企業日本化学工業東証プライム:4092】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

1.サステナビリティ基本方針

 当社グループは「人を大切に、技を大切に」の企業理念に基づき、ステークホルダーとの対話と価値創造を通じて社会課題の解決を図り、地球規模まで視野に入れたあらゆる「人」の幸せと持続可能な社会の実現に取り組みます。人の絆、自然環境と融和した技術の開発を大切にし、化学という無限の可能性で夢を実現させていく企業でありたいと考えております。

2.気候変動への対応

 気候変動が経済・社会・環境に及ぼす影響は年々深刻さを増しております。世界規模で脱炭素社会の実現に向けた動きが加速しており、企業にも確実な対応が求められております。

 当社グループは、2022年10月「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」へ賛同しました。

 今後、TCFDの提言に沿った気候変動に対する取り組みを推進し、積極的な開示を進めてまいります。

(1)ガバナンス

 当社グループは、企業理念に立脚して様々なステークホルダーと良好な関係を築き、信頼され必要とされる企業となるため、CSR(企業の社会的責任)活動から、企業活動を通じた価値創造により、全てのステークホルダーに貢献するサステナビリティ活動へ軸足を移し、スピード感を持った活動を推進することを目的にサステナビリティ推進委員会を設置しました。サステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長が委員長となり、委員は生産技術本部、研究開発本部、営業本部、経営戦略本部、事業推進本部を担当する取締役及び執行役員と、その目的に照らし、委員長が適切と認めて選任したメンバーにより構成され、サステナビリティ基本方針を始めとしたサステナビリティに関する事項の審議を行います。サステナビリティ推進委員会の開催頻度は、原則年2回、また必要に応じて別途開催致します。

 取締役会は、サステナビリティ推進委員会で審議された重要事項についての報告や提言を受け、気候関連課題への対応方針および実行計画等についても指示・監督を行っております。サステナビリティ推進委員会のもとに、「サステナビリティ委員会」、「全社RC委員会」、「NBCP(日本化学事業継続計画)運営委員会」、「倫理委員会」の4つの委員会を配置し、サステナビリティ推進委員会はこれら4つの委員会の活動を統括・指導し、定例会議等を通じてマネジメント強化と推進に努めております。サステナビリティ委員会は、常務執行役員のもとで、全てのステークホルダーへの価値の提供や、気候変動や循環経済への対応等、サステナビリティに関する取り組みを進めております。全社RC委員会は、代表取締役社長を委員長とし、環境・安全におけるレスポンシブル・ケア活動を推進し、法規制の遵守、環境保全、保安防災、労働安全衛生、製品安全、物流安全等のレベルの維持向上に努めております。NBCP(日本化学事業継続計画)運営委員会は、生産技術本部を担当する執行役員を委員長とし、顕在化した危機および潜在的な危機に対する方針や計画、訓練の継続的改善を推進しております。倫理委員会は、事業推進本部を担当する執行役員を委員長とし、日々の企業活動において遵守すべき行動指針の周知徹底を図るとともに、定期的に遵守状況の確認を行い、継続的な改善に努めております。

(2)戦略

 シナリオ分析の概要

 当社グループでは、TCFD提言にて例示されている気候変動がもたらすリスク・機会を元に、シナリオ分析を実施しました。

 シナリオ分析においては、2℃以下シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択、設定していく必要があるため、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを選択しました。

 移行リスク・機会:脱炭素シナリオ(1.5℃)

 移行リスク・機会については、1.5℃目標達成に向けて、低炭素経済への移行に関連した様々な規制等が導入される脱炭素シナリオに基づいて検討しました。

 脱炭素シナリオ(1.5℃)においては、政府の環境規制強化にともなう炭素税導入や、再生可能エネルギー需要の増加による価格上昇等費用の増加、世界規模での地球温暖化対策が講じられることによる資源調達費用の増加が想定されます。一方で、当社グループの成長分野である電子セラミック材料、電池材料、半導体材料等をはじめとする各種機能性材料では、化学産業に求められる脱炭素イノベーションの高まりによる研究開発の推進、川下産業の環境貢献製品向け材料としての需要増加が想定されます。当社グループには、顧客ニーズに応える技術開発力、これを再現よく生産するための生産技術力があり、これらに磨きを掛けることで競合他社との差別化を図っています。この取り組みを継続することで、ビジネスチャンスが増え収益が向上していくものと考えています。

 また、当社グループは化学品・機能品を基幹事業としており、生産工程で使用される燃料、電気、蒸気の消費によるCO2排出量削減を重要な課題と認識しています。全工場における生産活動の中で、省エネ活動、電化、再エネ活用、燃料及びプロセス変換に着目し、自社排出のCO2発生量の削減に取り組んでいます。

 調達面のリスクに関しても、強靭な原料調達体制の確立を推進し、サプライチェーンを切らさずにお客様へ安定品質の製品提供を継続していきます。

 物理的リスク・機会:温暖化進行シナリオ(4℃)

 物理的リスク・機会では、異常気象による自然災害の発生にともなう、事業活動の停止やサプライチェーンの断絶が大きなリスクとなります。

 自然災害は、発生の予測が難しく、一度発生すれば、当社グループの製造拠点が被災し、化学物質の漏洩等甚大な被害をもたらす可能性があります。

 設備損傷や化学物質漏洩による操業停止等を回避するためには、災害対策に関する設備投資が必要となり、投資による製造コスト上昇も想定され、温暖化進行シナリオ(4℃)では、この傾向はさらに強まることが想定されます。

 当社グループは気候変動リスクを含む大災害に対応できるよう、専門の委員会を設置しBCP(事業継続計画)体制を全社ベ一スで策定、緊急時においても事業活動への影響を最小限にとどめるよう備えています。引き続き、BCP体制の継続的改善を推進してまいります。

(3)リスク管理

 当社グループのリスク管理についての審議及び決定機関はサステナビリティ推進委員会としております。また、リスク対応は、サステナビリティ推進委員会の指示を受けて、各本部長の指示により、各部長、各工場長が行うこととしております。

 気候変動に関するリスク・機会も重要な課題の一つと位置付けており、サステナビリティ委員会を中心に協議、検討しております。サステナビリティ委員会では、気候変動によって受ける影響を把握・評価し、TCFDの枠組みに基づいたシナリオ分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。気候変動リスク管理の状況や特定した重大な気候変動リスクに関しては、サステナビリティ推進委員会への報告・提言を行ってまいります。

(4)指標及び目標

 2020年度の当社グループの温室効果ガス排出量は、Scope1(事業による直接排出)は34,411t、Scope2(電力消費による間接排出)は35,619tとなり、合計70,030tでした。

 このたび、脱炭素社会の実現に向けて、パリ協定で求められるCO2排出削減レベルを考慮し、Scope1,2の排出量について、2020年度の排出量70,030tを基準に、「2030年度23%削減」の目標を設定しました。

 当社グループは社内の省エネ、節電を心掛けるとともに、製造現場における脱炭素技術導入及び再生可能エネルギー等を活用することで、温室効果ガス排出量を削減し、脱炭素社会の実現を目指します。

3.人的資本

「人を大切に、技を大切に」を企業理念とする当社は、人の絆、自然環境と融和した技術の開発を大切にしています。それは、当社独自の技術力を高める日々の努力や仕事の効率化を追求していくなかで生まれる斬新な発想の芽と、一人ひとりのほとばしる情熱を後押しし、化学という無限の可能性を持った分野のあらゆる所において、夢を実現させていく企業でありたいと考えているからです。今世界は急速なスピードで進化しています。当社も化学製品を扱う事業者として、自然と人との調和を念頭に、本物の技術力と一人ひとりの叡智を結集させていきたいと考えております。

(1)ガバナンス

 人材戦略に関しては、執行役員を中心に重要な組織の新設と改編、ジョブローテーション、人事制度の改定等の具体的な施策を議論し、執行役員をメンバーとする経営会議及び取締役会で審議・決定をしております。

(2)戦略

 組織の発展につながる人材の拡充を実現するためには、社員一人ひとりの成長と、様々な能力を持つ人材の確保が重要です。社員の成長を支援するため、一人ひとりの自律的なキャリア形成の実現を後押しする体系的な教育体制と整えています。日常の業務活動を通じて、それぞれに必要な知識・技術・技能の啓発向上を図る職場内教育(OJT)に加え、新入社員から幹部職までの階層別研修や職層にかかわらず業務を遂行するうえで必要となるスキルアップ・プログラムやグローバル人材育成プログラム等に注力し、教育機会の拡充を図っています。

 また、多様化する働き方やワークライフバランスを重視した職場環境の整備を進めるとともに、社員の働きがいの向上、健康経営や労働安全衛生の推進にも取り組んでまいります。

a.人材育成

 業務遂行上必要な知識・技術・技能を社員に修得させることを促進し、もって会社の発展と社員の能力育成を図ることを目的とし、以下の教育基本方針を定めております。

・教育は、会社の方針に沿って、計画的・組織的かつ継続的に行う。

・能力育成は、社員各自が向上意欲に燃え、自己啓発に努めることによって、その成果が期待されるものであり、会社は機会をとらえて必要な施設及び援助を行う。

・指導的立場にある者は、能力育成の環境を醸成すると共に、常に率先垂範して自己啓発に努めなければならない。

 また、中期経営計画に掲げる重要施策のひとつである「グローバル化の推進」のために海外トレイニー制度を導入しております。

<教育体系図>

<階層別教育体系図>

 日本化学工業 階層別教育 体系図

対象

教育名

教育内容

必須能力

獲得スキル・知識・技能

管理職上級

部長・工場長

経営幹部教育

会社を経営して行くために、経営幹部として必要な知識、技術、技能を修得することを目的とし、役員および管理職上級者を対象として行う。

リーダーシップ

 

目標達成マネジメント/(創造型)問題解決/活力ある職場づくり/リーダーシップ/経営戦略構築

管理職

シニアマネジャー

マネジャー

管理者教育

管理者として、組織運営上必要な管理に関する知識、技術、技能を修得することを目的とし、管理職を対象として行う。

共通

専門

能力

マネジメントの原理原則/組織活性化/意思決定/問題解決能力/部下指導

10~15年

指導職層

監督者教育

監督者として、職場における指導、監督に関する知識、技術、技能を修得することを目的とし、総合職及び専任職の指導職層を対象として行う。

 

プロジェクトマネジメント/(潜在型)問題解決力/論理的思考力/表現・説得力/後輩指導力/仕事管理力(段取り)/業務改善/(顕在型)課題解決力

5~10年

一般職層

一般社員教育

会社の現状、業界の動向、その他業務遂行上必要な基礎的知識を深め、従業員としての自己啓発を図ることを目的として、総合職及び専任職の一般職層を対象として行う。

自律

行動

 

プロフェッショナル意識(コスト・協調・規律・行動意識)/企画・発想力

1~2年

若手

新人社員教育

新入社員に対し、会社の概要、業務上必要な基礎知識等を修得させて、社員としての自覚と誇り、仕事への意欲を持たせると共に、速やかに会社になじませることを目的として行う。

基本

動作

ビジネスマナー

基礎知識/自立心、客観的視点/報告・連絡・相談/モチベーション/コミュニケーションスキル

採用時

新入社員

 

心構え

ビジネスマナー

b. 職場環境の整備

 多様化する働き方やワークライフバランスを重視し、働きがいの向上につながる職場環境の整備として以下の施策を実施しております。

 イ.自己申告制度

 社員の適切な配置、妥当な人事異動、潜在能力の発見、職場環境の整備等を目的とし年に1回実施しております。特に職場環境の整備につながる申告に対しては各部門の責任者である執行役員が当該社員との面談等を通じて、職場の環境改善を実施しております。

 また、総合職層には仕事の難易度、仕事の量、仕事の適性、自己の能力発揮度、趣味、やりがいについて5段階で評価してもらい、仕事の満足度を測定しております。

〇マネジメント層における主な申告内容

 職場の人員の過不足・人材の充足度、職場における人間関係、職場の抱えている問題点、後継者や部下として欲しい人材の確認等

〇総合職層における主な申告内容

 現在の仕事の継続や異動の希望、今後のキャリアプランの希望や習得したい専門知識や受講したい教育、職場の人間関係等

 他に、仕事の難易度、仕事の量、仕事の適性、自己の能力発揮度、趣味、やりがいについてそれぞれ5段階で評価する。

 ロ.人事制度委員会

 社員の代表である労働組合本部と総務人事部による人事制度委員会を年3回以上開催し、社員のエンゲージメント向上につながる制度の見直しを実施しております。委員会で取り上げて、見直されたものとしては、リフレッシュ休暇利用回数の増加、積立年休の限度日数を50日に引き上げ、男性の10日間の育児休暇(有給)の導入、時間単位年休の導入等があります。

 ハ.賃金改定・賞与(一時金)に関する委員会

 社員の代表である労働組合本部と総務人事部による賃金改定・賞与(一時金)に関する委員会を開催し、賃金改定を実施しております。2023年は3.32%の賃上げを実施しました。

 ニ.女性活躍推進

 当社の女性社員の比率は2023年3月末で9.6%と少ないため、今後は女性社員を増やしていくこと、並びに女性社員の育児離職を防ぐことが重要な課題であると認識しております。

 そのため女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の目標として「新規採用において応募者に占める女性の割合を30%以上」とすることを掲げております。

 また、女性社員の育児離職を防ぐ施策として、上記「自己申告制度」において女性社員から女性が長く働きやすい職場環境を作るために会社に取り組んで欲しいことを提案する機会を設けるとともに「人事制度委員会」を通じて、職場の環境改善に取り組んでおります。その結果、育児短時間勤務制度、所定外労働の制限、時間外労働の制限(1か月24時間 1年150時間)、深夜業の免除は法定以上の期間に改善され、他にも子の看護休暇の有給化、育児のための時差通勤、学級閉鎖時の有給利用等の制度が整備されました。

c.健康を重視した経営

 社員が心身ともに健康で働き続け、その能力を十分に発揮できる職場は、組織力を向上させることができます。社員がチームワークを重視し、主体的かつ創造的な行動をとることで企業の活力や生産性が向上し、家庭生活の充実にも繋がります。こうした考えに基づき、積極的な健康を重視した経営を推進します。そのため日本化学工業健康保険組合と総務人事部及び安全衛生委員会とのコラボヘルスにより、健康推進のための施策を立案しております。

〇生活習慣病対策として生活習慣病検診、特定保健指導実施率の向上、人間ドック補助、健康管理委員会による健康増進のための中期的な計画の立案と実行、外部健康相談窓口の設置を実施しております。なお、最近では特定保健指導実施率の向上に重点的に取り組んでおります。

〇メンタルヘルス対策としてストレスチェックの実施と改善活動、ラインケア・セルフケア研修、パワーハラスメント等の研修を実施しております。

d.労働安全衛生

『安全で安心できる職場環境づくり』

 職場の「安全」は最重要課題です。労働災害ゼロを実現するために、潜在的な危険有害性の低減を図るよう取り組んでおります。経営者・社員・協力会社が一体となって、安全衛生活動を積極的に推進し、安全で安心できる職場環境の構築に努めていきます。

(3)リスク管理

 社員の働きがいの低下や社員の健康確保ができずに組織力が低下することが最大のリスクと考えています。

 多様化する働き方やワークライフバランスを重視した職場環境の構築を進めるとともに社員とその家族の安全・健康を第一に考えた対応を積極的に進めることでリスク低減に努めてまいります。

(4)指標と目標

指標

目標

実績

・新規採用において応募者に占める女性の割合

30%以上

33%(2022年)

23%(2021年)

22%(2020年)

・特定保健指導実施率

100%

74%(2022年)

・当社社員休業災害発生件数

0件

1件(2022年)

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