曙ブレーキ工業 【東証プライム:7238】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
当社グループでは、コア技術である音・振動解析技術を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関、産業機械の各種ブレーキ製品を担う摩擦材・ブレーキの開発を進めております。また製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うため、社会潮流、市場動向、競合他社など動向をグローバルに見据え、研究開発への投資と開発体制の充実を図っております。
開発戦略としては、音・振動に対する知見をさらに深化させ、カーボンニュートラルを見据えたブレーキ低引き摺り化・軽量化・グリーン材料化、摩耗粉塵抑制などの環境対応技術開発、電動ブレーキ開発を始めとした自動運転対応技術開発、高性能車両向けのブレーキ開発を継続し、推進してまいります。これらの開発は日本・米国・欧州・中国・タイの開発拠点を中心として、地産地消を基本に現地開発、現地調達をさらに促進し、グローバル拠点それぞれの特長を活かしながら、必要な技術を駆使してグローバル競争力を高めた次期製品開発に注力しております。
(日本)
ブレーキ摩擦材開発については、カーボンニュートラルを見据えた環境対応技術開発を軸に取り組みを進めております。グローバルなニーズ及び米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された銅に関する環境規制に対応する銅フリー摩擦材開発を中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ昨今欧州EURO7にて具体的な規制が示されたブレーキ摩耗粉塵排出の抑制に挑戦しながら、製造工程でのCO2排出量を大幅に削減できる製品の開発を進めております。同時に、低コスト化についても、性能や環境へ配慮しながら開発を進めております。また、xEV車のブレーキ特性に合わせた摩擦材の開発を進めております。
ディスクブレーキの開発においても、高性能車両向け、環境対応、EV(電気自動車)化/自動運転への対応に注力しております。
高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいては、F1を始めレース活動で培ったブレーキ開発技術を盛り込み、製品化を実現しております。コスト競争力を向上させつつ、新規開発へのリソースの配分を確保する事によって、差別化製品を提供してまいります。
環境に配慮した製品開発に対しても、車の燃費・電費向上の観点から革新的な軽量化と引き摺り低減に取り組んでおります。また、自動運転に対応するための電動化技術として、パーキングブレーキ機能を電動化した電動パーキングブレーキ製品及びサービスブレーキ機能も電動化した電動サービスブレーキ製品の技術開発を進めております。さらにはEV化で回生制動に伴う摩擦ブレーキ使用頻度低下にも対応したブレーキ摩擦面の防錆技術、貼り付き抑制技術開発、加えて昨今のプレミアムEVで需要が旺盛な意匠性、見栄えを向上した製品の開発も進めております。
グローバルでの供給をさらに強化させるため、技術面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、使用地域の独自性や使用状況に応じた製品づくりへの技術開発を進めております。
環境問題に対応できる摩擦材原材料の開発、これによる摩擦材の機能向上、ブレーキの鳴き、振動抑制に向けた要素技術開発、過去の評価や特性データのAI活用などに取り組んでおります。
今後も中長期を見据えた研究開発に取り組み、他社との差別化、優位性確保を図ってまいります。
(北米)
北米完成車メーカー向けはもとより、グローバルなニーズに対応できる製品開発に取り組んでおります。日系完成車メーカー向けにおいても、開発から量産までの現地完結型開発を展開しております。国内開発拠点との緊密な連携により、グローバルでの連携を一段と進めております。米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された環境規制に対応した、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音・振動特性に優れた摩擦材開発を行っております。ブレーキの機構開発に関しては、新構造ブレーキ開発、また昨今、北米市場における成長が著しい新興EVメーカーからの引き合いに対応した電動ブレーキ開発を日本と連携しながら加速させております。
(欧州)
ドイツに開発機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接したディスクブレーキ適用開発を進めております。特に高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいて、F1を始めレース活動で培ったブレーキ開発技術を盛り込み、製品化を加速させております。高性能車両向け摩擦材の研究開発活動についても、日本と連携しながらさらなる展開を進めております。
(中国)
特に中国にてシェアの拡大が急速に進んでいる新興EVメーカー向けの製品を提供するため、現地のお客様の声を反映させた製品の開発と、それに並行して特にご要望の多い開発期間の半減を目指した開発プロセスの構築を日本と連携しながら進めております。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、中国市場で通用する性能特性を有する製品開発を行っております。ディスクブレーキにおいては、中国においてシェア拡大が著しい高級高性能EVのニーズに合致した、意匠性の高さも盛り込み付加価値の高いアルミ合金製対向型キャリパーの開発と提案を行っております。開発期間の短縮ニーズに対しては、日本と連携したシミュレーション技術・バーチャル技術の活用により試作・評価の点数を削減し、かつ手戻りの少ない効率的な開発プロセスの構築を目指しています。
(タイ)
タイのブレーキ開発拠点を軸に、成長著しいASEAN諸国のニーズを的確につかむためのブレーキ評価を基軸とした開発活動を推進してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,358百万円であり、この他に日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用は4,251百万円であります。
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