日鉄鉱業 【東証プライム:1515】「鉱業」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、資源事業を社業の柱とし、社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図ることにより、発展・拡大してまいりました。今後とも、資源の開発・安定供給に努めてまいります。
機械・環境事業につきましては、社会のニーズに応じた良質な商品を提供するとともに、事業フィールドの拡大を図ってまいります。さらに、不動産事業や再生可能エネルギー事業につきましても、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現することにより、株主、取引先及び地域社会に貢献してまいります。
(2) 第2次中期経営計画の総括
当社グループは、2021年度から2023年度の3ヵ年を対象とした第2次中期経営計画を策定し、実行してまいりました。
当該計画期間においては、『大型投資を着実に実行し、持続的成長へ向けた資源の獲得を目指す』と『国内外の需要動向に対応した経営資源の配分を行う』の2つの基本方針のもと、鳥形山鉱業所第3立坑建設工事や八戸鉱山新鉱区開発、開発準備段階にあったアルケロス鉱山の開発に向けた手続きなど、これら大型投資の実現に向けて取り組んでまいりました。
自然災害に起因した工事遅延や、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、当初の計画から遅れが生じたものもありますが、大型投資の実現に向けた取り組みを着実に進展してまいりました。
鳥形山鉱業所第3立坑建設工事は、当初計画から約1年工期を延期したものの、2024年6月からの本格運用開始を予定しております。八戸鉱山新鉱区開発は、開発工事は順調に進んでおり、2021年度より一部出鉱を開始しておりますが、工事が全て完了し本格操業となるのは2026年度を予定しております。アルケロス鉱山は、2023年4月に開催した取締役会にて経済合理性を確認し開発移行を決定し、工事に着手しております。
当該計画期間の業績は、石灰石の価値向上や生産の効率化に加え、円安の進行と銅価の上昇といった外部要因や、鳥形山の第3立坑建設工事の遅れによる減価償却費の繰り延べなどにより、資源事業を中心に各セグメントの業績が堅調に推移したことから、計画を上回る業績となりました。
また、2022年度には政策保有株式の縮減方針を策定しており、当該計画期間には19銘柄29億円を売却したことに加えて、株主還元方針を拡充する方向で見直し、資本効率性の改善にも努めたことから、当該計画の経営目標であるROAや自己資本比率なども計画を上回りました。
(3) 第3次中期経営計画の概要と実現に向けた取り組み
当社グループは、2024年度から2026年度の3ヵ年を対象とする第3次中期経営計画を策定し、2024年5月に公表しております。当該計画の概要は、以下のとおりです。
① 長期ビジョン(2033年度のありたい姿)
資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、「総合資源会社」としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する。
≪2033年度の経営管理目標≫
ROIC(投下資本利益率) 7%以上
当該計画期間では、第1次中期経営計画より掲げてきた長期ビジョン『資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、「総合資源会社」としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する。』を2033年度のありたい姿として明示し、2033年度の経営管理目標をROIC7%以上に設定しております。
ありたい姿とは、当社事業の基軸である資源事業では、資源の安定供給に努めるとともに、長年培った技術力を最大限に活かして、新規資源の確保・開発並びに鉱物資源の価値向上を図っていくこと、さらに地質コンサルティングなど鉱山周辺技術の開発に取り組み、「総合資源会社」としての事業基盤の更なる強化を目指しつつ、機械・環境事業、不動産事業、再生可能エネルギー事業など当社グループの総合力を発揮して、企業の持続的成長を実現するというものです。
その実現に向けた定量目標として、今回新たに定めたものがROIC7%以上の達成であり、これは当社が想定する資本コストであるWACC6%を上回る水準となります。
当該計画期間においては、2033年度のありたい姿からバックキャストすることで策定した成長戦略のもと、具体的な取り組みを実行してまいります。
② 基本方針
・ROIC経営を導入し管理にあたるとともに、全社から各セグメント、各セグメントから各事業所単位への浸透・定着と資本効率の向上を図る
・アルケロス鉱山の開発を着実に進め、操業開始を実現する
・鳥形山を中心とする石灰石供給体制の最適化に取り組む
・新市場開拓(石灰石・ポリテツ)に向けた取り組みを推進する
・権益(Major/Minor)やアプローチ(Green Field/Brown Field)にこだわらず、新規資源の確保と開発に取り組む
③ 各セグメントの戦略
イ.資源事業(鉱石部門)の取り組み
鉱物資源の価値向上に継続して取り組むだけでなく、高品位の石灰石を生産し、かつ生産量は国内最大規模を誇る鳥形山鉱山の強みをさらに活用し、国内石灰石鉱山の生産・販売体制の最適化に取り組み、鳥形山における生産量及び販売量13,500千トン/年の確保、生産効率の向上、さらにはBCPの強化を図ってまいります。
また、太平洋に面し、6万トンクラスの大型船舶への対応が可能な船積施設を有している鳥形山の強みを活かし、石灰石の海外市場開拓にも注力するなど、国内の供給体制はより堅固にしつつ、海外向け販売の拡大と新市場の開拓に柔軟に対応してまいります。
ロ.資源事業(金属部門)の取り組み
引き続きアタカマ鉱山周辺地域の探鉱を進めることで新規鉱量の獲得と収益向上を図るとともに、アルケロス鉱山の開発を着実に進め、当該計画期間の最終年度となる2026年度の操業開始と収益貢献の実現を目指してまいります。
また、今後は従来のGreen Field案件だけでなく、有望な案件にマイナーで参入することで初期段階の探鉱リスクを軽減し、かつ開発までのリードタイムが比較的短いBrown Field案件もターゲットに加え、銅をはじめとする新規鉱物資源の確保と開発に取り組んでまいります。
ハ.機械・環境事業の取り組み
環境部門の主力製品であるポリテツは、新規顧客の獲得に加え、原料の多様化に注力し、安定供給体制の構築を図ってまいります。また、台湾及びベトナムをターゲットにして現地に工場を建設し、東アジア、東南アジアから海外市場の開拓を図ってまいります。
機械部門においては、シンターラメラーフィルタの競争力強化による国内バグフィルタ市場への参入及び輸出拡大、プラズマ脱臭機の販路拡大、一人用BOX型喫煙ブース「COCOPA」の拡販に注力してまいります。
④ 財務指標と中長期経営目標
当該計画期間では営業利益の水準が低下する一方で、投下資本となる有利子負債と自己資本が増加する計画であることから、ROICは3~4%とWACCを下回る計画となっております。2026年度は、アルケロス鉱山の操業開始に伴う収益貢献によりROICに改善が見られ、第4次中期経営計画にはなりますが、操業2年目以降は更なる改善が図られる計画となります。
当該計画においては、長期ビジョンである2033年度ROIC7%以上の達成に向けて、現状と目標とのギャップを解消するための各施策の着実な実行と達成を目標としております。
⑤ 利益計画
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