新光電気工業 【東証プライム:6967】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社は、中長期的な成長が見込まれるエレクトロニクス産業にあって、半導体の進化を支え、半導体の優れた機能を人々の生活へと繋ぐテクノロジーをもとに、世界中の人々の暮らしを豊かに彩るものづくりに取り組むとともに、お客様のニーズを起点とする優れた製品を開発・製造・販売することによって、「限りなき発展」を目指しています。
また、このような「技術力」、「発展性」とともに、「国際性」、「温かさ」を企業理念として掲げ、世界各国のお客様と取引を行い、各地に拠点を展開するグローバル企業として国際社会での共存共栄を念頭に置き、多様な人材の能力を結集し、社員一人ひとりの成長を実現できる環境づくりに努め、「人と地球環境への温かさ」を考えた経営姿勢で事業を推進することにより、社会の健全な発展に寄与し、輝かしい未来の創造に貢献することを目指しています。
(2) 中長期的な経営戦略
超高速大容量通信を実現する情報通信基盤の進化やAI、IoTの急速な利用拡大等を背景とするDX(Digital Transformation)の進展が、経済や社会の仕組みに大きな変化をもたらし、これまでとは次元の異なるイノベーションを生み出す可能性を秘めており、半導体は、その可能性を実現するキーテクノロジーとして革新を続けていくことが期待されるとともに、戦略的な観点からもその重要性がさらに高まる状況にあります。また、自動運転やコネクテッドカー等の技術開発が加速する自動車市場や多様な分野での活用が期待されるロボティクスなど、半導体は、今後も市場を拡大することが見込まれています。加えて、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを加速し、GX(Green Transformation)の実現に不可欠なテクノロジーの進化を支えるキーデバイスとして、半導体のニーズはさらに高度化・多様化することが想定されます。
一方で、高機能化・高速化等の技術革新および絶えず変化する市場ニーズに対し、迅速かつ柔軟に対応し得る開発・生産体制を構築することを要するなど、世界規模での競争が、さらに一段と激化することが予想されます。
このような産業にあって、当社グループは、インターコネクトテクノロジーをベースに、高い競争力を持つ製品の開発とものづくりの革新に努め、お客様にとって、機能・性能、コスト、品質すべてにおいて価値の高い製品・サービスをご提供することにより、お客様の成功を支え、自らの発展・成長を目指してまいります。加えて、市場ニーズや変化を先取りした新商品や新技術の開発に注力するとともに、変化の激しい需要環境にも柔軟かつ効率的に対応できる生産体制の構築に取り組んでまいります。また、キャッシュ・フローを重視し、常に利益を創出できる強固な経営基盤の確立に努め、かつコーポレート・ガバナンスの充実をはかるとともに、以下の項目に重点をおいた経営戦略を展開してまいります。
① 成長分野への重点的展開
今後、市場拡大の一方で、高性能化・高機能化のニーズを背景にテクノロジーの高度化が見込まれる半導体産業にあって、お客様のニーズを的確にとらえ、それを実現する開発力・製造力の充実・革新に努めるとともに、創業以来培ってきたコアテクノロジーをもとに、高い成長が見込まれる分野に重点的に経営資源を投下し、強い競争力を有する製品の開発・量産化を推進することにより、さらなる成長を目指してまいります。
また、常に新たな市場機会を追求し、高い将来性が見込まれる市場や製品分野の探求に注力することを通じて、持続可能な成長を果たしてまいります。
② 強固な生産体制の構築
市場環境の変化が激しく、熾烈な競争が繰り返される半導体産業にあって、市場の変化に速やかに対応する強固な生産体制を構築することが企業存続・発展の条件ととらえ、全社において、製造プロセスの革新と最適化を強力に推進いたします。また、開発・設計から生産に至るすべての段階において品質を造り込み、優れた製品を安定的に供給することができる体制を確立することにより、収益基盤の一層の強化をはかってまいります。
③ SHINKO Wayの推進
社会における新光電気グループの存在意義、大切にすべき価値観、および社員が実践すべき行動指針、守るべき行動規範を示した「SHINKO Way」の実践を通じ、株主の皆様のご期待に応え、お客様、お取引先、地域社会の皆様や社員をはじめとするステークホルダーの方々との調和をはかるとともに、多様なサステナビリティ課題に対する活動の推進を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。なかでも、地球環境における喫緊の課題である気候変動への対応を最重要な課題と位置づけ、カーボンニュートラルの早期実現をはかるべく、グループ全体における取り組みを加速してまいります。
なお、今後、当社株式については、JICキャピタル株式会社を中心に構成される公開買付者による公開買付けの実施が予定されています。
当社は、市況環境変化の激しい半導体産業にあって、当社製品・テクノロジーの中長期的な市場拡大の可能性を的確に捉え、機動的かつ柔軟な経営判断を行うことが重要との認識に基づき、成長市場向けの設備投資・技術開発を重点的に展開する当社の事業方針を基本的に支持し、政府系ファンドとして短期的な業績変動に動じず、中長期的な観点で企業価値の向上に資する取組みを推進していくことが可能なJICキャピタル株式会社を中心に構成される公開買付者による本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に本公開買付けへの応募を推奨することといたしました。今後、本公開買付けおよびその後に予定された手続により、当社株式を非公開化することを目的とする一連の取引を実行し、これまで以上の意思決定のスピードアップをはかり、当社事業推進において根幹となる人的資本の拡充などの施策を進めるとともに、次世代半導体ビジネスの推進や次世代製品における市場競争力の強化等に取り組み、中長期的かつ持続的な企業価値向上を目指し「限りなき発展」を果たしてまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
今後の経済環境は、世界的な金融引き締めによる景気停滞懸念や中国経済の減速、また、地政学リスク等を背景としたエネルギー・物流価格の高止まりが見込まれるなど、世界経済の先行きは不透明な状況が継続するものと思われます。日本におきましては、賃上げ等に伴う雇用・所得環境の改善、インバウンド需要の一層の増加などが期待されるものの、エネルギーや資源価格の高騰および円安等に伴う物価上昇、金利変動等による個人消費や経済活動への影響が懸念される状況にあります。
半導体業界におきましては、AIを活用したサービスの急速な拡大等を背景に、メモリーをはじめとして半導体需要の回復が期待されるものの、パソコン、サーバーおよびスマートフォン市場の回復の遅れや半導体の在庫調整がさらに長期化する懸念が払拭できない状況が継続することも想定されます。一方、DX(Digital Transformation)の進展等による社会・経済のデジタル化や、持続可能な成長の実現を目指す脱炭素社会への移行と情報通信量の大幅な増加による電力消費の抑制を両立するGX(Green Transformation)の実現を支えるキーテクノロジーとして、半導体の重要性が高まるとともに、高度化・多様化する市場のニーズや需要動向の変化に対し、迅速かつ柔軟に対応し得る開発・生産体制を構築することを要するなど、世界規模での競争が一段と激化することが見込まれます。また、半導体のさらなる高機能化・多機能化のニーズへの対応をはかるうえで、半導体製造におけるパッケージングプロセスの重要性が高まっており、特に、当社が主な事業内容とする半導体パッケージは、半導体の一層の高機能化・高速化と省電力対応に欠くことのできない中核製品として半導体産業におけるニーズがさらに高まることが想定されます。
このような環境下にあって、当社グループといたしましては、営業体制の一層の強化に努め、市場環境の変化を的確に把握し、積極的な受注活動を展開することなどにより売上確保をはかるとともに、全社において生産性向上・効率化、徹底したコストダウン等の取り組みを強化してまいります。また、これまで高い成長が見込まれる市場向けに継続的・重点的に経営資源の投下をはかってまいりましたが、市場環境をふまえ、必要により時期・内容を適切に判断のうえ、引き続き当社製品の中長期的な市場拡大を見据えた設備投資を展開してまいります。半導体の一層の高機能化・高速化や省電力化等のニーズに対応するフリップチップタイプパッケージについて、昨年12月に竣工した千曲工場(長野県千曲市)における量産体制整備等をはかるとともに、半導体メモリーの高速化・大容量化に対応するプラスチックBGA基板については、生産能力増強を目的として新井工場(新潟県妙高市)において着工した新棟建設を着実に実行してまいります。加えて、中長期的に大きな成長が見込まれるHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)市場のニーズに対応する当社開発の「i-THOP®」をはじめとする先端半導体向け次世代フリップチップタイプパッケージの千曲工場における新たな設備投資計画を推進するとともに、情報通信量の大幅な増加に対応する次世代情報通信基盤の構築における基幹デバイスとして、消費電力の飛躍的な低減とデータ処理の超高速化を実現する「光電融合デバイス」の開発に注力するなど、これまで培ってまいりました最先端の半導体実装技術をもとに、市場ニーズを先取りした新商品・新技術の確立・量産化に取り組み、持続的な成長・発展を目指してまいります。
さらに、厳しい事業環境において、収益基盤の一層の強化をはかるべく、開発・設計から生産に至るすべての段階において品質を造り込み、優れた製品を安定的に供給することができる生産体制の確立に努めてまいります。
当社グループは、引き続き成長が見込まれる半導体市場にあって、常にお客様のニーズを起点とし、機能・性能、コスト、品質すべてにおいてお客様にとって価値の高い製品・サービスを提供することにより、「限りなき発展」を果たしてまいる所存であります。
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