文教堂グループホールディングス 【東証スタンダード:9978】「小売業」 へ投稿
企業概要
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 同業種内における競争激化及び消費低迷等による影響(発生可能性:高、影響度:大)
出版流通業界では、長引く個人消費の低迷によって売上高の減少が進む中で、競合他社店舗の濫立により業界内での企業間競争が激しさを増し、依然として厳しい環境が続いており、当社グループの経営成績及び財務状況が同業種内の競争激化及び消費低迷等により悪影響を受ける可能性があります。
当社グループはこのような状況下、主要取引先である日本出版販売株式会社の協力を得ながら、部分的に導入していたエリアマネージャー制度を全国展開するとともに、顧客対応や店舗オペレーションの見直しを含め、店舗運営の改善に向けたアクションプランを実行しております。
(2) 店舗における万引き行為による影響(発生可能性:高、影響度:中)
最近はメディアでも数多く取り上げられております書店における万引き行為が増加することにより、当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
現在当社グループをはじめ業界全体でこの問題に取り組んでおり、出版社に製本段階での盗難防止も兼ねたICタグの取り付け、また若年層の万引きを誘発しているとされる新古書店の買取に関しましても対策支援を要請しております。当社グループ内でも、警備員の増員・各従業員の万引きに対する危機管理の徹底を行っておりますが、万引き行為が増加することにより当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
(3) 店舗管理システムの不具合による影響(発生可能性:中、影響度:中)
当社グループでは、全店舗にPOSシステムを導入しており、このシステムによって販売状況・在庫状況をリアルタイムで把握することが可能となり、販売活動を効率的かつ迅速に行うことが可能となっております。しかし、システムの故障・停止等何らかの不具合により当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
そのため、当社グループは、販売管理システムの運用管理を外部に委託し、データの消失に備えバックアップを行っております。また、アクセス権限の設定、パスワード管理によりデータ漏洩の防止に努めております。
(4) 再販売価格維持制度について(発生可能性:中、影響度:小)
当社グループが販売する出版物については、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)第24条の2の規定により、再販売価格維持制度(再販制度)が適用されております。これは、出版物が我が国の文化の振興と普及に重要な役割を果たしていることから、同法の適用除外規定により例外的に認められているものであります。したがって出版物は書店においては定価販売が行われております。
この再販制度について、2001年3月23日公正取引委員会は、当該制度の廃止も視野に制度見直しを検討していた結果、文化、公共的な観点から存続を求める意見が優勢で「廃止には国民的な合意が得られていない」と判断し、新聞、書籍などの販売価格を新聞社や出版社が取り決める「再販売価格維持制度」を当面存続させると発表しております。
当面は制度維持の方向で進むものと思われますが、公正取引委員会は、再販制度を維持しながら、今後も消費者利益のため、現行制度の弾力的運用を業界に求めていく方針を発表しておりますので、当該制度が廃止された場合、商品調達力と収益性に優位に立っていると思われる当社グループにとってはさらに有利な環境になると想定されます。しかし、廃止の時期については未定であり、また、廃止されない可能性もあります。
(5) フランチャイズ契約について(発生可能性:小、影響度:大)
教育プラットフォーム事業の一環として運営しているプログラミング教室は、株式会社YPスイッチとのフランチャイズ契約を締結して行っておりますが、フランチャイジーである当社はその運営方針をフランチャイザーの経営方針に委ねており、フランチャイザーの経営政策や経営状況等により、当社グループのプログラミング教室運営に重大な支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6) 競合について(発生可能性:中、影響度:中)
プログラミング教室へ参入する会社が増加し、品質・価格・サービス競争が激化する可能性があり、当社グループのサービス等が競合企業と比べ優位性を維持できない場合や、品質・価格・サービス競争に適切に対応できない場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性があります。
(7) 重要事象等について
当社グループは、2018年8月期に重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、債務超過となったことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められると判断しておりました。
その後、当社グループは、当該状況を早急に解消し、今後の事業再生と事業継続に向け、財務体質の抜本的な改善を図るため、2019年6月28日付で事業再生ADR手続の利用申請を行い、事業再生計画案に対して事業再生ADR手続の対象債権者となるすべてのお取引金融機関からご同意をいただき、2019年9月27日付で事業再生ADR手続が成立いたしました。また、本事業再生計画に基づき以下の施策を着実に実施してまいりました。
事業上の施策といたしましては、①エリアマネージャー制の導入等、②返品率の減少、③文具販売の強化、④不採算店舗の閉鎖、⑤本部コスト等の削減、⑥組織再編等に取り組み、収益力の改善を実現してまいりました。
財務面につきましては、お取引金融機関により、①債務の株式化、②債務の返済条件の変更によるご支援をいただきました。
また、大株主である日販グループホールディングス㈱からは、①店舗の競争力を維持・強化するため、500百万円の出資、②既存債務の一部支払いの条件変更、③その他事業面、人事面でのご支援をいただき、財務状態の安定化を図ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度において、営業利益73百万円、経常利益97百万円、親会社株主に帰属する当期純利益96百万円を計上し、純資産額は1,268百万円となりました。
しかし、エネルギー価格の高騰や物価上昇に加え、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など不安定な世界情勢による本事業再生計画への影響が不透明であることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
今後、引き続き事業再生計画における施策を実行、新規事業の展開へ注力することで、継続企業の前提に関する重要事象等を解消できるものと考えております。したがって、継続企業の前提に関する不確実性は認められないものと判断し、「継続企業の前提に関する注記」は記載しておりません。
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