日本農薬 【東証プライム:4997】「化学」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、基本理念に基づき「食とくらしのグローバルイノベーター」をビジョンに掲げ、世界中の人々の安全で安定的な食の確保とくらしを守ることを使命とし、新たな価値の創造により持続可能な社会の実現に貢献していきます。
事業活動と社会活動の両立を推進することで、新たな価値の創造による安全性の高い、環境に配慮した優れた化学農薬や非化学農薬を創出し、安全で安定的な食の確保に貢献するとともに、これまで培われた技術を、人々のくらしを豊かにする新製品の創出へと価値を創造し、人類と地球が共生できる社会の実現を目指します。
当社グループは、サステナビリティ経営を推進し、新たな価値の創造を持続的に可能とする企業グループを目指し、業績の向上に努め、公正で活力のある事業活動を通じて社会的責任を果たし、社会に貢献することを目指します。
当社グループの中核事業である農薬事業を取り巻く環境は、世界的な人口増加や新興国の経済発展などを背景とした食料需要の拡大から、グローバルな農薬市場は拡大傾向にあります。一方、国内では、農業従事者の高齢化、後継者不足の深刻化、耕作放棄や転用などによる農地面積の減少、政府による農業資材費低減方針などを背景に、農薬市場は漸減傾向が継続するものと考えられます。また、創薬難度の高まりと農薬登録要件の増加により、新規薬剤開発コストが増大し、開発期間も長期化しております。さらに、各国の農薬登録制度における要件の厳格化、ジェネリック農薬との価格競争、ロシアのウクライナ侵攻に伴う電力高騰や鉱物資源の供給不足による原材料費や委託製造費の高騰、異常気象による農作物への影響など当社グループを取り巻く事業環境は一層厳しさを増しております。
今後の見通しにつきましては、中東情勢の緊迫化やロシアのウクライナ侵攻の長期化、中国経済の減速など、地政学リスクの顕在化による世界経済への影響や気候変動による影響等、不安定で不透明な状況が続くと想定しております。当社グループの中核事業である農薬事業は、食料安定供給を支える農業生産の根幹に関わるビジネスであるため、他の業種に比し影響は限定的であると考えられますが、生産、調達などへの直接的な影響や農業を取り巻く環境変化による間接的な影響が想定されます。
このような事業環境下、グループビジョン「Nichino Group-Growing Global」を掲げ、当社グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」の最終年度となる当連結会計年度において、最終年度の数値計画である売上高890億円、営業利益64億円を達成しました。さらに、前年度に続き目標売上高1,000億円を達成することができました。さらには、ターゲット市場における重点剤の登録取得や開発推進、次世代事業の開発推進、スマート農業の海外展開拡大や外部事業者との提携、国内農薬販売の強化、業務改革・働き方改革の推進など、事業基盤の強化に一定の成果を上げることができました。また、株式会社ADEKAとの資本業務提携によるシナジーを早期に創出し発揮するべく活動を推進してきました。
2025年3月期から始まる新中期経営計画「Growing Global for Sustainability(GGS)」では、サステナビリティ経営の推進を成長戦略とし、社会全体と当社グループの持続可能性の両立を実現することを目標に事業活動を推進します。具体的には、事業戦略の深化、環境経営の高度化、人的資本経営の推進に重点的に取り組みます。最終年度である2027年3月期には、営業利益108億円、売上高1,200億円の達成に加え、ROE8%以上を目標として資本コストを意識した経営に取り組んでまいります。
[ビジョン]
「Global Innovator for Crop & Life 食とくらしのグローバルイノベーター」
・カーボンニュートラルの実現
・環境調和型製品・技術の継続的な創出
・サステナブルな社会の実現に貢献
[中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)]
呼称 「Growing Global for Sustainability(GGS)」
数値計画
|
| 2027年3月期 計画(最終年度) |
| 営業利益 | 108億円 |
| 売上高 | 1,200億円 |
| ROE | 8%以上 |
| 海外売上高 | 900億円 |
| 海外売上高比率 | 75% |
| 設備投資 | 約85億円(3年間) |
| 研究開発投資 | 約190億円(3年間) |
(注) 本資料に記載されている計画値および業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
基本方針・基本戦略
当社は、当社グループの社会における存在意義について改めて検証し、日本農薬グループ理念体系を改定するとともに、基本理念とバリュー、ビジョンについて見直しを行いました。新たにビジョンを「Global Innovator for Crop & Life 食とくらしのグローバルイノベーター」と設定し、中期経営計画では、サステナビリティ経営の推進を成長戦略として、社会全体と当社グループの持続可能性の両立を実現することを目標として事業活動と社会活動を推進します。
具体的には、以下に掲げる施策を着実に推進します。
・重点品目・新規事業の拡大
ベンズピリモキサン、ピリフルキナゾン、ピラフルフェンエチル、フルベンジアミド、トルフェンピラドを主要重点品目と定め、エリア戦略に基づき拡販に努めます。また、生物農薬や作物保護資材の収益拡大、選択と集中、リソースの最大活用を図ります。
・原価低減
原体製造の内製化を進め原価低減を図ります。
・エリア戦略に基づいた市場拡大
市場規模拡大が期待できるアジア太平洋、中南米を中心に拡販します。さらに今後成長が期待できる中東・アフリカ市場については事業基盤の整備を進めます。また、高単価かつ世界中で栽培されるSpecialty Crop(果樹・野菜)を中心に主要重点品目の登録、拡販を進めます。
・化学合成
パイプライン化合物(医・動物薬含む)の研究開発を加速します。また、研究開発リソースの選択と集中、グローバル開発・マーケティング戦略の強化、精緻化を進めます。
・バイオリソース活用
生物農薬や作物保護資材のポートフォリオ拡大を進めます。また、バイオベース原料を用いた有用化合物の製造に取り組みます。
・デジタル技術の活用
AI診断ビジネスの収益を拡大します。また、デジタル技術の活用により業務効率化、合理化を実現します。
・新たなビジネスモデルの取り込み・創出
外部価値の取り込みも含め、新規事業の育成、創出に積極的に取り組みます。
・資本収益性の向上
資本コストを意識した経営に取り組みます。指標としてROE8%以上を目指します。
・キャッシュフローの改善
主に在庫削減による改善を図ります。
・固定費適正化(生産性向上)
管理経費や人件費など効率的な業務遂行により生産性を高め適正化を図ります。また、研究開発リソースの選択と集中や厳格な投資判断により適正化に努めます。
・気候変動対応
継続的な施策により2030年GHG排出量23%削減(2020年対比)を目指します。
・生物多様性への配慮
継続的なイノベーションにより「環境調和型製品*」のポートフォリオ拡大に努めます。
*人畜安全性や環境安全性が相対的に高い当社製品
・人的資本経営の推進
従業員のWell‐Beingをテーマとし、人財開発の推進、健康経営、職場の環境整備に取り組みます。
・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進
当社グループの成長には、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進が必須であるという考えのもと、採用、育成・研修、人財活用、健康経営、職場環境について各指標を定め取り組みます。
・コンプライアンス・リスクマネジメントの強化
当社グループの強靭化を推進するため、BCPをブラッシュアップします。また、重要法令にかかわる教育と管理の徹底、品質保証体制や情報セキュリティの強化を図ります。
・グループ各社に対する監査の強化
内部監査の強化などによりグループガバナンスを強化します。
配当方針
累進配当を基本とし、中長期的には配当性向40%水準を目指します。
当社グループは、サステナビリティ経営の推進を成長戦略とし、継続的なイノベーションの創出を通じて事業戦略をさらに深化します。同時に、カーボンニュートラルの実現に向けた環境経営の高度化、人的資本経営の推進による企業価値の向上に取り組み、サステナブルな社会の実現に貢献します。
- 検索
- 業種別業績ランキング