山九 【東証プライム:9065】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンスおよびリスク管理
当社グループは、サステナビリティ経営は主要な経営課題の一つという認識のもと、事業を通じて社会課題の解決に貢献するためにサステナビリティの推進体制を強化しております。2022年4月1日付けでサステナビリティ委員会を設置し、2023年4月1日付で新たにサステナビリティ推進担当執行役員を設け、その配下のサステナビリティ企画部は、サステナビリティ委員会の事務局を担当しております。
サステナビリティ委員会は、ESG管理管掌の代表取締役専務取締役を委員長とし、コンプライアンス委員会、人事委員会、労政委員会、人財育成委員会、組織風土・運営改革委員会、技術委員会、システム委員会、品質マネジメント委員会、安全衛生会議、環境会議と連携して、グループ横断的に活動を推進しております。原則年二回、以下の内容の討議等を行い、討議した内容は、経営会議および取締役会にて審議・報告しております。
・サステナビリティ基本方針・マテリアリティの策定および見直し
・リスク・機会の特定および対応策の審議
・サステナビリティ課題全般に対する活動進捗確認および指示
2022年度のサステナビリティ委員会においては、主に、2023年度を初年度とする「Vision2030」あるべき姿の達成に向けて各マテリアリティに対するKPIの設定について議論をしております。
(2) 戦略
① サステナビリティ基本方針とマテリアリティ
当社グループは、サステナビリティ基本方針を制定しております。経営理念に込められている精神を具体的に明示することで、企業と社会が共に持続可能な発展を遂げるための取組みを推し進めることを狙いとしています。
山九グループのサステナビリティ基本方針 山九グループは創業以来、経営理念に込められた精神を受け継ぎ、社会要請に応じて事業形態を変化させ、社会の発展と共に歩んでまいりました。これからも経営理念に基づき、事業活動を通じて、環境問題を含む社会課題の解決に貢献し、企業と社会が共に持続的に発展していくことを目指します。
山九グループの「経営理念」は、サステナビリティと深く結びついています。 1.「人を大切にすることを基本理念とする」 誰もが安心して働き、山九グループに関わる全ての人々が幸せに暮らせる未来を目指します。 環境の変化に対応し、社会の要請に応じたサービスを提供することで、世の中から選ばれ続ける企業 を目指します。 3.「社業の発展を通じて、社会の発展に貢献する」 グローバルに展開する事業活動を通して、社会の発展に貢献することを目指します。
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また、当社グループの事業における重要度とステークホルダーにおける重要度で社会課題を評価し、マテリアリティを特定しました。特定した16のマテリアリティを6つのテーマに整理し、テーマ毎に対応方針を定め、取り組みを推進してまいります。
テーマ | マテリアリティ | 対応方針 | 関連するSDGs | |
E | 環境保全 | 気候変動への対応 | 「地球環境は全人類にとってかけがえのないものである」との共通認識に立ち、事業活動に伴う環境負荷の低減を積極的に推進します。 | |
資源循環 | ||||
S | 働きがいのある職場づくり | 働きがいのある職場環境づくり | 「人を大切にする」という経営理念のもと、ワークライフバランスを推進し、多様な人財が一人ひとりの能力を高め、誇りを持って意欲的に働くことができる環境づくりに取組みます。 | |
人財育成 | ||||
ダイバーシティ | ||||
労働安全衛生の向上 | ||||
サービスの安全・品質の担保 | 「安全を全てにおいて優先する」という強い決意のもと、安全を全ての事業の根幹として技術・技能を磨き、サービス品質の向上に努めます。社会要請に応じたサービスを提供することで、事業の発展を目指します。 | |||
サービスの安全・品質の担保 | ||||
社会変化に対応した価値提供 | ||||
情報セキュリティの担保 | ||||
革新技術を活用したサービスの提供 | ||||
地域社会への貢献 | 人権尊重および地域社会への貢献 | 「社業の発展を通じて社会の発展に貢献する」という経営理念に込められた精神のもと、地域社会と共に持続可能な成長を目指します。 | ||
G | 経営基盤の強化 | ガバナンス体制の確保 | 適切なガバナンス体制の構築によりリスク管理を行い、経営の透明性を確保して公平公正な事業活動を行うことで、ステークホルダーから信頼される企業であることを目指します。 | |
リスク管理の徹底 | ||||
ステークホルダーとの対話 | ||||
事業活動の情報開示 | ||||
コンプライアンス | コンプライアンスの徹底 | 企業倫理ならびに、法令および社内で取り決めたルールを遵守し、国際社会の一員として社会良識をもって行動します。 |
② 気候変動への対応
当社グループは、気候変動は重要な経営課題の一つと捉え、気候変動が与える2030年までのリスクと機会を定量的・定性的の両面から評価を実施し、気温が1.5℃上昇することを想定したシナリオ(環境保全シナリオ)と4.0℃上昇することを想定したシナリオ(成行シナリオ)を用いて財務的影響の評価と対応策を検討しております。複数のシナリオを用いることで、環境変化・社会情勢に応じた臨機応変な対応が出来るよう検討しております。
また、気候変動の原因となる温室効果ガス(特に影響の大きいCO2)について、中長期的な目標を設定し削減に向けた取り組みを推進することで、2050年までに、CO2排出削減目標である実質ゼロを目指して活動していきます。
[ シナリオ分析、リスクと機会の評価 ]
| 中分類 | 小分類 |
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移行 リスク | 政策・ 法規制 | 炭素価格 | リスク | 各国政府の炭素税の導入により、コスト負担分をサービス料金に転嫁しきれずに利益率が低下 |
主な対応策 | ・CO2排出量削減取り組みの推進 | |||
評判 | 金融機関・ 投資家・ 社職員の行動変化 | リスク | グリーン戦略の実行・管理可能な体制整備の遅れ及び役職員の行動変容が伴わずに戦略推進の停滞により売上・利益が低下、市場評価も低下 | |
主な対応策 | ・施策推進機能の構築 | |||
市場 | 顧客の 行動変化 | リスク | 機工・物流領域における脱炭素施策の取り組み遅れにより、顧客から選ばれず、既存売上が減少 | |
主な対応策 | ・脱炭素施策の推進 | |||
顧客の 市場規模 縮小 | リスク | 主要顧客の環境コスト負担が大きく、海外メーカーとの製造コスト差が発生し、日本の生産量及びサプライチェーンが縮小、既存売上が減少 | ||
主な対応策 | ・海外のプラントにおける事業展開の強化 | |||
設備寿命の 延伸 | リスク | サーキュラーエコノミーの加速で、顧客の設備寿命延長の取り組みが進み、保全に係る既存売上が減少 | ||
主な対応策 | ・新技術による予知保全領域への事業拡大 | |||
顧客の製造 プロセス変化 | リスク | 主要顧客のCO2削減対応設備の採用や循環型原料への代替など、脱炭素への対応が進むことにより、既存領域での作業が減少、売上が減少 | ||
主な対応策 | ・各種のCO2削減対応設備および非石油原料プラント技術に関する対応の強化 | |||
機会 | 新たな製造技術が進むことにより、老朽化設備の解体工事や、設備新設工事が増え、工事参画により売上機会を獲得 | |||
主な対応策 | ・工事対応力の強化 | |||
代替エネルギーインフラへの要請 | 機会 | 水素・アンモニアのサプライチェーン形成に伴い、製造プラントや燃料を利用する発電所・製造業等の事業機会に参画することで新たな売上機会を獲得 | ||
主な対応策 | ・水素・アンモニア設備に関する事業参画 | |||
廃棄物リサイクルへの要請 | 機会 | 化学製品/鉄/非鉄の領域において、商流・物流・情報流のエコシステムへの参画により、新たな売上機会を獲得 | ||
主な対応策 | ・静脈物流網構築、エコシステムへの参画 | |||
再エネ発電普及 | 機会 | 再エネ事業(太陽光、風力、水力等)の施工体制の整備、工法等のノウハウ習得による売上機会の獲得 | ||
主な対応策 | ・再エネ事業対応力の強化 |
| 中分類 | 小分類 |
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物理的 リスク | 急性 リスク | 自然災害 の頻発 | リスク | 気候変動により引き起こされる将来の海面上昇に伴う台風豪雨発生時の被害甚大化により、倉庫移転のリスクや機材等の修繕コスト増加 |
主な対応策 | ・浸水対策等自然災害に対する対応強化 | |||
慢性 リスク | 平均気温 の上昇 | リスク | ヒートストレス対策コストの増加、ヒートストレスによる労働生産性の悪化により利益率が低下 | |
主な対応策 | ・労働環境の整備 |
③ 当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
上記の方針は、以下のとおりであります。
a.人材育成方針(山九グループ人財育成方針)
当社グループの競争力の源泉は「人材」であり、そのため「人材」を「財産」と捉えており、社内では「人財」と認識し、表現しております。
その認識のもと当社グループにおける人財育成の目的は、全社員が企業理念を認識し、具現化に向けそれぞれの特性と能力を発揮し、山九グループにおける価値創造を最大化するとともに社会人としての自己実現をさせること、と定義しています。
具体的な取り組みとして獲得した人財に必要なスキルを身に付けさせ能力を最大化するために、以下の教育体系に基づく研修及び社員の自律的なキャリア構築を支援する制度を導入しています。
加えて育成を通して多様な人財が活躍できる土壌を整備するために階層別研修の上級管理者研修・管理者研修・係長研修において人財の多様性の理解を促す「労務管理と多様性」講座、選抜型研修にて女性社員のキャリア形成支援を目的としたダイバーシティ研修を実施しています。
また、2022年10月マレーシアに開設した海外で初となる人財育成センター「SANKYU TECHNICAL ACADEMY」にて海外関係会社社員を対象にメンテナンス研修、機械整備研修などを年間延べ3,000人規模で実施し、世界で活躍できるグローバルな技術・技能集団の育成に取り組んでまいります。
教育体系(単体)
(注) 階層別研修、技能・技術研修、各公開講座は関係会社社員も受講しております。
b.社内環境整備方針
(a) 安全に関する取り組み
「人を大切にする」という当社(グループ)の経営理念の根幹となるのは、全社員とその家族が一人でも多く幸せを感じることであり、「安全」はその為に最優先されるべき条件であると考えています。
その為にも、安全衛生方針に示している、我々の職場には『そもそも安全な状態は存在せず、常に存在するのは危険な状態である。』という認識とともに、常に問題意識を持ち続け、全社員が一丸となって危険な状態を排除する知恵や工夫を現場に反映させることが重要となります。
また、そのような安全活動、安全管理ができる人財を育て、安全文化を継承することで、真に「人を大切にする」組織を構築していきます。
具体的には以下のような安全の取り組みを行っています。
・「山九労働安全衛生マネジメントシステム」を導入
厚生労働省策定のOSHMSをもとに「山九労働安全衛生マネジメントシステム」(Sankyu occupational Safety and Health Management System:SSMS)を策定し、2003年に全社で導入しています。
なお、導入に際しては、従来から行っていた活動に加え、新たに体系化した活動を取り入れ、組織的な安全管理活動を再構築しました。
・安全衛生教育
教育の主管となる組織、受講する従業員の階層ごとに、体系的かつ計画的に行っています。従業員に安全衛生に関する知識および技能を習得させるとともに、意識の高揚を図るための教育を実施することを規程で定めています。
(注) 上記の他、人材育成方針に記載した階層別研修の全階層にて「安全衛生管理」に関する講座を実施しています。
(b) 働きがい向上に関する取り組み
社員が、それぞれの特性と能力を最大限発揮するには働きがいを持てる職場環境を整備することが重要となります。そのために以下のような対話活動を通して社員のニーズを把握し、職場環境の整備に取り組んでいます。
本社で行う労働組合との対話活動実績(2022年度:単体)
| 実施回数 | 取り扱う内容 |
労使経営委員会 | 2回 | ・経営状況の説明 |
労使経営懇談会 | 1回 | ・各事業本部方針の説明 |
労使幹部連絡会 | 5回 | ・決算説明 |
労使協議会 | 5回 | ・労働条件等に関する協議 |
労使専門委員会 | 11回 | ・労働条件等に関する意見聴取 |
人事制度専門委員会 | 1回 | ・人事制度の運用状況説明および意見聴取 |
雇用対策検討委員会 | 2回 | ・要員状況、作業状況についての説明および意見聴取 |
社員との対話活動実績(2022年度:単体)
| 実施回数 | 内容 |
役員対話活動 | 52回 | ・社員と取締役、執行役員との直接対話活動 |
小集団対話活動 | 1,851回 | ・階層別での社員同士の対話活動 |
社内環境整備実績(2021~2023年度:単体 (注)1)
65歳定年制の導入 2021年4月導入
65歳以降の再雇用制度の導入 2021年4月導入
年間所定労働時間の見直し 2021年度、2022年度実施
初任給水準、賃金水準の見直し 2022年度、2023年度実施
年次有給休暇付与日数の見直し 2023年度実施
生活支援一時金の支給 (注)2 2023年4月支給
(注)1. 関係会社も各社の実態に応じ、社内環境整備に取り組んでいます。
2. 単体および国内関係会社社員に支給しております。
今後、海外関係会社社員へも支給予定であります。
今後、従来の対話活動に加え、多様化する社員ニーズに対応するため当社にとって重要なエンゲージメント項目を整理し、定期的に社員のエンゲージメントレベルを把握する仕組みを導入し、その結果に基づき、更なる社内環境整備に取り組んでまいります。
(3) 指標および目標
当社グループでは、前述「(2)戦略」②気候変動への対応に関する取組みについて次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
非財務指標 | 中期目標 2026年度 | 長期目標 2030年度 | 実績 (当連結会計年度) |
CO2排出量削減(20年度比) (Scope1,2、単体及び連結子会社) | 18% 削減 | 42% 削減 | - (注) |
(注) 2022年度実績は現在精査しております。
なお、過年度の2021年度実績値は、20年度比で2.6%の削減となりました。
また③人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針のb.社内環境整備方針(a)安全に関する取り組みに関する指標は、労働災害度数率(単体)を用いております。当該指標の2023年の実績は、0.34(注)となります。今後、改善に向けて各方針に示した取組みを進めてまいります。
(注) 実績は2022年1月~12月末となります。
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