日本金銭機械 【東証プライム:6418】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「『成果は顧客のために』を通じて豊かで持続性のある社会の実現を目指す」という経営理念
に基づきサステナビリティに関する課題に対処しております。この豊かで持続性のある社会を実現するために「環
境への負荷低減」、「多様な人材が働きやすい職場環境づくり」などを、マテリアリティ(重要課題)として認識し
ております。
(1)気候関連に対する取組
国内外のサステナビリティ開示で広く利用されている「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき取組を開示いたします。
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する活動を全社的な視点から統括し推進するための委員会として「リスク管理委員会」と「環境委員会」を「経営会議」の下に設置し、「経営会議」がサステナビリティを巡る課題に主体的に取組む体制としています。
「経営会議」において、「環境委員会」及び「リスク管理委員会」より報告を受けた経営上のリスク及び機会について対応方針を決定し、特に重要な経営上のリスク及び機会については「取締役会」に上申して判断を仰ぎます。
また、「経営会議」は、「環境委員会」及び「リスク管理委員会」を通じて各グループ会社各部門に気候変動関連他のリスクへの対応を指示します。
「取締役会」は、「経営会議」より定期的に報告を受け、上程された議題に関して決定を下し、「経営会議」に指示します。
②戦略
当社グループは、企業活動で起こりうる環境負荷に対し、全ての事業において、「4℃シナリオ(世界の平均気温が4℃以上上昇する)」、「1.5℃シナリオ(世界の平均気温が1.5℃未満に抑えられる)」という2つの気候変動シナリオでリスクと機会を分析しました。
4℃シナリオでは自然災害の激甚化による生活活動停滞が、1.5℃シナリオでは炭素税の導入や調達コストの増加が事業に大きな影響を与えることを認識しました。また機会については、低炭素製品・サービスの需要増加に対応した製品開発に機会があると認識しました。
当社グループは、リスクへの対応を進めるとともに気候変動対応を含む社会課題解決に貢献する製品・サービスの開発による機会の最大化に努めてまいります。
評価結果
シナリオ | リスク 区分 | 事象 | インパクト 算出対象 | 算出の考え方 | 発現時期と損益影響度 | ||
短期 | 中期 | 長期 | |||||
4℃ シナリオ | 物理的 リスク | 自然災害の激甚化・感染症の拡大による生産活動への影響 | サプライチェーンの分析、生産拠点の被害 | 海外生産拠点(フィリピン工場)の操業停止による生産品目の販売機会の喪失についての算出 | 大 | 大 | 大 |
1.5℃ シナリオ | 移行 リスク | 原材料価格の高騰 | 原材料価格の高騰に伴うコスト増加 | 原油価格高騰からプラスチック製品の仕入れ価格上昇額を算出 | - | 中 | 中 |
市場の変化 | 燃料・電力のコスト上昇 | 価格上昇率から燃料・電力コストを算出 | - | 小 | 小 | ||
法規制の強化 | 炭素税・EU国境炭素調整導入に伴うコスト増加 | 予想炭素価格から炭素税額を算出 | - | 小 | 小 |
備考:時間軸 短期(~2025年度)、中期(2026~30年度)、長期(2031~50年度)
損益影響度評価基準 コロナ禍前(2014~2018年3月期)の5年間の平均営業利益1,575百万円を基準と
し、営業利益に対して「10%以上」の影響が想定される場合を「大」、「5%以上、
10%未満」の影響が想定される場合を「中」、「5%未満」の影響が想定される場合
を「小」、発現の可能性が低い、または影響が軽微な場合を「-」と判定した。
4℃シナリオにおけるリスクへの対応
シナリオ | リスク 区分 | 事象 | リスクへの対応 |
4℃ シナリオ | 物理的 リスク | 自然災害の激甚化・感染症の拡大による生産活動への影響
| 販売機会の喪失に伴う影響額が大きいことから、在庫を多めに持つことや重要部品については複数の調達先を持つように努めるとともに、中長期的にはグローバルでの最適生産体制の構築に向けても取組を進めていく。 |
1.5℃シナリオにおけるリスク及び機会への対応
シナリオ | リスク 区分 | 事象 | リスクへの対応 | 機械への対応 |
1.5℃ シナリオ | 移行 リスク | 原材料価格 の高騰 | 「原材料価格の高騰に伴うコスト増加」による影響が想定されることから、再生プラスチック等の代替品への転用の可能性の検討を進めていく。 | 気候変動を含む社会課題解決の視点を製品開発に取り入れ、販売機会の増加と企業ブランドの価値向上につながる社会的価値の高い製品・サービスの開発に取組む。 |
市場の変化 | 「炭素税導入等に伴うコスト増加」及び「燃料・電力のコスト上昇」による影響額は小さいとみているが、2025年度に向けて原燃料の再エネ導入、省エネ促進を進めるとともに、中長期的にはGHG排出量の確実な削減を推進していく。 | |||
法規制の強化 | ||||
顧客ニーズ の変化 | 気候変動に対応した製品・サービスの開発 |
③リスク管理
当社グループは、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であるという認識に基づき、「リスク管理委員会」を設置し、気候変動リスクを含む経営上のリスクを統合的に識別・評価・管理をしております。
「リスク管理委員会」は、社内外環境の分析や各グループ会社各部門からの報告をもとに、網羅的にリスクを選別します。また、事業及び財務への影響度を「発生時の損益影響度」の観点で評価し、重要な経営上のリスクを特定します。気候変動リスクについては、複数の気候変動シナリオを採用してシナリオごとに移行リスクと物理リスクを識別し発生予想時期に加えて発生時の損益影響度の観点で評価し、重要な経営上のリスクを特定します。
リスクの対応は各グループ会社各部門が担当し、「リスク管理委員会」が推進状況とモニタリングを行い、必要に応じて対応の見直しを指示します。
④指標及び目標
当社グループは、気候関連のリスク及び機会の管理に用いる指標と目標を設定し、これらを中期経営計画の非財務指標として位置づけ進捗管理を進めてまいります。
温室効果ガス排出量について当社の認識は、全排出量におけるScope3の比率が高いこと、販売した製品の使用により消費する電気由来の温室効果ガス排出量の占める比率が高いこと、海外売上比率が高いことによる海外での排出量割合が挙げられます。これらの当社の特性に合わせた適切な取組を推進してまいります。
温室効果ガス排出量(2021年度) (単位:t-CO₂)
項目 | 区分 | 排出量 | 構成比 |
事業活動による 温室効果ガス排出量 | Scope1 | 167 | 0.3% |
Scope2 | 652 | 1.1% | |
計 | 819 | 1.4% | |
サプライチェーンにおける 温室効果ガス排出量 | 購入した製品・サービス | 18,873 | 33.2% |
販売した製品の使用 | 33,952 | 59.8% | |
その他 | 3,110 | 5.5% | |
Scope3 計 | 55,935 | 98.6% | |
排出量(t-CO₂)合計 |
| 56,755 | 100% |
備考:各スコープの集計対象は以下のとおりです。
「Scope1、Scope2:国内拠点、海外生産子会社」
「Scope3:カテゴリー1、2、3、5、6、7、9、11、12、連結」
気候関連のリスク及び機会に関する当社グループの指標と目標は、Scope1、2について、2025年度までに温室効果ガス排出量30%削減(2018年度比)を目指します。
気候関連リスク及び機会の管理に用いる指標
分類 | 指標 |
リスク管理 | 温室効果ガス排出量(Scope1、Scope2の合計) |
温室効果ガス排出量実績及び目標 (単位:t-CO₂)
2018年度 実績 (基準年) | 2025年度 目標 | 2018年度 実績比 | 削減に向けた対応 | 2021年度 実績 (参考) |
847 | 580 | △31.5% | ・カーボンニュートラル都市ガスの導入 ・省エネルギー性能の高い社屋への本社移転 ・長浜工場・フィリピン工場での太陽光パネル設置 ・再エネ電力の導入 | 819 |
備考:目標の設定にあたり、2018年度を基準年とした。
Scope3について、当社グループの主要な排出源は、カテゴリー1(購入した製品・サービス)及びカテゴリー11(販売した製品の使用)です。カテゴリー1については仕入先様にご協力を頂くことが必要となり、カテゴリー11については製品の設計見直しや設備投資が必要となることからScope3の目標設定と排出量削減に向けた対応については中期的な課題として取組んでまいります。
(2)人的資本に関する取組
①人的資本関係
当社グループは、従業員一人ひとりがお互いを尊重し合い、個性を発揮しながら仕事を通じて人として成長続けることで、家庭と職場に良い影響を与えそれらが集結することで「会社として継続的に価値を創造し続ける企業であり続けること」と「人が成長し続ける機会を、仕事を通じて提供していくこと」、それらが当社の人材に対する基本的な考え方になっております。
今後も事業のグローバル化が進む中、人事戦略の世界基準となっている「ダイバーシティの拡充」、「中核人材の育成」、「多様な働き方の実現」を当社の人材戦略の中心とし、その取組を推進してまいります。
②人材育成方針
当社グループの新入社員は、入社後約3ヶ月かけて国内主要3拠点を移動し全部門でOJT方式の研修を実施しています。お互いを尊重し合いながら仕事を進めていける「JCM Spirit」を学び、理解する重要な研修となっております。
また、中核人材の育成として、当社グループは、次世代・次々世代の役員候補者に対して、専門分野のみでなく、経営視点で物事を考え、決断できる人材へ育成するために社内取締役、執行役員を中心とした「経営会議」に部長職社員が参加し、自部門の議案等の提案を行い、取締役、執行役員との意見交換や議論を通じて、経営視点で検討する際に必要な情報はどのようなものか実学を通じて育成しております。
③社内環境整備方針
当社グループは、グループ経営理念の実現と当社グループの成長を追求し続けるための基盤は、従業員とその家族の心身の健康であると考え、従業員が安心して業務に従事できる環境の構築を目指しています。
ⅰダイバーシティの推進
当社グループでは、人材の多様性(ダイバーシティ)を受け入れ、一体感を醸成する(インクルージョン)ことで、従業員同士が相互に信頼でき、尊重する企業文化を構築し、当社グループの一員であることの誇りと責任を感じることができる企業グループを目指し、女性活躍の推進に取組んでいます。
ⅱワークライフバランスへの取組
当社グループでは、従業員が家事や育児、介護などの家庭の責任を果たしながら仕事で十分に能力を発揮し、パフォーマンスを高めるために、育児休業などの制度の充実や多様な働き方を可能とするための在宅勤務やフレックス勤務制度などさまざまな取組を推進しています。
④指標及び目標
当社グループではサステナビリティ推進にあたり、前述のとおり人的資本を重要視しております。「管理職に占める女性労働者の割合」「男性労働者の育児休業取得率」「労働者の男女の賃金の差異」については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」を参照ください。今後これらの3つの指標を含めたマテリアリティごとに目標の作成や、改善に向けて積極的に取組んでまいります。
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