日本農薬 【東証プライム:4997】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) ガバナンス及びリスク管理
当社グループでは、CSR活動の拡充を図っていくことを目的に、取締役社長を議長とするCSR会議を設置しています。CSR会議は、コンプライアンス、リスクマネジメント、レスポンシブル・ケア推進ならびにJ-SOXに関する各活動を統括し、気候変動をはじめとする事業活動における重点課題を審議しています。決定した事項は、取締役会へ報告を行っています。
リスクマネジメント委員会では、当社リスクの把握ならびにリスクの低減策を講じています。気候変動がもたらすリスクを含め、リスク対策を進めることで、当社及び当社グループの社会的責任を果たすことに努めています。
(2) 気候変動対応に関する戦略
今後も世界の人口が増加すると予測されています。しかしながら、農地面積の拡大には限界があるうえ、農地拡大に伴う森林破壊等が懸念されています。また、気候変動による異常気象の増加等により、農地面積が減少する可能性があります。そのため、人口増加に伴う食料需要の拡大に対応するには、農薬等の農業資材を通じた農業生産の効率化と安定化が不可欠です。
当社グループは、「コーポレートビジョン」や「将来のありたい姿」「2030年のありたい姿」において技術革新による安定的な食の確保と豊かな生活を守ることを基本方針として掲げており、今後も引き続き持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(3) 中核人財の多様性確保に関する戦略
当社は、従業員は事業活動における最も重要な経営資本であるとの考えのもと、人材を「人財」と位置づけ事業活動を行っております。加えて、当社は異なる経験・技能・属性を持つ人財が活躍し、多様な視点や価値観が存在することが、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなりうるとの認識に立ち、社内における女性活躍促進を含む多様性の確保を推進しております。事業のグローバル展開、研究開発型企業としての競争力強化のために、女性、外国人、キャリア採用者など、多様な人財の採用、管理職への登用を継続して進めております。さらに、従業員がそれぞれの個性や能力を活かし、個々人の価値観にあわせた働き方が実現できるよう、職場環境の整備と企業風土の変革に取り組んでおります。
また、現中期経営計画EGG2において、当社の2030年のありたい姿を策定し、従業員の多様な価値観を、イノベーションの創出や経営の意思決定に活かすための人事施策を推進し、ありたい姿を実現いたします。
(4) 気候変動に関連する主要なリスクや機会
当社グループでは、「2030年のありたい姿」の実現に影響を及ぼす、気候変動に関連するリスクや機会について、2℃未満シナリオや4℃シナリオを参照し、シナリオ分析を行っております。主要なリスクや機会は、以下の通りです。
●リスク ●機会 影響度 極大:50億円超 大:5~50億円 中:0.5~5億円 小:0.5億円未満 (影響度の判断基準は売上高を基本とする)
分 類 | リスク/機会 | リスク/機会の内容 | 影響度 | 参照シナリオ | リスク低減/機会活用に向けた対策 |
移 行 | ●カーボンプライシングの導入 | 脱炭素社会の実現に向け、炭素税等のカーボンプライシングの導入が進み、財務的な負担が増加する恐れがあります。 | 中 | 2℃未満シナリオ | 再生可能エネルギーへの転換やバイオ燃料の使用等を通じた中長期な計画に基づく総合的なGHG排出量の削減に取り組んでいます。 |
●原材料の高騰 | 脱炭素に向けたエネルギー政策の変化によって、エネルギー需要やエネルギー供給の量が変化し、原材料の価格やエネルギーコストが高騰し、調達が困難となる可能性があります。 | 大 | 2℃超シナリオ | 原材料ソースの複数化によるリスク低減策やエネルギー消費の少ない生産設備への更新のほか、各国の省エネ関連施策の的確な把握・解析を通じて、サプライチェーン全体の観点から協働やパートナーシップの高度化に取り組んでいます。 | |
●エネルギーコストの増加 | 中 | ||||
●炭素集約製品への需要減少 | 顧客や販売パートナーからの環境配慮要請の高まりに伴い、多量の温室効果ガス排出を伴い製造された製品へのニーズが減少する可能性があります。 | 中 | - | 製造工程における合理化や革新的な製造技術の開発・導入検討を進めているほか、製造工程において少ない炭素排出量が期待できる生物農薬等の製品ラインナップに取り組んでいきます。 | |
●先進的取組による顧客からの評判向上 | 脱炭素に向けた取り組みや、充実した情報開示が顧客から評価され、評判が向上する可能性があります。 | 中 | - | 気候変動と農業や事業特性との直接的な関係性を踏まえて、的確な将来予測と中長期的な研究開発視点に基づく技術革新への取り組みを加速させ、適正な情報発信に取り組んでいきます。 | |
●投資家からのESG評価の向上 | 当社グループの炭素効率性の高さが投資家から評価され、ESG投資における評価が向上する可能性があります。 | 中 | - | 化学業界の中でも高いレベルにある当社グループの炭素効率性を維持・向上させるとともに、GHG削減策を含めたCSR優先課題への取り組み等に関して、積極的なESG経営の情報発信に取り組んでいきます。 | |
物 理 | ●農地面積減少による需要減少 | 気候変動等の影響により農地面積が減少し、農薬需要が減少する可能性があります。 | 大 | 2℃未満シナリオ | 化学農薬に加え、新たに生物農薬・バイオスティミュラント等の作物保護資材分野への事業展開やIT技術を駆使したスマート農業の促進を通じて、総合的な作物保護の観点から農地保全および農業生産性の向上に貢献していきます。 |
●農作物生産量の増加による需要増加 | 世界的な人口の増加により、農作物の需要や生産量が増加し、収量増加に必要な農薬需要が増加する可能性があります。 | 極大 | |||
●病害虫増加等による需要増加 | 気温の上昇等により、病害虫や雑草による被害が増加し、農薬需要が増加する可能性があります。 | 中 | 4℃シナリオ | 農業生産現場に立脚したデータ・ドリブンなマーケティング戦略の構築を進めており、病害虫・雑草の発生や被害の変化、それに伴う現場ニーズの変化を迅速・的確に捉えることで生産者ニーズに合致した製品やサービスの提供に取り組んでいます。 |
(5) 気候変動対応に関する指標・目標
当社グループは、低炭素社会への取り組みとしてCO2排出量を前年比で削減、2030年にグループ全体(この項において「日本農薬及び製造拠点を有する国内外の連結子会社」を指します。)において2020年比23%削減(Scope1+2)、2050年にインドを除くグループ全体でカーボンニュートラル、2070年にグループ全体でカーボンニュートラルを目指すという目標を立てて活動を継続しています。
2023年3月期の日本農薬及び製造拠点を有する国内の連結子会社における原油換算エネルギー使用量は空調使用の適正化、前年の生産トラブルに因る増加解消及び生産量の減少等により、前期比8.9%削減し、CO2の排出量はエネルギー使用量の削減に加え、関西以西の電力会社の排出係数低下もあり、前期比14.0%削減しました。なお、インド及びブラジルの生産拠点を加えたCO2排出量は前期比4.3%削減となりました。
(6) 中核人材の多様性確保に関する指標・目標
① 女性活躍推進への対応
当社は女性活躍推進のための行動計画を策定し、女性活躍を積極的に推進しております。
2011年4月の女性管理職比率は2.0%でしたが、女性従業員に対する管理職としての育成や意識付けを行うとともに、男性管理職の女性活躍推進への意識改革を推進した結果、2023年3月には8.4%に向上しております。女性管理職比率向上に加え、部長職や課長職への女性従業員の登用進めております。加えて2020年6月には内部昇格による初の女性執行役員が就任しました。女性役員の登用を今後も進めていくために、その候補者となる女性管理職比率をさらに高めると共に、経営者としての育成を進めてまいります。具体的な数値目標として、女性管理職比率を2024年4月13%、2030年4月22%に設定しております。さらに、管理職昇格候補者の母集団としての、採用者における女性比率は引き続き30%を維持することを目指しております。
② 外国人の登用
当社のグループビジョン「Nichino Group-Growing Global」実現に向けた対応を進めております。その中で、2011年と2021年に外国籍の海外グループ会社社長を当社執行役員に登用しました。引き続き、海外グループ会社を成長させるとともに、執行役員としての資質を備えた人財を育成してまいります。加えて、外国人の役員への内部昇格に向け、管理職登用や、積極採用を進めてまいります。
③ キャリア採用者の活用
イノベーションは多様性から引き起こされるとの考え方のもと、当社は他社で経験を培った人財を積極的に採用しております。当社従業員のうち、キャリア採用者がおよそ1/3を占めており、役員、管理職に占めるキャリア採用者の割合も同程度の比率となっております。引き続き、経営者、特定分野のスペシャリスト、事業拡大のための新領域の専門家、DX人財などのキャリア採用を進めてまいります。
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