企業巴川コーポレーション東証スタンダード:3878】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループの経営理念は以下のとおりです。

<TOMOEGAWAグループ経営理念>

(ミッション:存在意義)

 感動こそが、持続可能な価値と考える。

 これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける。

(ビジョン:ありたい姿)

 グローバル視点の提案型ソリューションパートナーへ。

 前例にとらわれず、組織の壁を超え、チームと個の力を掛け合わせ、新たな感動を創造する。

(バリュー:価値観)

 従来から掲げている「創業精神」を改めて当社の「価値観」として位置づけます。

 誠実     我々は事業に対しても人に対しても誠実を旨とする

 社会貢献   我々は事業を通じて社会に貢献する

 開拓者精神  我々は開拓者精神をもって事業に挺身する

 本経営理念のもと、ミッションである「これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける」の実現を目指して、当社グループ社員一丸となり、企業価値の向上を図ってまいります。

(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

 当社グループは、「事業ポートフォリオの転換による新たな成長と企業体質の変革」を主題とした、2026年3月期を最終年度とする5ヶ年の第8次中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)を策定し(2023年3月期において経営数値目標と収益性目標を見直し)、「5GやDXを支える事業の展開」「SDGsに資する製品の展開」「構造改革、体質改善を通じた企業価値の向上」を掲げ、新製品の立上げ加速やビジネスモデルの構築、構造改革、風土改革の推進等に取り組むことにより、最終年度には連結売上高400億円、営業利益35億円、ROE15.5%以上、新製品売上高比率24%以上を目指しております。

(3)経営環境

 世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会経済活動の制限が緩和され、需要と供給の両面で景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、世界的なインフレとその抑制のための金融引締め強化や地政学的な緊張等の影響により、先行きが不透明な経済環境が続きました。

 日本経済においては、社会経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しが続いているものの、円安を背景とする物価高や原油・天然ガス、各種原材料の供給不安及び価格高騰等の影響が下押し要因となり、景気の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。

 このような状況のなか、当社グループにおいては、構造改革の着実な推進に、当社が競争力を有する半導体・ディスプレイ関連事業やセキュリティメディア事業が年度を通じて堅調に推移したものの、中国経済の不振が継続したことにより、連結売上高の3割強を占めるトナー事業や前期に新製品が立ち上がった機能性不織布事業の販売が低迷したことから、当初計画を下回る結果となりました。

 ①トナー事業

 モノクロトナー事業は、世界市場では2020年において新型コロナウイルス感染症の影響で数量が大きく減少したあと、その反動需要により2021年、2022年と増加しましたが、その後2023年に大きく減少したことに加え、中国メーカーの市場参入もあり業界全体での需給バランスが崩れ、価格競争が激化しているほか、前連結会計年度から続く中国経済の不振により、販売低迷が続きました。こうした状況の中、当社としては、独立系トナーメーカーとして売上、開発力、品質、原材料購買力、供給安定性などNo.1のポジションを活かし、縮小する市場の中で価格競争に打ち勝ってシェアを伸ばすことを引き続き目指してまいります。

 一方、カラートナー事業についても、世界市場は2023年に大きく数量を減らしましたが、モノクロトナーほどの落ち込みではありませんでした。付加価値の高いカラートナーとして今後の成長を見込んでいましたが、先行きは若干不透明なところがあります。ただし、トナー全体に占めるウエイトは引き続き伸びており、積極的に新製品開発などを進め、売上、数量、シェアの伸長を引き続き目指してまいります。

 なお、複写機・複合機の世界出荷台数がモノクロ・カラーを問わず減少している中、当事業の環境変化への対応と成長戦略の方向性についても対処すべき課題として認識しております。

②半導体・ディスプレイ関連事業

 当連結会計年度においては、前連結会計年度末から半導体市場が調整局面に入りましたが、これはしばらく続くものの、翌連結会計年度の後半頃には回復基調に転じることが見込まれます。このような中、半導体実装用テープ事業は、主力のリードフレーム固定テープが高い信頼性と採用実績から車載用途を中心に使用されており、家電、自動車のエレクトロニクス化の流れにおいて半導体産業が成長している状況で、中期的な成長が見込まれます。また、半導体製造に使われるQFN用接着テープについても、市場の成長に加え、当社シェアを伸ばすことでリードフレーム固定テープに次ぐ主力製品に育成していくことを目指しております。さらに、熱・電気コントロールや省エネルギー等の環境への貢献が期待される半導体製造装置向け新製品については、当初想定よりも遅れが見られるものの、早期の量産・販売に向けた準備を着実に進めてまいります。

 ディスプレイ用光学フィルム事業は、スマートフォン、タブレットパソコン、ウェアラブル、車載用途を中心とした中小型パネル市場で展開しております。特に、高い信頼性を必要とする車載においては、ディスプレイ用飛散防止フィルムとして高いシェアを得ており更なるシェア拡大を進めます。高付加価値を必要とするハイエンドLCD・OLED向けにおいては継続した拡販活動、並びに新製品開発・新規受託の両面からビジネス拡大に取り組んでおります。

 なお、塗工設備の集約による採算性の改善についても対処すべき課題として認識しております。

③機能性シート事業

 構造改革を進めている製紙関連事業は、連結売上高に占める割合は10%以下まで減少しています。このような中、設備の老朽化が進んでいることから、継続的な価値最大化を狙い、マシン統合などの稼働設備の効率化や業務改善を積極的に進めており、2019年末の7号抄紙機の停機に続き、2022年3月末に9号抄紙機の停機したことにより、固定費の削減が進んでいます。

 成熟事業である塗工紙関連事業は、磁気乗車券等の製品群を取り扱っております。非接触方式に変わる等、システム変更による別素材・方式での代替が徐々に進んでいましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い市場縮小が加速いたしました。今後は、株式会社NichiRicaを含め、同社と補完関係にある相互の製造設備の有効活用や当社グループの粘接着技術及び塗工・加工技術の強化によるシナジー効果の具現化を加速してまいります。

 一方、成長事業として位置付けている機能性シート関連事業は、当社の強みである抄紙技術を活かし、パルプ以外の繊維を用いて製品化を進めてまいりました。当連結会計年度においては中国経済不振の影響を受け販売は低迷していますが、その事業の特性上少量多品種生産への対応が必要とされるため、大手製紙会社の参入がなく、競争環境に恵まれた事業であり、今後様々なビジネスチャンスが期待できます。

 なお、製紙関連事業における更なる構造改革の検討についても対処すべき課題として認識しております。

④セキュリティメディア事業

 有価証券印刷やICカード、ポイントカード、プリペイドカード等の製造、加工及び情報処理関連事業を行うセキュリティメディア事業においては、コンビカードへの切り替えが進んだことに加え、通帳類等が増加したほか、宣伝印刷物の受注が増えております。今後は、デジタル社会におけるセキュリティの追求、キャッシュレスに代表される決済手段の多様化といったニーズへの対応、さらなる事業シナジーの追求を通じて成長戦略の実現に向けた取り組みを推進してまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2026年3月期を最終年度とする第8次中期経営計画を前期に見直し、これを推進しておりますが、対処すべき主要課題を次のように捉え、重点的に取り組んでまいります。

①安定的な収益構造を確立したトナー事業及び市場において確固たる地位を占めている半導体実装用テープビジネスが安定的に業績をけん引し、子会社のセキュリティメディア事業、ガムテープビジネス、紙加工ビジネスが、その独自性を活かしながら安定的に業績を支えるという収益構造を確固たるものとしてまいります。

②製紙事業について、これまでに実施した抄紙機2台の停機に続く更なる構造改革余地の検討及びディスプレイ関連事業における塗工設備の集約により低収益ビジネスの採算性を改善してまいります。

③引き続き成長分野(半導体関連事業、機能性不織布事業)への経営資源投入、新製品の立ち上げ・量産化、横展開により、中長期的な成長を実現してまいります。

④上記③の実現のために今後も相応規模の投資を計画するとともに、既存の延長線上にないインオーガニックな成長を企図し、出資も含めた技術提携等のアライアンス戦略の検討に着手いたします。

⑤サステナビリティ基本方針策定と開発型企業である当社独自のマテリアリティ特定の結果を、各種戦略に落とし込んでまいります。

⑥2025年度中の新基幹システム移行を含めたDXによる業務革新と生産性向上を進めてまいります。

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