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企業概要

 当連結会計年度の研究開発活動は、科学技術の急速な進展により医薬品の開発環境が大きく変化している中、新しい環境にも迅速に対応した質の高い開発支援ができるよう、当社グループの各セグメントにおいて最先端と思われる技術を開発利用しております。

 当連結会計年度における研究開発費は、683,065千円であり、各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

(1) CRO事業

 当社の安全性研究所及び薬物代謝分析センターをはじめとする研究施設では、質の高い試験成績を迅速に委託者に提供できるよう、基礎データの蓄積や解析を行うだけではなく、評価方法の妥当性を検証するための事前検討や新技術獲得のための基礎研究や技術改良に日々取り組んでおります。また、いずれの施設も動物福祉に積極的に取り組み、国際的な認証団体であるAAALAC Internationalにより適合施設として認証されております。さらに、海外グローバル製薬企業からの注目度が上がるなか、きめ細やかで迅速且つ確実な顧客対応を行うため、2023年1月にGlobal Services and Communications Division(GSC 統括部)を新設しグローバル対応力のさらなる強化を図っております。

 医薬品開発の主流は、低分子化合物から抗体や核酸、ペプチドに代表されるバイオ医薬品、iPS細胞に代表される再生医療あるいは遺伝子治療に移行しております。当社は、これらの業界の動きに対応するため、種々の評価系や試験系の検討を実施しております。例えば、抗体医薬ではこれまで日本では受託できる機関がなかった組織交差反応性試験を立ち上げ受託実績を積み上げました。さらに、既存技術より高感度にバイオマーカーを測定できる高感度免疫分析装置SMC PROやElispotを用いた受託では、高品質な測定結果について製薬企業より評価頂いております。抗体医薬は実験用NHPのみに反応性がみられるものが殆どであり、日本で唯一の実験用NHPを用いた生殖発生毒性試験を実施できる施設として、次世代への影響を評価する試験実績を増やしております。

 近年新たながん治療として注目されているがん免疫療法の分野におきましても、その有効性評価が可能な細胞機能解析装置であるフローサイトメーターの最上位機種LSRFortessa X-20を、国内CROでいち早く立ち上げました。当該機種は、非臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。

 遺伝子治療の領域では、PCR装置を用いた評価系が必須となっております。当社では他社に先駆けてPCR検査エリアの設置と処理能力の増強を図りました。その上で、第二世代のdigital droplet PCRを2020年に導入し、実績を積み上げております。

 血漿あるいは血清中の薬物の濃度測定には、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)が使用されますが、最上位機種であるSCIEX Triple Quad7500を導入し立ち上げました。当該機種はこれまでにない感度で微量分析物の定量を実現可能です。核酸医薬品や生体内に含まれる微量な物質の血漿あるいは血清中濃度の測定が可能であり、非臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。

 また、実験用NHPの感染実験が実施可能な施設を活用し、各種ウイルスに対するワクチンなどに関して企業や大学との共同研究を行っており、フェレットやマウスを用いた感染実験も確立しております。

 これまでの安全性研究所における収益の柱であった安全性評価に加え、近年では医薬品の有効性評価に関わる業績が向上しております。特に当社は実験用NHPを用いた非臨床試験では国内でトップクラスの業績を有しており、これまで培ってきた実績を基礎に実験用NHPを主体とした各種病態モデルを確立し、臨床への外挿性が高い有効性評価手法が国内外の製薬企業より評価を頂いております。それら病態モデルの中でも、臨床でiPS細胞の適用が進められている加齢性黄斑変性症の薬効試験は国内でも少数の試験施設でしか受託体制は整っていないため、当該モデルの確立後から既に複数試験の受託をしております。引き続き、時代に応じて変化する創薬ニーズに対応した新しい病態モデルの確立も積極的に進めております。

 有効性評価の実績には、業界に先駆けて導入を進めた各種イメージング機器を用いた非臨床試験数の増加も寄与しております。当社で導入しているMRI、CT、及び血管造影装置はすべて臨床でも使用している機器となります。そのうち近年更新したMRIでは脳活動の機能的評価も可能となりました。すなわち、実験用NHPなどの大動物を用いてヒトと近似の病態モデルを作出し、ヒトと同じ機器を用いて動物を傷つけることなく薬物の評価を継時的にできる技術が高く評価されております。従来、非臨床試験ではイメージングを用いた有効性評価及び安全性評価は一般的ではありませんでしたが、新薬創出の難易度が高まり、動物福祉のさらなる向上が求められている製薬業界において、イメージングを用いた新しい評価系へのニーズは国内外の製薬企業を問わず今後も増加することが予想されます。

 これらの研究活動には、外部アカデミア等との共同研究も含まれております。すなわち、京都大学iPS細胞研究所とは再生医療分野の安全性研究について、岐阜薬科大学とは寄附講座を開設した上で眼科疾患を中心とした病態モデル作出について、九州大学とは共同研究講座を開設した上でがん免疫研究について協働しております。

 なお、これらの研究成果については海外や国内の学会等において発表したり、国内外の学術雑誌へ論文として掲載

 しております。

 以上の活動における研究開発費は、376,155千円であります。

(2) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業

TRカンパニーの経鼻投与基盤技術は、独自に発見した担体をベースにした粉体製剤技術と独自設計の投与デバイス(医療用具)を組み合わせたプラットフォーム技術であり、鼻粘膜からの速やかな薬物吸収に基づく即効性を特徴としており、加えて注射に比べて投与が簡易で製剤の室温保存も可能という強みがあります。この経鼻投与基盤技術を各種薬物に応用した研究を進めながら、技術改良や同基盤技術に付加すべきオプション技術の研究にも鋭意取り組んでおります。経鼻ワクチンに関する研究については、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究を推進しており、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究にも取り組んでおります。新規経鼻ワクチンの研究開発を目的として、2023年1月に共同研究契約を締結した近畿大学と連携強化し、ワクチン開発会社や研究機関との更なる連携体制を構築しながら、ワクチンの開発推進に当社も独自技術で寄与していくことを計画しております。血液脳関門(Blood Brain Barrier)の存在により、静脈注射でも脳内に送達できない薬物について、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究開発活動にも注力しております。中枢神経系疾患にする医薬へのアンメットメディカルニーズは非常に高く、治療薬の開発は製薬企業における重点領域となっています。アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しており、臨床研究段階へと進展させるべく、脳移行性をさらに高めるための製剤や投与デバイスの改良研究を進めています。経鼻製剤の製造については、開発型医薬品受託製造企業であるシオノギファーマ株式会社と経鼻投与製剤等の製造開発推進に向けた業務提携契約を締結しており、製品化を見据えた研究開発体制を強化しております。

 さらに、経鼻投与基盤技術の応用性評価を行うためのフィージビリティ試験や応用領域の拡大を図るための改良技術研究を通じて、自社開発候補化合物の拡充検討を進めており、経鼻吸収用に応用するための有力な中枢神経系化合物候補が挙がっております。また、経鼻投与デバイスについては、高い噴射性能に加えて、使い勝手の更なる向上や製造コストの更なる低減を目的とした新規投与デバイスの基本設計を概ね完了いたしました。当社よりスピンアウトした経鼻偏頭痛薬の開発会社であるSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(米国 カリフォルニア州)は、経鼻偏頭痛薬の臨床第3相薬効評価試験において主要評価項目の結果達成には至らなかったものの、痛みの消失と煩わしい随伴症状の抑制が投与後3時間から48時間まで継続してプラセボを統計学的有意に上回る結果が得られており、2023年3月に米国食品医薬品局(FDA)へ新薬承認申請を行いました。また、神経変性疾患の患者に対してレスキュー投与で速やかに症状の改善を目的とする治療薬の臨床開発を担う株式会社SNLDが、国内での第Ⅰ相臨床試験を無事に終了し、臨床開発体制をさらに強化して、次の臨床試験に向けた準備を進めております。当カンパニーは、引き続き、これらの開発・技術支援及び知財管理をしております。一方で、TRカンパニー内に設置した基礎研究室において、遺伝子情報をwet(実験)とdry(大容量ICT)の両環境で扱い、特定の疾患で発現遺伝子の量的変化を解析し、マーカーの同定や治療法の特定について取り組んでおります。現在、神奈川がんセンター等のアカデミアと共同研究を進めております。

 以上の活動における研究開発費は、302,816千円であります。

(3) その他

 その他の研究開発費は、4,094千円であります。

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