山梨中央銀行 【東証プライム:8360】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティへの取組み
①ガバナンス
当行グループは、気候変動関連への対応を含むSDGs/ESG等のサステナビリティに関する取組みを経営の重要事項として捉えております。
2022年6月には、気候変動関連への対応やSDGs/ESGへの取組みについて本部各部が横断的に議論するため、頭取を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しました。
サステナビリティ委員会は原則として毎月開催し、協議・検討された事項は常務会を経て取締役会へ付議・報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制を構築しています。
■体制図
②戦略
当行グループは、中期経営計画「TRANS3 2025」の変革ドライバーの一つとして「SX」(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を掲げ、持続可能な地域社会の実現や企業価値向上に向けて取り組んでいます。
このような中で、「SX」に関連する取組みを進めるうえで基本となる考え方として、「山梨中央銀行グループサステナビリティ方針」を2022年12月に制定しました。
<山梨中央銀行グループサステナビリティ方針>
私たち山梨中央銀行グループは、経営理念「地域密着と健全経営」のもと、地域の皆さまに総合金融サービスを提供するとともに、人口減少問題や気候変動問題等の地域社会を取り巻くさまざまな課題の解決に誠実に取り組み、中長期的な視点で社会価値・経済価値の向上を目指してまいります。
これらの取組みを通じて、すべてのステークホルダーの皆さまとのより良い信頼関係を構築し、皆さまとともに持続可能な地域社会を実現してまいります。
③リスク管理
当行グループは、サステナビリティ経営の高度化に向けて6つのマテリアリティを特定し、様々な取組みを行っております。
サステナビリティ経営に関する取組み状況については、サステナビリティ委員会で協議・検討した後、常務会、取締役会へ付議・報告することで管理の強化を図っています。
<マテリアリティ>
・豊かな自然環境の維持と将来への継承
・さまざまな連携強化と地域経済の活力向上
・DXの実現と地域社会のデジタル化
・質の高いUI/UXを通じた共通価値の創造
・多様な人財の成長と活躍を支える組織づくり
・コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの強化
④指標及び目標
中期経営計画「TRANS3 2025」においては、「OHR(コア業務粗利益経費率)」、「ROE(当期純利益ベース)」の財務指標のKPIとともに、当行自身の持続可能な経営やSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の実現に向けて、非財務指標をKPIとして掲げております。具体的なKPIにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中期経営計画」をご覧ください。
(2)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言の開示
①ガバナンス
当行では、サステナビリティ経営の実現に向けて、マテリアリティの一つに「豊かな自然環境の維持と将来への継承」を掲げ、気候関連課題への対応に取り組んでいます。
②戦略
■気候関連のリスクと機会
・当行においてのマテリアリティを特定し、その一つとして「気候変動・温暖化」を掲げ、リスクおよび機会の両面から取組みを実施しております。
・気候関連に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っています。
| リスク | 時間軸 |
| 移行リスク |
|
気候関連に関する規制や税制等の変更に伴うお客さまの事業への影響によるリスク 化石燃料関連事業への過大な投融資の継続による株価下落リスク 脱炭素関連技術による市場変化に伴うお客さまの事業への影響によるリスク | 短期 短期 長期 | |
| 物理的リスク |
|
風水害等の発生に伴う不動産担保の毀損やお客さまの営業拠点の被災による事業停滞に伴うリスク 風水害等の発生に伴う当行事業施設の毀損等による店舗運営の中断・不能によるリスク | 中期 中期 | |
| 機会 |
|
脱炭素社会への移行を支援する新たな金融商品やサービスの提供 気候関連に伴う災害対策のための公共事業や企業の設備資金需要等の増加 営業拠点の省資源・省エネルギー化による事業コストの低下 | 中期 中期 長期 |
■シナリオ分析
・移行リスク
移行リスクは、炭素排出制限や炭素税引き上げ等、気候関連の規制強化への対応による影響を受けるセクターに対する与信関係費用の増加等を想定しています。なお、対象セクターについては、当行のポートフォリオ構成比(与信額)を参考に選定し、今後分析してまいります。
・物理的リスク
物理的リスクは、当行の事業性与信先を対象に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)およびRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)のもとで、水害発生による事業性与信先の財務への影響と担保不動産の毀損に起因した与信関係費用の増加に関する分析を実施しました。分析結果は以下のとおりです。
| 気候変動による洪水の発生 |
シナリオ | IPCCのRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)、RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ) |
分析対象 | 事業性与信先(与信上位2,000先または担保物件のある先) |
分析手法 | 洪水発生時における事業性与信先の財務への影響、および担保不動産の毀損を勘案のうえ、気候変動シナリオごとの洪水が発生する確率を考慮し、与信関係費用の増加を試算 |
分析期間 | 2022年9月末を基準とし、2050年まで |
分析結果 | 累計12~23億円の与信関係費用の増加 |
■炭素関連資産
・当行の貸出金に占める炭素関連資産の割合は以下のとおりです。
2022年9月末基準
エネルギー | 運輸 | 素材・構築物 | 農業・食糧・林業製品 |
2.93% | 10.58% | 19.30% | 2.27% |
③リスク管理
気候変動に起因する移行リスクや物理的リスクが当行の事業運営や戦略・財務計画に大きな影響を与える重要なリスクと認識しています。今後、当該リスクにかかる影響を把握・分析するとともに、統合リスク管理の枠組みにおいて、気候変動に係る管理体制を整備してまいります。
また、シナリオ分析の物理的リスクの結果等を踏まえ、気候変動への対応や脱炭素社会への移行に向けて、お客さまとの対話を強化し、お客さまの課題やニーズを発掘するとともに、最適なコンサルティングを提供することで、共通価値を創造してまいります。
「山梨中央銀行グループ投融資ポリシー」を制定し、環境・社会に負の影響を与える特定セクターへの投融資を抑制するとともに、環境・社会課題解決に繋がる事業等を積極的に支援することで、お客さまや地域の環境・社会課題解決に取り組んでおります。
④指標と目標
■CO2排出量の削減目標と実績(Scope1、2)
地域の環境課題解決に積極的に取り組むことで、脱炭素社会の実現や社会の持続的発展を加速させるため、2023年4月、当行におけるCO2排出量削減目標を見直し、中期目標を「2024年度までに2013年度比70%以上削減」、長期目標を「2030年度までにカーボンニュートラル」に引上げました。
中期目標(2024年度) | 2024年度までに2013年度比70%以上削減 |
長期目標(2030年度) | 2030年度までにカーボンニュートラル |
省エネルギー法の定期報告書における当行の温室効果ガス(CO2)排出量(Scope1、Scope2)にガソリン使用による排出量を加算しています。
(単位:t-CO2) | ||||
| Scope1 | Scope2 | 合計 | 削減率 |
2013年度 | 834 | 5,659 | 6,493 | ― |
2020年度 | 733 | 4,080 | 4,813 | 25.87% |
2021年度 | 682 | 3,858 | 4,540 | 30.08% |
2022年度 | 707 | 2,367 | 3,074 | 52.66% |
CO2排出量の対象範囲:Scope1:直接排出量(重油、ガス、ガソリン等) 、Scope2:間接排出量(電気)
CO2排出量の削減目標と実績(Scope1、2)
■Scope3への対応
(単位:t-CO2) | ||
カテゴリー | 6 出張 | 7 通勤 |
2022年度排出量 | 313.95 | 928.94 |
カテゴリ15(投融資)は、脱炭素社会の実現に向けて重要な対象であると認識しており、今後は分析を強化していきます。
■サステナブルファイナンス投融資額の目標と実績
持続可能な地域社会の実現に向けて、環境・社会課題等への取組みを加速させるため、定量目標としてサステナブルファイナンス実行額の中長期目標を設定しています。
地域の環境・社会課題等への取組みを加速させるため、2022年7月に「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の取り扱いを開始しました。
| サステナブルファイナンス | うち環境ファイナンス |
中期目標(2024年度) | 2,500億円以上 | ― |
長期目標(2030年度) | 8,000億円以上 | 4,000億円以上 |
2022年度 | 1,180億円 | 587億円 |
<サステナブルファイナンス>
持続可能な地域社会の実現に向けた、社会課題や環境課題の解決に繋がる投融資。
<環境ファイナンス>
地球温暖化を抑制するとともに、地域経済への影響を減少させるため、環境負荷低減や気候変動対策を目指す取組みに資する投融資。
(3) 人的資本について
<人的資本経営の実現に向けた取組み>
当行グループでは、価値創造プロセスに基づき、特定したマテリアリティ・経営課題に対し、強みを支える最も重要かつ本源的な資本として「人的資本」を捉えており、戦略を着実に遂行していくための3つの変革ドライバー(AX、DX、SX)となりうる高い専門性を持つ多様な人財を採用・育成・活用し、価値創造に繋げていくための経営を実践し、「パーパス」、「well-beingな社会」の実現を目指す取組みを行っています。
「人的資本経営の実現」に向けた今後の取組みと戦略遂行に向けた人財を確保・育成するための「人財育成方針」、「社内環境整備方針」を定めています。
①人財育成方針
「迅速な行動」「周りとの積極的な関与」「新たな分野への挑戦」を全役職員に求める基礎と定義する中、お客さまや地域社会の多様化・高度化するニーズへの対応、特定しているマテリアリティの解決、地域の持続的な成長を支援するための原動力となる専門性の高い人財を、多様な分野において育成します。そのためには、社内外での各種研修、ジョブローテーション、自己研鑽等の機会を積極的に提供し、職員の主体的・自律的な成長支援に取り組んでいきます。
そしてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進により人財・働き方の多様性を確保しながら、パーパスの実現を目指します。
2022年度人財育成への投資 | |
年間総研修時間(行内) | 48,339時間 |
1人あたり研修時間 | 30.3時間 |
人財育成投資額 | 81百万円 |
Ⅰ.DX推進人財育成(DX・SX)
当行では中期経営計画「TRANS³2025」の3つの変革ドライバーの1つ「DX」の取組み強化にあたり、行内外のDXを支える人財を育成すべく「DX推進人財育成制度」を制定しています。DX推進人財を「DXプロフェッショナル人財」「DXマネージャー」「DXプランナー」の3つの階層に区分し、それぞれに認定要件を設定し、育成に取り組んでいます。
| 2022年度 | 2024年度(目標) |
DXプロフェッショナル認定者 | 11名 | 26名 |
DXマネージャー認定者 | 0名 | 100名 |
DXプランナー認定者 | 168名 | 500名 |
DX推進人財育成費用 | 7百万円 | - |
※DXマネージャー認定者は2022年度末時点で0名ですが、認定者候補となるプログラム受講者は30名です。
Ⅱ.コンサルティング人財育成(AX)
地域経済の活力向上、地域社会の課題解決に資する高い専門性を持つ多様な人財(コンサルティング人財)の育成・活用に取り組んでいます。
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2024年度 |
高難度資格取得者数 | 6名 | 12名 | 17名 | 50名以上 |
資格取得支援費用 | 1百万円 | 3百万円 | 3百万円 | ― |
外部出向・派遣者数 | 35名 | 30名 | 32名 | ― |
外部研修派遣者数 | 7名 | 17名 | 30名 | ― |
高難度資格:中小企業診断士、証券アナリスト、FP1級、宅建士 等
外部出向・派遣実績:地場企業、国内銀行、証券会社、フィンテック企業、不動産会社、自治体 等
外部研修派遣実績:金融経営塾、地銀協講座(法人取引実践講座、個人取引スキルアップ講座)等
Ⅲ.地域活力の向上、豊かな生活づくりの支援(SX)
地域経済の活力向上、地域社会の発展、豊かな生活づくり、SDGs目標の4「質の高い教育をみんなに」を実現するため、総合金融サービスの提供だけではなく、金融リテラシーの向上を目的とした取組みを強化しています。
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
金融教育実施回数 (Financial education) | 11回 | 58回 | 46回 |
受講者数 | 1,633名 | 2,379名 | 2,548名 |
校外学習受入回数 (Field trip) | 9回 | 17回 | 20回 |
校外学習受入人数 (Field trip) | 115名 | 219名 | 261名 |
金融資料館来館者数 | 815名 | 1,360名 | 1,115名 |
※「金融教育実施回数・受講者数」には学校等での教育実施のほか、資産運用セミナー等も含んでおります。
②社内環境整備方針
地域の企業・産業の発展を支え、地域を活性化し、well-beingな社会の実現に向け、多様な人財が持つ能力を最大限発揮でき、働きがいを実感できる組織づくり、仕事と家庭・生活の充実を感じることのできる仕組みづくりを目指した職場環境整備を進めていきます。
また、人権や多様性を尊重し、すべての人々が個性と能力を発揮できる活力ある組織の構築を実現していきます。
Ⅰ.個人の成長に向けた取組み(AX・SX)
当行は、お客さまへ様々なサービスや価値を提供できる人財の育成に注力するとともに、働く役職員がやりがいや働きがいを感じながらキャリアプランの実現を目指すために様々な経験・体験をする機会を提供しています。
マイキャリア・コーディネート制度 | 利用者数(申請者数)※ |
ポストチャレンジ | 5名(9名) |
サイドジョブ(社内兼業) | 10名(11名) |
ジョブトライアル(社内兼業) | 43名(48名) |
※申請者数と利用者数の差異は募集定員を上回る申請があったことによるものです。
ポストチャレンジ:本部部署等への異動に係る公募を拡大し、職員の自発的なキャリア実現を支援する取組み
サイドジョブ:プロジェクトへの参加による自身の知見の組織運営への反映と自己成長につなげる取組み
ジョブトライアル:本部業務の経験による能力開発とキャリアアップを図る取組み
副業制度 | 利用者数 |
副業(社外) | 10名 |
副業内容:データ分析、花火大会運営、セミナー講師等
Ⅱ.多様な働き方に向けた取組み(AX・SX)
当行では、仕事と家庭の両立支援への取組みの一環としてテレワーク制度やフレックス制度の導入、休暇制度を拡充し多様な働き方を促進しています。
また、育児休業者の復職支援や復帰後支援策として育児短時間勤務制度も拡充しています。
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
テレワーク制度利用者数(延べ) | 3,662名 | 3,618名 | 3,687名 |
男性育児休業取得率 | 21.6% | 16.4% | 115.2% |
女性育児休業取得率 | 108.1% | 97.7% | 111.8% |
育児休業復職支援情報交換会参加者数 | 0名 | 18名 | 18名 |
育児休業復職支援情報交換会実施回数 | 0回 | 1回 | 2回 |
育児短時間勤務制度利用者数 | 29名 | 33名 | 24名 |
Ⅲ.コンプライアンスへの取組み(SX)
当行グループの価値創造プロセスのマテリアリティの1つとしてコンプライアンスの強化を特定しております。すべての取組みの基本・最重要課題として毎年、「コンプライアンス・プログラム」を策定し、職場内研修や階層別の集合研修を実施しています。
| 2022年度 |
コンプライアンス・チェックシート回答率 | 100% |
職場内研修受講率 | 100% |
集合研修受講者数 | 322名 |
Ⅳ.エンゲージメント向上(SX)
従業員の資産形成の支援、モチベーション、エンゲージメント向上を目的に従業員持株会のインセンティブの見直しおよび拡充を図り、ステークホルダーである従業員への価値提供を行っています。
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
従業員持株会加入率 | 85.72% | 85.08% | 84.08% |
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