企業兼大株主日本坩堝東証スタンダード:5355】「ガラス・土石製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ基本方針として、「企業理念・社是に基づき、環境・社会面の要請・ニーズと経済的リターンを両立させ、長期的な視点に立った取組を通じて企業価値を高めていく」と定めております。この基本方針のもと、カーボンニュートラルに取り組むお客さまに貢献する製品の開発を進め、当社グループ自身も製造過程における取組等を強化いたします。加えて、ESG/SDGsに関する取組として、ダイバーシティへの取組、労働環境の改善、地域貢献、取締役会の活性化等を進めてまいります。

 上記の基本方針を踏まえた取組内容については以下の通り6つの視点で整理しており、毎月開催する経営会議において案件ごとに報告・討議を行うとともに、内容の重要性に応じ取締役会において報告または審議を行っております。

 第一に、様々な社会課題、特に事業における環境保全の重要性を認識し、脱炭素や資源有効活用に積極的に取り組んでまいります。具体的には、豊田工場での太陽光発電、トンネル窯の効率性向上、生産工程でのリサイクル処理、エネルギー消費原単位の低減、照明設備のLED化等であります。

 第二に、お客さま、株主・投資家、社員などステークホルダーとのコミュニケーションを通して、相互理解に努め、共存共栄を図ります。地域の祭礼への寄付や広場提供、子供110番などの地域安全活動、小中学校からの社会科見学受入等も継続してまいります。

 第三に、お客さまに安心・安全に使用していただける高付加価値な製品・サービスを通して、総合的なソリューションを提供いたします。具体的には、アルミ保持炉の電化、各種レンガ類の不焼成化、易乾燥性樋材の開発等であります。

 第四に、人権を尊重し安全と健康を第一に、労働環境の維持・改善に努めます。具体的には、生産現場の省力化・環境改善、エンゲージメント・サーベイの実施等であります。

 第五に、障壁を設けることなく多様性を受け入れ、個性を認め合い尊重しあう「るつぼ」となり、その「るつぼ」から新しい価値を創造いたします。具体的には、高齢者雇用への取組、女性活躍の推進、障がい者雇用の拡充等であります。

 第六に、企業活動を推進するうえで必須条件となるコンプライアンスやリスクマネジメントに継続して取り組みます。具体的には、取締役会の実効性向上、コンプライアンス研修の拡充等であります。

(2)戦略

① 気候変動

 当社グループは、鋳造業や鉄鋼業など原材料を加熱加工する素形材産業や焼却炉等の環境関連産業向けに、耐火物、工業炉等の製造販売、各種工事等のエンジニアリングサービスの提供をしておりますが、これら産業のお客さまのカーボンニュートラル実現に向けた取組に貢献していくことが極めて重要であります。

 他方、当社グループ自身も、製造過程において温室効果ガスを排出していることから、様々な取組を通じてカーボンニュートラルの実現を目指すことが求められております。

 お客さまの取組への貢献に関しては、蓄積技術やその応用、新たな開発技術等を通じて、以下の通り積極的に製品開発、製造・販売を行っております。具体的には、定形耐火物では煉瓦の不焼成化、また不定形耐火物では、易乾燥性の高い製品、予め定形化することでCO2の直接排出を削減する製品等であります。耐火物以外では、熱間作業の軽減、優れた省エネ効果、高歩留、高品質といった特徴から大変ご好評をいただいている工業炉「フリーダム」、お客さまの製造工程におけるCO2の直接排出を削減する取鍋電気加熱装置「エレマックス」等であります。

 自社の製造等における取組としては、最も影響の大きい定形耐火物の焼成工程におけるCO2の直接排出を削減するため、新しい技術の研究開発を進めるとともに、当面の対策としてカーボンオフセットガスを利用しております。また、工場で使用するフォークリフトの電動化、グリーン電力の活用等を行っております。

② 人的資本

 当社グループは、前述の通り、「中期経営計画2024」において、「組織と人の活性化」を経営戦略の土台と位置付けております。「中期経営計画2024」の成否は、人財の能力向上・発揮を促進すること、人財を資源ではなく資本と捉えてその価値を最大限に引き出すことにかかっていると考えており、そのことを通じて持続的な成長を実現させてまいります。

 具体的には、以下の通り、組織風土改革、優秀人財の確保、人財育成、ダイバーシティを人的資本経営における重点課題として取り組みます。

(ⅰ)組織風土改革

 エンゲージメントは「組織や仕事に対して自発的な貢献意欲を持ち、主体的に取り組めている状態を表すもの」、会社と個人の繋がりであり、「個人と組織が対等な関係で、互いの成長に貢献し合う関係」、言い換えれば、「やりがいがある」「達成感を感じる」「環境に満足している」状態と認識しております。従業員一人ひとりが自分の持ち場を守るだけでは不十分であり、従業員が相互に刺激し合い、わくわくするような仕事に向きあうことが必要であることから、このエンゲージメントが重要と考えております。

 エンゲージメント向上への取り組みを推進していく上で、その課題や改善度合の見える化を進めることが効果的と考え、エンゲージメント・サーベイを2021年度より導入し、その総合スコアをKPIとして設定して全社をあげて取り組んでおります。

 いわゆる「1 on 1」についても、2022年度より新たに全社に導入いたしました。チームが目指すべき方向性を明確に示した上で、メンバーの強みや特性、価値観を踏まえたメンバーの自発的なキャリア形成に関与し、組織成長、メンバー成長の両輪を回せる状態を目指してまいります。

 また、「TRYプロジェクト」と称して、社員自らが考え、自発的に声をあげ、行動する運動を継続しており、それら社員の声を全社に広く還元しております。

(ⅱ)優秀人財の確保

 2021年度より、新卒採用手法としてダイレクト・リクルーティングを導入いたしました。採用条件に合致する学生の資質等を事前に確認した上で全国の学生にオファーできる仕組みであり、多様な優秀人財の獲得に効果をあげております。併行して、インターンシップも積極的に活用しております。

 中途採用については、人財紹介会社の活用を規模にこだわらず大幅に拡充し、優秀人財の確保に努めております。「中期経営計画2024」において重要分野と位置付けているエンジニアリング事業(環境・工事、工業炉)の増員を図る観点から、業種に特化した紹介会社の拡充のほか、ダイレクト・リクルーティング、ヘッドハンティングなど採用手法の多様化にも取り組んでおります。2022年度より、社内公募制度、リファラル採用も新たに導入いたしました。

 新卒、中途採用ともに、優秀人財確保のため更なる手法の拡充に取り組んでまいります。

(ⅲ)人財育成

 2020年度より、主要拠点(東京、大阪、愛知)の立地にマッチした新たな公開型研修制度を導入しております。理論的なテーマから実務に役立つテーマまで100を超える講座があり、何度でも受講可能な仕組みとなっております。社員本人、管理者によって主体的に育成に取り組むことができており、人財育成の礎となっております。

 また2021年度より、次世代の経営層の育成を目的として部門横断の「ルツボ創成タスクフォース」を組成し、経営目線での提案活動を進めております。

 若手層の育成に関しては、2021年度より「若手からの提言プロジェクト」を開始、部門横断で人選した若手が経営陣に対して積極的に提案を行っております。

 人事交流については、コロナ禍により見送っていた工場間の交流会を2022年度より再開いたしました。今後は、生産部門間だけではなく、営業、技術など他部門間の交流も拡充する予定であります。

(ⅳ)ダイバーシティ

 長期ビジョン「22世紀へ、躍進するNIKKAN ~創業1885年、『4世紀をつなぐ企業』」を目指して持続的な成長を図るためには、多様な人財の活躍が必要不可欠と考えております。

 女性活躍推進については、女性管理職比率を重点目標の一つとして人財育成を計画的に進めます。高齢者の活躍も重要な課題であり、定年退職者の継続雇用率100%を目標に推進いたします。障がい者雇用については、法定雇用率を充足すべく情報収集等に努めてまいります。また、従前より海外部門、技術部門等において外国出身者が活躍しておりますが、優秀人財の確保を一段と進めます。

 多様な人財の確保とともに多様な働き方の実現も極めて重要と考えております。有給休暇の取得推進、長時間労働の削減に加えて、在宅勤務、時差出勤、半日有休・時間有休取得等の多様な制度の活用、産休・育休、介護休暇の利用促進に努めてまいります。

(3)リスク管理

 サステナビリティに関する最大のリスクの一つは、温室効果ガス排出に関する規制強化と認識しております。具体的には、温室効果ガス排出規制に対応したお客さまの製造プロセス変更、LCAを意識したお客さまの商品選択の変化、カーボンプライシングなど脱炭素に関する政策の変更等が想定されます。これらの想定リスクは当社グループの製品・サービスの価値にインパクトを与え、中長期的な投資計画にも大きく影響するものであります。

 当社グループでは、「リスク管理・コンプライアンス委員会」を半期に一度開催し、サステナビリティに関するリスクも含め、事業上のあらゆるリスクを適切に管理・統制するとともに、危機に転ずるリスクの顕在化を可能な限り防止し、危機に転じた場合はその影響を最小限に留めるなど、的確なリスクマネジメントを行っております。また、「リスク管理・コンプライアンス委員会」における重要な事象について、半期に一度取締役会に報告するとともに、必要に応じ経営会議においてリスクの管理・統制に関する討議を行っております。

 なお、「3事業等のリスク」に、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項について記述しておりますので、併せてご参照ください。

(4)指標及び目標

 気候変動に関する指標及び目標につきましては、お客さまの取組への貢献、自社の製造等における取組の両面から鋭意検討を進めている段階であります。

 人的資本に関する指標及び目標は、以下の通りであります。

・エンゲージメント・サーベイ 総合スコア

2021年度

2022年度

2023年度

実績

実績

目標

62

62

70

※ 2023年度の目標は、本サーベイ導入企業の上位20%の平均総合スコアを参考にしております。

・有給休暇取得率 (取得日数/付与日数)

2021年度

2022年度

2023年度

実績

実績

目標

63%

68%

70%

 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異につきましては、提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象でないため、記載を省略しております。

 今後も引き続き、その他の指標及び目標について検討を進め、開示内容の拡充に努めてまいります。

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