企業兼大株主明電舎東証プライム:6508】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、2023年度(当連結会計年度)末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 価値創造プロセスと重要課題(マテリアリティ)

 ●明電グループが目指す方向性

 当社は「より豊かな未来をひらく」「お客様の安心と喜びのために」を企業理念とし、1897年の創業以来、真摯にものづくりを追求しながら産業の進歩・高度化と社会の持続的な発展に貢献してまいりました。現在、2030年のありたい姿・ビジョンとして「地球・社会・人に対する誠実さと共創力で、新しい社会づくりに挑む~サステナビリティ・パートナー」を掲げております。

「中期経営計画2024」において、「サステナビリティ」を戦略の中核に据え、企業理念及びビジョン(下図右上)の実現を目指しております。明電舎らしさを活かせる領域を4つに定め、それぞれの領域において「ニーズや課題の把握」、「機器・システムの提供」、「アフターフォロー」に注力しております。また特定した6つの重要課題(マテリアリティ)を、「価値創造にかかわるマテリアリティ」と「事業基盤にかかわるマテリアリティ」の2つのグループに分け、サステナビリティ経営を推進しております。


 ●価値創造にかかわるマテリアリティ

 (カーボンニュートラルへの貢献、安心・安全・便利な社会の実現、共創によるイノベーション)

 気候変動、デジタル化の進展、再構築を要するインフラの増加といった社会変化は、当社にとってリスクになると同時に、新たな事業機会をもたらすことから、「価値創造にかかわるマテリアリティ」は、持続的な成長を実現していくうえで対処すべき重要な経営課題であります。当社は、事業活動における環境負荷のさらなる低減を目指し、現在の環境目標を1.5℃シナリオに上方修正するための準備を進めるなど、脱炭素社会の実現に向けて取り組む方針であります。また、社内の脱炭素だけでなく、環境配慮設計の推進、DX、製品のライフサイクル全般をカバーする事業活動などを通じて、社会のサステナビリティに貢献してまいります。

2024年3月には、広島県や慶應義塾大学などと共に、水力発電を起点とした価値共創・社会イノベーションの創出等を行う「広島CSV(共有価値の創造)ラボ」を発足させました。産・官・学・民のパートナーとの共創という新たなプロセスを通じて、新しい社会づくりに挑んでまいります。

 ●事業基盤にかかわるマテリアリティ

 (多様な人財がイキイキと成長・活躍できる風土醸成、クオリティの高いものづくり・価値提供、

 誠実で責任ある事業運営)

 事業活動を通じて新たな価値を創造するうえで、事業基盤を強化していくことも重要な経営課題であります。当社では、従業員がやりがい・働きがいを感じられる職場環境の構築、社会インフラを構成する当社が納入した設備を「絶対に止めない」という価値提供、誠実で責任感のある事業運営の土台となるコーポレートガバナンスの強化が重要であると考え、人的資本・品質・コーポレートガバナンスに関する「事業基盤にかかわるマテリアリティ」を設定しております。人的資本に関する取組みでは、役員構成の多様化などを進めるとともに、時代に即した人事制度のあり方の検討などを行っております。品質については、QCDSE(品質・原価・工期・安全・環境)向上を図るべく、品質管理強化の取組みとして「明電ものづくりスタンダード」の展開を進めております。コーポレートガバナンスの強化では、内部統制システムの充実や社外取締役過半数で構成する取締役会の監督機能の更なる強化、実効性向上などに取り組んでおります。

(2) 「中期経営計画2024」


 ●現状認識

「中期経営計画2024」で想定した事業環境に対して、複数の要素で大きな変化が生じております。社会システム事業セグメントにおいては、部材価格が高騰する以前に受注した案件の売上進行が続いていることや、関連工事の進捗遅れに伴う工程の長期化などを背景に収益性が低下しているほか、産業電子モビリティ事業セグメントでも、中国におけるEV事業の伸び悩みや半導体市況の回復遅れが逆風となっております。一方、電力インフラ事業セグメントでは、各国における電力需要の伸びや再生可能エネルギー投資の拡大、「エコタンク形真空遮断器」をはじめとした環境対応製品のニーズの高まりなどを受け、海外関係会社の業績が改善したほか、国内電力事業でも好調な受注を背景に稼ぐ力が向上しており、当社の収益基盤としての地位を確立しつつあります。当社を取り巻くこれらの事業環境の下、当連結会計年度は受注高、売上高及び営業利益いずれも過去最高を達成しました。上表にあるとおり、「中期経営計画2024」で掲げていた目標値には届かないものの、2024年度は売上高と営業利益共に過去最高を更新する想定であります。

 ●最終年度の課題

2024年5月10日発表の業績予想のとおり、営業利益150億円を実現し、次期中期経営計画における業容の更なる拡大に繋げていくために、対処すべき課題は2つあります。第1に「円滑な生産活動の実現」です。受注残は過去最高水準にまで積み上がっており、これを収益に繋げるためには、品質を担保しつつ生産の効率化を追求し、お客様の元へ着実に納品していくことが重要であると認識しております。建設・物流業界などにおける2024年問題による影響も懸念されますが、生産設備への投資の加速やプロジェクト管理業務のデジタル化推進などを通じた生産性の向上により、対処していく考えであります。第2に「インフレや金利に打ち勝つ事業体制の構築」です。昨今の世界的な物価・賃金上昇等に対して、調達面での創意工夫や機動的な価格転嫁とあわせて、価格競争に巻き込まれない高付加価値製品・サービスの開発に注力してまいります。同時に、営業活動においては、ABM(アカウントベースドマーケティング)戦略などにも取り組んでまいります。

(3) 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

  -PBR(株価純資産倍率=企業価値)向上に向けた取組み-

 企業価値向上は最大の経営課題の1つであり、当社ではPBR向上に向けた取組みとして、「ROE(自己資本利益率)向上」及び「PER(株価収益率)向上」の2つに分けて、次のとおり方針を掲げ、実行しております。


 ●ROE向上の取組み

 当社は、「収益力強化・投資効率の向上」と「資本構成の最適化」を通じてROE向上に取り組んでおります。収益力強化では、お客様に対する提案力の強化やものづくりにおける効率の徹底的な追求を通じた営業利益率の向上や在庫の適正化などによるキャッシュコンバージョンサイクル(CCC)改善に取り組んでおります。また、投資効率の向上においては、投資に求める収益率を適切に設定するとともに、特に金額の大きい投資については、その採算性や各種リスクを常務会等の業務執行会議体において十分に審議し、取締役会の決議を経たうえで実行しております。また、過去に実施したM&A投資のトレースなども定期的に行う仕組みを導入しております。資本構成の最適化については営業キャッシュ・フローに加え、資産の圧縮・売却に伴い生まれるキャッシュを原資として、成長に向けた投資と株主還元をバランス良く実施することを基本的な考え方としております。成長投資を通じて当期純利益を増大させつつ、配当性向30%を方針とし、安定かつ継続的に配当を実施してまいります。

 ●PER向上の取組み

PER向上に向けて、「期待成長率の向上」と「非財務価値の向上」に取り組んでおります。「期待成長率の向上」では、投資を通じて事業を拡大し、キャッシュ創出力を高め、生み出されたキャッシュを再投資することで更なる成長を促すという企業価値向上のサイクルを進化させてまいります。次期中期経営計画では、資本コストを十分に意識しつつ、旺盛なインフラ需要に応えるための国内拠点への投資や、本格的な半導体市況の回復に備えた能力増強などの検討を進めてまいります。そして、それらの投資計画からの速やかな収益貢献の実現と、サステナビリティ経営と一体化した成長戦略の着実な実行を目指すとともに、当社グループの強みと社会のニーズが合致する新領域における事業開発にも注力してまいります。「非財務価値の向上」では、持続可能な経営基盤の構築とステークホルダーエンゲージメントの向上に取り組んでおります。非財務価値は、当社の競争力構築の源泉であると認識しており、特に人的資本はその中でも最大かつ最重要の資源であります。優れた人財を確保しつつ、従業員エンゲージメントを向上させ、かつ企業パフォーマンスを最大化するための人事制度の見直しや研修制度の高度化などを通じ、人的資本の拡充を進めております。また、内部統制システムの充実や取締役会の実効性向上などを通じたコーポレートガバナンス強化を図っているほか、ステークホルダーエンゲージメントの向上に向けて、IR活動における開示情報や社外の意見を経営に取り込む仕組みの拡充に取り組んでおります。

「中期経営計画2024」の最終年度となる2024年度は、開示している数値目標及び各種KPIの実現に注力するとともに、次期中期経営計画に向けた検討も進めてまいります。今後の戦略策定においても、PBR向上をベンチマークの一つとして意識しつつ取り組みを進め、持続的な企業価値向上に努めてまいります。

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