星和電機 【東証スタンダード:6748】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループでは「省エネルギー」と「人と環境を考えたものづくり」を基本として、各分野にわたって「環境配慮」をキーワードにした研究開発に取り組んでおり、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めております。
研究スタッフはグループ全員で69名であり、これは従業員の11.1%にあたります。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は560百万円であり、各セグメントに配分していない全社費用268百万円を含んでおります。
情報機器事業
情報機器事業では、道路における付帯設備の老朽化・延命化を主眼に、保守メンテナンスの高度化のための技術開発として道路情報板などのモニタリング技術の開発を推進しております。路上設備などの状態を遠隔から収集し、事前に対処できるシステム製品などを積極的に提案してまいります。
また、新たなジャンルの製品として、遠隔から電子機器等の電源リセット操作が行えるように配線用遮断器とレバー駆動機構がIPネットワークに直接接続できる一体化製品の開発を進めております。
近年の現場機器のIoT化に伴い、インターネットなどのネットワークに接続される電子機器は増え続けており、高度・高速化により現場で生じているフリーズ現象時に遠隔からリモートで電源リセット操作を行うことで、現場に急行する煩わしさを減らし、屋外機器のメンテナンス性の向上が期待できます。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は96百万円となりました。
照明機器事業
照明機器事業では、産業用・インフラ用照明製品を中心に技術力強化と製品拡充に努めております。
民間設備関連では、防爆照明器具を中心とした大幅な製品ラインアップのモデルチェンジを拡充し、クリーンルーム用LED灯器具、非常用LED灯器具などをリリースしました。
軽量化とコンパクト化により、施工作業の負担を軽減し、作業時間短縮とコスト削減に貢献いたします。さらに高い固有エネルギー消費効率により、消費電力の削減だけでなく、社会課題であるCo2排出量の削減にもつながります。また、除菌・衛生関連など新規市場開拓を行うために、UV光源を使用した除菌の技術開発と製品開発を行い、各種ウイルスの不活性化を可能にする流水除菌及び空間除菌などの製品拡充を図りました。
今後もさらなる性能向上、長寿命化に向け、技術開発と製品拡充に努めてまいります。
公共設備関連では、高速道路向けの低位置道路照明器具をリニューアル開発し、中国自動車道(兵庫エリア)に多数納入しました。この照明器具は、道路横断向けと道路縦断向け配光を組み合わせ、新開発の挟角レンズにより、遠くまで照明させることで、設置間隔を20ⅿまで広げることが可能となり、従来のポール照明と同等以下の整備コストを実現し、さらに倒壊・落下のリスクがなく保守性が良いため安全性を向上させました。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は74百万円となりました。
コンポーネント事業
エンジニアリング領域
コンポーネント事業では、10m法電波暗室が2023年7月1日、株式会社電磁環境試験所認定センターより国際標準規格の技術的能力事項およびマネージメントシステム要求事項を満たしている「ISO/IEC17025:2017試験所」として認定を受けました。この認定は、高品質な試験を提供できることを証明するものであり、これによりお客様に対してより信頼性の高いサービスを提供することができるようになりました。今後も適合範囲の強化およびシールドルームの稼働も視野に、顧客ニーズを拡充してまいります。
また、当期の取り組みとして、試作段階による負荷低減に貢献するシミュレーションモデルの公開を始めました。これにより机上での開発をスピーディーに実行し、かつ従来型の電磁波ノイズ発生による開発手戻りを最小限に抑えることが可能となりました。
EMC・熱対策部品関連
今後、益々増加が予想されるEV(電気自動車)化、高周波化、大電流化といった電磁波ノイズ対策ニーズに対応した製品ラインアップの拡充にも取り組むとともに、開発段階によるBCP、サプライチェーンマネージメントの強化による開発遅延、量産供給回避等の課題に対してのリスク対策も講じてまいります。
機構部品・部材関連
新分野の開拓を目指した開発として、セルロースナノファイバーや導電性分散剤などのサスティナブル社会に貢献する材料に開発と、スマート社会の実現に向けたカメラシステムやバックアップバッテリー分野の開発も継続してまいります。
今後も予想されるリスクや社会の変化に対応し、ソリューションの提供範囲拡充とエンジニアリング力を強化し持続可能な将来投資に向け技術開発に努めてまいります。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は120百万円となりました。
その他
当社は各事業の新製品開発だけでなく要素技術にも研究開発を進めております。
共同研究グループ(当社、工学院大学、大阪大学、大阪公立大学)は、分子プレカーサー法で形成した亜酸化銅(Cu2O)薄膜が、1時間で99.999%のSARS-CoV-2(COVID-19)を不活化できることを明らかにしました。本技術は、酸化銅プレカーサー溶液を塗布後、紫外光照射することで薄膜形成可能であり、高真空環境や熱処理を必要としないため、プラスチック基材のような非耐熱材質にも適応可能であり、生活環境・医療器具への抗ウイルス機能付加が期待できます。
本成果として共同研究グループで執筆した研究論文は学術雑誌に掲載されました。
タイトル
「Dependence of SARS-CoV-2 (COVID-19) inactivation ability on the crystallinity level of transparent Cu2O thin films」
~透明な亜酸化銅(Cu2O)薄膜のCOVID-19ウイルス不活化機能と薄膜結晶性の依存性解明~
学術論文 World Scientific社
学術誌 Functional Material Letters
また、共同研究グループ(当社、国立大学法人宇都宮大学)は、道路情報を提供する空中ディスプレイ研究に取り組んでおります。従来のAIRR(Aerial Imaging by Retro-Reflection)技術を応用した空中LEDサイン形成装置は、長距離空中画像を形成するために巨大な設置スペースが必要であることが課題でした。この課題を解決するために、光源部に大型フレネルレンズを導入し、光源を拡大かつ浮遊距離を長距離化する空中LEDサイン表示装置を試作し、結果、従来のAIRRよりも空中像の長距離化と小型光源の拡大で装置の薄型化を実現することができました。
本成果として共同研究グループで執筆した研究開発論文が学術雑誌に掲載されました。
タイトル
「Reducing Thickness of Long-Distance Aerial Display System in AIRR Using Fresnel Lens
~フレネルレンズを用いたAIRRによる長距離空中表示システムの薄型化~
学術論文 Springer社
学術誌 Optical Review
今後も、要素技術の研究開発を推進してまいります。
当連結会計年度における各セグメントに配分していない全社費用は268百万円となりました。
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