企業日本光電工業東証プライム:6849】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、医用電子機器専門メーカとして、「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦することにより世界に貢献すると共に社員の豊かな生活を創造する」ことを経営理念としています。そしてその実現に向け、商品、販売、サービス、技術、財務体質や人財などすべてにおいて、お客様はもとより、株主の皆様、取引先、社会から認められる企業として成長し、信頼を確立することを基本方針としています。
 この基本方針の実現および当社グループの中長期的な企業価値向上のため、経営の健全性・透明性・効率性の向上を目指す経営管理体制の構築により、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが重要な経営課題であると考えています。当連結会計年度において、取締役会に占める独立社外取締役の比率は3分の1以上ですが、2024年6月26日開催の第73回定時株主総会での承認をもって独立社外取締役の比率は50%となりました。また、ジェンダーや国際性の面を含む多様性の確保を検討する中、女性取締役2名、外国人取締役1名を選任しました。

 当社は、監督機能の強化、経営の健全性・透明性の向上、経営の意思決定の迅速化を図るため、監査等委員会設置会社を選択するとともに、社外取締役3名で構成され社外取締役が委員長を務める指名・報酬委員会を設置しています。

(2) 目標とする経営指標

 当社は、企業価値・株主価値増大に向けて連結ROE(連結自己資本当期純利益率)を重要な経営指標としており、2024年4月からスタートする3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」において、資本コストを上回る12%を目標としています。資本コストは毎年見直しており、現在5%前後と見ています。

 中期経営計画の推進による利益率の改善を最優先としつつ、日本光電版ROICの導入、在庫圧縮や債権回収の早期化などキャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮による運転資本の改善、投資判断基準の設定、株主還元の充実等により、経営指標の達成を目指します。

 2020年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要増加や半導体の需給ひっ迫に対応するため、部品や製品の在庫を積み増したことから、キャッシュ・コンバージョン・サイクルが長期化し、2023年度は232日となりました。2024年度は、本年4月に新設した生産本部を中心に在庫管理を強化するとともに、債権回収を早期化し、2021年度水準である190日への回復を目指します。

 また、成長投資による企業価値向上に向けて、2022年度に投資判断基準に正味現在価値(NPV)と内部収益率(IRR)を採用し、新規投資案件の評価を開始しています。Phase IIでは、資本コストを上回る12%をIRRの目標とします。一定額を超える投資案件の場合、投資後の進捗状況、効果を毎年取締役会で検証しています。

(3) 経営環境

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、欧米での金融引き締めや地政学リスクの高まりもあり、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。国内では、各都道府県において医療提供体制の見直しが進められるとともに、「医師の働き方改革」に向けたタスクシフトや業務の効率化が推進されました。医療機器業界においても、各企業は医療の質向上と効率化に寄与するソリューション提案がより一層求められる状況となりました。海外では、欧米における看護師不足や物価上昇、中国における景気減速や反腐敗運動の影響がある中、先進国、新興国ともに医療従事者の負荷軽減に資する医療機器の需要は概ね堅調に推移しました。

 欧米での金融引き締めや地政学リスクの高まりもあり、景気の先行きは不透明な状況で推移すると見ています。国内では、本年4月に施行された「医師の働き方改革」および本年6月の診療報酬改定を受け、タスクシフトや業務の効率化がより一層進められるとともに、2040年を見据えた地域医療構想に関する議論が本格化する見込みです。海外では、医療機関における検査・手術件数が増加し経営改善の傾向にあるものの、インフレの影響もあり医療機器の設備投資には慎重な動きが見られます。新興国では保護主義的政策や医療機器に関する法規制が強化されています。医療機器業界においては、こうした環境の変化と医療の質向上や効率化といった医療機関のニーズへの迅速かつ柔軟な対応が求められ、厳しい経営環境が続くと予想されます。

(4) 会社の対処すべき課題と中長期的な経営戦略

 当社グループは、2020年に10年後の2030年に向けた長期ビジョン「BEACON 2030」を策定し、「グローバルな医療課題の解決で、人と医療のより良い未来を創造する」ことを目指しています。そして、3つの変革「グローバルな高付加価値企業への変革」「顧客価値を追求するソリューション型事業への変革」「オペレーショナルエクセレンスを軸とするグローバル組織への変革」に取り組んでいます。

<第1フェーズである中期経営計画「BEACON 2030 Phase I」(2021~2023年度)の総括>

 国内では、新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築や医療従事者の働き方改革等が推進される中、医療安全、診療実績、業務効率につながる顧客価値提案を推進しました。海外では、看護師不足や物価上昇の影響が残る中、米国、新興国市場における事業基盤の強化、医療従事者の負荷軽減に資する医療機器の提案に重点的に取り組みました。技術開発面では、当社初のオートショックAEDや新生児蘇生モニタ、全静脈麻酔支援シリンジポンプ制御ソフトウェアに加え、米国の日本光電オレンジメッド LLCで開発した人工呼吸器の中位機種モデルなど、顧客価値の高い新製品を相次いで投入しました。また、米国のアンプスリーディ社、イタリアのソフトウェアチーム社を買収したほか、米国子会社を再編し持株会社体制に移行するなど、海外事業の基盤強化を図りました。この結果、「BEACON 2030 Phase I」の最終年度にあたる2024年3月期の業績は、国内売上高は好調に推移した一方、注力する米国や中国の市場環境の変化もあり、海外売上高は為替影響を除く実質ベースでは計画未達となりました。海外実質売上の未達に加え、在庫評価減の増加に伴う売上原価率の上昇、人員増や賃上げ、インフレによる販管費の増加により、営業利益率も計画未達となり、収益性の改善が課題として残りました。また、世界的な半導体の需給ひっ迫に対応するためサプライチェーンマネジメント改革を推進し、グローバルで製品供給を継続したものの、製品・部品在庫の積み増しがキャッシュ・コンバージョン・サイクルの長期化につながりました。
 

(億円)

2024年3月期

経営目標値

2024年3月期

実績

売上高

1,970

2,219

 

国内売上高

1,340

1,423

 

海外売上高

630

796

営業利益

営業利益率

200

10.2%

195

8.8%

親会社株主に帰属する

当期純利益

138

170

ROE

10%

9.8%

<第2フェーズである中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」(2024~2026年度)>

 激変する世界情勢の中、厳しい経営環境にありますが、前中期経営計画の成果と課題を踏まえ、「BEACON 2030 Phase II」では、全社収益改革を実行し成長領域への投資を本格化するとともに、新たな事業モデルの構築および既存事業との連携を強化します。
1. 3つの指標と6つの重要施策

 成長性、収益性、資本効率性の強化に取り組み、サステナビリティ経営を実践します。

(成長性)売上高CAGR 5%(2024/3期~2027/3期):製品競争力の強化、北米事業の成長に注力

(収益性)営業利益率 15%(2027/3期):全社収益改革の実行、グローバルサプライチェーンの進化

(資本効率性)ROE 12%(2027/3期):日本光電版ROICの導入、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮

(1)(成長性)製品競争力の強化

 主力の生体情報モニタリング事業の強化、高成長が期待できる人工呼吸器を含む治療機器事業、消耗品・サービス事業、DHS(デジタルヘルスソリューション)を含むソリューション事業の拡大に注力。
設計プラットフォームの共通化、マルチプラント設計、サイバーセキュリティの高度化、QA/RA体制の強化。PLM/MESシステムの導入に加え、開発プロセス改革を推進し、新製品開発期間を短縮。

※ QA(Quality Assurance):品質保証、RA(Regulatory Affairs):規制関連業務。
PLM(Product Life-cycle Management):製品ライフサイクル管理、MES(Manufacturing Execution System):製造実行システム。

(2)(成長性)北米事業の成長に注力

 日本、北米、その他の海外の3地域における市場戦略を強化。成長ポテンシャルの高い北米事業に優先的に資源を配分し、シェア拡大と収益改革を推進。

[日本]顧客価値提案の高度化による、顧客基盤の強化と持続的な成長

[北米]大手IDN/GPO市場、DoD/VA市場深耕によるブランド認知度向上と収益改革

[海外]医療機器に関する法規制対応、現地開発・生産・販売・サービス体制の強化

※ IDN(Integrated Delivery Network):総合医療ネットワーク、
GPO(Group Purchase Organization):グループ購買組織。
DoD(Department of Defense):米国国防総省、VA(Veterans Affairs):米国退役軍人省。

(3)(収益性)全社収益改革の実行

 商品ミックス、生産性、サプライチェーンの改善に向けた各種施策を実行

(4)(収益性)グローバルサプライチェーンの進化

PSI(生産・販売・在庫)管理を高度化、グローバルQMS(Quality Management System:品質管理システム)の強化、マルチプラント生産の推進

(5)(資本効率性)日本光電版ROICの導入

 利益率改善と投資対効果のモニタリング強化

(6)(資本効率性)キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮

 新設した生産本部を中心に、調達・生産管理機能を強化。債権回収の早期化

2.サステナビリティ経営

 サステナビリティ経営の実践に向けては、Phase Iのマテリアリティ・KPIを一部見直し、医療課題、環境課題、社会課題の解決に取り組みます。

 グローバル共通価値基準に基づき、Phase Iで導入したBEACON人事制度の浸透および運用定着・強化を図るとともに、働き方改革・人員生産性の向上に取り組みます。ダイバーシティ&インクルージョンの推進に加え、グローバル人財やDX人財の育成などキャリア支援の充実により、医療への貢献にやりがいと誇りを持てる組織風土の醸成に取り組みます。
 グループガバナンスの一層の強化に向け、取締役会の多様性を確保するとともに、CxO体制の導入による意思決定の迅速化を図ります。また、株主価値との連動性を高めることを目的として、役員報酬制度の見直しを進めます。

3.経営目標値

(億円)

2027年3月期

経営目標値

売上高

2,560

 

国内売上高

1,570

 

海外売上高

990

営業利益

営業利益率

385

15%

親会社株主に帰属する

当期純利益

250

ROIC

12%

ROE

12%

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