日本信号 【東証プライム:6741】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループは、交通インフラという公共性の高い事業に関わる企業集団として、事業活動を「持続可能な開発目標(SDGs)」と関連づけて、自社にとっての重要課題を特定し、具体的な取り組みを行っています。SDGsの「世界を変えるための17の目標」になっている環境負荷の低減や災害に強いインフラづくり、安全なマチづくりにどのような役割が果たせるかを考えながら、研究開発や製品開発を展開しており、企業経営にとって大切な地域社会の皆さまとのパートナーシップをしっかりと育むために、教育や文化、福祉、地球環境の保全などをテーマとした社会貢献活動を積極的に行っております。
また、企業の成長力、活力を生み出す「様々な働き手が生き生きと働くことができる環境づくり」にも一層力を注いでまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
長期経営計画「Vision-2028 EVOLUTION 100」においては、「環境変化に適応したリスク管理とガバナンス」の一環としてサステナビリティへの取り組みを掲げております。中期経営計画においても、「ニューノーマル時代におけるお客様との価値共創」に向け、人材の獲得・育成策を推進し、新ビジネス創出を目指しているほか、TCFDの提言に基づき、気候変動への取り組みを推進しております。
全社環境委員会は、環境目標等の具体的な目標を活動に展開して実践し、取締役会の監督のもと適宜、開示をしております。
人的資本等への投資については、事業拡大や既存市場におけるシェアアップを図るべく、中期経営計画で投資ドメインや投資額を計画した上で、各年度の事業計画策定や半期ごとの投資進捗の確認という形で取締役会にて審議されるほか、毎月開催される役員会の場で議論し、投資内容の検討・変更や進捗に対する監視を適宜行っております。
(2)重要なサステナビリティ項目
当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下の通りであります。
・人材の多様性
・気候変動
①人材の多様性
a.ガバナンス
取締役会で経営方針を決定し、それに基づき人事部門が採用・教育・人事制度・健康経営など人材戦略を立案いたします。立案された人材戦略は、執行役員で構成する役員会のうち年2回設定される経営計画会議で審議され確定いたします。
当社で決定した各種施策は、グループ会社社長で構成するグループ経営会議やグループ会社の総務人事部門で構成するグループ人事部会を通じ、情報共有を図ります。
b.戦略
当社グループの価値創造の源泉は、人材にあります。グループ理念の「私たちの大切にすべきこと」のひとつに「ヒトづくり」を掲げて、「自らの成長に向けてチャレンジする人材の育成」に注力しております。
2023年3月期は、「次世代人事制度改革に向けた多様な働き方」「リスキリングによるDX人材の育成及び若手から中堅社員を対象とした次世代リーダー層の育成」「社員の健康増進を組織の活性化に繋げ、生産性を高めることで企業価値向上を目指す健康経営」の3点を重点課題として取り組みました。
i.次世代人事制度改革に向けた多様な働き方への取り組み
(ア)ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み
一般事業主行動計画にて、女性管理職比率、技術職の女性人数、育児休職制度利用率の向上についてKPIを定め、女性活躍推進活動に取り組んでおります。工学系を中心とした技術者のウエイトが高く相対的に女性社員割合が少ない状況ですが、女性が活躍しやすい環境整備を通じて定着率の向上とキャリアアップを支援しています。
外国人材の活躍推進については、グローバル化を牽引する国内の大学や日系企業への就職率が比較的高い海外の大学に向けて、積極的な採用活動を行っています。また、多様な人材が活躍する組織運営を目指して、管理職を対象とした研修で、ダイバーシティを活かすマネジメント方法やハラスメント防止に焦点をあてたプログラムも実施しています。
人材の多様化の取り組みとしては、「文系・理系の枠にとらわれない採用」や「文系職種の人材の技術部門配属」を実施しています。今後は、OBのコネクションを活用した優秀な人材の採用や、退職者を対象としたカムバック採用の導入、日本人社員向けの異文化理解促進研修の導入も検討していきます。
(イ)時間や場所にとらわれない働き方を進めるための取り組み
社会環境の変化や社員のライフイベントなどに応じて、働く時間や場所などを柔軟に選択できるよう、フレックス勤務・時差出勤・リモートワークを導入しています。こうした多様な働き方の促進と組織の成長を両立させるため、個人ひいては組織全体の生産性の維持・向上を重要な課題としてとらえ、業務のデジタル化、WEB会議などを推進し、新しい業務環境の構築に取り組んでいます。また、デジタル化を進めるだけでなく、サイバーセキュリティ対策としてシステムの常時監視・制御、教育訓練、事故発生を想定した訓練を実施しています。
(ウ)育児支援への取り組み
柔軟な働き方の推進による仕事と育児の両立支援及び男性社員の育児参加の促進に取り組んでいます。2022年7月には、以下の通り関連制度の改定を行いました。
・時間外労働・休日労働制限の請求可能者、看護休暇の取得可能者の対象範囲を拡大
・育児フレックスタイム勤務・産前フレックスタイム勤務の取得可能者の対象範囲を拡大
・育児・介護・産前・通院フレックスタイム制勤務者をコアタイム適用外へ変更
また、仕事と育児の両立を目指す社員の支援を目的として、社内の先輩パパ・ママの意見を参考に「仕事と育児の両立支援ガイドブック」を作成し、子が生まれた社員に対し配布しています。妊娠から育児休業取得・職場復帰までの流れや家事分担・保育園選びのコツ、おすすめの育児本などを紹介しています。
ⅱ.企業価値を高める人材育成・リスキリングの取り組み
(ア)企業文化定着のための取り組み
「安全と信頼」の理念のもと、社会から必要とされる企業グループであり続けるためには、一人ひとりの正しい行動に裏打ちされたステークホルダーとの深い信頼関係を築き上げることが不可欠です。この信頼関係の基盤となるものとして、「日本信号グループ理念」において、当社グループのすべての役員・社員がとるべき行動規範である「私たちの行動規範」を策定しました。
法令やルールを尊重する行動を浸透させるとともに、問題を早期に発見して是正・改善する自浄作用を持つ組織づくりを推進しています。活動の一環として、全社員を対象とした「教訓事例教育」を定期的に開催し、当社社員として必要な「安全と信頼」に関する基礎知識を身に着けるとともに、当社が扱う製品の世の中へ与える影響を自ら考え、業務に生かす機会を設けております。
また、全社員で経営戦略を推進するため、会社の方針に基づいた部門目標を定め、半期ごとの部門ミーティングで共有しています。部門目標の達成に向けて、社員一人ひとりが達成すべき目標及び職能資格コース別に求められる行動基準を基に、強化すべき行動を設定し、管理職と連携しながら、その実現に努めています。その他、目覚ましい功績をあげた社員や模範となる社員に対して表彰を実施しているほか、社内の各種コンテストの成績優秀者に対し、海外研修の機会を提供しています。
(イ)全社員のデジタルリテラシー向上への取り組み
当社グループは中期経営計画にて、「開発力強化とDXに適応した設計・生産体制の確立」を重要課題として定め、全社員を対象にDXリテラシー教育を実施しました。また、採用においてもソフトウェアを中心に、AI・画像・通信等のDXに適した人材の獲得に注力しています。
(ウ)若年層教育の取り組み
若年層向けの研修として、2019年に従来の一般的なOJT制度を当社独自の「鉄熱(てつあつ)プログラム研修」に進化させました。
「鉄熱プログラム」とは、「鉄は熱いうちに打て」との諺にある通り、柔らか頭で吸収力が高い新入社員時代に様々な経験を積むことを目的とした教育プログラムです。新入社員を迎える組織は「課長」がリーダーとなり、「係長」「バディ(先輩社員)」が各々の立場での役割を持って新入社員の成長をサポートし、チーム一丸の活動を行います。その活動を通じて、新入社員を取り巻く全員が人材育成に関わり、新入社員に寄り添うことにより自らも成長していくことを目指しています。
このような考えに基づき、「鉄熱プログラム」は以下の3つを狙いとして実施されます。
・チームの指導、サポートにより新入社員が様々な経験を積むことで、成長曲線を高める。
・「チーム全体で新入社員を支え、育てる文化」の醸成を図る。
・新入社員をはじめとするチームのエンゲージメント向上を図る。
2023年度は課長を中心とした「縦」の活動だけではなく、「横の広がり」も意識したプログラムへと進化させ、階層・部署間を超えた育成や関わりの増加を目指します。
(エ)リーダーシップ開発
2022年度は入社3年~5年目の社員を中心に社長との懇談会を開催し、社長自らが経営トップの想いを伝え、若手社員の仕事に対する意欲向上や視野拡大、さらなるスキルアップを図る機会を設けました。また、次世代リーダー層育成を目指して、数年後の管理職候補者として各部署から選出された人材を集めて、幅広いものの見方・考え方、自らの想いの明確化、組織内もしくは顧客・取引先といったステークホルダーへ価値ある企画・提案をテーマとした研修を実施しました。
リーダー層の育成については、経営人材として必要な要件を明確にして、将来を担うリーダーを継続的に生み出す仕組み「NSサクセッション・プラン」を構築し次世代の経営人材の育成に取り組んでいます。また、日本信号の将来を担う人材をグループ会社の経営者に任命し、その後当社の経営陣に登用するなど、グループ間人事交流を積極的に実施し、グループ一体となって経営人材の育成に努めています。
(オ)リスキリング・学びなおしのための取り組み
社員の自己啓発の促進を目的に、通信教育講座の費用補助や会社が奨励する公的資格取得者への手当支給を行っています。2023年4月には、月額手当の支給対象者の拡大及び支給額の引き上げを実施し、自己啓発を積極的に行う社員に対する賃上げを行いました。業務上必要な専門教育は各部門で教育内容を立案します。管理職が部下との育成面接の中で自己啓発の実施状況を把握し、必要に応じてアドバイスをしています。
社外での学習機会としては、勤続10年以上で55歳に達した社員が今後の自分の在り方について考え自己研鑽の機会とする「マイビジョン休暇制度」や、国際大学への留学生制度があります。
ⅲ.健康経営・組織活性化への取り組み
<健康経営の推進>
2022年4月に「日本信号グループ健康宣言」を制定し、2022年度はスタートの年として各種活動に取り組みました。健康診断及び保健指導の受診率・参加率の向上、定期的な運動の習慣化を目的とした、スポーツイベントや健康保険組合とのコラボレーションによる運動キャンペーン等を展開し、2023年3月に「健康経営優良法人2023」(大企業法人部門)の認定を取得しました。主な活動は以下の通りです。
(ア)からだの健康
・健康診断受診後の各種フォローの実施(特定保健指導の参加率増加、医療従事者による保健指導
の充実)
・定期的な運動習慣の確保のため、スポーツイベントや運動キャンペーンを継続
(イ)こころの健康
ストレスチェック・メンタルヘルス講習等を実施するとともに、高ストレスと判定された社員をフォローし、メンタル不調者の早期発見・未然防止を実施
(ウ)みらいの健康
・喫煙対策の強化
・ヘルスリテラシー向上を目的とした各種セミナーの実施
・ヘルスケア休暇の利用促進
<社員エンゲージメントを高めるための取り組み>
2021年より、社員エンゲージメントの向上を目的として「従業員意識調査」を毎年実施しております。調査結果は、経営陣や各部門長にフィードバックすると同時に、解決すべき問題の特定に活用し、働きがいのある職場づくりのための課題設定につなげております。
2023年3月期は、部門を横断したコミュニケーションの強化を課題とし、社員の自発的な社内ネットワーク構築の支援企画を実施するなど、社員のエンゲージメントを高める施策に取り組みました。
c.リスク管理
採用競争力の低下や離職者の増加に伴い、組織の硬直化により、企業競争力を損なうリスクがあります。
このリスクを低減させるためには、従業員の外国人材や構成比の低い工学系の女性の採用を増やす等の採用活動強化や、グローバル化やDX化の進展に追随するための学び直し(リスキリング)支援や、多様性を向上させる人材の配転など、人材開発を強化しております。
また、柔軟な働き方の推進や育児という従業員のライフイベントを支える企業内保育所の設置等の福利厚生・人事制度によって従業員を支えるほか、若年層からリーダー層、次世代の経営人材まで、自らの成長に向けてチャレンジする人材を育成し、企業課長向上に努めていきます。
また、良好な企業風土を保つため、長時間労働やハラスメントなどコンプライアンスに係る事案、労働災害につながるインシデント(重大事故に発展する可能性のある事象)は、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」の議題として取り上げ、全役員・従業員で情報共有し、リスクの未然回避を顕在化したリスクによる被害を最小化に取り組んでおります。
d.指標及び目標(単体)
経営戦略の実現のための人事課題を達成するため、当社では以下のKPIを設定しております。
KPI | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 目標値 | 目標年度 |
育児休業取得率 | 男性 56% 女性 100% | 男性 80% 女性 100% | 男性 50%以上 女性 90%以上 | 2026年3月期 |
女性管理職比率 | 3.6% | 3.7% | 5% | 2026年3月期 |
技術職女性人数 | 53名 | 2020年3月期から17%増加(48名) | 2020年3月期から20%増加(50名) | 2026年3月期 |
外国籍社員採用人数 | 1名 | 1名 | 2名 | 毎年 |
従業員一人当たり研修投資額 | 65,821円 | 64,228円 | 90,000円 | 2023年3月期 |
自己啓発実施率 (公的資格新規取得・通信教育受講者) | 46.6% | 43.5% | 50% | 2023年3月期 |
DXリテラシー教育実施率 | 未実施 | 93.8% | 100% | 2023年3月期 |
②気候変動
a.ガバナンス
当社グループは、気候変動への対応をサステナビリティにおける重要な課題と位置づけています。全社環境委員会では、TQM推進部担当役員を委員長とし、各サイトのトップが参加し、年度目標や計画に基づいたマネジメントが行われています。内容や進捗状況の報告に基づいて、取締役会が監督を行っています。
気候関連の責任は、全社環境委員会及び委員長が負っております。
ⅰ.全社環境委員会、取締役会
2022年度は計4回、全社環境委員会が開催されました。取締役会では、TCFDに関わる開示情報、全社環境委員会で審議された重要事項が計4回報告されました。
取締役会では重要事項として、第6期環境行動計画の結果、CO2排出量の修正に伴う対策の変更、TCFDに伴い段階的に全社環境委員会の参加会社を増やす計画、TCFD戦略の変更(詳細化)、CDP(英国を拠点とする非政府組織)からの質問書への回答対応が報告されました。
ⅱ.気候関連のモニタリング
気候関連のモニタリングは、各部門から、サイト/関係会社の環境事務局に集約され、各サイトの環境事務局からTQM推進推進部に報告されます。TQM推進部は、TQM推進部担当役員に報告し、特に重要な事項は取締役会で報告されます。モニタリングの指示は、報告と逆のルートで実施されます。
b.戦略(採用したシナリオ)
シナリオ分析の検討に際して、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change/国連気候変動に関する政府間パネル)AR6 SSP1-1.9、およびSSP5-8.5を参照し、それぞれⅰ.2100年までの平均気温上昇が1.5℃未満に抑えられている世界(1.5℃シナリオ)、ⅱ.2100年までの平均気温上昇が4℃となる世界(4℃シナリオ)の2つのシナリオを設定しました。
ⅰ.1.5℃シナリオ
リスク | 日本信号への影響 | 日本信号の対応 | |
移行リスク | |||
サプライヤーへの炭素税、排出権取引制度の導入 | 短 期 | ・電気料金の大幅増加 | ・第6期環境行動計画:グリーンエネルギ ー調達比率60%(日本信号グループ)達 成に向け、計画的にグリーン電力を確保 ・温室効果ガス排出削減目標(注1) (第6期環境行動計画)達成に向け、 省エネ・再エネ(エネルギー高効率機器 の導入、発電設備導入等)の推進 |
中 期 | ・事業コストの増加 (炭素税、排出権取引) ・素材(鉄)等の価格転嫁が進み、調達 価格の上昇 | ・グループ会社への脱炭素政策の展開 ・ハードウェアの使用を削減した商品へ の転換 ・気候変動枠組みを含むグリーン調達ガイ ドラインの提示、遵守状況確認 | |
長 期 | ・電気料金の高止まり | ・省エネ、再エネの継続 | |
脱炭素社会へ | 短 期 | ・環境関連設備投資の前倒しによる追加 費用発生 | ・省エネと合わせた設備投資 |
中 期 ・ 長 期 | ・環境性能における競争激化(環境負荷 の大きい製品の競争力低下) ・適切な対応がとれない場合、社会的信頼、 事業機会の損失 ・サーキュラーエコノミー対応による コスト増 | ・SBT Scope3(注2)に基づく、 日本信号主要製品の環境負荷低減 ・温室効果ガス排出量削減につながる 商品・サービスの開発 ・TCFDへの賛同とシナリオ分析、枠組 みに従った情報開示 |
(注)1.長期的温室効果ガス削減目標(SBT Scope3)は第6期環境行動計画中に提示
(注)2.SBT:Science Based Targets パリ協定が求める温室効果ガス削減目標、Scope3は間接的排出
ⅱ.4℃シナリオ
リスク | 日本信号への影響 | 日本信号の対応 | |
物理リスク | |||
自然災害の激甚化、急激な増加 | 短 期 | ・風水害による生産拠点の被害発生 ・サプライチェーンの寸断による部品供給 停止 ・猛暑による屋外作業の制限、空調コスト の増加 | ・事業継続計画(BCP)対応:生産拠点 での災害対策、複数の生産拠点による製 造対応、複数の調達先、輸送手段の確保 ・自家発電、蓄電能力の確保 ・屋外作業環境改善 (屋根、スポット空調等) |
中 期 | ・顧客の被害による新規設備投資の減少 ・災害対策コストの上昇による新規インフラ 整備箇所の縮小 | ・災害に強い製品の開発(耐水等) ・MaaS等、既存インフラ設備を活用した 最適な移動の提案 | |
長 期 | ・災害の影響を受けやすい地域の変化による 既存インフラの稼働率低下 | ・低コストで維持できるシステムの提案 | |
感染症の地域的流行 | 短 期 | ・部品を含む生産工場の稼働率低下 ・部品供給の寸断による生産縮小 | ・生産プロセスの自動化、商談のIT化 ・部品、製品在庫の確保 |
中 期 ・ 長 期 | ・公共(乗合)交通の優位性低下による新規 設備投資の減少 | ・感染症対策製品の開発 (検温、トレーサビリティ等) |
ⅲ.機会
機会 | 日本信号への影響 | 日本信号の対応 | |
顧客の脱炭素化を | 短 期 | ・省エネ製品の注文増 | ・既存製品の省電力化設計 |
中 期 ・長期 | ・脱炭素化を目的とした既存製品の置き換 え注文増 ・脱炭素化ソリューションの提案要望増加 | ・設計改善、商材変更による脱炭素化計画 (製品の廃止を含む) ・温室効果ガス排出量削減につながる ソリューション | |
顧客のインフラ強靭化を支援する 商品・ソリューションの販売拡大 | 短 期 | ・停電時電源確保、浸水対策製品注文増 | ・太陽光発電、蓄電池付き製品の開発 ・耐水型屋外製品の開発 |
中 期 ・ 長 期 | ・顧客のインフラ強靭化工事に伴う既存 製品の置き換え注文増 ・災害復旧迅速化ソリューションの提案 要望増加 | ・災害時に機能を維持する製品の開発 ・災害復旧の迅速化に貢献する製品の開発 | |
感染症対策 | 短 期 | ・窓口、券売機以外での予約、決済利用 の増加 | ・モバイル予約、決済に対応する改札の 拡販 |
中 期 ・ 長 期 | ・混雑情報把握、人流平準化ソリューショ ンの提案要望増加 ・現場作業の無人化ソリューションの提案 要望増加 | ・人流把握、混雑予測等ソリューションの 開発、提案 ・遠隔監視、操作ソリューションの開発、 提案 | |
新規事業の | 中 期 ・ 長 期 | ・災害検知ソリューションの提案要望増加 | ・インフラにおける災害発生を検知する 技術の開発計画 |
ⅳ.シナリオ分析による影響の検討結果
(ア)製品・サービス
・ライフサイクルにおける温室効果ガス削減のため、ハードウェアの使用を削減した商品
の開発を進めます。これには、機器の集約化、ケーブルレス(無線化)、汎用端末を使
用した決済対応等が含まれます。
・異常気象による災害増加に対応するため、災害に強い製品の開発を進めます。これには、
耐水型製品、停電時対応を考慮したバッテリー・発電装置付き製品等が含まれます。
(イ)サプライチェーン/バリューチェーン
・異常気象に伴う災害の増大による、部品製造工場の被災、物流の寸断に備え、複数の調達
先、輸送手段を確保します。これには、複数の調達先を確保できる部品を用いた設計・開
発が含まれます。
・災害時に社会インフラを維持し、迅速な復旧に貢献する製品・システムの開発を進めます。
(ウ)研究開発関連投資
日本信号グループ24中期経営計画(2022年度~2024年度の経営計画)において、研究開発に140億円規模の投資が計画・実行されています。内訳として、脱炭素社会を実現するための課題を解決する「エコ&パワーソリューション」のほか、CBM、自動運転、決済・認証、ロボット分野などへ注力します。これらは、いずれも限りあるヒト・モノを効率的に配置することで温室効果ガス削減に貢献します。
c.リスク管理
i.気候関連リスクのマネジメントプロセス
日本信号グループでは、気候関連の以下のリスクに関して、選別・評価・管理し、全社環境委員会で妥当性を審議し、取締役会に報告しております。
・移行リスク(政策規制、市場、技術、利用者の行動変化)
・物理的リスク(自然災害、感染症、気温上昇)
ⅱ.気候関連のリスクマネジメント評価プロセス
1.5℃シナリオ、4℃シナリオのリスクに対して、短期・中期・長期について、通常の他のリスクと同じように、「発生確率×被害の大きさ」で重大度を判断し、それに合わせて対応の緊急性を判断いたします。
ⅲ.気候関連のリスクを軽減、移転、受入または制御する意思決定プロセス
全社環境委員会(特に重要な事項は取締役会)で意思決定が行われた後、日本信号グループの各サイトに指示されます。各サイトの環境委員が中心となり、各サイトで具体的な意思決定が行われます。サイト間の調整、及び各サイトの意思決定の報告は、環境事務局会議(TQM推進部が事務局)で行われます。各サイトの意思決定の結果は環境委員から各部門に周知されます。
d.指標及び目標(ライフサイクルCO2排出量)
日本信号グループは、SBTのScope1~3に則り、温室効果ガス削減に取り組みます。Scope3については、カテゴリ別の排出量測定を行い、特に自社製品の使用と廃棄に関する温室効果ガスの削減を、設計の上流から活動として取り組みます。具体的には、製品ライフサイクル全体で、政府目標である2030年温室効果ガス46%削減(2013年比)、2050年カーボンニュートラルに取り組みます。
Scope1:燃料の燃焼や工業プロセスにおいて、企業自身が直接排出した温室効果ガス排出量
Scope2:電力会社などの他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1にもScope2にも該当しない温室効果ガスのことで、事業活動全体
で生じる間接排出、具体的にはサプライチェーンで排出するCO2
また、当社グループは2005年度から環境行動計画を策定し、環境負荷の低減に取り組んでいます。
「第5期環境行動計画(2019年度~2021年度)」を見直し、現在は「第6期環境行動計画」を推進しております。
環境目標 | 環境指標 | 2022年度目標 | 2022年度実績 |
脱炭素 | ①エネルギー使用量の | 1%以上/前年度比 | 5.3% |
②グリーンエネルギー調達 比率 | グループ:20%以上/年 | 38.5% | |
③業務改善での環境への 貢献 | 目標達成100% | 6サイト達成 | |
産業廃棄物排出量 の削減・分類 | ①産業廃棄物排出量の削減 | 前年度原単位比0.5%削減 | 18.7% |
②産業廃棄物の分類 | 目標達成100% | 5サイト達成 | |
環境に関わる社会貢献 | ①地域環境活動の推進 | 4回以上/年・各サイト | 全サイト達成(計148回) |
②環境・SDGsに関する 教育 | 4回/年 | 4回実施 | |
商材 | ①(日本信号)製品/ システムのCO2排出量 | 算出式検討 | SBT Scope 3 |
- 検索
- 業種別業績ランキング