日本電気 【東証プライム:6701】「電気機器」 へ投稿
企業概要
NECグループは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会を目指しています。その実現に向けて、社会価値創造の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、かかる技術の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。
具体的には、多種多様なデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に据え、研究開発を推進しています。
「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つAIの技術群等を活用し、実世界の見える化をはかることで従来よりも広く深い情報の収集・分析を行い、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。
「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、デジタルトランスフォーメーションの深化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発に取り組んでいます。
また、NECグループは、社会や顧客が求める新たな価値を実現するための研究開発機能、これらの価値を提供するための事業開発機能、および価値ある知財を創出し活用するための知的財産戦略機能をグローバルイノベーションビジネスユニットに結集させ、「未来の共感」と「テクノロジー」でイノベーションを起こし、新たな社会価値創造を実現していきます。
さらに、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国、インド、イスラエルにも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進しています。また、学術・研究機関、顧客、世界最先端の技術を有する研究パートナー等とのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。
NECグループは、「2025中期経営計画」のもと、強い技術を生み出し続ける研究開発力と事業開発力とを統合することで技術と事業の繋がりを一層深め、技術力を顧客価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」によって、成長の実現を目指します。
NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。
(ITサービス事業)
高い日本語性能を有する軽量な生成AI「cotomi(コトミ)」を開発し提供を開始
当社は、独自の工夫と技術により、海外トップクラスのLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)に比してパラメータ数を約13分の1に抑えた、クラウドとオンプレミスのいずれの環境でも運用可能な軽量・高速で高い日本語性能を有するカスタマイズ可能なLLMを開発し、本LLMの性能を強化および拡張した生成AI「cotomi」の提供を開始しました。当社は、cotomiの強化に継続して取り組んでおり、日本語対話能力の比較評価(Rakuda(注))において世界トップクラスのLLM群を上回ることを確認しています。さらに長文処理能力は他社比最大150倍の30万字まで対応可能となり、これにより、社内外の業務文書や社内マニュアルなど膨大な量の文書を扱う幅広い業務への活用を実現しています。
また、当社は、生成AI技術を統括する「生成AIセンター」を設立して、グローバル研究拠点の生成AI領域の先端研究者約100名をバーチャルに集約し、研究とビジネスのシームレスな連携により、生成AIの研究成果の製品化を加速します。
注:日本語性能の評価方法。
(ITサービス事業)
映像認識AI×LLMにより動画から説明文章を自動生成する技術を、世界で初めて開発
当社は、動画を活用した業務効率化や業務プロセスの革新を支援する技術として、LLMと映像認識AIを組み合わせ、長時間の動画から利用者の目的に応じた短縮動画と説明文章を自動生成する技術を開発しました。本技術をドライブレコーダーの動画分析に活用した場合、事故の発生状況や経緯などを説明する文章と短縮動画を自動で生成可能となり、従来は手作業で行っていた損害保険金請求時に使用する事故調査報告書などの作成にかかる時間を半減できます。
今後は、本技術を、看護・介護記録、製造・建設現場の作業記録、自動運転用AIの学習用データ作成などの支援、放送映像向けの特定コンテンツの収集とナレーション原稿の作成といったさまざまなユースケースに展開する予定です。
(その他)
肺がん抗原と抗原特異的T細胞の効率的な同定法を開発
当社と愛知県がんセンターは、肺がん腫瘍浸潤リンパ球(TIL)のシングルセル解析(組織の塊としてではなく1細胞ごとにRNA(リボ核酸)を検出し、細胞の個性や多様性を解析する手法)とAIを活用した抗原予測システムを組み合わせることにより、がんの目印となる肺がん抗原とそれを特異的に認識し腫瘍細胞を排除することができる免疫細胞を効率よく同定する方法を開発しました。
本研究内容は、抗原特異的ながんワクチン療法やT細胞輸注療法の開発に向けた基礎データとなる可能性があります。
当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、115,787百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。
ITサービス事業 | 45,442百万円 |
社会インフラ事業 | 50,077百万円 |
その他 | 20,268百万円 |
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