日本カーバイド工業 【東証プライム:4064】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、長期的な視点から2030年のありたい姿を「サステナブルな社会に貢献する、キラリと光る企業グループ」と定め、中期経営計画「NCIキラリ2025」を策定いたしました。その中で、サステナビリティ経営としてSDGsを重要な目標と捉え、当社ミッション「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する」の実現と関わりが深く、SDGs貢献へ繋がるマテリアリティを設定しました。
これまで培ってきた技術を究め、融合させることで、価値ある製品を広く提供し、マテリアリティの実現により持続的な企業価値の向上を図るとともに、持続可能な社会の実現を目指していきます。
(1)ガバナンス
マテリアリティの推進に向けては、代表取締役社長をプロジェクトリーダー、執行役員を兼務する取締役をサブリーダーとするSDGs推進プロジェクトを立上げ、具体的な目標、KPI、方策、計画等の検討を実施し、その内容は取締役会へ報告、提言しております。
2023年度は発展的に代表取締役社長を委員長とするSDGs推進委員会を設置し、マテリアリティの実現を含め、サステナビリティ経営に取組んでまいります。
同委員会で協議した内容は、定期的に取締役会へ報告を行い、議論、進捗管理を行います。
(2)リスク管理
サステナビリティ全般のリスク重要課題は、経営企画部を事務局とするリスク管理委員会にて適切に対処する体制を整備しています。
リスク管理委員会において、毎年重要なリスクを特定し、対処すべき担当部門を決定します。リスク管理委員会は年4回開催し、各課題について、担当部門より対策、行動計画、進捗等の報告を受け、全執行役員が出席する会議等での審議を経てリスクの低減を図っております。
取締役会は、リスク管理委員会から年2回報告を受ける等、リスク管理委員会を監督する立場にあり、リスク管理の基本方針、重要リスクの特定、重要施策の決定、施策のモニタリングや改善指示などリスク全般についての活動に関与しております。
(3)気候変動対応について
当社グループでは、サステナブルな社会の実現に向け、5つのマテリアリティを設定しておりますが、その中でも気候変動(カーボンニュートラルの実現)への対応が最も重要であると認識しており、TCFDに則り開示しております。
① ガバナンス
気候変動関連の課題については、リスク管理委員会にて議論の上、取締役会へ定期的に報告を行います。
リスク管理委員会では、気候変動対応の実務レベルでの協議・対応組織としてTCFD推進チームを設置し、適切に対処する体制を整備しています。
取締役会では、報告を受けモニタリングを行い、気候変動対応及びGHG削減目標の設定、達成に向けた活動を継続的に監督しております。
② リスク管理
上記サステナビリティについての考え方と取組 (2)リスク管理をご参照ください。
③ 戦略
当社グループは、気候変動の影響と緩和や気候変動関連の課題解決に貢献することを通じて社会とともに持続的に成長することを目指しており、気候変動対応を重要なサステナビリティ課題と認識しています。
気候変動による影響については、平均気温上昇「4℃」と「2℃未満」のシナリオにてリスクと機会を検討しました。
その結果、リスクとして、炭素税の導入、エネルギーコストの増加、再エネ・省エネ設備への投資の増加、自然災害の激甚化による設備への損害等を認識しました。また、機会として、脱炭素化設備やゼロカーボンスチールの需要増加、EV関連需要の拡大、水素燃料製造設備の需要増加等を認識しました。
当社グループでは、今後も温暖化施策の変化などに適時に対応してリスクの軽減を図るとともに、更なる気候変動の影響緩和に貢献する取組みを通じて、持続的成長と企業価値向上を目指します。
なお、識別したリスクと機会の概要については、以下をご参照ください。
種別 | 内容 | 影響度 | 対応 | |
移行 リスク | 政策・規制 | 炭素税の導入によるエネルギーコスト、原材料コストの増加 | 中 | 省エネ活動の積極的推進 太陽光発電の導入 再生可能エネルギーへの転換 サプライヤーとの協働によるScope3の削減 価格への転嫁 |
GHG削減目標達成のための設備投資等の対応コストの増加 | 投資計画の策定 | |||
市場 | ・主要製品に関する新製法の確立に向けた先発メーカーとの技術面、コスト面での競争激化 ・エネルギー価格上昇による物流コストの増加 | 中 | ・左記リスクを念頭に置いた新製法の検討、確立 ・配送業者へのEV車導入働きかけ配送方法の見直し | |
技術 | ・新たな省エネ・再エネ技術の導入による対応コストの増加 ・新技術への研究開発費用等の増加 | 中 | コストダウンの同時検討 | |
評判 | 取引先企業の意識向上に伴い、GHG削減の遅れによる製品需要の減少 | 小 | GHG削減目標の達成 | |
物理的 リスク | 慢性 | ・平均気温上昇による冷房コストの増加 ・洪水による生産拠点の浸水やサプライチェーンの寸断 | 大 | ・冷房効率のアップ(機器の切替等) ・リスクエリアの把握と対策検討 |
急性 | 異常気象が激甚化し、洪水発生による生産拠点の浸水 | 大 | 各拠点の災害レベル想定 各レベルに即した防災対策の検討、強化 | |
機会 | 資源効率 | 新たな省エネ・再エネ技術の導入によるエネルギーコストの減少 | 中 | 積極的な導入による競争力アップの実現 |
評判 | 環境側面での付加価値の高い製品ラインナップへの切替えによる販売増 | 中 | タイムリーな製品開発 需要に対応できる生産能力の準備 | |
製品・ サービス等 | ・EV関連需要増加 ・全個体電池の需要増加 ・脱炭素化設備やゼロカーボンスチールの需要増加 ・水素燃料製造設備の需要増加 | 中 | タイムリーな製品開発 需要に対応できる生産能力の準備 |
④ 指標及び目標
当社グループはGHG排出量削減目標を以下のとおり定めております。
2030年度 GHG排出量 46%削減(2013年度比) (Scope1,2)
2050年度 カーボンニュートラルの達成 (Scope1,2)
<Scope1+2> (tCO2)
2013年度 111,170
2021年度 88,779
2022年度 78,905
2030年度 60,000以下 (目標)
なお、Scope3排出量については、昨年度より算定作業を進めております。
(4)人的資本
① 戦略/人材育成、社内環境整備方針と取組み状況
当社グループでは、人材が全ての事業活動の礎であるとの考えのもと、多様な人材が集まり、一人ひとりが能力を最大限発揮して当社グループとともに成長して活躍できるように、職場環境の整備、多様な人材の確保、人材育成、キャリア開発などに積極的に取組んでおります。具体的には、次世代経営者人材、グローバルで活躍できる人材、一流人材を目指した若手社員の育成に力を入れるとともに、ニューノーマル時代の働き方への対応、女性管理職比率の目標設定やジョブリターン制度導入により、多様な人材が集まり、働きやすい職場環境の整備などに取組んでおります。
1) 次世代経営者育成プログラム
将来、経営者として活躍できる人材、多様性ある人材を育成することを目的として、次世代経営者育成プログラムを実施しています。4段階の階層別の研修等により、計画的に人材育成・選抜を行っており、最終的に企業経営のできる人材を育成します。このプログラムでは、座学だけでなく、職場実践と連動させることで、有効な経験から学びを得ることを重視しています。例えば、最終段階(STEP4)の次世代経営者層に対するプログラムにおいては、選抜されたメンバーが経営視点で変革課題に取組み、社長執行役員による個別メンタリング、取締役会メンバーへの報告会などを実施しながら、3年間で経営人材を育成することを目指しております。
2) グローバル人材育成制度
グローバルで活躍できる人材を育成することを目的として、グローバル人材育成制度を実施しています。海外勤務に対する意識の高い人材や適性が認められる人材の中から対象者を選抜し、グローバルマインド、スキル・知識等を習得させます。
3) 若手社員育成制度
若手社員が一流人材に成長することを支援するため、若手社員育成制度を実施しています。個別に1年間の育成計画を作成し、教育責任者により日常のテーマ指導を行っています。また、経営も含め、会社全体で責任を持って若手社員を育成していく方針により、年に1回、若手社員には1年間の成果を、教育責任者には育成方針や育成計画の進捗状況を執行役員に報告させています。執行役員は若手社員の成長を確認するとともに、若手社員、教育責任者に対して、必要な助言、指導を行い、育成力の強化に取組んでおります。
4) ニューノーマル働き方ワークチームの提案活動
2021年にニューノーマル時代に勝ち進んでいける働き方について、若手社員に主体的に提案させることを目的として、ニューノーマル働き方ワークチームの提案活動を実施しました。社内公募により意欲ある若手社員が参集し、ニューノーマル時代に勝ち進んでいける働き方について考え、議論し、その成果を執行役員に提案しました。その提案などにより、自律的で多様な働き方のできるよう、取組みを進めています。2022年度の具体的な取組み事例は次のとおりです。
(ジョブ・リターン制度)
当社を退職した社員を再度採用することのできる「ジョブ・リターン制度」を導入しました。結婚や育児、介護などのやむを得ない理由による退職者を再度採用することでワークライフバランスの推進を図ります。また、それ以外の通常の退職者も対象とすることとしており、採用募集の間口を広げるとともに、当社や他社での業務経験により、業務に習熟した人材を採用することで、採用力を強化していきます。
(社内フリーエージェント制度、社内公募制度)
社員が希望する仕事に就けるようにし、仕事に対する納得感を高め、やりがい向上や適材適所の人材配置を実現することを目的として、2023年度より、社内フリーエージェント制度、社内公募制度の運用を開始します。
(自律的、効率的な働き方の推進)
社員が自律的に「働く時間帯」や「働く場所」を決めて、より効率的に働くことのできるように、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入しています。自律的、効率的な働き方を推進することで、社員のモチベーション向上、社員の生産性を高めることにより、組織全体の生産性向上を目指しております。
5) 職場改善活動の実施
職場をより良くしていくこと、チャレンジする風土に変えていくこと、職場のコンプライアンスや安全に対する意識を向上させること等を目的に職場改善活動を実施しています。従業員満足度調査の結果等に基づき、職場単位のミーティングを開催し、職場が抱える課題の整理と対策の検討を行い、行動計画に則って、取組みを実施しています。従業員満足度調査と職場単位のミーティング、職場改善活動の取組みを継続することにより、より良い職場環境の実現や従業員満足度の向上を目指しております。
6) 人事考課制度の改善
チャレンジする風土の醸成を目的に人事考課制度の改定を行いました。当社では人事考課制度に目標管理を取り入れており、目標の達成度だけでなく、目標の難易度、努力・工夫、貢献度を加点できる仕組みとしています。2022年度より、困難な目標にチャレンジすることを評価するため、難易度の加点を引き上げる等の制度改善を実施し、運用を開始しました。
② 指標及び目標/多様性確保の現状と自主的かつ測定可能な目標設定
当社グループでは中期経営計画の重要課題の1つとして、「多様性の推進」を掲げて、女性、外国人、中途採用者をはじめとした多様な社員一人ひとりの個性を尊重し、活用する取組みを進めてまいります。
・女性社員の管理職への登用
当社グループの社員に占める女性比率は41%(前年41%)、管理職に占める女性比率は13%(前年13%)です(注)。また、当社の社員に占める女性比率は14%(前年14%)、管理職に占める女性比率は2.4%(前年2.6%)です(注)。管理職の女性比率の向上を図るべく、以下の目標とアクションプランを策定し、取組んでいきます。
(注)本年は2022年12月末時点、前年は2021年12月末時点の比率をそれぞれ記載しております。
(女性管理職比率(目標))
-2025年度当社グループは15%以上、当社は5%以上
-2030年度当社グループは20%以上、当社は10%以上
(アクションプラン)
-新規採用時の女性社員比率を高め、国内は30%以上を維持し、また、経験豊富な女性のキャリア採用を積極的に推進することで、管理職や管理職候補者の拡大を図ります。
-産休・育休、介護休業や時短勤務などの既存制度の利用促進や改善、男性の育児休業推進により、更なるワークライフバランスの向上を図ります。
-2022年度、当社を退職された方にもう一度当社で活躍していただく「ジョブ・リターン制度」を導入しました。結婚や育児、介護などのやむを得ない事由で退職した社員を再採用することなどにより、女性社員のキャリア支援の充実を図ります。
・外国人社員の管理職への登用
当社グループには13の海外子会社があり、各社で日本人以外の外国人を中核人材に登用することで、多様性を確保しております。当社グループの管理職に占める日本人以外の外国人比率は34%(前年36%)です。引き続き本水準を維持・向上できるよう取組みを継続していきます。
・中途採用者の管理職への登用
当社グループの管理職に占める中途採用者の比率は46%(前年50%)です(注)。また、当社の管理職に占める中途採用者の比率は24%(前年23%)です(注)。現在も中途採用者を積極的に中核人材に登用しており、今後も中途採用をより強化することにより、中途採用者の管理職比率を維持・向上できるよう取組みを継続していきます。
(注)本年は2022年12月末時点、前年は2021年12月末時点の比率をそれぞれ記載しております。
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