扶桑化学工業 【東証プライム:4368】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
2021年12月、当社は企業成長や事業継続を目的としてサステナビリティ基本方針を策定し、公表しました。環境、社会へのサステナビリティを意識したガバナンスを経営に反映させることにより、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に取り組んでいきたいと考えています。
サステナビリティ基本方針
当社は、グローバルニッチ企業のフロントランナーとして、その応用性と技術力で人々の暮らしの多様なシーンにおいて活躍し続けています。食品をはじめとする各産業界に貢献する果実酸とその誘導体、これからの社会における半導体産業に不可欠なシリカ関係製品群を提供し、未来に向け発展的な基盤を築いています。
社是「限りなき進歩と創造」により取り組んできた絶え間なき向上心をもとに持続的社会に貢献し、これからも永続的な企業価値の向上を図ってまいります。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティを推進するため、2021年10月にサステナビリティ委員会を社内に設置しました。気候変動をはじめとした社会課題に対して、戦略的な経営を組み立てるため、企画開発室経営企画部が統括部署となり各事業部、事業所が取り組む事象やデータの集約、実行に取り組んでいます。
サステナビリティ委員会は、サステナビリティ関連のリスクおよび機会、取組み方針および進捗等を取締役会に報告しており、取締役会はサステナビリティへの取組みの進捗を監督する体制となっています。
(2)戦略
現在進行中の中期経営計画では、目指すべき企業像とマテリアリティ(重点課題)を特定し、現状に満足することなく社会的課題に取組み、事業環境の変化への対応と新たな企業価値の創造に挑戦し続けることにより、企業として更なる発展を目指していきます。各事業部は、以下の3つの主要戦略に合わせた取組みを行っています。
(気候変動に関するリスクおよび機会への取組み)
世界情勢や将来予測の情報を収集・分析したうえで気候変動がもたらす当社におけるリスクおよび機会を洗い出しました。個々に記載する移行リスクとは、低炭素経済への移行に関するリスクです。また、物理的リスクは、気候変動による物理的変化に関するリスクとして記載しています。
種類 | 当社で想定されるインパクト | 財務上の 潜在的 影響 | ||
物理的 | 機会 | 生産拠点分散によるレジリエンス向上 | 高 | |
リスク | 風水害・海面上昇による施設破損/物流の混乱 | |||
移行 | 政策・法規制 | 機会 | 半導体需要増/半導体周辺企業への支援/海外半導体メーカー誘致 | 中 |
リスク | 炭素課税等の導入/CO2政策決定の遅れ/排出権取引市場の創設 | |||
技術 | 機会 | 追加設備投資の要請/半導体の微細化・多層化/食品加工技術需要 | 高 | |
リスク | 取引先ニーズの高度化と技術革新 | |||
市場・評判 | 機会 | 利益確保によりカーボン対策強化 | 高 | |
リスク | 成長重視への低評価/CO2取組み遅延によるサプライチェーンからの排除 | |||
経済安保 | 機会 | 半導体需要の増大/世界的な人口増による飲料・食品加工ニーズ増加 | 中 | |
リスク | 原料調達不安/地政学リスク |
2022年8月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDフレームワークに基づく情報開示をサステナビリティ報告書の中で行いました。現状では、国内会社のみのScope2による排出量の管理にとどまっていますが、今後は海外グループ会社を含めた全社排出量管理による取組みを進めていく方針です。当社の製品群は持続可能な社会の実現に必要なものが多く、現在取引先からの要請に応えるために設備投資を続けています。そのため、当社のCO2排出に対する取組みは、当面、原単位の削減に留まる見込みです。
■CO2排出量と原単位の推移
(人材の多様性の確保を含む人材育成の方針および社内環境整備の方針)
当社の社是である「限りなき進歩と創造」において、進歩と創造を実現する担い手は、当社で働く人そのものです。また、経営信条の中でも、「社業の繁栄によって従業員の豊かさを築く」を掲げ、当社の持続的成長と、そこで働く従業員の成長・自己実現と生活の安定は表裏一体であると考えています。
①人材育成
当社では、事業年度の前半と後半に、それぞれ複数回、常勤取締役全員出席のもと、人事ミーティングを開催し、従業員全体の公正な人事考課の実施と併せて、主要なポジションのサクセッションプラン、中核人材の具体的な活用・育成計画について議論しています。
業務に必要なスキルやノウハウを習得するために、各職場でのOJTに加えて、全社的な研修体系を整備しており、階層別研修のような人材育成計画に基づく選抜・指名制研修だけでなく、従業員一人ひとりが自らのキャリアを自律的に考え、会社としてキャリア形成を支援するような選択制の職種別研修も行っています。従業員一人当たりの研修費用は次のとおり推移しています。
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
従業員一人当たりの研修費 | 10,001円 | 18,223円 | 28,267円 |
また、資格取得に対する奨励手当や受験料補助を支給するとともに、特定の職掌を対象に保有資格を評価に反映させる人事考課制度を運用しています。
さらに、国内・海外への社費留学制度も定めており、今後も自律的なキャリア開発や自己研鑽を支援する仕組みを整備・強化していきます。
②人材の流動性
需要拡大に伴い生産体制を強化している当社の現況において、人材の採用・確保は、最重要課題の一つです。
新卒採用は研究開発や生産、分析部門を中心に、中途採用は事業戦略に基づいた人材の最適配置の観点で、採用しています。
生産部門の事業所では、地域的にも人材獲得競争が厳しい状況にありますが、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用といった採用手法も試みながら、継続して要員強化に努めています。
2020年度から2022年度までの採用実績は次のとおりです。
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
新卒採用人数 | 13人 | 12人 | 14人 |
中途採用人数 | 23 | 26 | 49 |
合計 | 36 | 38 | 63 |
人材の定着状況は、次のとおり推移しています。
・新卒入社3年目定着率
項目 | 2018年4月1日入社 | 2019年4月1日入社 | 2020年4月1日入社 |
新卒入社3年目定着率 | 83.3% | 61.9% | 100.0% |
・全従業員の平均勤続年数
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
平均勤続年数 | 12.9年 | 13.3年 | 12.8年 |
③人材の多様性
ライフサイエンス事業、電子材料事業に続く第三の柱となる新規事業の確立を推進している、事業部門横断組織である企画開発部門に所属する人材については、経験者採用と社内公募により配置しています。
中途採用に引き続き注力していく中で、多様な知・経験・価値観を取り入れることによる「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」を推進するとともに、社内公募など個人選択型HRMの仕組みを整備していくことにより、新たなイノベーションの創出に努めます。中途採用の割合は次のとおり推移しています。
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
正規雇用労働者の中途採用比率 | 61% | 69% | 77% |
中期経営計画「FUSO VISION 2025」においては、「ダイバーシティ(多様性)の推進・意識改革」を目標として掲げ、従業員一人ひとりが、安心して長く働くことができる雇用環境の整備に取り組んでいます。
2021年度より2年間を対象期間とした一般事業主行動計画の達成状況は、次のとおりです。
目標 | 2021年度 | 2022年度 | 達成状況 |
正社員に占める女性労働者の割合を17%以上にする | 16.4% | 17.6% | 達成 |
男性育児休業取得率を25%以上にする | 7.7% | 15.4% | 未達成 |
女性育児休業取得率100%を維持する | 100.0% | 100.0% | 達成 |
男性育児休業取得期間を5日以上にする | 45日 | - (該当者なし) | 達成 |
女性育児休業取得期間を330日以上にする | 330.5日 | 356.0日 | 達成 |
在宅勤務制度、フレックスタイム勤務制度を運用し、多様な働き方の推進に取り組んでいます。働く場所や時間に係る柔軟性が高まったことがワークライフバランスの充実に寄与していると評価しています。一方で、研究開発部門や生産部門など、こうした勤務制度の適用が難しい部門があること、適用部門でも職場コミュニケーションに課題がある等の意見があるため、ワークライフバランス支援の観点から、引き続き、課題の把握と改善に取り組んでいきます。
④従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントに係る現状および課題を把握するための取組みのひとつとして、2022年3月にエンゲージメントに関する調査を実施しました。エンゲージメントについては、概ね肯定的な回答が多かったものの、中期的なキャリア開発支援には、もう一歩踏み込んだ取組みが必要であると考えています。
⑤健康・安全
メリハリのある就労環境は、健康で活き活きとした職場づくりの基本であると考えています。労働時間については、毎月実績をモニタリング・報告しています。年次有給休暇については、法定の取得義務を確実に履行するのみならず、義務日数を超えた取得の奨励を行っています。また、ストレスチェックをはじめ、保健師による保健指導、健康相談室の設置等により、従業員一人ひとりが健康に働くことができる環境を整備することに努めています。時間外労働時間、年次有給休暇の取得状況の推移は、次のとおりです。
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
平均所定外労働時間 | 13.6時間 | 15.6時間 | 15.6時間 |
平均年休取得日数 | 19.1日 | 19.3日 | 18.6日 |
平均年休付与日数 | 12.2日 | 12.5日 | 13.0日 |
平均年休取得率 | 63.7% | 65.1% | 70.1% |
(3)リスク管理
代表取締役を統括管理者としたリスクマネジメント委員会を設置し、緊急事態の対応のみならず、各事業におけるリスクの洗い出し、BCP体制、サイバーセキュリティの確認など、全社におけるリスクについて定期的に確認と見直しを実施しています。取締役会はリスクマネジメント委員会から提出を受けた報告書をもとにリスクの監視と評価を行い、次年度以降の対応計画を確認することにより、リスクマネジメントの取組みの決定と監督を行っています。
(4)指標及び目標
(気候変動に関するリスクおよび機会への取組み)
短期的には、原単位への取組みをさらに強化し、継続していきます。大型設備投資を計画していることから具体的な削減目標を出すことが難しく、次期中期経営計画の開始を予定する2026年度に向けた具体的な取組みを策定する方針です。中長期的には、原単位への取組みを継続するとともに、Scope3基準への管理体制を整備し、サプライチェーンを含むCO2の削減に向けて取り組むことを目指します。
(人材の多様性の確保を含む人材育成の方針および社内環境整備の方針)
当社は、2023年度からの3カ年を対象とした女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しています。
指標 | 目標 (2025年度) | 実績 (当事業年度) |
正社員に占める女性労働者の割合 | 18%以上 | 17.6% |
リーダー階層に占める女性労働者の割合 | 12%以上 | 10.7% |
男性の育児休業の取得率 | 10%以上 | 15.4% |
- 検索
- 業種別業績ランキング