企業日本電解東証グロース:5759】「非鉄金属 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

 当社グループは、『グローバルな市場で選ばれる電解銅箔メーカーとして、永続的な発展を目指します。』を経営理念とし、経営ビジョンには以下の事項を掲げております。

 

わたしたちは、

 

● 人と技術を大切にします。

● 広く世界に目を向け多様性を尊重し、社会から信頼される企業市民を目指します。

● 時代の変化に柔軟に適応し、顧客ニーズに迅速、誠実に応えます。

● 技術のパイオニアたるプライドを持って先端技術を探求し、研究開発に愚直に取り組みます。

● 環境や資源に配慮した事業活動を通じて、低炭素社会の実現に貢献します。

● 個性や人格を認め合い、健康と安全に配慮した働きがいのある職場環境を創出します。

● 地域社会や国際社会の持続可能な発展に貢献します。

● 知識を広め、見識を高め、社会の良識にしたがい、公正で秩序ある企業活動を行います。

● 公正かつ正確な情報開示を実践し、ステークホルダーとの建設的な対話に努めます。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、生産数量(㌧数)、営業利益及びEBITDAであります。

 生産数量(㌧数)は、当社グループの生産販売活動の進捗状況について、銅価格の騰落による影響額を除外して把握するための指標として重視しております。また、当社グループの収益獲得状況を測る基礎的な指標として営業利益を、当社グループは生産設備を多数保有しているため、減価償却費や金利負担等の影響を補正した経営指標としてEBITDAを重視しております。

EBITDAは、以下の計算式により算定しております。

● EBITDA = 営業利益 + 減価償却費

2024年度の目標値は生産数量9,500㌧、営業利益0百万円、EBITDA1,200百万円としております。当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

(3) 経営環境

(主要製品の内容)

 当社グループは、硫酸銅を主成分とする電解液から電気分解により析出した金属銅を、薄膜状の銅箔に生成加工する電解銅箔製造事業を営んでおります。

 当社の製品には、車載電池用銅箔と回路基板用銅箔があり、車載電池用銅箔は、電動自動車に搭載されるLIBの素材に、回路基板用銅箔は、スマートフォン等の電子機器に実装する回路基板の素材等に使用されております。

(市場の状況)

 当社で製造する銅箔製品は、主としてBEV(Battery Electric Vehicle)やHEV(Hybrid Electric Vehicle)に搭載されるLIB(Lithium Ion Battery)の素材、スマートフォン、携帯端末等の高速通信デバイスを含む電子機器に実装する回路基板の素材等に使用されています。これらの用途における市場動向等は以下のとおりです。

 車載電池用市場においては、主要各国におけるカーボンニュートラル(実質二酸化炭素排出量ゼロ)導入・強化の動きが後押しとなり、xEV(BEV、HEV、PHEV等の総称)と呼ばれる、電動モーターを動力源とする電動自動車の市場は拡大してきました。また、次世代LIB等の様々なLIBで用途に適した新しい銅箔製品が求められています。

 世界的なカーボンニュートラルの流れの中、自動車の2023年世界販売に占めるBEV、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)及びHEVの電気自動車比率は約23%まで拡大し、前年からの増加率は減少したものの、増加傾向を維持しています。中国におけるBEV販売台数が堅調に推移する一方、欧州では増加率が鈍化し、米国ではインフレ抑制法(IRA法)の成立に伴った初期需要が一巡したことやインフレによる金利上昇などの影響で、増加率が減少しました。LIBの負極集電体には一部の種類を除いて電解銅箔が使用されており、全世界におけるxEVの需要拡大は減速傾向がみられるものの、車載電池用銅箔の需要は2022年から2035年にかけて世界市場年平均11.8%(株式会社富士経済「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2023 電動自動車・車載電池分野編」をもとに当社で試算)の成長が予測されています。

 今後、電動自動車に搭載するLIBにおいては、液体有機系電解質を用いる液系LIBの需要が拡大する中、LIBに使用されるリチウム、ニッケル、コバルト等の金属元素の価格変動、資源逼迫リスクが顕在化し、省資源化と代替素材の開発が進んでいます。また、次世代マーケットに向けた全固体電池等の次世代電池の技術開発も加速されています。

 回路基板用市場においては、第5世代移動通信システム(5G)に代表される高速通信が2020年春より順次開始され、対応する基地局や電子機器端末の普及が進んでおり、今後、電子機器の高性能化、通信機器の5Gへのシフトが急速に進むことで、5Gや高周波HDI(High Density Interconnection:高密度相互接続)等のニーズに適合する銅箔製品が求められることが予想されます。高速通信の適用により、自動運転技術や遠隔医療等の社会インフラや、VR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:人が知覚する現実環境をコンピュータ技術により拡張する拡張現実)等の領域への応用も進んでいます。

 また、新型コロナウイルス対策によるWeb会議、テレワークの浸透で、関連する電子機器の需要が急速に高まっており、今後数年間は基地局や5G対応の移動体通信端末等の需要が高機能回路基板市場を牽引することが予想されます。

 さらに自動車の運転支援技術、自動運転の開発と普及が進み、自動運転レベル4(高度運転自動化)対応モデルが実用化されつつあり、ADAS(Advanced driver-assistance systems:先進運転支援システム)や自動運転機能に対応するレーダー、超音波センサー、カメラ、レーザー及びLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging:レーザー画像検出と測距)等の電子機器に実装する高機能回路基板の更なる需要が期待されております。

(競合他社との競争優位性)

 当社の車載電池用銅箔、回路基板用銅箔ともに、国内外の銅箔メーカーの製品と競合する分野がありますが、当社では、銅箔の機械特性や表面処理の独自技術を付与することで、品質や性能の高さを最大の差別化要因として製品の競合を回避しております。今後も高品質の製品を開発していくことにより製品の競争力を確保する方針です。

(4) 中長期的な経営戦略

 当社グループでは、今後の更なる成長を実現するため、今後の事業方針として①高付加価値分野へのシフト、②技術力の更なる強化、③連結子会社との事業シナジー拡大を掲げております。

①の高付加価値分野へのシフトについては、当社の技術優位性と品質・信頼性が活かせる高性能車載電池用銅箔や高速通信分野をターゲットにした高周波基板用銅箔に注力し、収益性の高い製品の販売比率向上を目指します。

②の技術力の更なる強化については、プロセス技術開発の推進を通じ、製品の更なる品質向上や生産効率改善によるコスト競争力確保に努めてまいります。また、並行して、今後の市場ニーズに適合する製品の開発も推進します。車載電池用銅箔においては、先進LIBや全固体電池等の次世代LIBの要求特性に適合した機械特性や表面処理に特徴を有する製品の開発及び市場投入、回路基板用銅箔においては、高速通信や高密度実装領域をターゲットとした製品の開発及び市場投入を継続的に進めます。

③の連結子会社との事業シナジー拡大については、全世界におけるxEVの需要拡大は減速傾向がみられるものの、長期的には自動車産業界において電動自動車シフトが継続的に進み、車載用LIB向けの銅箔需要が世界的に高まることが見込まれていることから、今後、連結子会社にて車載電池用銅箔の生産開始に向けた体制の整備を進め、当社及び連結子会社より車載電池用銅箔が供給できる体制を推進します。また需要に応じた生産能力の検討を進めます。連結子会社は、米国で長年の生産実績を有する電解銅箔メーカーであるとともに、顧客であるLIBセルメーカーが新規工場を米国内に建設している状況であることから、その立地条件を活かして、米国市場への製品供給を進めます。

 このほか、当社が製造する回路基板用銅箔について、連結子会社が有する顧客基盤を通じた輸出販売を促進すること、連結子会社が製造する汎用箔の品質向上のため当社より技術支援を行うことに取り組むとともに、LCY Technology Corporation及びLee Chang Yung Group International Pte. Ltd.との2024年1月10日付けの業務提携契約に基づき、LCY Technology Corporationとの地理的顧客ポートフォリオの相互補完と拡大、回路基板分野での技術協力を進め、シナジーの創出をはかってまいります。

 またESGへの取り組みとして、当社の事業活動を通じて、脱炭素社会・循環型社会の実現に取り組みます。

 当社においては、銅材料の100%再利用及び車載電池用銅箔によるxEV普及への寄与を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。

● 地球温暖化対策は喫緊の課題であり、脱炭素社会の実現が求められています。当社グループでは、車載電池用銅箔の供給及び高品質化による電気自動車の更なる普及に寄与することを通じて、脱炭素社会の実現に貢献します。

● 当社グループでは、銅箔の原材料となる銅材料はすべてリサイクル品を使用しており、また製造過程で発生する銅箔屑もリサイクルし、限りある資源を有効活用する、持続可能な社会の実現に貢献します。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、前連結会計年度に続き、当連結会計年度においても重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上いたしました。また、当連結会計年度末において、手元資金と比べて短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の残高の水準が高いことから、当該借入金の返済が困難な状況にあります。

 これらの状況により、当社グループは継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 このような状況に対し、当社グループでは、当該事象又は状況の解消に向け、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (18) 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載した対応策の実施により、収益性の向上や財務体質の改善及び強化を図ってまいります。

また、当社グループでは、以下の重要課題にも取り組んでまいります。

(新製品の開発)

 当社グループでは、「未来に貢献する銅箔の製品化」を開発の基本方針とし、市場ニーズや技術動向を先取りした製品開発に取り組み、次世代LIB及び高機能回路基板に対応する新製品の開発を推進しております。

 車載電池用銅箔においては、高容量LIBや全固体電池等の次世代LIBの要求特性に適合した、薄箔化や機械特性及び表面処理に特徴を有する銅箔の開発及び市場投入、回路基板用銅箔においては、5Gに代表される高速通信及び高密度実装などの付加価値の高い領域に適した製品の開発及び市場投入を継続的に進めてまいります。

(内部管理体制の強化)

当社グループは、経営の健全性、実効性及び透明性を確保し、持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を通じて社会から信頼される企業となるため、コンプライアンスの徹底を図るとともにコーポレート・ガバナンスの充実に努めます。特に、グループ全体のリスク管理機能強化を重要課題として捉え、子会社を含めた内部監査の充実等の施策を適時実施いたします。

(人材の育成)

当社グループの経営理念や経営ビジョンを達成し、持続可能な企業価値の向上を実現するために、人材の育成が重要な課題であると認識しております。

 当社では、多様な働き方の中で競争力を持った組織運営を行い、社員一人ひとりの『個人の成長』と『会社の成長』を実現させるため、育児休業やリモートワーク、フレックスタイム制度の導入等により多様な働き方を支援するとともに、人材育成教育等により個人の育成を通じた組織力向上を図っております。

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