小野測器
【東証スタンダード:6858】「電気機器」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、お客様が社会課題を解決するための価値ある商品を提供できるよう、計測・解析・制御ツールを通し、社会に貢献することを使命としております。
また、当社は、2024年1月20日に創立70周年を迎えました。これを機に、『100年企業』への成長に向け、企業の根幹となる企業理念の再言語化を行いました。
新しい企業理念 創業の精神
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新しい企業理念のもと、事業活動における安全・品質・環境・人権などへの対応に真摯に取り組むことにより、当社の事業基盤を強化し、中長期的な企業価値の向上と持続的な成長の実現を目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの経営課題は、いかなる状況においても利益を確保できる体質に改善していくということであります。そのために、中期的には「売上高営業利益率15%以上」、「フリー・キャッシュ・フローを改善し、財務体質を強化」を目標とし、ROEにつきましても8%以上となることを目指します。
なお、2025年から2027年までの中期経営計画「Challenge StageⅣ」では、現状の業績水準から、以下の経営目標を掲げております。
連結売上高 | 連結営業利益 | ROE | 海外売上高 |
145億円 | 10億円 | 6%以上 | 35億円 |
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、
長期経営戦略
・ モノ→コト→モノの循環による顧客価値創出
を掲げております。デジタル化、モジュール化、及び技術のコモディティ化がグローバルで進行するなか、これまでの機能、性能、品質といった「製品(モノ)の機能的価値」の追求から、体験や主観的価値、またはソリューションをはじめとした「サービス(コト)による付加価値」への転換が図られております。こうした「モノからコト」への流れに加え、お客様との共創のなかで得た知見を、再び技術や製品へフィードバックすることで、更なる顧客価値の創出を行います。
2024年には創立70周年の節目を迎え、企業理念の再言語化や統合報告書の発行、挑戦に向かう新たな取り組み等を行いました。これらの過程で当社の強みを再確認し、新たな成長を実現するため、新中期経営計画「Challenge StageⅣ」を策定いたしました。
「Challenge StageⅣ」では、当社の強みである顧客からの信頼を基盤とした「ものづくりの力」「はかる力」「顧客サポート力」を活かし、専門性の拡大と市場の拡大を図ります。顧客のデジタル開発への対応で「はかるを極め、わかるに挑む」ことを成長戦略とし、「はかる力を世界につなげる」グローバルでの計測機器拡販で業績伸長を目指します。またDXとオープンイノベーションによる成長戦略の早期実現、サステナビリティへの対応等を行います。
新中期経営計画「Challenge StageⅣ」では、顧客の課題を、顧客とともに解決するビジネスモデルへの変革に挑戦し、業績目標の達成を目指します。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年は、当社の中期経営計画「Challenge StageⅢ」(2022年〜2024年)の最終年でありました。コロナショックを契機として低迷した業績からの回復を目指し、「Challenge StageⅢ」では「事業再生」を掲げ、黒字基調へと向かい最終年度の受注は大きく回復しましたが、目標とした経営成績は未達成となりました。また、海外市場の拡大も道半ばです。
| 2021年 | Challenge StageⅢ | 目標達成率 | 2021年比 | |
2024年目標 | 2024年実績 | ||||
売上高(百万円) | 9,852 | 14,000 | 11,804 | 84.3% | 119.8% |
営業利益(百万円) | △859 | 1,000 | 144 | 14.5% | ― |
ROE | △9.6% | 5%以上 | 9.9% | 198.3% | ― |
海外売上高比率 | 14.4% | 27.0% | 16.2% | 60.0% | 1.8p |
「Challenge StageⅢ」での3つの活動テーマに関する成果と課題は、以下のとおりです。
① 成長戦略:「環境」「社会的課題の解決」を通した成長の実現
新たな事業を展開すること、インフラ・ヘルスケアなどの新たな領域での新製品・新サービスの創出に挑戦しました。
成果: 音環境に関する新しいサービス「Sound One」を開始、計測技術の知見を活かした電動車両の「ベンチマーキングレポート」、「ベンチマーキングモデル」の販売を開始。また、インフラ、ヘルスケア領域への技術展開の探求などを実施
課題: 新領域での事業の確立、新しい事業を生み出す力の強化
② 業績伸長:アジア地域を中心とした海外市場の強化による収益の拡大
成長のためのターゲットを海外市場と定め、体制の強化から取り組みましたが、コロナ禍による活動制約が長引きました。
成果: 現地法人の体制強化、本社からの支援体制整備、海外での商流の拡大など
課題: 地域別の市場に合わせたマーケティング強化と市場にマッチした製品の投入
③ 構造改革:DX とオープンイノベーションの推進による改革の実現
DXやオープンイノベーションによる効率化を図るとともに、人への投資によるエンゲージメントの向上に取り組みました。
成果: 定年延長、人財教育などの人的資本への投資と働く環境の整備、社内でのDX展開など
課題: DXとオープンイノベーションの成果を成長へと繋げること
当社の主要顧客である自動車業界では、デジタル開発の高度化と試作レスへと向かう潮流があります。当社が得意とした内燃機関やパワートレインの領域での顧客の投資が減少し、電池や熱マネジメントの領域での投資が活発化するなか、当社では顧客と同等以上の保有設備を活かし、受託試験からエンジニアリングの領域へと事業を拡大中であります。このような事業環境の変化のなか、「Challenge StageⅢ」での活動と課題を引継ぎ、当社の強みを活かして中長期的な成長の実現を図るため、新中期経営計画「Challenge StageⅣ」を策定したものです。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けての対応としましては、現状の株価純資産倍率(PBR)は0.4倍前後と低迷しており、成長性と収益性の両面での課題があると認識しております。2024年度においては、旧本社ビルを売却しましたが、これは必ずしも成長に寄与していない資産を資金化し成長投資へと備えるものです。また、売却によって生じた特別利益から特別配当の実施、自己株式の取得等の資本政策も実施いたしました。今後につきましては、事業の成長と投下資本の効率性向上を目指し、新中期経営計画の実践に取り組むとともに、広報・IRの充実により、すべてのステークホルダーの皆様との対話を強化することで、株価純資産倍率(PBR)の向上を目指します。
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