日本カーバイド工業 【東証プライム:4064】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループのミッションは「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する。」であり、この精神をベースに「キラリと光る、価値ある企業グループ」となることを目指しています。
このビジョンを実現するために、「私たちが大切にする価値観」として、
・誠実であること Sincerity
・奉仕すること Service
・協力すること One-NCI
・創造すること Innovation
を掲げています。
(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
中期経営計画「NCIキラリ2025」の進捗状況
当社グループを取り巻く経営環境は、利上げによるインフレ抑制策の継続や、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、原燃料価格の高止まりなど、依然として先行き不透明な状況にあります。
このような経営環境の下、2022年5月、当社グループは、長期的な視点から2030年のありたい姿を「サステナブルな社会に貢献する、キラリと光る企業グループ」と定め、中期経営計画「NCIキラリ2025」を策定しています。基本方針を「キラリ=One&Only」の追求とし、キラリと光る技術を究め、キラリと光る製品を提供することで、サステナブルな社会に貢献し、サステナブルな成長を実現します。
<財務目標>
2025年度財務目標として、売上高620億円、営業利益70億円、ROE12%以上、D/Eレシオ0.5倍以下を掲げています。
13ページの主要課題への対応を確実に実行していくことで、2024年度の業績予想の達成と成長軌道への回帰を図りますが、市況回復時期等により2025年度財務目標達成は後ろ倒しとなる可能性もあります。
<戦略市場分野業績>
2023年度の「エレクトロニクス」戦略市場での売上高は前連結会計年度比マイナス20.5%となる31億円、「セーフティ」戦略市場での売上高は前連結会計年度比プラス15.2%となる91億円、戦略市場全体での売上高は前連結会計年度比プラス3.5%となる122億円となりました。
総売上高に占める戦略市場分野での売上高比率は28%です。戦略市場全体での営業利益は15億円となりました。
2024年度においては、「エレクトロニクス」戦略市場での売上高は前連結会計年度比プラス42.6%となる44億円、「セーフティ」戦略市場での売上高は前連結会計年度比プラス32.3%となる120億円、総売上高に占める戦略市場全体での売上高は前連結会計年度比プラス34.3%となる164億円、総売上高に占める戦略市場全体での売上高比率は33%と予想しています。2025年度に戦略市場分野全体として売上高250億円、総売上高に占める戦略市場全体での売上高比率は40%を目指します。
(進捗状況 戦略市場分野 売上高)
(進捗状況 戦略市場分野 営業利益)
<戦略市場分野新製品比率>
当社グループでは、戦略市場分野を中心とした新製品開発を進めています。
戦略市場分野での売上高に占める新製品の比率は、2023年度は30%、37億円の売上高となりました。2024年度には31%、52億円の売上高を計画しており、2025年度には35%以上、90億円の売上高を目指します。
<主要課題と対応>
セグメント | 分野 | 主要課題 | 2025年度に向けた対応 |
電子・ 機能製品 | 戦略市場 分野 | ●半導体材料用化学品を中心とした高付加価値品の拡販 ●中国市場での半導体用金型クリーニング材などの拡販 | ●お客様との技術交流による新たなニーズの発掘 ●中国拠点でのお客様サポート体制強化による市場拡大への対応 |
非戦略市場 分野 | ●中国市場での光学用粘着剤などの拡販 | ●国内での研究開発バックアップ体制と中国でのテクニカルサービスの強化 | |
フィルム・ シート製品 | 戦略市場 分野 | ●次世代高機能フィルムでの新規ビジネス拡大 ●日本市場でのナンバープレート向け製品の拡販 | ●多層広幅フィルム製造設備による自動車や二輪車、エレクトロニクス分野向け高機能製品の市場投入 ●ナンバープレート向け製品の品質向上と安定供給 |
非戦略市場 分野 | ●米国でのグラフィック市場向け反射シートの拡販 | ●大手ディストリビューターとの連携 ●粘着性能の向上による多様な基材への対応 | |
建材関連 | 戦略市場 分野 | ●超高層ビル向け高強度高機能手すりの拡販 | ●高層階での高い安全性を有する製品設計を武器に差別化 |
非戦略市場 分野 | ●EV車用カーポート製品の拡販 ●LED照明製品(手すり・笠木)の店舗・商業施設などへの拡販 | ●お客様ニーズの探求による製品の高付加価値化 | |
エンジニア リング | 戦略市場 分野 | ●カーボンニュートラルトランジションでの事業機会獲得によるビジネス拡大 | ●長年培った粉体搬送技術を武器にお客様ニーズへの対応推進 |
非戦略市場 分野 | ●EPC事業(Engineering:設計 Procurement:調達 Construction:建設の3工程を一貫して引き受ける事業)の拡大 | ●施設内常駐によるお客様との協力関係強化 |
<SDGs経営の推進>
当社グループでは、中期経営計画「NCIキラリ2025」の中で、SDGs経営を重要な経営課題と捉え、当社ミッション「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する」の実現と関わりが深く、SDGs貢献へ繋がる以下の5つのマテリアリティを設定しております。
これまで培ってきた技術を究め、融合させることで、価値ある製品を広く提供し続けるとともに、下記マテリアリティの実現により持続的な企業価値の向上と、持続可能な社会の実現を目指しています。
2023年度は従来のプロジェクト組織から発展的に代表取締役社長を委員長とするSDGs推進委員会へ移行し、マテリアリティの実現に向けた取組み強化を図っております。同委員会で協議した内容は、定期的に取締役会へ報告を行い、議論、進捗管理を行っています。
カーボンニュートラルの実現に向けた取組み
当社グループでは、地球温暖化防止の取組みとしてGHG(※)排出量を削減し、カーボンニュートラルの実現を目指します。太陽光発電などによる再生可能エネルギーの利用や、プロセス効率改革の推進、排熱の回収・再利用、燃料の転換、省エネ機器への切替え、グリーン電力への転換などの取組みを推進し、カーボンニュートラルの目標として2030年度にGHG排出量を2013年度比46%削減、2050年にカーボンニュートラルを目指しています。
※Greenhouse Gasの略。CO₂を含む温室効果ガスの総称。
従業員のやりがいと満足度向上に向けた取組み
当社グループでは、人材が全ての事業活動の礎であるとの考えのもと、多様な人材が集まり、従業員一人ひとりが、自分の仕事に自信と誇りを持ち、お互いが協力することで、能力の最大限発揮と、シナジー創出により、成長を実感しながら活躍できるよう職場環境の整備、多様な人材の確保、人材育成、キャリア開発などに積極的に取り組んでいます。
具体的には、「事業リーダーやグローバルリーダーの計画的な育成」、「優秀な人材確保と確実な人材育成」、「新たな取組みに挑戦し、OneNCIでやり遂げる組織風土の醸成」、「従業員が十分に能力を発揮できる働きやすい職場環境の整備」を着実に実行していきます。これらの人材戦略を実行することを通じて、従業員のやりがいと満足度向上を図ってまいります。
<DX推進の取組み>
当社グループでは、中期経営計画「NCIキラリ2025」の中でDXグランドデザインとそのロードマップを示しています。2023年度は、DX推進のための専門組織を設置し、「デジタル活用の基盤構築」実現に向けて取り組んできました。
DXグランドデザインとして「マネジメント」「セールス」「プロダクション」「R&D」「バックオフィス」というカテゴリを設定しており、マネジメントであれば、経営スピードを重視したリアルタイムでの経営指標の見える化、プロダクションであれば、スマートファクトリーの実現を目的とした設備状況の見える化や協業ロボットの導入などが進んでいます。また、R&Dでは散在しているデータを一元管理し、蓄積されたデータを活用することで、研究開発のスピードアップを目指す取組みとして、新しく研究プラットフォームを構築し、スモールスタートさせていましたが、2024年5月にはこれを研究部門全体で利用開始しています。
引き続き、DXの推進により競争力強化を図り、中期経営計画達成に向けた取組みを進めてまいります。
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