企業兼大株主東亜建設工業東証プライム:1885】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループにおきましては、4つのマテリアリティ(重要課題)を掲げて、研究開発を推進しております。

●4つのマテリアリティ(重要課題)

 Blue・Green(ブルー・グリーン)‐地球温暖化対策・低炭素社会の構築、自然環境保全・再生・創出

 Life-cycle(ライフサイクル) ‐維持・長寿命化、3Rの実践

 Digital・Smart(デシタル・スマート)‐品質・安全・生産性の向上、ウエルネスの向上

 Resilience(レジリエンス) ‐防災・減災、強靱化、安心・安全の提供

 当連結会計年度における研究開発費は1,298百万円であります。また、主な研究開発成果は次のとおりであります。

(国内土木事業・国内建築事業及び海外事業)

1.BlueGreen(ブルー・グリーン)

(1)「着床式基礎における洗掘防止工の低コスト構造及び施工方法の技術開発」の研究着手

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が公募した助成事業「洋上風力発電低コスト施工技術開発(施工技術検証)」に応募し、正式に採択されました。

2019年4月の「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」の施行を契機に促進区域指定に向けた案件形成が進みつつある中、2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、再生可能エネルギーを最大限導入することが急務であります。特に洋上風力発電は、大量導入の可能性、コスト低減効果や経済波及効果の大きさの観点から、再生可能エネルギーの主力電源化の柱と考えられています。しかし、洋上風力発電が先行している欧州と比較して、気象・海象条件や船舶等のインフラ整備の状況が異なり、結果的に我が国の洋上風力発電コストが高くなっています。今後、固定価格買取制度から自立した形での導入を目指していく中で、洋上風力発電の低コスト化が急務となっているため、助成事業が開始されました。

当社は、着床式基礎(主にモノパイル基礎)の洗掘防止工に照準を当て課題を整理するとともに、先進的工法を確立し、工程短縮を図り低コスト化に寄与する「着床式基礎における洗掘防止工の低コスト構造及び施工方法の技術開発」で採択を受けましたので、順次、研究開発に取り組んでまいります。

(2)消臭シートの開発

近年、台風の大型化や集中豪雨の増加による被害が頻発しています。これらの水害に伴って発生する汚泥等の災害廃棄物は、悪臭を生じさせて周辺環境へ多大な影響を及ぼすためその対策が必要とされています。これまでの悪臭対策は、消臭作用のある薬剤を悪臭発生物に散布もしくは混ぜ込むことや土木シートで悪臭発生物を被覆することにより行われてきましたが、均一な薬剤の混ぜ込みが困難なことやシートの隙間から悪臭が拡散するなどの課題がありました。そこで、薬剤による消臭効果とシートによる悪臭封じ込め効果を併せ持った消臭シートを倉敷紡績加工(株)及び無臭元工業(株)と共同で開発しました。

消臭シートは、不織布と不織布の間に粉末消臭剤を挟み込んだ製品です。悪臭発生物に本シートを隙間なく敷設することで悪臭の拡散を防ぐとともに本シートに水をかけることで消臭剤が悪臭発生物に浸透し悪臭の発生を抑えることができます。消臭効果がある悪臭物質はアンモニア・アミン類、硫化水素、メルカプタン類であることから、建設工事のみならず下水処理施設や畜産業における悪臭対策としても活用できます。

2.Life-cycle(ライフサイクル)

(1)カルシア改質土の「バッチ式原位置混合工法」の技術評価証を取得

カルシア改質土は、港湾等の粘土・シルト分の多い軟弱な浚渫土砂にカルシア改質材(製鉄過程で発生する転炉系製鋼スラグを原料として成分管理と粒度調整したリサイクル材料)を混合したものです。このカルシア改質土を利用して軟弱な海底地盤の表層改良を可能とする「バッチ式原位置混合工法」の開発を5社共同で進めてまいりました。このたび、2022年に実施した実海域での施工試験で得られたデータをもとに、一般財団法人沿岸技術研究センターの「港湾関連民間技術の確認審査・評価事業」における審査の結果、評価証(第22006号)を取得いたしました。

これまでは、土運船の土槽内であらかじめ製造したカルシア改質土を所定の施工エリアへ運搬して、海中投入する方法が主流でした。「バッチ式原位置混合工法」は、既存の海上地盤改良工法であるサンドコンパクションパイル工法専用船のケーシング先端に取り付けた密閉式バケットを用いて海底地盤の粘性土を掘削し、バケット内でカルシア改質材と混合してカルシア改質土を製造する事により、浚渫することなく原位置で軟弱地盤を改質する工法です。審査においては、一連の施工を海底近傍で実施できる事から、良好な品質や出来形を確保できる点に加え、周辺海域の水質への悪影響が生じない工法としても評価されました。

今後は、本工法の実事業化を進め、カルシア改質土の普及拡大を推進してまいります。

3.DigitalSmart(デジタル・スマート)

(1)AIを活用した土の粒度分布判定システム「ASYST」を開発

建設発生土の有効利用判定や受入れ土の利用計画など、特に土工事や地盤改良工事では、土砂の粒度情報に基づく施工の技術的判断を迅速かつ的確に下さなくてはならない場面が多く発生します。しかしながら、この粒度情報を知るうえで基礎データを得るための粒度試験は、習熟した技術者が1日~数日をかけて実施するため、その結果を施工管理に反映させることに時間的課題が残ります。そこで、土の粒度試験をその都度実施することなく粒度情報を把握し、施工管理に直ちに反映させることを目的に、現場レベルの簡単な操作のみで実用上十分な精度を有する粒径加積曲線をAIによって推定するシステム「ASYST」を開発しました。

本システムによる土の粒度判定手順は、まず対象土を現場で採取し、所定量を専用容器に封入した試料を作製します。その後、試料を専用の撮影BOX内で複数枚の画像撮影を行います。一連の画像データは、インターネット経由でオンラインサーバーに転送され、「ASYST」により対象土の粒径加積曲線の推定結果を直ちに得ることができます。本システムにより、対象土の採取・調整から粒径加積曲線の推定までを1時間以内で実施することが可能となります。

(2)港湾工事における建設用3Dプリンター活用の取組み

護岸上部工のコンクリート打設における底型枠は、本体工に鋼矢板や鋼管矢板などを用いた場合、打設時の施工誤差が生じるため、潜水士が水中で護岸形状に合うように加工と位置調整を行うことが一般的でした。この作業は熟練した技術を伴い、かつ安全面・工程面においても負担になることから、底型枠作製の効率化と潜水士による水中作業軽減を目的として、3Dプリンター造形物の構造物への適用性に関する研究開発に取り組んでいます。本研究開発おいて、千葉県の護岸工事で建設用3Dプリンターにて作製した底型枠を用いた上部工コンクリート打設に成功しました。底型枠は、3DスキャナやUAV等により取得した護岸形状の3Dデータをもとに、(株)Polyuse製の建設用3Dプリンターで作製しました。これにより、護岸形状にフィットする底型枠を作業者の技量によらず簡易かつ効率的に作製できることを確認しました。また、作製した底型枠は、吊鋼材を天端に取り付けた状態でクレーン付き台船にて水上から据え付けることにより、潜水士の水中での作業を大幅に削減できることを確認しました。

今後は、本技術の適用現場を増やしながら構造のスリム化や据付方法の合理化といった施工の効率化を図るとともに、3Dプリンター作製物の適用範囲拡大を図ってまいります。

4.Resilience(レジリエンス)

(1)低騒音・低振動・低粉塵型目荒らし「ブラストキー工法」がNETISに登録

コンクリートの接合面に用いるチッピングに代わる目荒らし工法として飛島建設(株)と共同開発した「ブラストキー工法」は、国土交通省の公共工事などにおける新技術情報提供システム「NETIS」に、①工程短縮、②品質・安全性の向上、③施工性・周辺環境への影響の向上に期待できる技術「低騒音・低振動・低粉塵型目荒らし『ブラストキー工法』」として登録されました。

本工法は、目荒らし工事におけるコンクリートガラの排出量を抑制でき、コンクリートガラ収集運搬時のCO2削減が期待できます。また、騒音・振動・粉塵の発生を抑制できる周辺環境に配慮した目荒らし工法として増改築や改修工事に適用できることから、特に学校、病院、集合住宅等のストック建築の活用促進に繋がることを期待しています。

(その他)

研究開発活動は特段行っておりません。

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