日本発條 【東証プライム:5991】「金属製品」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、下記の企業理念を経営の基本方針として、常にお客様に魅力ある商品・サービスを提供して持続的な成長を図るとともに、ステークホルダーの期待に応え、信頼される企業集団を目指しております。
当社の企業理念 |
グローバルな視野に立ち、常に新しい考え方と行動で企業の成長をめざすと共に、魅力ある企業集団の実現を通じて豊かな社会の発展に貢献する。 |
当社は自動車部品で培った「金属の熱処理・塑性加工技術」、「評価・解析技術」、情報通信分野の部品における「精密・微細加工技術」、「金属接合技術」などのコア技術を駆使し、自動車及び情報通信分野へ多くのキーパーツを提供しております。
今後ますます進む自動車の電動化、情報通信の高度化等、激変する事業環境への対応を加速し、将来に向けた安定的な収益基盤を確立するとともに、カーボンニュートラルをはじめとする社会課題に積極的に取り組み、「持続可能な社会」への貢献を目指します。
(2)経営戦略等
当連結会計年度は、2023年度を最終年度とする中期経営計画「2023中計」の中間年度となりました。この「2023中計」においては、「CSR活動の更なる推進」、「激変する事業環境への対応加速」、「持続的な成長に向けての“もうけ”の確保」を基本方針とし、企業価値並びに収益力の向上を目指しております。
2023年度も厳しい市場環境が見込まれるなか、自動車生産台数の回復ペースは、中期経営計画前提から遅れております。また、HDD用サスペンション市場および半導体プロセス部品市場は、2022年度後半から足元の需要が低迷しておりますが、2023年度後半から回復する見込みであります。
こうした状況を踏まえ、「23中計を達成する!」というスローガンのもと、「1.「真直ぐ」な姿勢を堅持する、2.品質第一の原点に戻って、ものづくり力を強化する、3.収益力を向上させる、4.新たな技術と商品を“加速度的”に開発する、5.安心・安全な会社、働きがいのある働きやすい職場を作る」を2023年度のグループ経営方針として掲げ、環境変化に柔軟に対応し、グループ一丸となって中期経営計画の目標値の達成に向け、取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「2023中計」における経営目標を次のとおり定めております。
自動車生産台数の回復による増収に加え、更なる合理化による原価低減を推し進め、収益の向上を目指します。
2022年度実績、2023年度予想、及び2023年度目標経営指標
|
| 2022年度 実 績 | 2023年度 予想 | 2023年度 目 標 |
売上高 | (億円) | 6,932 | 7,500 | 6,500 |
営業利益 | (億円) | 288 | 350 | 400 |
経常利益 | (億円) | 373 | 400 | 420 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | (億円) | 215 | 250 | 250 |
経常利益率 |
| 5.4% | 5.3% | 6.5% |
ROE |
| 6.4% | 7.0% | 8.0% |
配当性向 |
| 33.9% | 30.8% | 30%程度 |
(注)2023年度目標値の主な前提条件:全世界自動車生産台数94百万台、HDD生産台数212百万台、為替レート100円/米ドル
(4)経営環境
当連結会計年度における世界経済は、景気が持ち直し傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症、半導体の需給逼迫及び各種資材の価格高騰や為替変動による影響、ロシアのウクライナ侵攻等により、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要な事業分野であります自動車関連市場においては、国内・海外ともに前期より自動車生産台数が増加しております。
当連結会計年度における自動車生産台数
| 台 数 | 前期比 | 内日系 | 前期比 | |
全世界 | 86,893千台 | 10.7% | 25,313千台 | 3.4% | |
国別 | 国内 | 7,748千台 | 2.1% | - | - |
北米(米国・カナダ) | 11,664千台 | 8.2% | 3,628千台 | △2.8% | |
メキシコ | 3,503千台 | 17.7% | 933千台 | △16.8% | |
タイ | 1,866千台 | 11.3% | 1,615千台 | 4.2% | |
中国 | 27,061千台 | 6.7% | 4,327千台 | △5.7% |
(注)上記台数は各拠点の決算期に応じて集計しております。
もう一方の主要な事業分野であります情報通信関連市場につきましては、HDD(ハードディスクドライブ)の世界生産台数が前期比で減少し、当社の主力製品でありますサスペンションの総需要も減少しました。また、半導体プロセス部品に関しては、年度後半より需要が落ち込んでおります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
<事業全般>
世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響や地政学リスクの増大、脱炭素社会の実現に向けた動きの加速等、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しております。
このように激変する事業環境への対応を加速しながら、「地球環境保全への対応」と「人材の価値を最大限に引き出す」ことで、持続的に成長していき、高い倫理性・透明性を以て継続的に社会貢献を果たせる企業であり続けることが、当社グループの目標であります。2023年度も、当社創立100周年目にあたる2039年のカーボンニュートラル達成に向け「徹底した省エネと電化の推進」「革新的な省電生産技術の実用化」等の具体策の実行、また「安心・安全な会社、働きがいがあり働きやすい職場作り」の推進に、引き続き努めてまいります。
<懸架ばね事業>
懸架ばね事業では、価格競争の激化、鋼材をはじめとする諸資材の価格高騰、北米拠点での将来的な労働力確保の難しさといった課題を抱えております。これに対し、2023年度より立ち上げた「利益最大化プロジェクト」のもと、懸架ばねの価値向上、労働生産性向上、設備生産性向上、レジリエンス・BCPの強化といったテーマに引き続き取り組み、収益力の回復と強化に努めてまいります。
自動車業界では、電動化並びに自動運転化が急速に進展しております。懸架ばねそのものの需要には大きな影響はないと考えられる一方、ますます強まる軽量化、高耐久化、省スペース化への要請に応えるべく、加工技術並びに新鋼種の開発等を加速させてまいります。
<シート事業>
シート事業は、半導体供給不足等による自動車メーカーの生産調整、原材料や物流、動力光熱費等の価格高騰の影響を受けたものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響からの持ち直し、円安による在外子会社の円換算額の増加等により、収益性を回復させております。高品質、高機能の独立系サプライヤーとして、顧客志向の徹底と品質第一の2点を軸にグローバルに事業を展開してまいります。
当社シート事業の強みは、金属加工、ウレタン、縫製などシートに必要な各種工程を内製しており、車酔い低減シートなど、シートコンプリート品の総合的な設計開発力を保有していることであります。これらの強みを活かし、電動化並びに自動運転化で求められる軽量化や乗り心地向上に応えるシートの開発に取り組んでまいります。
<精密部品事業>
自動車関連事業につきましては、半導体供給不足等による自動車メーカーの生産調整、原材料や物流、動力光熱費等の価格高騰の影響を受けました。電動化が進んでいく上で、キーパーツ部品の一つであるモーターコアについては、工法の見直し、新技術開発を進めており、2023年10月完工予定の厚木工場新建屋をはじめとして、日本、メキシコ、中国の3拠点の生産能力を増強してまいります。さらに、内燃機関用製品の今後の需要動向を慎重に見極めながら、ますます進展する電動化関連製品の開発も進めてまいります。
情報通信関連事業のHDD用サスペンションにつきましては、HDDメーカーの生産調整により数量が一時的に減少しましたが、今後も高容量化は進み、サスペンションに要求される機能は高度化し、かつ需要も増加すると考えております。継続的に開発力・技術力・品質を向上させつつ、適切に生産能力を増強し収益確保に努めてまいります。また、さらなる競争力の向上を目指し、AIを活用したAOIの導入等の合理化施策を進めてまいります。
<産業機器ほか事業>
半導体プロセス部品につきましては、今後の旺盛な需要に対応すべく、宮田工場のさらなる増強を計画しております。2023年度下期から見込まれる需要の回復にあたっては、伊勢原工場、宮田工場の二工場体制で最適な生産配分を実施し、一層の収益力の向上に取り組んでまいります。また、金属基板につきましては、車載LED向けをはじめとした従来製品の拡販、パワーモジュール、AC-DC、DC-DCコンバーターといった自動車の電動化に対応した製品の開発及び拡販を進めるとともに、駒ケ根工場とNHKマニュファクチャリングマレーシア社新工場の増強を行ってまいります。
その他事業につきましては、選択と集中を進めてまいります。
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