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企業概要

 当社グループにおける研究開発活動は、主に連結財務諸表を作成する当社が行っております。

 また、当社における研究開発活動はSI事業に係るものであり、その活動状況は次のとおりであります。

(1) 研究開発体制

 当社の研究開発につきましては、技術管理統括部、次世代通信ビジネス部及び生成AI部をはじめとする各研究開発部門において、最新の技術動向を調査・研究すると共に、実践レベルでの各種検証を行っております。

 なお、当連結会計年度末の研究開発に従事する人員数は、121名であります。

(2) 研究開発費用

 当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は、1,206百万円であります。

(3) 研究開発の概要

①DX

・ 「人材育成プラットフォーム」に関する調査研究

 2022年7月より、全社教育市場戦略検討・推進WGを立ち上げ、教育市場において「今後当社が注力すべき分野の検討」等を検討してまいりました。検討の結果、市場成長率が高く今後拡大が見込まれる社会人教育市場を対象に、当社の技術者育成ノウハウを活かし、社会人が日々意欲的に学習しスキル習得/向上を実現する「人材育成プラットフォーム」を立案し、社会人の技術者育成プロセスの確立や課題点を抽出するため、社内実証による研究を実施することといたしました。

 2024年度においては、フェーズ2として、2023年度に実施したフェーズ1で有効性を確認した、「探求/協働学習」(意欲的に学習する資質を持つ人材の発掘プロセスや協働学習による育成プロセスにおけるワークショップ)について、学習ログ・事後アンケートの結果から、ワークショップの割合拡大、メンター(講師)がワークショップに参加することによる、学習効果及び非認知能力の向上を確認することができました。

 また、下記のAI・システムのプロトタイプを開発・運用した結果、AIの精度等に課題は残るものの、これらのAI・システムが意欲的に学習する資質を持つ人材の発掘や、学習意欲の維持/向上、運営面での効率化につながることを確認することができました。

  ①アセスメント(SPIデータから意欲的に学習する資質を持つ人材を発掘)

  ②学習を促す通知(個別学習が遅れそうな参加者に対して学習を促す通知を配信)

  ③コンテンツレコメンド(参加者の不足知識に対する学習コンテンツ情報を提供)

  ④ワークショップグループ分け(学習理解度のレベル感が同じ参加者を自動でグループ分け)

 今後は、今回の社内実証により得られた、探求/協働学習を中心とした育成プロセスのノウハウや学習を支援するシステムに必要な要素を、社内教育や当社教育ビジネスで活用するための教育プラットフォーム化検討に活かしてまいります。

②AI

 大型GPUサーバーを導入し、開発者に提供することで早期提案の実現や開発の生産性を向上する取り組みを行っております。この取り組みの実現により、お客様のサービス提供スピードの向上とともに高付加価値の実現への貢献を果たしております。医療分野においては引き続き大学病院と共同研究を実施しており、他の部位や異なる症状についての共同研究を進めております。大規模自然言語モデル(LLM)においては、昨年公開した全社員に利用できる環境を展開し、企業ナレッジを検索する仕組みを公開いたしました。エージェントによる業務実行の仕組みも公開予定です。カスタマイズの手法や様々なLLMの評価などを経てソリューション化の一助となる調査、研究活動を実施しております。
 今後も市場の動向や研究で発表される新たな技術の調査・検証を進めると共に、開発の生産性や品質の向上、お客様の付加価値を提供すべく継続して研究を進めてまいります。

・ 介護DX技術に関する調査研究

 高齢化社会が進み介護需要が高まる状況において、介護施設利用者、介護職員のそれぞれの当事者がWell-being(※)を享受できていない事象が発生していることが分かり、2024年1月より当事者個人のWell-beingを最大化するための介護DX技術の研究を開始しております。

 介護分野を研究しているアカデミアとも連携し、当研究を以下3つの工程で進めております。

 ・フェーズ1:Well-beingの最大化に必要となる要素の調査と技術的な実現方法の策定

 ・フェーズ2:最小構成の試作による期待効果の確認

 ・フェーズ3:サービスを市場投入する際の課題の調査・解決

 現在、フェーズ1を経て2024年6月よりフェーズ2へ移行しております。試作開発を行い、介護事業者の協力を得て効果確認を実施いたしました。

 その結果、研究成果を社会実装した場合に介護施設利用者、介護職員のそれぞれにとって期待効果が得られることがわかり、介護現場に対する価値を確認することができました。2024年12月より現段階での市場価値の確認に着手しております。

※Well-being…本質的な価値≒幸福感

・ 生成AIを活用した生産技術に関する調査研究

 当調査研究では、要件定義からテストまでのライフサイクルの生産性&品質向上を研究目的とし、生成AIの回答精度を高めるためのデータ活用、生成AIの回答を自立検証可能なシステム開発、GUI操作の自動化など、生成AIを生産力とするための取り組みを実施しております。

 今後も、社内での実証実験及び社内活用を進め、労働生産性向上、労働人口減少問題に対するソリューションとしてお客様へ提供すべく、継続して研究を進めてまいります。

・ ロボットに関する調査研究

 ロボット分野においてはROSを利用したロボット、AMR等を低予算で少量多品種の生産現場へ適用すべく研究を進めております。短期間のティーチングを実現するデジタルツインを実現するシミュレータの研究においては、ビジネスへの転用を図っており、多くの引き合いを頂いております。

・ データ分析技術に関する調査研究

 データ分析技術活用によるビジネスの拡大を研究目的とし、利用するデータの鮮度と精度の向上、データ分析及びAI活用を進め、データ加工の効率化を図るとともに、より経営判断に資する情報を提供するための調査研究を実施しております。

 また、技術者を育成するための適性検査や学習コンテンツレコメンドの調査研究やDX時代に必要なデータ分析基盤の調査研究と合わせて取り組んでおり、これらの活動を経て、お客様のデータインフォームド経営の実現に貢献してまいります。

③Security

・セキュリティ技術に関する調査研究

 社内システム・自社プロダクト・受託開発のセキュリティ強化のため、「セキュア開発・運用プロセス」、「脆弱性検査・管理」、「ハッキング・堅牢化手法」、「セキュリティアーキテクチャ」等の研究を実施しております。

Cloud

・ Rubrikを活用したランサムウェア対策のバックアップサービスに関する調査研究

 近年、日本国内でもランサムウェア被害が企業規模に関わらず拡大しており、メディアやマスコミでも多く取り上げられております。「セキュリティ」は当社注力領域であることから、拡大するランサムウェア対策市場に対し、優位性を持ったマネージドサービスの開発は急務であると考え、ランサムウェア対策サービスの立案に向けて、調査研究を実施しております。

 2023年度は、フェーズ1として、マネージドサービスを提供する上でオンプレ向けのバックアップサービスを中心に研究開発を行っておりましたが、2024年度は、市場ニーズがあるオンプレ向け追加機能及びクラウド向けのバックアップの機能のサービス化が可能かの判断をするため、以下の観点でフェーズ2の実機検証を行い、すべて問題なく完了いたしました。

  ①オンプレ環境の検証:NAS Cloud Direct検証、DR対策の検証(今後追加予定の事前検証)

  ②クラウド環境の検証:CC-ES検証(フェーズ1から継続)、Rubrik Cloud Vault検証

 調査研究の結果、Rubrikをベースとした構成は当社がマネージドサービスを提供するに十分なレベルであると判断し、社内への研究成果の公開、サービス仕様書(案)及び運用仕様書(案)のアウトプットにまとめております。

 今後は今回の結果を踏まえて、サービス提供済みであるフェーズ1のオンプレ向け機能に追加して、サービス展開できる様に、サービスの販売に向けて対応を進めてまいります。

Mobile & AutoMotive

BEVの急速な伸長、自動運転、OTAが次々と市場に投入され、SDVの実現に向け、一層増加傾向にある車載ソフトウェア開発を支えるため、当社はMBD/CIを活用した再利用性の高い開発手法への取組み、HILS/SILSを活用したシミュレーション環境構築への取組み、従来より高い精度と効率を実現する画像AIアルゴリズム開発への取り組み、Open SDV Initiativeへの参画等を行っております。また、モビリティ社会の発展のため、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学や複数企業と共同でレベル4以上の自動運転サービスの社会実装を進める研究開発を開始しております。

 品質および開発効率といった観点においては、Automotive Spice Level3の認証取得をはじめISO26262(機能安全)、ISO/SAE21434(セキュリティ)などのプロセス構築を継続し、開発現場での活用を通じて改善を進めております。

 今後はECU統合化などE/Eアーキテクチャの進化に向けて、旧来より取り組んできたAUTOSARのみならず、これまでの知見と資産を活かした次世代技術への取組みを進めてまいります。

MBDプロセス委託サービス実現に向けた調査研究

 経済産業省主導でモビリティ社会の最先端の開発コミュニティの実現を目的としてJAMBE(一般社団法人 MBD推進センター)が設立され、より一層自動車業界でのモデルベース開発普及推進傾向にあり、当社はA-SPICEやAUTOSARに対応したモデルベース開発プロセスの構築に取り組んでおります。
 より効率的にモデルベース開発関連の委託業務を進めることを目的として、モデルベース開発プロセスの標準化、自動化、CI環境を導入し、実適用に向けてのトライアルを実施、また、トライアルの中でA-SPICEに準拠させるべく、モデルベース開発プロセスのテーラリングを行いました。これにより、効率的かつA-SPICEに準拠したプロセスでモデルベース開発関連の委託業務が推進可能となり、今後はさらに対応範囲の拡大に取り組む予定であります。

⑥5G

・ ローカル5Gに関する調査研究

 今期の研究では、Wi-Fiと5G(複数端末利用時)の通信特性を比較し、当社が販売を予定している5G基地局製品の実用性を検証しました。Wi-Fiとの比較から、現在の環境では速度面ではWi-Fiに利点がありますが、5Gは高速かつ安定的であり、特にストリーミングや機器制御において優位性があることを実測データから確認いたしました。その後、実際のユーザーが利用するシーンを想定し、5Gの安定性や低遅延性を活かした技術チューニングの検証を実施し、5Gの通信帯域を調整することで、ストリーミングや機器制御など各ユースケースに適したパフォーマンスの効果測定を確認できましたが、ユーザーが技術チューニングを簡単に利用するには専門知識と運用ノウハウが必要であるため、研究したチューニングノウハウをエンドユーザーが利用しやすい形態とする取り組みを今後も推進してまいります。

上記に加え、大容量・低遅延の特性を持つローカル5Gでの映像伝送検証を実施しており、様々な映像コーデックや5Gチューニングの組み合わせが映像伝送経路全体の遅延にどう影響するか網羅的に検証し、映像伝送に最適な低遅延化設定のパターンを発見いたしました。また、5Gの利用用途に応じた5G機器(コアネットワーク)の発掘調査についても進めております。今後も、実ユーザーの利用シーンに最適な付加技術発掘と5G機器の発掘を行い、5Gの普及につながる研究開発を実施してまいります。

⑦その他

・ 家庭向けデジタル教材サービスの仮説検証のための調査研究

 家庭向けの自学自習サポートサービス正式提供に向け、教育有識者の作成学習計画とデジタル学習参考書と当社システムを組合せたサービスの学習効果の検証を実施しております。

2024年度につきましては、2025年4月からの実証開始に向け、以下の準備作業を実施いたしました。

 ・学習システムプロトタイプの試作

 ・学習カリキュラムの作成

 ・出版社への学習参考書提供交渉および提供契約の締結

 ・実証参加者の募集準備

・ Web3/NFT/メタバースに関する調査研究

2023年度実施の実環境上での調査研究および「Web3/NFT/メタバース推進会議」での議論・検討の結果、新しい組織形成の形であるDAO(※)をビジネスシードの一つと捉え、企業内でDAOを活用する課題や効果、運用ルール、あるべきシステムを導き出す事を目的とし、社内DAOシステムの構築、POC実施に向け、以下調査研究を進めてまいりました。

 1.企業内でDAOを活用するための調査・検討(①社内DAO要件定義 ②POC実行案の策定 ③社内ルール策定)​​

 2.社内DAOシステム開発・構築(①設計 ②開発 ③構築)​

1.の調査研究については、あるべき姿と社内DAOとは、を再定義し、構築へ向けた仕様策定、運用に向けたルール策定、推進会議内でのPOC実施による課題抽出および全社POCへ向けた予算見積を実施いたしました。

2.の調査研究については、DAOの基本的な概念を踏襲しつつ、企業内で利用可能な仕組みを取り入れた社内DAOシステムの開発と社内利用可能な環境の開発・構築を行いました。しかしながら、コミュニティ(チャット)が活性化し議論が活発化するという点、社内DAOに最適なテーマを選定するプロセスという点において課題を残す結果となりました。今年度の調査研究の結果を受け、今回構築の社内DAOシステムを活用し、多くの人が議論・意思決定できるコミュニティを再考のうえ、販売可能なレベルまで持ち上げるため、継続して調査・検証を進めてまいります。

※DAO…DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)とは、ブロックチェーンを活用した

 新しい組織形態。従来の中央集権型組織とは異なり、参加者同士が協力し合いながら組織運営を行う。

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