東亜道路工業 【東証プライム:1882】「建設業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「自らの意思と成長をもって、人々の生活を足元から支える」を企業理念に掲げ、社会資本の整備にかかわる事業を展開しています。この理念のもと、コンプライアンスの実践や透明性の高い経営を行い、更には、時代の変化に適合した技術開発を推し進め、新しい価値を提供していくことにより、社会との良好な関係を築き健全で効率的な経営と企業価値の向上を目指しております。
(2)経営環境
当社グループのセグメントごとの経営環境の認識は、以下のとおりであります。
(建設事業)
建設事業におきましては、防災・減災、国土強靭化等により公共投資は底堅く推移していくものと思われますが、一方で人手不足による人件費の上昇や原材料価格の上昇によるコスト増加の懸念、企業間の熾烈な受注競争など厳しい状況が続く事を予想しております。また、働き方改革への対応、賃金引上げに向けた取組等、課題も多いと認識しております。
(製造販売・環境事業等)
製造販売事業におきましては、環境に配慮した製品の開発・提供等、カーボンニュートラルへの対応が急務となっております。また原材料(特にストレートアスファルト)の価格が収益に大きく影響するため、動向を注視しております。
(3)中長期的な経営戦略
当社グループは長期目標として創立100周年を迎える2030年に「TOA ROAD Vision2030-社会から選ばれ続けるオンリーワン企業へ」を掲げてその目標達成のため、中期計画を推進しております。今年度からは、前期を最終年度とした中期経営計画を引き継ぎ、3年後の2026年度を目標年とする新しい中期経営計画「TOA ROAD Sustainable Plan 2026」を策定、開始しております。新中期経営計画では、前中期経営計画に掲げた6戦略(確固な収益基盤の確立、事業領域の拡大、技術開発の推進、DXの推進、エンゲージメントの向上、ガバナンスの強化)を継続するとともに、新たに「CSR経営へのシフト」と「持続可能な成長基盤の確立」を2つの主要な柱としております。
基本方針 「挑戦・発想・実行で社会から選ばれ続ける企業に」
CSR経営へのシフト | 企業に対する社会からの要請が変化する中、我々は挑戦・発想・実行により、経営方針の軸を「CSR経営」に大きくシフトすることで、すべてのステークホルダーにコミットし支持されることを目指します。 |
持続的成長基盤の確立 | 環境問題への対応が喫緊の課題として顕在化している中、地政学的リスクを含む不確実性の時代に対応できるレジリエントな企業体質を構築し、将来に向け積極的な投資を行い「持続可能な成長基盤」の確立を目指します。 |
経営戦略の概要
持続可能な成長基盤の確立 | 建設事業戦略 | 2024年問題・担い手の確保 |
・オペレーションフローの再構築により、高齢者や女性などが継続して能力を発揮できる働き方の多様化 | ||
・出来高生産性や工事種別ごとの収益性などの管理指標をリアルタイムに生成し”見える化”の推進 | ||
・マシーン・コントロールなどのDX技術の積極的な導入による生産性向上 | ||
・工事担当者のエンゲージメント向上による生産性向上 | ||
不確実性(国内外の社会情勢、気候)の時代 | ||
・独自技術を駆使したソリューション営業による民需へのシフト、事業活動領域の拡大 | ||
・官民連携(PFI)事業、海外事業、鉄道事業の強化及び戦略的なM&Aによる事業領域の拡大 | ||
・景観・スポーツ事業の強化 | ||
膨大にストックされた社会資本のマネージメント | ||
・当社独自の様々な維持修繕技術、長寿命化技術を活用したソリューション営業 | ||
・FWDやMWDを駆使し、費用対効果、ライフサイクルコストを考慮した道路舗装マネージメント | ||
地球環境問題 | ||
・常温鋪装技術や太陽光発電舗装技術などによる「創造的イノベーション」の市場開拓 | ||
製品事業戦略 | 不確実性(国内外の社会情勢、気候)の時代 | |
・積極的な設備投資により、主要工場にアスファルトのバッファ機能、被災時のバックアップ・システム(電源等)を構築 | ||
・事業領域拡大のため、他業種用の新素材(土木・工業用材料)の積極的な展開 | ||
地球環境問題 | ||
・加熱アスファルトプラントへの機械式中温化装置の配備 | ||
・独自技術の中温化添加剤や中温化バインダーの積極的な展開 | ||
膨大にストックされた社会資本のマネージメント | ||
・舗装の長寿命化に資する製品の積極的な展開 | ||
・顧客ニーズに応じた補修用材料(大規模用、小規模用)の積極的な展開 |
持続可能な成長基盤の確立 | 製品事業戦略 | 2024年問題・担い手の確保 |
・サプライチェーン(輸送コスト含)の再構築 | ||
・工場設備のDX化による省力化と品質・安全性の向上 | ||
持続可能な資材の調達 | ||
・再生技術用製品、植物由来製品の積極的な展開 | ||
コンサルティング事業戦略 | 膨大にストックされた社会資本のマネージメント | |
・膨大にストックされた既設舗装の健全性を高速に調査するソリューション(MWD Plus) ・ライフサイクル・コストを最小化する維持修繕計画業務のソリューション ・コスト・パフォーマンスに優れた(橋面)舗装維持修繕設計業務のソリューション ・舗装構造物の維持管理業務を支援するシステム・ソリューション | ||
地球環境問題 | ||
・環境配慮型技術による舗装維持修繕設計業務のソリューション ・温室効果ガスの発生を最小化する舗装維持修繕設計業務のソリューション | ||
持続可能な資材の調達 | ||
・持続可能な資材を活用する舗装修繕設計業務のソリューション ・貴重な天然資源の消費を抑制するため、長寿命舗装技術の活用や、FWDを用いた合理的な維持修繕設計業務のソリューション | ||
バックオフィス戦略 | 2024年度問題・担い手不足 | |
・DX導入による営業支援、製品販売、経費精算システムの高度化によるバックオフィス業務の効率化、省力化 ・生成AIを利用した技術情報、管理業務のナレッジデータベースによるバックオフィス業務の効率化、省力化 | ||
不確実性(国内外の社会情勢、気候)の時代 | ||
・システム障害や災害等の緊急事態におけるBCP対策の更なる強化、高度化 |
(4)経営計画の数値目標
当社グループは、目標とする経営指標として以下の数値を掲げています。これらの数値目標達成と、企業価値の向上に努めてまいります。
連結業績 | 2024年度(2025年3月期) |
売上高 | 126,000百万円 |
営業利益 | 6,000百万円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,900百万円 |
(5)対処すべき課題
今後の経済環境につきましては、世界的なインフレが継続しており、金融引締め政策とこれに伴う為替変動リスク、ならびに地政学的リスクがもたらすエネルギーや原材料価格などの調達コストに与える影響を注視する必要があります。また、政府の要請による賃金引き上げや、調達コスト高騰による価格転嫁を進めていくことが必要であると考えておりますが、企業間の熾烈な受注競争が続く中、当社グループを取り巻く環境は厳しい状況が継続する事が見込まれます。
当社グループは現在の環境を踏まえ、「CSR経営への転換」と「持続可能な成長基盤の構築」を2つの主要な柱とした新中期経営計画を本年度より実施しております。加えて、これまで以上に資本コストを重視した経営を行うために、事業ごとの投下資本を基準とした経営指標を統合事業戦略に反映させて企業価値を高める経営戦略を策定していくとともに、その概念を全社的に浸透させることを目指してまいります。
また、技術開発(R&D戦略)に関しては、蓄積された道路インフラの高耐久化と効率的な維持に資する技術を中心に、低炭素で持続可能な社会を実現するための革新的な技術開発に取り組み、既存の常識や思考に縛られないイノベーションの創出に挑戦します。
なお、新中期経営計画においては、下記の5項目を当社グループを取り巻くマテリアリティとして抽出し、事業ごとに持続可能な戦略を実施してまいります。
① 2024年問題・担い手の確保
② 不確実性の時代(国内外の社会情勢、気候)
③ 膨大にストックされた社会資本のマネージメント
④ 地球環境問題
⑤ 持続可能な資材の調達
これらの方針に基づく諸施策の着実な実施により、2025年3月期の業績予想につきましては、売上高126,000百万円、営業利益6,000百万円、経常利益6,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,900百万円を見込んでおります。
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