東海東京フィナンシャル・ホールディングス 【東証プライム:8616】「証券業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
当社グループは、サステナビリティの重要性を認識し、持続可能な社会の実現に向け、金融・資本市場の担い手として事業活動を通じ環境・社会課題に積極的に取組んでおります。当社グループは長年、地域に根差した社会貢献活動等を積極的に実施してまいりましたが、2020年5月にグループ全体でのサステナビリティに関する取組を一層推進するべく、専門部署「SDGs推進部」を設置し、同年9月には「SDGs宣言」及び「マテリアリティ(東海東京フィナンシャルグループの優先すべき重要課題)※」を発表しました。2022年4月には、新たな中期経営計画「“Beyond Our Limits”~異次元への挑戦」の中で、「Social Value & Justice” comes first」を行動指針として掲げ、サステナビリティに経営課題として取り組む姿勢をより明確化するとともに、「SDGs推進部」を「ソーシャル・バリュー&ジャスティス推進部」へと改組しました。当社グループは引き続き、サステナビリティに関する取組強化を通じて、グループとしての成長ストーリー を示し、企業価値の更なる向上を目指してまいります。
※マテリアリティ…「1.健康[SDGs3]」「2.教育と働き方[SDGs4,5,8]
「3.金融イノベーション[SDGs9,11]「4. 地域経済[SDGs8,11,17]
「5. 環境保全[SDGs7,13]」
① ガバナンス
当社グループにおけるサステナビリティに関する取組は、代表取締役会長が議長を務める経営会議(代表取締役会長、代表取締役社長及び関連する取締役、執行役員から構成)がサステナビリティに関する戦略策定等の意思決定を行い、社外取締役が議長を務める取締役会が監督を行う体制により推進しております。推進にあたっては、サステナビリティに関する施策の企画・実施を担当する専門部署であるソーシャル・バリュー&ジャスティス推進部が事務局を務めております。
② リスク管理
当社グループにおけるサステナビリティに関するリスク管理は、代表取締役会長が議長を務める経営会議がグループ全体のサステナビリティ関連のリスクを識別、評価、管理し、結果を取締役会へ報告し、取締役会の監督を受けております。今後も引き続きサステナビリティに関連するリスクについての分析・評価の高度化に務め、リスクを回避・低減できるよう最適な管理体制の整備を一層進めてまいります。
(2) 気候変動
① ガバナンス
当社グループは、金融商品取引業者として、金融サービス分野における気候変動を含む環境問題の重要性を認識し、指針となる「環境方針」を定めた上で、環境に配慮した取組みを進めております。環境・気候変動関連の取組みは、経営会議及び取締役会にて報告・議論を行ったうえで推進しております。
② 戦略
リスク及び機会の認識
気候変動リスクとは、資産に対する直接的な損傷やサプライチェーンの寸断から生じる間接的な影響等、気候変動に起因したリスク(物理的リスク)と、脱炭素社会への移行に向けた、気候変動問題に取り組むための広範囲に及ぶ政策や規制等の変化による財務上及び評判上のリスク(移行リスク)が挙げられます。これらのリスクが発生した場合はその性質・速度等に応じて、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があると認識しております。
リスク | 機会 | ||
移行リスク | 政策・法規制 | ・政府の排出量削減施策の厳格化や規制強化等による事業コストの増加 | ・省エネルギー設備等の導入によるエネルギーコストの削減 ・当社グループの中部地域をはじめとする強固な営業基盤及びこれまでの各地域の有力地銀との提携戦略を活かしたグリーン投資等の裾野拡大への貢献 |
市場 | ・脱炭素社会への急激な移行による市場変動を受けたトレーディングによる損失発生 | ・気候変動対応に積極的な企業の株式、債券又は同企業を組み入れたファンド等への資金流入、脱炭素関連ファンドの資産価値上昇による運用資産残高の増加 | |
技術 | ・脱炭素技術の進展による産業構造及び顧客ニーズの変化に適応する商品・サービスの十分な提供及び差別化等が出来ないことによる、収益機会の減少 | ・金融商品の組成能力の高度化及び販売力の強化による顧客ニーズに適した商品・サービスの十分な提供、ならびに個人・法人の投資家による貢献(投資)喚起とその拡充等による収益機会の増加 | |
評判 | ・ステークホルダーからの気候変動への対応要請の強化による、気候変動課題への取組みや情報開示等が不十分であることによるレピュテーションの低下 | ・環境負荷の低い、あるいは低減する事業に関わる投資・引受等への支援を積極的に行うことによる当社グループの評判の獲得 | |
物理的リスク | ・台風、豪雨等異常気象による取引先ならびに当社グループの保有資産の損壊、社員の被災に伴う業務の中断、対応コスト等の増加、業績悪化等、ビジネスへの悪影響 |
|
シナリオ分析
「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)」が公表するシナリオのうち、移行リスクと物理的リスクが最小となる「秩序ある2050年脱炭素シナリオ(Orderly - Net Zero 2050)」、移行リスクが最大となる「無秩序な2050年脱炭素シナリオ(Disorderly - Divergent Net Zero)」、物理的リスクが最大となる「現状政策シナリオ(Hot house world - Current Policies)」をベースとして、当社グループの財務(費用及び収益)に与える影響について、定量・定性分析及び影響度評価を実施しました。全体としては、当社グループの財務に与える影響は限定的でありました。一方で、今後のグリーン分野への投資ニーズ拡大等を見据えたビジネス機会の創出、施策推進等の重要性を再認識いたしました。今後も引き続き、分析レベルの高度化を図ってまいります。
シナリオ分析の概要
想定シナリオ | 気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS) ・秩序ある2050年脱炭素シナリオ(Orderly - Net Zero 2050) ・無秩序な2050年脱炭素シナリオ(Disorderly - Divergent Net Zero) ・現状政策シナリオ(Hot house world - Current Policies) |
分析期間 | 2050年時点 |
分析方法 | 財務(費用及び収益)に与える影響を定量・定性分析、影響度評価 |
分析結果 | 当社グループの財務に与える影響は限定的 |
③ リスク管理
想定される具体的な気候変動リスク及び機会について経営会議において識別し、その結果を取締役会へ報告しております。今後、気候変動リスクについての分析及び評価の高度化とともに、リスクの回避、低減のため、最適な管理体制の整備を一層進めていきます。
④ 指標及び目標
当社グループでは、事業活動に伴う温室効果ガス排出量を継続的に削減してきました。今後は、「2030年実質ゼロ」を目標に、現在グループのエネルギー使用量の約25%を占めている再生可能エネルギーの一層の利用や省エネの推進等により、さらなる削減を進めていきます。
温室効果ガス排出量
(単位:t-CO₂)
| 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
SCOPE1 | 781 | 724 | 681 | 401 | 454 |
SCOPE2 | 3,070 | 2,866 | 2,701 | 2,590 | 2,493 |
SCOPE1+2 | 3,851 | 3,589 | 3,382 | 2,991 | 2,947 |
※温室効果ガス排出量(CO₂排出量)の集計対象は、以下のとおり。なお、2021年度は旧エース証券を追加。
当社、東海東京証券株式会社、株式会社東海東京調査センター、東海東京アセットマネジメント株式会社、東海東京インベストメント株式会社、東海東京アカデミー株式会社、東海東京サービス株式会社(東海東京証券株式会社が入居する拠点)、東海東京ビジネスサービス株式会社、株式会社TTデジタル・プラットフォーム、CHEER証券株式会社
(3) 人的資本
経営戦略と人材戦略の連動を意識した取組み
当社は、ビジネスモデルの変化とともに人事制度も変化させてきました。また社会の変化とともに、柔軟性のある働き方ができる職場環境を整備してきました。
成長の源泉である人材をいかに確保・育成・配置を行うかが重要な経営テーマであると認識しており、2019年からジョブ型の人事制度へ大きな転換を図りました。また、同時に総合職や一般職といった職系列の区別もなくしております。これにより、仕事の価値と給与の連動を実現し、各ポジションの業務内容を明らかにすることで、年齢や属性に関わらず、より適した人材のポジション登用やよりスムーズなキャリア採用を可能としました。
文化の醸成
当社は、社内公募や自己研鑽の取組みに対して手挙げ制度による仕組みを広げております。また、2年かけて65歳までの全社員を対象にキャリアデザインプログラム研修を実施いたしました。社員一人ひとりが自らキャリアを選択し、能動的に考えていくための環境を整えることで、意識の向上につなげております。
2020年にHumanity Enhancement Programを創設し、プライベート支援、社内インターンシップ、リスキリング、社外への副業留学等の多様な学習機会を提供しており、結果として、専門性・人間性が向上し魅力的な人材になると考えております。
今後も、人材育成や社内環境を整備することで企業価値向上につなげてまいります。
① 戦略
社内環境整備方針
当社では、経営戦略と人材戦略の連動について、2019年に全社員へ導入したジョブ型人事制度をベースにしております。
経営戦略でキーワードとしている「金融力の強化」、「異次元に向けた重点施策」、行動指針である「“Social Value & Justice”comes first」を実現するために、“攻め”の観点としての「事業強化」と、“持続性”の観点としての「企業の継続性・サステナビリティ」の2軸で人材戦略を定めております。それぞれの人材戦略について具体的な取組みを進め、従業員エンゲージメントの向上と、教育投資として経常利益の3%の教育研修費を人材に投資し、育成に努めていくことをKPIとして設定しております。
なお、この2項目は中期経営計画のKPIとしても設定しております。
また、主な取組みは以下のとおりです。
| 取組み | 取組みの主旨・内容 |
採用 | 部門別採用 | ・新卒採用時から専門性の高い部門において採用 (ウェルス部門、グローバル・マーケット部門、 投資銀行部門、デジタル部門、調査部門) |
育成・研修
キャリア形成支援 | 社内公募 | ・募集されているポジションに対して自ら手を挙げキャリアを選択できる制度 2006年からスタート、今までに850名の応募があり、300名程度の異動を実現 |
若手育成プログラム | ・新卒入社後2年間を研修期間として位置づけ、Off-JTとOJTを交えたプログラムにより顧客対応・業務スキル・各分野の専門スキルの習得機会を提供 | |
国内外MBA・選抜研修 | ・国内外MBAへの派遣、選抜型のリーダー研修等を実施 | |
キャリアデザインプログラム | ・全社員対象に自らの意思でキャリア形成を目指す研修の提供 ・個別相談に応じる窓口を設置 | |
リスキリング | ・キャリア・プラスアップ制度 (現所属部署に在籍しながら、今後のキャリア形成に役立つ新たな知識・スキルを獲得するための研修) | |
Humanity Enhancement Program | ・会社が提供する機会以上に学びたいこと、業務以外のプライベートでも真剣に取組みたいことへの会社支援(プライベート支援、副業留学、社内インターンシップ等) | |
働き方
環境 | 出産・育児・介護に関する両立支援制度 | ・法定以上の休業期間及び短時間勤務期間を可能とする制度、テレワーク、フレックス制度の整備 |
エンゲージメントサーベイ ストレスチェック コンディションチェック | ・従業員の状況を把握することで、より効果的な環境整備の取組を実現 | |
テレワーク フレックスタイム制度 | ・柔軟な働き方を可能にするため、テレワークのインフラ環境整備、フレックスタイム制度を導入 | |
副業制度 | ・当社以外での仕事を可能とすることで、社内では得ることのできない知識・スキルを身に着けることが可能になり、リテンションの効果も期待 | |
組織体制 | ハラスメント対応 風紀委員会・規律の文化推進協議会 | ・倫理観や規律に関する高い意識をもち行動する企業風土の醸成を目指す組織体制を整備。 ・規律を逸する行為について、情報を収集し、十分な調査の下、組織として適切な解決を図り、原因を検証し再発防止を企図 |
健康経営推進協議会 | ・健康にかかる取組みや課題について協議 |
人材育成方針
当社における人材育成方針は以下のとおりです。
・金融機能の担い手として、お客様の資産形成や資本の充実に貢献し、日本経済の成長に寄与する人材の育成
・常に自分のキャリアを模索し、自律的に学び続けることができる人材の育成
・変化を恐れず、変化をチャンスと捉え、新たなことにチャレンジできる人材の育成
2022年度からスタートした中期経営計画『“Beyond Our Limits”~異次元への挑戦』期間中の人材育成方針として、“Social Value & Justice”comes firstを常に意識し、体現できる人材の育成を実行する
2023年度の重点育成施策については、以下のとおりです。
ⅰ 若手社員育成体制の見直し
・2年間の研修でより専門知識、スキルを習得するためのプログラムを関係部署と連携して構築
・研修と実践の反復により知識・スキル習得度の熟練化を目指す
・指導する側(管理職)への育成スキル向上支援
ⅱ 現場でのキャリア支援浸透、リスキリング教育の拡充
・キャリアシート作成による自身のキャリアデザインの明確化
・キャリアシートを活用した上司との 1on1面談の実施
・任意参加型フォローアップ研修及び社員のリスキリング機会提供の拡充
ⅲ DX人材、専門人材のさらなる育成と確保
・全社員のITスキルのレベルアップ・DX専門人材の育成プログラムの策定
・各部門、各分野の専門人材の育成支援
当社の教育体系は以下のとおりです。
当社は就業している全期間において、教育プログラムを幅広く提供しております。
② 指標及び目標
当社では、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」及び上記において記載した社内環境整備方針及び人材育成方針に関する指標として、次の指標を用いております。当該指標における目標及び実績は次のとおりです。
<「従業員の状況」記載事項に対する目標>
提出会社である東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社と主要な事業を営む連結子会社である東海東京証券株式会社の2社の合算を開示対象といたします。
20年後のありたい姿として、管理職に占める女性労働者の割合においては男女の社員比率と管理職比率が同率となることや、男女で同等の育児への関与ができるように男性が育児休業を取得すること、また、性別によらない公平な機会提供の実現によって労働者の男女の賃金の差異が縮小していることとしております。
このありたい姿の実現に向けてまずは中期経営計画の最終年度に目標値を置き、取組みを進めてまいります。
指標 | 実績 2022年度(※) | 目標 2026年度 |
管理職に占める女性労働者の割合 | 16.8% | 21% |
男性労働者の育児休業取得率 | 34.0% | 男性の育児休業または 育児関連休暇取得100% |
労働者の男女の賃金の差異 (正規雇用労働者) | 72.9% | 77% |
※実績は、「従業員の状況」に記載した当社及び東海東京証券株式会社の2社を合算し算出しております。
項目 | 今後の取組みの方向性 |
管理職に占める女性労働者の割合の向上 | ・女性本人及び男性社員の意識改革 ・アンコンシャスバイアスの払しょく ・ライフイベントを考慮した女性の育成 ・女性の育児休業からの早期復帰及び時短勤務労働者のフルタイムへの移行促進 |
男性労働者の育児休業取得率の向上 | ・育児関連休暇制度の拡充 ・育児休業取得義務化 ・祝福する雰囲気の醸成 ・長期休暇取得を可能とする環境整備 |
労働者の男女の賃金の差異の縮小 | ・上記の取組みが男女の賃金の差異の縮小にも繋がることを期待 |
<サステナビリティに記載の社内環境整備方針・人材育成方針にかかる目標>
当社では、従業員エンゲージメントと教育研修費をサステナビリティに関する目標として掲げております。
指標 | 実績 2022年度 | 目標 2026年度 |
従業員エンゲージメント | 40.0% | 63.0% |
教育研修費 | 4.5% | 前年度経常利益の3% |
- 検索
- 業種別業績ランキング