参加率 | 79.9% | 85.0% | |
年間総労働時間 | 1,946時間 | 1,950時間以下 | ||
総合健康リスク | 83 | 85以下 | ||
労働災害率(度数率) | 0.25 | 0.00 | (注)3 |
(注)1 対象範囲:国内グループ連結
(注)2 対象範囲:森永製菓㈱
(注)3 対象範囲:森永製菓㈱工場及び生産関係会社
度数率:100万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者(不休災害による傷病者は含まず)
をもって労働災害発生の頻度を表しております。
(4) 気候変動
当社グループでは、気候変動は事業の継続や持続的な成長に影響を及ぼす重要な課題と認識しております。金融安定理事会(FSB)により設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に2022年4月に賛同し、気候変動シナリオ分析を行うなど、TCFD提言への対応を進めております。
項目 | 内容 | |||
ガバナンス |
| |||
戦略 | 気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表している情報をもとに、当社の国内食料品製造事業について、4℃シナリオ、2℃シナリオ及び1.5℃シナリオを設定し、国内の2030年及び2050年の影響を分析いたしました。その結果、4℃シナリオでは気象パターンの変化や異常気象の頻発化に伴う農作物の品質劣化や収量変化にリスクがあり、2℃シナリオ及び1.5℃シナリオでは省エネ政策の強化や炭素税によるコストの増加について、事業へのインパクトが大きくなることがわかりました。これらに対して、自社のCO2排出量削減に努めるとともに、重要と評価されたリスクと機会への対応を進めてまいります。 |
項目 | 内容 |
リスク管理 | 当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。気候変動に関するリスクについても、同委員会にて、経営リスクとして適切に管理し、対応を推進しております。また、気候変動に関するTCFD提言に沿った検討については、「ESG委員会」の分科会として設置した「TCFD分科会」において実施し、その結果を「ESG委員会」にて審議しています。両委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。 以上により、全社のリスクを経営で適切に管理し、事業運営を行っております。 |
指標・目標 | 当社グループでは、気候変動リスクを緩和するため、2030年に2018年度比で国内グループ連結CO2排出量(Scope1+2)を30%削減、2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す目標を設定いたしました。生産現場における省エネ活動(エアー漏れ防止、断熱補修等)や省エネ設備の導入・更新、石油燃料から電気エネルギーへの置換推進等に取り組むとともに、再生可能エネルギーの導入を検討し、目標の達成に向けた取組みを進めております。 |
(注)1 「TCFD分科会」は、2022年度「TCFD・TNFD分科会」に変更
シナリオ分析
当社の国内食料品製造事業について、4℃シナリオ、2℃シナリオ及び1.5℃シナリオを設定し、2030年及び2050年の影響を分析いたしました。気候変動によるリスクと機会の特定及び評価、またそれらのリスクや機会が当社グループのビジネス・戦略・財務に及ぼす影響の分析にあたって、政府機関及び研究機関が開示するシナリオを参照いたしました。
※参照したシナリオ等
4℃ | Stated Policy Scenario(STEPS)(IEA 2020年) Representative Concentration Pathways(RCP6.0,8.5)(IPCC 2014年) |
2℃ | Sustainable Development Scenario(SDS)(IEA 2020年) Representative Concentration Pathways(RCP2.6)(IPCC 2014年) |
1.5℃ | Net Zero Emission by 2050 case(NZE2050)(IEA 2021年) Representative Concentration Pathways(RCP1.9)(IPCC 2021年) |
<当社グループの重要度の高いリスク>
大分類 | 小分類 | リスク要因 | 事業への影響 | 重要度 (注)2 | 対応策 |
移行 リスク | 政策及び規制 | 温室効果ガス排出の価格付けの進行・温室効果ガス排出量の報告義務の強化 | 炭素税導入による当社のエネルギーコストや物流コスト増加 | 中 | ・2030年CO2排出量30%削減(注)3 ・2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ目標に向けた検討の推進 ・工場におけるCO2排出量の見える化推進、省エネ施策の実施、生産体制再編による高効率な生産体制の確立 ・再生可能エネルギーの使用検討 ・効率的で環境負荷の少ない物流体制、輸配送の推進(モーダルシフト、同業他社との共同輸配送による積載効率の向上、積載効率の高い商品規格設計、最適在庫配置に向けたAIによる需要予測の導入及び補給運用の高度化等) |
省エネ政策の強化 | 省エネ政策強化による当社の省エネ対応に伴う製造設備投資コスト増加 | 大 | |||
既存製品やサービスに対する脱炭素関連の義務化・規制化 | 石油由来プラスチックの使用規制による包材コスト増加 | 大 | ・調達方針、サプライヤーガイドラインに準じた地球環境に配慮した原材料調達の推進 ・2030年「inゼリー」のプラスチック使用量25%削減目標に向けた取組みの推進(注)4 ・バイオマスプラスチック利用の拡大 ・2030年カカオ豆、パーム油、紙の持続可能な原材料調達100%目標に向けた取組みの推進(注)5 | ||
市場 | 消費者行動の変化 | 消費者の環境意識の高まりによる環境対応が遅れた商品の消費者離反、小売企業による当該商品の採用減に伴う売上減少 | 大 | ||
物理的 リスク | 急性 | サイクロンや洪水などの異常気象の重大性及び頻度の上昇 | 異常気象による工場や倉庫、従業員の被災、物流寸断等による調達・生産・物流・販売活動の停止に伴う機会損失、売上減少 | 中 | ・自然災害BCPの継続的な見直し及びBCMの推進 ・製造拠点の移転・新設時において、ハザードマップに基づいた建築設計や電気設備設計の実施 ・主要製品の製造拠点の分散化 ・原材料の複数社(または複数拠点)購買の実施 |
慢性 | 降雨パターンの変化及び気象パターンの極端な変動 | 気象パターンの変化や異常気象の頻発化に伴う、農作物の品質劣化・収穫量減少による原材料コストや開発コスト増加 | 大 | ・調達方針、サプライヤーガイドラインに準じた地球環境に配慮した原材料調達の推進 ・2030年カカオ豆、パーム油、紙の持続可能な原材料調達100%目標に向けた取組みの推進(注)5 ・原材料の複数社(または複数拠点)購買の実施 ・サプライヤーとの連携強化、リスク対応に向けたコミュニケーションの強化 ・乳原料の植物性原料への代替検討 |
(注)2 財務影響が及ぶ売上高規模と費用規模、影響が及ぶ期間等について評価し、最終的な重要度を
判定
3 Scope1+2(国内グループ連結、2018年度比)
4 対象:包装材料におけるプラスチック使用量(原単位、2019年度比、バイオマスプラスチック
への置換を含む)
5 紙は製品の包材が対象
<当社グループの重要度の高い機会>
大分類 | 機会要因 | 事業への影響 | 重要度 (注)2 | 対応策 |
資源の 効率 | 効率的な生産・流通プロセスの開発や利用 | 効率的な製造・流通プロセスの開発による製造コストや輸送コストの減少 | 大 | ・生産体制再構築、スマートファクトリー化による効率的な生産活動の推進(注)6 ・2030年フードロス70%削減目標に向けた取組みの推進(注)7 ・効率的で環境負荷の少ない物流体制、輸配送の推進 |
製品及び サービス | 消費者の好みの変化 | 消費者の環境意識向上による環境配慮型商品への需要増加 | 大 | ・「1チョコ for 1スマイル」の取組みの推進(注)8 ・環境配慮型商品の開発 |
気候への適応 | 温暖化による「inゼリー」や冷菓商品の需要増加 | 中 | ・「inゼリー」及び冷菓商品の販売強化 | |
レジリエンス (回復力) | 資源の代替・多様化 | 原材料の代替化・多様化の検討による様々な条件下における操業能力の向上 | 大 | ・気候変動によるリスクを踏まえた原材料の代替化・多様化の検討 |
レジリエンス計画(BCP)策定によるサプライチェーンの信頼向上・機会損失の低減 | 大 | ・自然災害BCPの継続的な見直し及びBCMの推進 |
(注)6 スマートファクトリー化:IoT・AI技術等を利用して、技術と製造設備のデジタルデータ
を融合し、安定稼働・生産効率を向上させる取組み
7 対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内グループ連結、原単位、
2019年度比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化など、食資源循環に戻すものを除
き、焼却・埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義
8 「1チョコ for 1スマイル」:対象期間に対象商品1個購入につき、1円をカカオ生産国の
子どもたちへの支援活動に寄付するキャンペーン
今後、対応策の検討をさらに深めるとともに、シナリオ分析の対象範囲の拡大等についても検討してまいります。
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