日本坩堝 【東証スタンダード:5355】「ガラス・土石製品」 へ投稿
企業概要
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載したリスク以外のリスクも存在します。
当社グループでは、戦略・事業遂行上のリスクや重大な危機に転ずる可能性のあるリスクを「リスク管理・コンプライアンス委員会」にて把握し、グループ重要リスクとして整理することとしております。リスクを適切に管理・統制するとともに、危機に転ずるリスクの顕在化を可能な限り防止し、危機に転じた場合はその影響を最小限に留めるなど、的確なリスクマネジメントを行っております。なお、文中における将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、ウクライナをめぐる現下の国際情勢については、当社グループとしても十分に注視しております。ウクライナ、ロシアとの輸出入取引がないことから、業績への直接的な影響はありませんが、原材料・燃料価格への波及、為替相場等の市場動向など間接的な影響はあると考えております。この点は「(6)原材料の調達・価格動向、及び(7)燃料価格の動向」に記述の通りであります。
(1)自動車のEV化について
鋳造事業は、当社グループにおける最大の事業分野であり、鋳造事業・工業炉事業を合わせて、当連結会計年度では売上高の53.6%を占めております。その鋳造市場の約9割が自動車業界向けであります。自動車業界においては、EV化への取組が加速しつつあり、環境対応車のシェアが大幅に高まっていくと予測されております。EV化によりエンジンをはじめ鋳造部品の構造が大きく変わっていくものと考えられ、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。
こうした状況を踏まえ、当社グループとしては、環境対応、軽量化に伴う部品構成の変容等に関する分析を進めるとともに、自動車メーカーの内製部門と主要部品メーカーの生産設備統合の流れが加速する予測なども含め、お客さまの動向を注視してまいります。国内においては、当面、純EV/FCVよりHEV、PHEV、M-HEVが中心となる見通しであることから、特にアルミ部品の需要への対応が重要と考えており、国内の自動車生産台数の増減(景気動向)を見据えて、製品・サービス(耐火物製品、工業炉製品、メンテナンス・サービス、部材の仕入販売)を適合させてまいります。
(2)鉄鋼事業について
鉄鋼事業は、当連結会計年度では売上高の11.7%を占めておりますが、鉄鋼業界において需要減等を理由とした製鉄所再編、設備縮減の動きが続いており、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。
この影響を最小限に留めるべく、国内市場においては、高い技術力により継続的に安定耐用に貢献してきた実績、スピーディーできめ細かな対応力をベースに、シェアの維持と利益率向上に努めてまいります。また、海外市場において、易乾燥性樋材などの新技術の開発を進めるとともに、ロイヤリティー収入の確保を図ってまいります。
(3)エンジニアリング事業について
エンジニアリング事業は、当連結会計年度では売上高の33.2%を占めておりますが、工業炉の新設工事、焼却設備等の補修工事など工事完了時のお客さまによる検収において、契約毎に異なる材質・寸法等の仕様確認や試運転による慎重な確認が実施され、また耐火物事業の製品販売に比し1件当たりの取引額が多額になるケースが多いことから、売上の期間帰属等に関し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうした特性を踏まえ、エンジニアリング事業の売上の期間帰属等については、特に慎重に判断し適正な収益認識に努めてまいります。
(4)棚卸資産の評価について
当社の製品及び商品のサイズや材質は得意先や用途により異なるため、多品種の在庫を保有しております。これらの棚卸資産は、販売価格が低下した場合には帳簿価額を時価まで切り下げ、また直近で動きのない場合には滞留期間に応じて評価損を計上しております。したがって、販売価格や滞留期間によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうした棚卸資産の金額的重要性と評価プロセスの状況に鑑み、必要な評価減の金額を基準に基づいて適正に算定すべく、内部統制手続を整備し適正な運用に努めてまいります。
(5)生産設備について
工場機械設備の老朽化についても、事業運営において重視すべきリスクの一つと考えております。主要設備の中には、導入後の経過年数が長いものも少なくなく、定期的な補修等実施により正常稼働に努めておりますが、予想を超える異常停止等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
「中期経営計画2024」において、工場機械設備全般にわたって計画的な更新を進めることとしておりますが、軽度な異常が発生した場合でも都度要因を慎重に見極めて的確な対策を講じるなど、安定稼働に向けた適切な対応を継続してまいります。また、抜本的な対策も必要と判断し、2023年4月に「工場再構築プロジェクト」を立ち上げ、具体的検討を併行して進めております。
(6)原材料の調達・価格動向について
当社グループでは、主力事業である耐火物の製造に必要となる原材料を、中国をはじめとする世界各国より直接あるいは商社経由にて調達しております。国産原材料の比率が高くないことから、地政学リスク発生等により現在の輸入国からの調達に問題が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料価格の高騰・高止まり、大幅な円安が続いた場合、お客さまのご理解に基づく価格改定の進捗状況次第では、グループの業績が下振れする可能性があります。
調達先が中国等の特定国に偏らぬように、原材料の種類に応じて常に世界各国に調達先を求めておりますが、引き続き多様な原材料に関する調査・評価等を幅広く実施し、リスクの軽減に努めます。また、原材料価格動向等をお客さまに丁寧にご説明してご理解を得ることで適切な価格改定を着実に実施するとともに、機動的な為替ヘッジを進めてまいります。
(7)燃料価格の動向について
当社グループでは、主として定形耐火物の製造工程(焼成等)において、多量のガスや電気を使用しております。ロシアによるウクライナ侵攻以降、値上がり基調であった原油価格が急激に上昇し、さらに円安が急速に進行したこともあって、183期(2023年3月期)は燃料価格がかつてないほどの上昇幅で推移しました。184期(2024年3月期)も好転せず、高止まりの状況にあります。
こうした状況を踏まえ、お客さまのご理解に基づく価格改定を鋭意進めてきておりますが、燃料価格の更なる高騰・高止まり、大幅な円安が続いた場合、グループの業績が下振れする可能性があります。
(8)大規模自然災害の発生について
近年、大規模な地震発生や巨大台風の直撃、数十年に一度の集中豪雨発生などの自然災害が相次いでおります。当社グループの生産拠点は、大阪、愛知、埼玉に分散しているものの、南海トラフ地震をはじめ大規模地震発生の予想エリアに所在しております。台風、集中豪雨のエリアは予想が困難でありますが、万が一、当社グループの生産拠点において、大規模な自然災害が発生した場合には、前述(5)の設備老朽化とあわせ、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。
2020年3月にBCP(事業継続計画)を抜本的に見直し、2011年以来となる大幅改定を実施いたしました。このBCPに基づく教育、訓練を定期的に実施するとともに、必要に応じて計画を見直すなど、大災害発生時においても早期の事業復旧ができるよう努めてまいります。
(9)サイバーセキュリティーについて
世界中でサイバー攻撃による被害が増加傾向にあります。当社においても2023年11月に事業所の一部デバイスにおいてランサムウェアによる第三者からの攻撃を受けております。一部支障もありましたが、セキュリティ強化の効果もあり影響は限定的なものとなりました。今後とも、セキュリティツールの運用強化をはかるとともに、適時、外部専門家のアドバイスを受けるなど、セキュリティ対策の拡充に努めてまいります。
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