日亜鋼業 【東証スタンダード:5658】「鉄鋼」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)経営の基本方針
当社グループは、線材加工製品の総合メーカーとして、時代と環境の変化に柔軟に対応しながら、和親協同・信用保持・創意工夫の社是の下、株主や取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーの負託と信頼に応えて、当社グループの健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図り、社会の発展に貢献していく。
(2)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
わが国経済は、緩やかに回復しながらも、地政学的リスク、中国や欧米の景気動向、為替相場等の要因により、依然として先行きが不透明な状況が続く見通しにある。
鉄鋼業界では、鉄鋼原料価格と国際鋼材市況の乖離が進行している。経済が成長するインドの原料炭購入増や、過剰生産下にある中国の鉄鉱石需要の高止まりのため、鉄鋼原料価格が上昇する一方で、内需減退下の中国からの鋼材輸出増により、東アジアの鋼材市況が低迷している。
線材加工製品業界においては、普通線材製品は、フェンス及び土木の二大需要分野で大幅な好転が望み難い状況にあり、特殊線材は自動車分野の一層の回復が想定されるものの、電力通信分野の需要は低調に推移する見通しである。鋲螺線材製品は、資機材高騰や人手不足等の影響を受けた中小物件停滞の継続が当面予想されるものの、大型物件を中心に一定量の出件が見込まれる状況にある。
一方で、コスト面では、鉄鋼原料市況の上昇を受けて、主原料メーカーから線材ロッドの大幅な値上げ要求を受けていることに加え、2024年問題に起因する物流費や政府の負担軽減策の終了によるエネルギー費の上昇等を余儀なくされる見通しにある。
当社グループとしては、こうした事業環境や鉄鋼市場の変化に的確に対応し、一層強靭な企業体質を構築していくために、諸コストの上昇に対する販価転嫁の完遂はもとより、市場競争力の強化、シェアの拡大、需要の開拓、品種構成の改善、諸コストの低減、国内外の子会社・関連会社の経営基盤強化等を図り、収益の確保・拡大と持続的な成長に努めていく。
当社は、めっき・成形加工の高度な技術と商品開発力に支えられたナンバーワン・オンリーワン商品をはじめとする高付加価値の多彩な商品群を有している。こうした差別化商品と東西製造拠点からの短納期デリバリーを武器に、製販技一体で需要家へのソリューション営業を展開し、既存市場での拡販と新規市場の開拓を推進していく。当社は、従来より養殖金網や製紙向け等の用途開拓に加え、補強土壁『ハイパープレメッシュ』の需要家との共同開発など、数々の需要開拓を推し進めてきた。今後とも社会のニーズを踏まえた戦略的な商品を積極的に市場に投入し、公共事業を含めた一定の需要が期待できる建設向け、リピート性の高い製造業向け、他素材の代替を含めた農林水産業向け等を中心に拡販を展開していく。また、事業や業容の拡大を図っていく中で、必要に応じて資本提携等も行っていく。さらに、海外の成長を取り込むべくグローバルな事業展開を行っており、中国とタイの拠点から世界各地域への輸出を推進している。
当社は、ESGやSDGsを踏まえ、「めっき技術で社会に貢献する」をキーワードに、耐食性の高い環境にやさしい商品の提供(エコプロダクト)、お客様や社会のニーズに応えるソリューションの提案(エコソリューション)、省エネやCO2排出量削減等に資する製造プロセスの構築(エコプロセス)の「三つのエコ」を通じて、持続可能な社会の実現に向けて積極的に貢献している。加えて、社会貢献活動の一環として、森林、資源の整備にも取り組んでいる。さらに、ガバナンスの面では、内部統制の充実及びコンプライアンスの徹底を図っている。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性の面では、国際会計基準のEBITDAに準拠した減価償却前の利益率を指標とし、売上高に対する減価償却前営業利益率8%、同経常利益率10%を目標としている。財務の健全性を示すD/Eレシオ(有利子負債/自己資本)については0.3倍以下としている。
当連結会計年度の減価償却前売上高営業利益率は7.8%(減価償却前営業利益2,703百万円)、同経常利益率は10.1%(同経常利益は3,492百万円)、D/Eレシオは0.08倍と減価償却前経常利益率及びD/Eレシオの目標値を達成した。
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