帝人 【東証プライム:3401】「繊維製品」 へ投稿
企業概要
(1) 帝人グループが目指す姿
帝人グループは、創業からの約100年、社会のニーズを先取りし、新たなビジネスへの変革と挑戦により事業基盤を構築してきました。一方、近年は厳しい経営状況に対する構造改革と将来に向けた成長投資を行ってきましたが、市場期待を上回る成長を示すことができず、中長期の成長期待も低下している状態が継続しています。
このような中、帝人グループが「One Teijin」となって成長軌道への回帰に向けた実行力を向上させるためには共通の価値観を持つ組織づくりが必要との認識のもと、帝人グループのパーパス「Pioneering solutions together for a healthy planet」を策定しました。このパーパス・存在意義を明確化・言語化するプロジェクト「Journey to One Teijin」では、社員参画・見える化のプロセスを重視して海外拠点を含む社員の共感の醸成を図った結果、策定されたパーパスには、帝人の原点に立ち戻り、美しい地球に人々がいつまでも暮らし続けるためのソリューションの提供に挑戦する会社でありたいという社員の思いが強く反映されています。
このパーパスを軸とし、併せて策定した3つのバリュー、「①すべての挑戦をリスペクトします、②多様な仲間と専門性を活かして成長します、③地球とあらゆる生命に寄り添い、守ります」を実践し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していきます。具体的には、モビリティ、インフラ&インダストリアル領域において「地球の健康を優先し、環境を守り、循環型社会を支える会社」となること、ヘルスケア領域において、希少疾患・難病などの疾病領域を中心として「より支えを必要とする患者、家族、地域社会の課題を解決する会社」となることを目指して社会に価値を提供していきます。
(2) 対処すべき課題
当社は、2024年5月に「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」を公表しました。
当社の対処すべき課題は、①収益性改善の完遂による基礎収益力の回復、②事業ポートフォリオ変革、③グローバル経営基盤の強化と捉えています。今中期経営計画を、これらの課題に取り組み、成長軌道に回帰するための第一歩として位置付け、強い決意を持って推進します。
① 収益性改善の完遂による基礎収益力の回復
2023年度は収益性改善に向けた改革の1年として、以下の施策に重点的に取り組みました。
1) 複合成形材料事業、アラミド事業、ヘルスケア事業の課題3事業の収益性改善
2) 経営判断・実行の迅速化を促す経営体制への見直し
これらの成果として、2023年度は目標として掲げた300億円以上の改善目標を概ね達成しました。
一方で、下図のように生産安定化に課題が残ったため、2025年度までコーポレート支援によるグローバルでの生産安定化実現に向けた取り組みに注力し、収益性改善のための諸施策とともに基礎収益力を回復し、事業利益500億円、税後事業利益ROIC4%以上、ROE6%以上(IFRSベース)を目指します。
<収益性改善の総括と改革の完遂に向けた対応>
② 事業ポートフォリオ変革
2026年度以降の次期中期経営計画期間において、変革後の事業ポートフォリオによる成長を実現していくために、今中期経営計画においては、不採算事業・非注力事業の戦略的オプションを実行し、運営する事業を絞るとともに、成長産業セクターにおいて素材単体から機能材料事業、加工・ソリューション型事業、在宅医療事業で培ったサービス基盤を活かした提供価値主体の事業展開へ変革するべく、当社に競争優位性があると考えるモビリティ、インフラ&インダストリアル、ヘルスケアの領域での成長投資を精査の上実行します。
<変革の過程>
*1 2023年度のIFRS実績値は概算値
*2 「税引後事業利益÷期首・期末平均投下資本」にて算出(投下資本=資本+有利子負債)
*3 事業利益は、営業利益に持分法による投資損益を加算し、非経常的な要因により発生した損益を除いて算出
*4 「親会社の所有者に帰属する当期利益÷期首・期末平均親会社の所有者に帰属する持分」にて算出
*5 劣後債資本性調整後のD/Eレシオ(グロス表示)(2021年7月21日 劣後債 600億円発行済)
また、2024年度および2025年度の2年間のキャピタルアロケーション並びに株主還元の方針は、収益性改善により既存事業のキャッシュ創出力を強化して得られたキャッシュを基盤投資や配当に優先的に充当し、政策保有株式・遊休資産の売却、不採算・非注力事業の戦略的オプション実行により創出したキャッシュを、成長投資および追加的な株主還元(自己株式取得を含む)に優先的に配分することとします。
<キャピタルアロケーション及び株主還元方針(2024-2025年度)>
③ グローバル経営基盤の強化
事業ポートフォリオ変革に併せて、グローバル経営基盤を強化し、パーパスを軸として実行力の向上を目指します。今中期経営計画においては特に、ガバナンス面で「グローバル企業・多角化企業に最適化されたガバナンス体制の確立」、生産・製造技術面で「国内外の知見・技術の融合による設備・運転・保全レベルの進化」、人的資本の面で「戦略を実装する『適所』の確立と『適材』の確保」の課題に取り組みます。
<グローバル経営基盤強化のロードマップ>
以上のように中期経営計画の経営戦略・事業戦略を着実に実行することにより、投資家をはじめとするステークホルダーの期待に応えられる持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現し、早期にROE10%以上、PBR1倍以上の達成を目指していきます。
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