日本新薬 【東証プライム:4516】「医薬品」 へ投稿
企業概要
<リスクマネジメント体制>
当社は、「日本新薬グループ リスクマネジメント基本規程」のもと、社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、リスクマネジメントに関する重要事項の審議などを行っています。委員会の場で報告・審議した内容はリスクマネジメントの最高責任機関である取締役会に報告しています。
また、リスクマネジメント担当取締役の指揮・監督のもと、リスクマネジメント統括部門が社内教育、支援その他リスクマネジメントに関する業務を行っています。
全社のリスクマネジメントの推進にあたっては、洗い出したリスクの重要度を影響度と発生可能性の2軸で評価したのち、各リスクを所管する部門が中心となってその予防策・対応策を策定し、リスクに対して適切に対応できるよう取り組んでいます。
また、毎年、グループ全体や各部門において重要度の高いリスクテーマを選定し、アクションプランを立ててリスク顕在化の予防策の強化などに取り組んでいます。当年度の取り組み結果および次年度に取り組む重要リスクテーマは、リスク・コンプライアンス委員会の場で報告しています。
<主要なリスク>
当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
①知的財産権に関するリスク
当社グループは、特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、その保護の下に事業活動を行っています。保有する知的財産権への侵害にも注意を払い、第三者から侵害を受けた場合には、その保護のため訴訟を提起することがありますが、その動向により当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権の有効性に関する係争が発生し、特許が無効等と判断された結果、競争優位性が低下する可能性があります。
一方で、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権に抵触した場合は、係争の結果、損害賠償金の支払いや当該事業の中止につながる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらリスクを最小化すると共に自社事業の優位性を強化して継続的な事業価値向上を図るため、自社で創製される医薬品や機能食品の特許権等の知的財産権による多面的かつ戦略的な保護と活用、自社製品に関する第三者の権利調査等の定期的な実施、及び導入導出活動における知財デュー・ディリジェンス活動の適切な実施を通じた候補品やパートナー候補会社の評価等の対応を行っています。
②訴訟に関するリスク
当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、環境、労務、公正取引等の様々な事由により訴訟等の法的手続きの対象となる可能性があります。訴訟等が発生した場合、その解決には相当の時間を要することが多く、結果を予想することは不確実性が伴います。訴訟等の動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
③研究開発に関するリスク
当社グループでは、希少疾患を中心に、自社創薬、他社開発品の導入、さらには現製品の適応疾患拡大等により製品の価値を高めるプロダクト・ライフ・サイクル・マネジメント(PLCM)の3つの研究開発アプローチにより、開発パイプラインの拡充に努めています。
新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要ですが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。
特にDMD治療薬では、複数の自社創製核酸医薬品等の開発が進んでいます。これらの開発品について、研究開発の遅延、期待した有効性・安全性が得られない、競合品の上市、あるいは販売計画からの進捗遅延等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、自社開発品の早期上市を目指したグローバル開発を推進すると共に、革新的な製品を継続的に創出するため、グローバルかつ機動的なスカウティング体制による導入活動を推進しています。
④副作用に関するリスク
医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を経て承認を受け、販売されています。しかし、予期せぬ副作用が発生した場合は、販売中止や製品回収、社会的信用の毀損により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、評価・検討し、使用上の注意改訂等の必要な安全対策をタイムリーに行うことで、医薬品のリスク最小化及び適正使用の推進に努めています。また、安全性に関する重大な事案が起こった時に迅速に対応する委員会や、回収が発生したときの対応手順に関する社内規程等を定め、リスクが顕在化した場合には関係部署が連携して対応にあたる体制を整備しています。さらに、役員及び全従業員を対象とした安全管理情報についての研修を毎年実施し、安全管理を徹底することで、安全性リスクの最小化に努めています。
⑤医療費抑制策等の行政動向に関するリスク
医薬品事業は、各国の薬事行政のもと様々な規制を受けています。国内においては、その中の医療費抑制策の一環として、医療用医薬品の薬価引き下げやジェネリック医薬品の使用促進等の政策が取られており、さらなる医療制度改革の議論が続けられています。海外においても、同様に医療用医薬品の価格等に関する様々な規制があり、政府による価格引き下げの圧力は継続する傾向にあります。これら医療費抑制策を含めた医薬品の開発・製造・販売に関連する規制の厳格化など、医療制度改革の動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内の医療制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視しており、状況に応じて事業への影響を評価するとともに対応策の検討を行っています。
⑥サプライチェーンに関するリスク
当社グループの工場や原材料調達先、外部製造委託先などのサプライヤーが、品質や技術上の問題、火災、地震、その他の災害、感染症拡大等により閉鎖または操業停止となり、製品の供給が遅滞もしくは休止した場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、予測を超える急激な需要変動が生じ、製品の安定供給に支障をきたした場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「安全で高品質な製品の供給の維持」をサプライチェーンにおけるマテリアリティとして特定し、リスクマネジメントによる製品の安定供給体制の強化に取り組んでいます。
具体的には、サプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)として、ISO31000 リスクマネジメントのフレームワークを用いて、製品固有のサプライチェーンに潜在している安定供給途絶リスクを特定し、評価・分析を行い、優先順位を設け対策を講じ、監視することで持続可能な安定供給体制を確立しています。
リスク特定においては「日本新薬サステナビリティ調達方針」に基づくアンケート調査に加え、すべての原薬および製剤のサプライヤーを対象とした安定供給に特化したアンケート調査を実施し、サプライヤーで実施されている安定供給やBCP(事業継続計画)の取り組みに関する実態把握に努めています。そして、これらの実態調査結果と品質情報、取引実績も踏まえたリスクベース・アプローチによりリスク低減措置を講じています。SCRMでは、毎年リスクの評価基準を見直し、常に適切なリスク評価・低減措置を講じるように努めています。
また、AIを活用して安定供給に影響する環境変化や脅威を感知し、精度の高い需要予測を導き出す予測モデルを検討するなど、医薬品の供給リスクの低減を図る取り組みを進めています。
⑦金融市況及び為替の動向に関するリスク
株価・金利・外国為替等の金融市況の変動によって、保有する資産や年金資産の時価の下落や、受取ロイヤリティや経費支払い等の外貨建ての取引における為替リスク等があります。これらの動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
政策保有株については、定期的に保有目的および経済合理性の観点で検証して順次縮減を図ることで、株価変動による影響を低減させています。また、外貨建債務に係る為替変動リスクを回避する目的で、必要に応じて為替予約を利用するなど、リスクの低減に努めています。
⑧ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク
当社グループでは、各種業務において多くの情報機器ならびにシステムツールを活用しており、また、個人情報や研究開発情報などの機密情報を保有しています。コンピュータウィルスの感染や、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの停止、ならびに機密情報の漏洩等のセキュリティ事故が発生した場合は、損害賠償や社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではこれらのリスクの発生に備え、情報セキュリティに対する取り組み姿勢を示した基本方針と基本規程を定めています。基本規程に基づき設置されている情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)推進委員会では、さまざまなリスクから当社グループの情報資産を保護するため、社会環境の変化や情報技術の進歩に合わせた対応と、各種規程の見直しを行っています。
また、社内外のネットワークやデバイスのすべてに脅威が潜んでいることを前提に、サイバー攻撃対応システムを構築し、さらにネットワークやコンピューターの24時間365日監視運用を行っています。また、セキュリティ事故発生の際に迅速かつ適切に対処するためCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置し、有事の際の体制を整備しています。
人的リスクへの対策としては、従業員に対し情報セキュリティの重要性を周知徹底するための継続的な研修や、標的型攻撃メールに対する訓練を定期的に実施しています。
今後も外部セキュリティ環境の変化を継続的に情報収集し、サイバー攻撃及びシステム障害に対する保全やBCP(事業継続計画)対策等を継続的に強化し、リスクの低減に努めて参ります。
⑨環境に関するリスク
当社グループでは、研究開発および製品製造のために種々の化学物質を使用しており、重大な問題が発生した場合には、操業停止、行政処分、社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、将来の環境関連法規制等の強化、環境負荷低減の追加的な義務等による環境保全に関連する費用が増加した場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、化学物質による健康被害、環境汚染の発生抑制および拡大防止のため、化学物質等の適正管理および環境関連法規制の遵守を自主管理規程により徹底するとともに、2023年度に設定した第七次環境自主目標により環境保全を推進しています。気候変動に関するリスクに対してはTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った取り組みを推進し、2023年度にSBTi(Science Based Targetsイニシアティブ)により認証された1.5℃目標に向けて温室効果ガス排出削減に取り組んで参ります。
⑩大規模災害等に関するリスク
大規模な地震や気候変動等に伴う自然災害および火災等の事故などにより、当社グループの本社、事業所、研究所等の閉鎖や、工場の操業停止による生産活動の停滞・遅延やサプライチェーンの寸断等が起こった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの医薬品生産拠点である小田原総合製剤工場では、震度6強の地震を想定したシナリオに基づく事業継続計画(BCP)を策定しており、風水害や富士山噴火時の対策マニュアル等も整備しています。ハード面の対応として工場建屋の浸水対策を進め、非常用電源設備の充実を図っています。また、安全在庫の確保やサプライヤーとの情報共有体制の構築など、有事の際も医薬品の安定供給を可能とする体制整備に努めています。
工場以外の部門においても、災害発生等により事業場が閉鎖となった場合を想定したBCP関連行動マニュアルを整備するとともに、避難訓練およびシステムを用いた安否確認訓練の実施、必要な備品の補充と定期点検など、災害等発生時の従業員の安全確保に備えています。
⑪製品品質に関するリスク
当社グループは、医薬品医療機器等法を含む国内外の法規制等のもとで医薬品を製造販売しており、機能食品も食品衛生法をはじめとする様々な法規制のもとで製造販売しています。しかし、製品の品質に問題が生じ、健康被害が発生した場合、製品の回収、賠償責任等に係る費用の発生、出荷停止による欠品や社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「高品質で特長のある製品を提供する」という方針のもと、医薬品においてはGMP(Good Manufacturing Practice: 医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に適合した管理体制を強化しています。原材料の調達から保管、医薬品の製造、流通まで一貫した品質保証に取り組むことで、国内外の規制当局の厳格な査察にも適合しています。
機能食品についても、国内外原料サプライヤーや製造委託先への監査等を通じた品質管理体制の継続的改善、顧客からの要望に対する的確で迅速な対応、リスク管理や関連法規に関する定期的な社内研修の実施などを通じて、安定的な品質確保のための社内体制の強化に努めています。
⑫コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、医薬品事業や機能食品事業の遂行にあたって、遵守すべき様々な法的規制や自主規範等の適用を受けています。これらの法令等や自主規範、あるいは役員および従業員の個人的な不正等を含め重大な違反行為が発生した場合は、法令に基づく処罰や制裁、規制当局による処分等を受ける可能性があり、その場合社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、グループで働く全員共通の倫理基準として「日本新薬グループ行動規範」を定め、全社員が日々遵守・実践に努めています。また、「日本新薬グループコンプライアンス態勢運用規程」のもと、コンプライアンス担当の取締役をコンプライアンス統括責任者とし、コンプライアンス推進活動を統括する専任部門を設置しており、グループのコンプライアンス推進活動は、その専任部門が企画・立案しています。
社長から全社員に対しコンプライアンスに対するより一層の徹底を要請するメッセージを年2回発信するとともに、毎月実施されるコンプライアンス研修や年2回のeラーニング、毎年実施する従業員コンプライアンス意識調査などを通じ、全社員のコンプライアンス意識の浸透と維持高揚を図っています。
また、コンプライアンス活動に資するため、内部通報窓口(ほっとライン)を社内外に設置・運用しており、行動規範をはじめ広義のコンプライアンスに反する行為の未然防止、早期発見、是正に努めています。
⑬人財の確保と育成に関するリスク
当社グループでは、持続的成長のための原動力は「人財」であり、「一人ひとりが成長する」ことが不可欠であると考えていますが、中長期的に多様な人財を確保・育成できない場合には、イノベーションの創出、当社グループの持続的成長が阻害される可能性があります。
当社グループでは、「多様な人財の育成と社員のウェルビーイング実現」をマテリアリティとして特定するとともに、自律型人財の育成やグローバルリーダーの育成、一人ひとりに合わせた多様な働き方の促進などに取り組んでいます。
具体的には社員の自律的なキャリア形成を支援する「NSアカデミー」や次世代リーダーを育成する「HONKI塾」等の育成プログラムの実施、副業制度の導入、生産性の向上と柔軟な働き方の実現を目的としたフレックスタイム制度・テレワーク制度の導入など、さまざまな制度や環境の整備を進めています。
また、キャリア採用を強化し、専門性の高い人財やグローバル人財の獲得を進めています。
性別や国籍、年齢などに関係なく、社員一人ひとりが自己実現や成長を実感できる制度や環境の整備を進め、より魅力のある企業グループとなることで、社員のエンゲージメントを高め、人財の確保を図って参ります。
なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
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