日本発條 【東証プライム:5991】「金属製品」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
<基本方針>
当社グループは、「なくてはならないキーパーツ」を提供し続ける事により、持続可能な社会の実現と社会課題の解決に貢献してまいります。
また、当社グループの果たすべき法的、倫理的、かつ社会的責任について「グローバルCSR基本方針」を2016年に制定し、
「透明性を維持すること」 「倫理的に行動すること」 「地球環境を保全すること」 「人をはぐくむこと」 「グループ・グローバルで取り組むこと」 |
の5つを宣言し、コーポレート・ガバナンスの充実及び法令遵守の徹底に努めております。
当社は、本業における競争力・経営基盤の強化を図り、企業価値を高め、その成果をそれぞれのステークホルダーに還元することにより、社会から信頼される会社であり続ける事を目指します。
<マテリアリティ(重要課題)の特定>
当社は、持続可能性に関する経営課題を明確にすべく、上記の基本方針及び取組実績を踏まえ、下記の表の網掛け部分のとおり9つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。
区分 | サステナビリティに関する課題テーマ | 当社が取り上げる根拠・考え方 | |
外部要因 | E | 1.CO2排出量の削減 | ・環境チャレンジ (カーボンニュートラル) |
2.限りある資源の有効活用と資源循環 |
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3.環境負荷物質の削減 | ・環境チャレンジ(産業廃棄物ゼロ) | ||
4.環境貢献型製品の創出 | ・電動化事業推進室の設置 | ||
5.生物多様性の保全 |
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事業活動を支える 経営基盤 | S | 6.人材価値の最大化 ・従業員の安全と健康 ・働きがいのある働きやすい職場 ・ダイバーシティ推進 | ・グループ経営方針 |
7.コーポレート・ガバナンスの強化 |
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8.サプライチェーン・マネジメント |
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9.人権の尊重 | ・グローバルCSR基本方針、人権宣言、ダイバーシティ基本方針 | ||
10.グローバル規模の人材育成 | ・グローバルCSR基本方針 | ||
11.地域社会との対話と発展への貢献 |
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12.ステークホルダーとのパートナーシップ |
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G | 13.コンプライアンス | ・グループ経営方針、 グローバルCSR基本方針、中期経営計画 | |
14.リスクマネジメント |
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事業活動を通じた社会課題の解決 | 当社 独自 | 15.社会課題の解決に寄与する製品開発 |
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16.グループ経営 | ・社長示達 | ||
共通 | 17.ビジネスモデルの強靭性 |
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18.製品デザイン・ライフサイクル管理 |
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19.財務基盤の安定 |
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20.知的財産(保護・活用) |
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21.ブランドマネジメントの強化 |
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当社は、持続可能性に対し重要な財務的影響を与え、かつ、環境や社会にも重大な影響を与える課題については、 ①地球環境保全への対応 ②人材の価値を最大限に引き出すこと の2つに課題を特定し、各分野への対応を通じて、持続的な企業価値の向上に努めております。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社では、様々な観点からリスクを想定して未然防止を図り、影響を最小限にとどめるため、リスク管理規程を制定し、代表取締役社長を最高責任者、企画管理本部本部長を推進責任者とするリスク管理体制を構築しております。
リスク発生が予見される事項は、リスク管理マニュアルを策定するとともに、重要度に応じて経営トップに報告する体制を構築しております。
(2)地球環境保全活動への対応
当社は、地球環境保全への対応として、CO2排出量削減による脱炭素社会の構築と産業廃棄物ゼロの実現をマテリアリティ(重要課題)に掲げております。
当社グループでは1993年に環境ボランタリープランを公表以降、グループ全体で地球環境保全活動に取り組んでまいりましたが、持続可能な社会の実現と将来の当社グループのありたい姿をさらに明確にするため、2021年9月に、代表取締役社長自ら「ニッパツグループ環境チャレンジ」を宣言いたしました。
<環境チャレンジ>
①2039年までにカーボンニュートラルを達成する。そのために、2030年までにCO2排出量を2013年度比50%減にする。
②2039年までに産業廃棄物ゼロを目指す。そのために、2030年までに産業廃棄物量を2013年度比95%減にする。
現在は、2026年度までの中期目標にそってロードマップを作成し、地球環境対策委員会を通じて達成状況を確認するとともに、低減方策を議論しながら取り組み、推進しております。加えて、気候変動に関連するガバナンスの明確化や、リスクと機会の分析、リスク管理等の整備について検討を進めております。
<CO2・産業廃棄物の排出量及び低減に向けた主な施策>
項目 | 排出量 | 低減に向けた主な施策 | |
2021年 | 2022年 | ||
CO2 (千ton-CO2) | 157 | 136 | 省エネ推進 設備の電化 生産工程や製品開発における技術革新 太陽光発電などへの設備投資 再生可能エネルギー電力購入 |
産業廃棄物 (千ton) | 45.6 | 48.6 | リサイクル業者の再検証 有償リサイクルの無償化、有価物化の推進 サーマルリサイクル削減の検討 (増加要因:生産数量増大) |
(注)上記排出量は当社及び国内連結子会社を集計対象としております。
ア)ガバナンス
持続可能な社会の実現と将来の当社グループのありたい姿をさらに明確にするため、2021年9月に、代表取締役社長自ら「ニッパツグループ環境チャレンジ」を宣言いたしました。この宣言に基づき、地球環境対策委員会では事業ごとの長期の環境活動計画をとりまとめる等、当社グループで持続可能な社会の実現に向けて活動を強化いたしました。
地球環境対策委員会は年2回開催され、環境チャレンジに関する中長期目標の設定、実現に向けたシナリオの策定を行い、活動を推進しております。推進の進捗状況は、経営戦略会議へ定期的に報告し、経営戦略へ反映しております。
イ)戦略
当社グループでは、各生産本部、グループ会社にて2026年の目標値を定め、「省エネ推進」「設備の電化」「生産工程や製品開発における技術革新」「太陽光発電などへの設備投資」「再生可能エネルギー電力購入」に分類される具体的施策を立案し、投融資審議会において、十分な審査を行ったうえで実施しております。計画に対する施策の実施状況については、継続的に地球環境対策委員会にて各生産本部、グループ会社からの報告を受け、これに対するフォローを行っております。
また、2018年4月に創設された電動化事業推進室を通じて、CO2排出量の削減に貢献する製品を提供してまいります。
<物理リスク> 気候変動による災害など物理的影響に関連するリスク
影響する項目 | リスク | 機会 | 対応 | |
急性 | ・異常気象による大規模災害 | ・河川の氾濫、巨大台風、渇水、津波、高潮、落雷などによる生産支障 | ・BCP対応の強化による顧客信頼の獲得及び受注拡大 | ・津波避難場所、海抜高さを各所に明示 ・避雷針や避雷器を設置 ・BCPのレジリエンス体制の強化 ・緊急時電源の確保 (非常用電源確保と自家発電設備の活用) ・建設地、建物耐久性の確認と改善 ・耐久、耐水、耐熱性に優れた製品の企画、開発 |
慢性 | ・気象情報 ・降水、気象パターンの変化 | ・温暖化の進行に伴う製品耐久性の不足による品質不具合 | ・製品の耐久性の充実による付加価値及び収益向上 |
<移行リスク> 脱炭素社会への移行に伴い発生するリスク
影響する項目 | リスク | 機会 | 対応 | |
政策・規制 | ・電動化の促進施策(ZEV(注1)、燃費、ガソリン車規制) ・政府のカーボンニュートラル宣言(CP(注2)制度、補助金の拡大) | ・顧客のエコカー開発が加速、ガソリン車の部品の売上が減少 ・燃料、エネルギーへの課税(炭素税)に伴うエネルギーコストの増加及び収益悪化 ・GX(注3)構想及びCPなど気候変更施策への対応に遅れが生じた場合の評価低下(格付機関・投資家・NGO・顧客など) | ・ZEV(注1)であるEV/FCEV用の製品開発が進み売上が増加 ・国の支援(補助金等)を活用した製品、工法開発が進み収益が向上 ・GX構想及びCPなど気候変更施策への対応を迅速に実施できた場合には、マネジメントプロセスが改善 | ・EV/FCEV用の製品及び部品開発 |
市場 | ・CASE、MaaS市場拡大 ・省エネ製品、高分子・LEDの技術を活かした新分野の市場拡大 | ・車の価値、使い方の変化で従来製品の売上が減少 ・環境負荷の大きい製品の不買化 | ・先行的な気候変動対応への取り組みや、省エネ製品開発により市場に提供する製品・サービスにおいて付加価値を創出し、優位性や事業機会を確立 ・GHG(注4)低排出製品・サービス開発のためにイノベーションが拡大し、HDD関連市場において低消費電力デバイスの市場が拡大 ・半導体デバイスの高性能化と低消費電力化による半導体プロセス部品事業の拡大 ・レジリエンス(気候変動への対応力)を構築することで競争優位性を確保し、企業価値が向上 | ・半導体やエレクトロニクスの未来像を見据え、最先端の研究開発を推進 ・革新的な技術を備えた付加価値の高い製品をタイムリーかつ継続的に供給 ・製品の軽量化への取り組みなど、排出されるCO2がより少ない製品の開発 |
技術 | ・エネルギー転換 ・再生可能エネルギー技術の進歩、普及 ・省エネ技術の普及 | ・エネルギー転換に伴い生産技術分野でコストが増加し、財務負担が増加 ・技術普及に乗り遅れ、CO2低減が進まず炭素税等で収益が悪化 | ・製造段階での省エネ、低コスト、生産の開発による事業拡大、収益向上 ・GHG低排出製品・サービス開発のためにイノベーションが進み、収益向上 ・再エネ、省エネ技術を活用した環境に配慮した生産工程の整備が進み収益向上 | ・工場エネルギーの最適化を推進 ・再生可能エネルギーの積極的な導入 |
評判 | ・顧客の評価の変化 ・投資家の評判の変化 | ・環境負荷の小さい(脱炭素など)製品が発注条件となり、対応ができず失注 | ・脱炭素の製品開発ができ、競合他社に優位性が増し、受注拡大 | ・環境に優しい材料開発、製品設計 |
(注) | 1 | ZEV: | Zero Emission Vehicleの略。走行時にCO2等の排出ガスを出さないEV/FCEV等。 | |
| 2 | CP: | Carbon Pricingの略。炭素税や排出量取引により炭素に価格付けを行うこと。 | |
| 3 | GX: | Green Transformationの略。温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組を成長の機会と捉え、排出削減と競争力の向上の実現に向けた変革のこと。 | |
| 4 | GHG: | Greenhouse Gasの略。CO2等の温室効果ガスのこと。 |
ウ)リスク管理
当社では、代表取締役社長を最高責任者、企画管理本部本部長を推進責任者とするリスク管理体制を構築し、気候関連のリスク(物理リスク及び移行リスク)を含め管理しております。リスク管理においてはリスクの未然防止を図り、被害を最小限にとどめるとともに、再発を防止するための対策を決定し、進捗管理をしております。
一方で、リスク管理において取締役会が明確に関与するガバナンスプロセスの構築は、これから実現すべき課題だと認識し、今後取り組んでまいります。
エ)指標・目標
当社グループは、エネルギー使用量から算出するCO2排出量について削減目標を掲げ、地球環境保全活動に取り組んでおります。2020年度までは売上高原単位で管理しておりましたが、2021年度からは、カーボンニュートラル達成を目指し、CO2総排出量で管理しております。
<中長期目標>
項目 | 目標年 | 目標値 |
CO2排出量 | 2030年 | SCOPE1+SCOPE2におけるCO2排出量2013年度比50%減 |
2039年 | SCOPE1+SCOPE2におけるCO2排出量ゼロ化 | |
産業廃棄物量 | 2030年 | 2013年度比95%減 |
2039年 | 産業廃棄物ゼロ化 |
(注)1 SCOPE1:事業者自らによる燃料の使用によるCO2排出量
2 SCOPE2:他社から供給された電力等の使用によるCO2排出量
(3)人材の価値を最大限に引き出すこと
当社を取り巻く社内外の環境は大きく変化してきており、将来にわたり社会に必要とされる会社であり続けるために、人と組織のあるべき姿も変わりつつあります。当社のものづくりがこれからもお客様や社会の課題解決に貢献し続けるためには、働きがいのある働きやすい職場づくりの取り組みを推進し、多様な人材がそれぞれの価値を最大限に高めていく事が重要だと考え、人づくり、組織づくり、制度・風土づくりの取り組みを包括的に進めております。
ア)ガバナンス
人材の価値を最大限に引き出すための取り組みは、経営方針に沿って本部・部門ごとに実行施策を策定しております。本部長は各部門の活動状況を確認し、重要事項については、経営戦略会議や取締役会で報告をしております。また、重点施策については、各種会議体で承認されたプロジェクトが推進する体制を整えております。
イ)戦略
<方針>
当社では、自動車・情報通信・産業・生活など幅広い分野で多種多様な製品を提供しており、独立系メーカーとして研究開発、設計、調達、生産、販売、管理等の様々な業務に従事する人材が、国内外で活躍しております。各分野で高度な専門性を持った人材や社内外への環境変化に対し変革を主導するリーダーシップを持った人材の確保と育成が重要であり、これらの人材が成長と貢献を実感し、一人ひとりが多様な価値観を認め合い多彩な個性と能力が最大限発揮できる雇用環境をさらに整備してまいります。
<実行施策>
グループ経営方針において、「安心・安全な会社、働きがいのある働きやすい職場を作る」事を掲げ、「人材の確保と育成」「ダイバーシティ推進」「働き方改革」「人事制度改革」「健康経営の推進」などの各種施策を実行してまいります。
<推進体制>
人材の確保と育成に関する重要な取り組みは、経営戦略会議の下部機関に位置づけられる人事政策委員会にて施策を審議し、経営戦略会議や取締役会に付議・報告・承認を得る体制を整えております。
ダイバーシティ推進の取り組みは、経営戦略会議での承認を受けた代表取締役社長直轄の「ダイバーシティ推進プロジェクト」が推進しております。プロジェクトの施策は、関連部門の部門長、企画管理本部本部長、代表取締役社長による承認を得て担当部門がそれぞれ実行し、プロジェクトの定例会議で進捗確認や課題を共有しております。
働き方改革の取り組みは、経営戦略会議で承認を受けた「Smart Work Project」を中心に各種施策を実施しております。プロジェクトは人事部部長が責任者を務め、プロジェクトの方針と実行施策を企画立案し、労使が参加する事務局会議にて討議し決定しております。
健康推進の取り組みは、中央安全衛生協議会の下部組織となる中央健康推進協議会を設置し、全社健康施策の方針や実施項目の策定、実施状況の確認などを行っております。また、各事業所では、健康推進委員や健康推進担当者を任命し、様々な健康施策を進めております。
<モニタリング>
各種施策の実施は担当する部門やプロジェクトによって行われますが、ア)ガバナンスに記載する方法で進捗を管理しております。また、新規施策の実施や重要事項については、必要に応じて人事政策員会や経営戦略会議等の各種会議体で重点課題の共有・議論を行い、施策の見直しやプロジェクト運営の改善に繋げる体制を取っております。
<取り組み実績>
2022年度はそれぞれの活動において、主に次のような取り組みを実施いたしました。
ダイバーシティ推進の取り組みでは、2021年度に子育てサポート企業として「くるみん認定」を取得、健康推進の取り組みでは、「健康経営優良法人2023」に認定されております。
ウ)リスク管理
人材の価値を最大限に高めるための方針や戦略の策定、指標と目標の決定、進捗管理等がさらに効果的に実施されるために、取締役会が監督やモニタリングをより適切に実施できるリスク管理体制の強化をすべく体制整備を検討してまいります。
エ)指標及び目標
目指すべき姿(目標)とモニタリングすべき指標については、従来から管理している指標の集計方法や集計項目を見直し、更なる開示を今後検討してまいります。
分類 | 指標 | 実績 | 2030年度目標 |
女性活躍推進 | 女性管理職比率 | 2.2% | 5% |
| 総合職新卒採用における女性採用比率 | 11.3% | 20% |
| 男性の育児休業取得率 | 30.1% | 60% |
エンゲージメント | エンゲージメント診断結果 | 69.7pt | 75.0pt |
(注)1 実績及び目標は提出会社の状況のみとなります。
(注)2 女性管理職比率の実績は2023年3月31日におけるものとなります。
(注)3 総合職新卒採用における女性採用比率の実績は2023年4月1日におけるものとなります。
(注)4 男性の育児休業取得率、エンゲージメント診断結果の実績は2022年度におけるものとなります。
(注)5 当社で実施するエンゲージメント診断は、従業員体験(Employee Experience)に着目した調査で満点を100とします。調査対象は特定の従業員のみとなります。
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