日本エスコン 【東証プライム:8892】「不動産業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)会社の経営の基本方針
私たちは、日々をいかに生き、どのように社会参加するべきか、そして、社会貢献を通じて、どのような果実を社会にもたらし、その結果としていかにして私たち一人一人が望む幸福を実現することができるのか。この命題に対する回答を得るために、社員相互が助け励まし合い、それぞれが目指す個性的な「自己実現」への階段を大真面目に上って行けるフィールドを提供し続けることこそが、日本エスコングループが考える経営理念であります。この経営理念の実現のため、以下の経営方針を掲げ、その具現化に向け邁進しております。
①情報力、企画力、商品開発力により、不動産が持つ無限の可能性を引出し顧客に心から満足いただける新たな価値を創造する。
②ROA及びキャッシュ・フローとリスクの徹底管理を主軸とした守りに強い業務管理を行うことにより、常に先手を取った攻めのできる経営を目指す。
③急速に変化する社会において迅速な対応力と機動力を維持するため、少数精鋭のプロ集団を目指す。
④社内社外を問わず常に同僚(他社)を敬い、感謝し、優良な協力関係を維持、構築する。
⑤コンプライアンス及びガバナンスを意識して内部監査制度を充実させるとともに、ボトムアップの風通しの良い組織形成を行う。
(企業ブランディングコンセプト)
IDEAL to REAL ~理想を具現化し、新しい未来を創造する~
ハードの開発だけではなく、そこで暮らす人たちの幸せを思い描き、暮らしそのものを開発すること、それこそが、私たちが目指すべき「ライフ・デベロッパー」であります。これまでの前例や既成概念にとらわれることなく新しい姿勢で、「新しい豊かさ」を創造し、人と人、地方と未来をつないでいくことを目指しております。不動産の持つ無限の可能性を探り、理想を具現化してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
2021年2月に第4次中期経営計画「IDEAL to REAL 2023」を策定し、「想定外の経済環境の変化に耐えうる事業基盤の確立」と「収益構造の変換と事業領域の拡大を同時実現」を経営戦略とし、計画達成に向け事業を推進しております。
初年度である2021年度は、株式会社ピカソ及び同社グループ会社7社(以下(ピカソグループ」といいます。)の子会社化等により安定した賃貸収入確保による収益構造の「転換」を一気に実現し、中期経営計画の最終年度である2023年12月期の賃貸利益割合等の経営指標の一部を修正しております。
修正した第4次中期経営計画「IDEAL to REAL 2023」の詳細は下記のとおりとなります。
1.経営戦略基本方針
・想定外の経済環境の変化に耐えうる事業基盤を確立する。
いかなる経済環境下においても資金調達力を維持することができる、堅固な事業及び財務基盤を確立させること。
・収益構造の変換と事業領域の拡大を同時に実現する。
不動産賃貸事業の拡大により、フロー収益重視からストック収益重視への収益構造の転換を図ると同時に、事業の多様化及び事業展開地域の拡大を実現させること。
2.基本方針 「転換&飛躍」
「転換」
・長期収益不動産への積極投資、BS構造の改善
・フロー重視の経営からストック重視の経営へと転換
「飛躍」
・中部電力グループシナジーの発展
・売上高1,100億円、営業利益160億円の達成(中期経営計画最終年度)
3.経営戦略
・持続的かつ安定収益構造への転換
・事業の多様化、エリア戦略による既存コア事業の安定成長
・事業の多様化、エリア戦略による新規事業のコア化
・新領域の挑戦
・日本エスコングループシナジー強化
・5大都市を中心とした拠点拡大
・中部電力グループシナジー強化
・ESGの推進
4.業績計画
(単位:百万円)
| 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | |||
| 実績 | 実績 | 期初計画 | 期初計画比 差異 | 増減率 | 計画 |
売上高 | 79,017 | 99,431 | 100,000 | △568 | △0.6% | 110,000 |
営業利益 | 10,381 | 15,492 | 14,000 | 1,492 | 10.7% | 16,200 |
5.経営目標
| 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | ||||
実績 | 実績 | 計画 | 計画比 増減率 | 修正計画 (注)4 | 当初計画 | 当初計画比 増減率 | |
賃貸利益割合 (注)1 | 21.2% | 21.5% | 26.0% | △4.5% | 30.0% | 26.0% | 4.0% |
ROE (自己資本利益率) | 11.8% | 11.3% | 13.0% | △1.7% | 13.0% | 13.0% | - |
ROIC (投下資本利益率) (注)2 | 3.2% | 4.6% | 4.0% | 0.6% | 4.0% | 4.0% | - |
自己資本比率 | 24.8% | 25.0% | 23.0% | 2.0% | 21.0% | 23.0% | △2.0% |
長期収益不動産割合 (注)3 | 20.6% | 19.5% | 21.0% | △1.5% | 23.0% | 18.0% | 5.0% |
純資産額 | 626億円 | 641億円 | 673億円 | △31億円 | 720億円 | 720億円 | - |
(注)1 賃貸利益割合:賃貸セグメント利益/セグメント利益合計(調整額除く)
2 ROIC(投下資本利益率):税引後営業利益/(株主資本+有利子負債)
3 長期収益不動産割合:固定資産計上の賃貸収益不動産/総資産
4 第4次中期経営計画初年度に投資計画の前倒し進捗や安定した賃貸収入確保による収益構造の「転換」を一気に実現し、2023年12月期の「賃貸利益割合」「自己資本比率」「長期収益不動産割合」の計画を2022年3月25日に修正しております。
6.投資計画
(単位:百万円)
| 2021年 12月期 | 2022年 12月期 | 2021年・2022年累計 | 2023年 12月期 | 3ヶ年 累計 | ||||
| 実績 | 実績 | 実績 | 計画 | 計画比 差異 | 増減率 | 修正計画 | 当初計画 | 計画 |
収益不動産 への投資額 | 76,799 | 10,808 | 87,607 | 70,000 | 17,607 | 25.2% | 65,700 | 60,000 | 130,000 |
その他開発 への投資額 | 19,191 | 26,103 | 45,294 | 55,000 | △9,705 | △17.6% | 22,300 | 35,000 | 90,000 |
グロス投資額 | 95,990 | 36,911 | 132,902 | 125,000 | 7,902 | 6.3% | 88,000 | 95,000 | 220,000 |
7.配当政策
当社は株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つと考え、業績の状況、内部留保の充実並びに配当性向等を総合的に勘案・決定し、継続的かつ企業の成長力に応じた安定的な利益還元に努めることを基本方針としております。
第2次中期経営計画より、1株当たり配当額(DPS)を前年度の1株当たり配当額(DPS)を下限として、原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」とする累進的配当政策を導入しており、第4次中期経営計画においても累進的配当政策を継続しております。
本中期経営計画期間中、1株当たり配当額は38円以上を維持いたします。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
企業を取り巻く経営環境は、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大がこれまでの生活様式や企業活動にとって大きな変容の機会となったことで、「ニューノーマル」な時代として急速にかつ大きく変化し続けています。ワクチンの普及や各国による対策等により、行動制限は緩和され社会経済活動が正常化しつつある一方で、直近ではウクライナ情勢の悪化、円安の進行、これらに端を発した物価上昇等、今後の経済動向を大きく左右する事象が発生しております。また、地球温暖化、少子高齢化、人口の減少、ジェンダー問題、格差問題、地政学的リスク等様々な社会課題や、あらゆる分野におけるDX、激化する産業の境界を超えた競争等に対応することが急務になっていることに加え、顧客消費行動や価値観は常に早いスピードで変化し続けており、企業の持続的成長のためには、事業活動を通じたお客様や社会へ真の価値提供が常に求められる事業環境にあります。
当社グループが、このように急激な多様化、変革が続く環境に対応し、社会貢献を通じた持続的成長を実現するためには、これまでの前例や既成概念にとらわれることのない柔軟な新しい発想で事業展開を行い、地域活性化に寄与することに加え、強固な財務基盤のもと安定した経営を行い、お客様の満足を糧に確実に成長していくことを方針とし、なによりもそこに暮らす人たちの幸せを思い描き、理想を具現化し未来を創造する、暮らしそのものを開発する「ライフ・デベロッパー」を目指し続ける必要があります。
住宅開発、商業開発、物流開発、賃貸事業、オフィス開発、ホテル開発、海外事業、企画コンサルティング、施設運営管理、資産運用、納骨堂事業、不動産クラウドファンディング事業といった不動産ビジネスの多面的な展開により、常に事業の最適バランスを見据えた展開を行い、いかなる経済環境にも耐えうる強固な経営基盤を確立する必要があります。また、持続的な成長の実現には組織力を強化していくことも重要課題であると捉え、社員又は社員が持つ知識、技能、資質等である「人的資本」のさらなる充実が重要であることを認識し、人材育成方針等の策定や教育・研修体系構築、さらには人的資本に係る情報開示等の準備に着手しております。
引き続き企業価値の最大化、株主様へのさらなる還元を行うことにより、他にはないオンリーワンの企業を目指してまいります。
具体的な課題としては次のとおりであります。
①経営管理体制
一定の利益を確保できる土地の価格には当然上限があり、適正な価格での仕入れがもっとも重要な課題の一つであります。良質な用地の仕入れを行うためには、優秀な人材の確保と育成、情報ルートの常なる強化や拡大、他社とのアライアンスの模索、迅速な判断、慎重かつ大胆な決断が必要となります。また、業界特性として、用地仕入れ等を通じて借入残高が大きくなる傾向にあることから、金利上昇環境においては予定した利益計画に差異が出ることも予想され、資金調達コストの低減や方法の多様化、キャッシュ・フローの改善等を強化しつつ、強固な財務基盤を引き続き構築していくことが必要となります。
また、当社の連結子会社である株式会社エスコンアセットマネジメント(以下「EAM」といいます。)は、2022年7月に金融庁より業務停止命令及び業務改善命令の行政処分を受けております。グループ全社で法令遵守態勢及び内部管理態勢の強化、コンプライアンス経営のさらなる推進をしていくことが当社グループ全体の重要課題と認識しており、着実に体制強化を推進いたします。
②自社独自体制の強化
不動産はひとつとして同じ形状、立地のものはありません。立地特性を最大限活かすとともに、その地域、エリアに住む方々や当社が開発する住宅に住まわれる方々、施設等を利用する方々にとって、理想の住宅、まち、生活環境を提案、提供していくことが当社グループのミッションであると考え、単なる住宅や施設という空間を創るだけではなく、より豊かな暮らしを提案する「ライフ・デベロッパー」であることを目指し、具現化に取組んでおります。
分譲マンション開発を推進していくにあたり、仕入、企画、販売の担当それぞれが一連のプロジェクトとして最初から最後まで関わり「三位一体」で取組む事業体制をとっております。ファミリー層を中心とした実需で購入いただくお客様目線で、将来に渡る住み心地を追求し、画一的ではなくその地にあったお客様のニーズを創造するものづくりを特徴としております。直近においては、都心や自然豊かな希少立地での付加価値の高い商品企画、賃貸マンションの開発等にも注力しております。
商業開発については、地域コミュニティに根差した「暮らし密着型」の商業施設を中心に開発を行い、地域活性化に寄与できるよう事業展開を行っております。
当社の開発コンセプトは比較的容易に特徴を出すことができる仕様やデザインだけではなく、土地の取得段階や基本設計(企画)の段階でプロジェクトの規模や供給戸数を追求するのではなく、常に最適な企画は何なのかを追求いたします。当社の強みであるこの体制を維持し、強化することにより、いかなる事業環境においても優位性を保つことができるよう、常に危機意識を持ち事業を推進してまいります。
③新たな取組み
経済環境のいかなる変化によっても、自己保有が可能なNOI基準を設定・遵守し、案件の取得開発を実行するとともに、積極的に次世代を見据えた取組みに着手し、事業領域を拡大しております。
不動産販売事業については、分譲マンション、商業施設開発を中核事業に、物流施設、オフィス、ホテル開発、街を再生させる土地区画整理事業等、マーケット動向を見据えながら多様な開発領域で事業展開しております。
不動産賃貸事業については、第4次中期経営計画における経営戦略基本方針である「フロー収益重視からストック収益重視への転換」のもと賃貸事業を重点的に推進しており、2021年に優良な賃貸収益不動産を多数保有するピカソグループを子会社化しております。後継者不在等の課題を抱え事業承継をお考えの会社様等との協議を通じた市場に出てこないM&A案件についても検討を行い、収益構造の安定化に引き続き注力してまいります。
また、2021年4月に中部電力株式会社(以下「中部電力」といいます。)の連結子会社となったことにより、中部圏での事業拡大、同社グループとの複数の共同事業着手等、着実にシナジー効果を発揮しております。当社のまちづくりのノウハウと中部電力グループが持つエネルギーマネジメントの知見を掛け合わせ、「新しいコミュニティの形」の実現を目指し、都心・駅前の大型再開発、大型まちづくりにも取組んでまいります。
さらに、不動産を開発するだけでなく、連結子会社である株式会社エスコンプロパティにおいて、不動産の付加価値を一層高めていくプロパティマネジメント事業にも注力するとともに、不動産の利用形態に適合するオペレーション機能を有する唯一無二の総合デベロッパーとしての地位を確立するため、連結子会社である株式会社エスコンリビングサービスにおいて、不動産オペレート事業の充実による不動産開発力の幅と奥行きの拡大を図ってまいります。
次代を見据えた取組みとして、海外投資事業を着実に進捗させているほか、都市型納骨堂の永代使用権の販売事業を推進するとともに、2022年1月には不動産クラウドファンディング事業を手掛ける企業のM&Aを実行し、事業領域の幅と質を向上させています。
④中長期的な取組み
現在推進する第4次中期経営計画「IDEAL to REAL 2023」において経営戦略の一つに掲げている「ESGの推進」を強化してまいります。2030年の新たな温室効果ガス排出量削減や2050年のカーボンニュートラル等国全体での気候変動に対する取組みは当社グループにとっても経営上の重要な課題と捉えております。さらに、持続可能な開発目標であるSDGsについても事業を通じて着実に貢献してまいります。
人々が暮らす街、住まい、空間を提供する当社グループは、多様な人々が様々なライフスタイル、働き方、住まい方を選択でき、安全に安心して、生き生きと生活できる活力ある環境、環境性能の高いサステナブルな街づくりを推進してまいります。
また、経営の透明性、公正性を高め信頼されるガバナンスの効いた企業を目指すとともに、人権を尊重し、多様な人材が活躍できるよう人的資本経営を加速させていくとともに、健康経営についても強化し、企業の社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
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