東海ソフト 【東証スタンダード:4430】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「東海ソフトは顧客に信頼される誠実な企業である」、「東海ソフトは技術・商品を常に研く企業である」、「東海ソフトは社員に信頼される誠実な企業である」を経営理念とし、日本の製造業をソフトウエア技術で支えることを経営の中心として、以下の経営方針を掲げて事業を進めております。
1.顧客に価値を提供し続けるために、
・新しい技術への挑戦と提案を行います。
・トレンドを先取りしたビジネス展開を目指します。
・提案から開発・運用までのワンストップソリューションを提供します。
2.顧客・社員・社会すべてに信頼される会社であるために、
・高品質な製品と高信頼なサービスを提供します。
・良好な労働環境と安定雇用に努めます。
・コンプライアンス・セキュリティ・環境保全へ真摯に対応します。
(2)目標とする経営指標
当社が目標とする経営指標は、営業利益率10%以上、自己資本当期純利益率(ROE)10%以上としております。当社事業であるソフトウエア受託開発及びソフトウエア開発に係る役務の提供は、開発に係る人材と営業利益が非常に強い関係を持っております。優秀な人材による高付加価値の開発案件の受注とプロジェクト管理力・品質管理力の向上が利益を生み、将来の利益につながる人材教育と新技術習得の余裕を生み出します。以上のことから、当社では利益の社員への還元と株主の皆様への還元を図るためにも収益力の向上を目標として、営業利益率を重要な経営指標としております。また、株主価値の最大化のため、強固な財務体質の維持に注力することを目標として、自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
ソフトウエア業を含む情報サービス業は、コンピュータ技術の劇的な進化と共に日本及び世界のあらゆる産業と共に拡大・成長し、また成長した産業のニーズに牽引される形で更に拡大・成長するという好循環の下に、発展を続けて参りました。当社事業のソフトウエア受託開発及びソフトウエア開発に係る役務の提供は、日本の製造業を支えることを目的に、製造業のお客様の製品開発、製造設備、生産システムの開発・導入に係るソフトウエア開発を行って参りました。日本の製造業はこの度の新型コロナウイルス感染症の拡大による厳しい事業環境の中予想を超える回復を果たし、今後はポストコロナを見据えた事業のデジタル化とりわけ製造現場におけるDXの対応に関心が移ってきております。当社は、全社を挙げてこれまで培った製造業向けの技術やソリューションノウハウに加えAI等の新しい技術の習得とこれを支える人材の採用と育成に努め、技術・品質・コストのあらゆる面で、日本の製造業を支えると共に国際社会が目指すSDGsの実現の一翼を担う企業としての自覚を持って社会に貢献して参ります。
当社は、中期経営計画における中期経営目標として、「変革に挑み新たな安定と成長のステージへ」をスローガンに掲げ、以下の経営戦略の下、事業活動を進めております。
1.既存事業の強化・拡大(収益性・効率性の追求)
①組込み主要顧客と中核技術への更なる選択と集中
②公共関連事業での業種・業務分野の選択と集中
③製造・流通及び業務システム関連事業の拡大と効率化
2.新たな事業基盤の確立(新たな事業モデルの創造)
①製造業向けパッケージメーカーとの技術連携と協業
②IoT事業を起点とした産業界のDXの推進
③車載SPFをベースとした車載関連開発へのシフト
④関東地区への組込み開発・産業向け開発の事業展開
3.新技術・新事業の開拓と創出(中長期の成長)
①CASE関連開発による組込み事業の価値向上
②政府の掲げる「デジタルガバメント実行計画」へのチャレンジ
③トータルソリューションによる高付加価値なシステムの提案
4.生産体制の強化(品質と効率性の追求)
①ソフトウエア開発技術の競争力向上
②開発パートナーの開拓と協力関係の強化
③積極的な採用活動と社内教育体制の強化
(4)会社の優先的に対処すべき課題
当社ソフトウエア開発事業の顧客を取り巻く経営環境は、製品の製造・販売から利用価値を売るサービス化(モノからコト)へと収益構造を変化させており、この変化は海外企業を先行者としグローバルな潮流となって、当社ソフトウエア開発事業の受注環境も大きく変化しております。
なお、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ侵攻等の地域紛争、中国の景気低迷、円安、物価高等の影響は、景気に左右されにくい当社の分野構成と多様な顧客構成により、その影響は軽微でありました。今後も引き続きその動向を注視して参りますが、世の中の流れはこうしたリスクに対処するため、生成AI、RPA(自動化ツール)、クラウド、AGV・AMR等のロボット技術へのシフトがより一層加速すると思われます。現在、製造業を中心に多くの企業はDXを活用した新たな事業環境の構築を活発化させておりますが、今後はこういった先端技術を取り入れながら、以下の取り組みにより中長期に業績拡大を図ると共に省人・省エネ・省資源を支えるソフトウエアシステム開発を通じて、持続可能な社会(SDGs)の実現に寄与して参ります。
①労働集約型企業から顧客事業協業型企業へ
取引高の大きい既存・定常の顧客からの安定受注を継続すると共に、新規顧客からの受注拡大に必要な開発要員を確保するために技術者教育に注力し、新技術の習得と合わせリスキリングにより保有技術の多様化を図り、様々な開発案件に開発人材を柔軟かつ機動的に配置できるよう努めて参ります。また、新規顧客を開拓するために、当社のDX支援ソリューション「PlusFORCE」を強化し、営業と技術が一体となった受注体制の強化を図って参ります。加えて、既存の保守・準委任業務においてもシステムの開発・維持だけでなく、顧客の課題に広く目を向け、自社製品だけでなく他社の製品サービスを組み合わせた提案を実施し、顧客事業の成長をIT技術でサポートする企業を目指して参ります。
②人材育成と組織力向上
各々の社員の力の総和が企業力です。売上100億円企業が目前に迫った今、この壁を超え更に高みを目指すためにも、今一度原点に立ち返り社員のキャリアパスと当社のビジョン・方針を合致させ、共に成長していく風土の再構築が必要となります。そのためにグループ制を採用しプロジェクトや個人の課題の把握とサポートをきめ細かく実施して参ります。
また上記の人材育成のためには、その範となる上長の更なる成長が欠かせません。予算達成に向けての短期的な施策だけでなく、中長期的に部下と組織の成長を両立させるべく、ヒューマンスキル教育を強化し組織力の向上を目指すと共に、女性管理職の育成にも注力して参ります。
③生産体制の強化
昨今のIT人材不足に対応するため、新卒はもとより第2新卒採用とキャリア採用を強化した結果、年間採用数の25%程度を占めるまでとなり、今後も更に強化して参ります。一方、パートナー活用においては、外注加工費が前期比27%増となり業績拡大に大きく貢献しました。今後更なる拡大のために重点パートナー施策にてWinWinの関係を構築し、請負パートナーの拡大を図って参ります。しかしながら昨今のシステムの大規模化・高度化・複雑化の流れに対応するには、量だけでなく質(スキル)の向上も喫緊の課題であり、技術者のマルチスキル化を早急に図り、顧客の要求に即座に対応できる機動力を培って参ります。
またM&Aについても広く情報を収集すると共に実行体制の増強を図り、早急に実現させる様努めて参ります。
④BO(バックオフィス)機能強化
ここ数年、新基幹システムの刷新、社内インフラの整備、人事制度の改訂、品質保証と社員教育の強化に取り組んで参りましたが、従来の定型業務に囚われずゼロベースで業務の効率改善を図ると共に、社員が働きやすい環境整備と内部統制の充実に努めて参ります。
⑤新技術の実用化に向けた取り組み
昨今は、IoT・AI・クラウドコンピューティング・自動運転等の既に実用化された技術が、DXという広がりを持ったコンセプトとして社会の仕組みまでを変えてしまうような状況が進みつつあります。特に産業界DXの拡大は、当社のソフトウエア開発事業にとって大きなビジネスチャンスと捉えております。
こうした時代の要請に応え事業の拡大を目指して、今後も新技術の習得に向け積極的な人材育成と共に、先ずは自社内で生成AIやRPA等の活用を図り、顧客への開発提案を加速して参ります。
⑥働き方改革の実践
当社の従業員に対しては、政府の働き方改革の方針を受けた心身の健康とワーク・ライフ・バランスに配慮した労務管理を進めており、人的資本経営やSDGsを重視した経営の根幹を成すものと捉えております。具体的には、ノー残業dayの実施とその浸透、衛生委員会を通じた職場・労務環境の管理と整備、プロジェクトマネジメントの強化による工程遅れやトラブルに起因する残業の増加防止等の施策について全社を挙げて進めると共に、コロナ禍の下で試行し一定の成果を見ましたテレワークにつきましても、介護・育児等の諸事情に配慮し、新しい時代の働き方の可能性の一つとして、今後も進化させて参ります。
⑦サステナビリティへの対応
当社は、国際的な取り組みであるSDGs(持続可能な2030年までの開発目標)の実現に向けて、社内でできることは当然のことながら、長年にわたる産業向けソフトウエア開発の経験とノウハウを活かし、「人が安全・安心して働ける製造現場」、「製造に係るエネルギーの削減」、「製造に必要な資源のムダの排除」等をお客様のシステム開発に適用し、製造業のお客様のSDGs実現を支えて参りました。また当事業年度におきましては、災害義援金、こども食堂への寄付等も実施し、今後も継続・強化して参ります。
- 検索
- 業種別業績ランキング