太陽ホールディングス 【東証プライム:4626】「化学」 へ投稿
企業概要
サステナビリティに関する考え方及び取組については、コーポレート・ガバナンス報告書に記載のとおり長期経営構想「Beyond Imagination 2030」において、「SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み強化」を基本方針の一つとして掲げています。詳細な取り組みについては以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。また、コーポレート・ガバナンス報告書は、当社ウェブサイト(https://www.taiyo-hd.co.jp/jp/pdf/investor/governance/governance.pdf)に掲載しています。
(1)サステナビリティ
① ガバナンス
サステナビリティ全般の業務執行については、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会が担っています。サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティに関する活動の方向性や、重要課題に基づき設定した目標に関する進捗等を全社グループ横断的に議論しています。重要事項については、取締役会の提言を受けることとしています。
② リスク管理
当社グループでは、事業に関連する短期、中期、長期のリスク及び機会に対応するため、年に複数回、事業ごとにリスク及び機会の見直しを行っています。特に重大な影響を及ぼす可能性のあるサステナビリティ関連事項については全社的にリスク管理を図るため、評価・識別したリスクを実行部門で対応し、サステナビリティ推進委員会及び取締役会にて対応を管理・モニタリングする一連の体制を構築しています。
(2)気候変動への対応
当社グループでは、2014年から水上太陽光発電事業を開始するなど、サステナビリティについての取り組みを積極的に行っています。気候変動対応はグローバル社会が直面している重要な社会課題であり、当社にとっても重要な経営課題の一つであることから、2022年3月にTCFD※の提言に賛同を表明し、TCFDの枠組みに沿った取り組みを推進しています。
※TCFD:G20の要請を受け金融機安定理事会(FSB)が設立した、企業の気候変動に関する情報開示及び金融機関の対応を検討する気候関連財務情報開示タスクフォース
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ ①ガバナンス」を参照ください。
② 戦略
長期的に予想される気候変動について、IPCC※1第6次評価報告書及びIEA※2世界エネルギー見通し等を参考に1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを考慮した分析を実施し、リスク及び機会の特定を行っています。
※1 気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)
※2 国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)
脱炭素社会の進展がもたらす機会事例 1
電気自動車(EV)は、走行中にCO2を排出しないという気候変動の観点から今後一層需要が高まることが予想されています。EVに搭載される車載基板面積は、ガソリン車と比較すると約1.5倍になると見込まれ、EVの需要増加は当社グループの車載関連部材の売上増加に繋がり、事業機会になると捉えています。
車載基板の販売数量予測※
※富士キメラ総研「車載デバイス&コンポーネンツ総調査2022」(2020年は実績、2025年、2030年、2035年は予測)
脱炭素社会の進展がもたらす機会事例 2
当社グループは、エレクトロニクス事業の各種製品の梱包形態を変更することでプラスチック容器や段ボール等の廃棄物を削減しています。特に製品出荷量が多い中国や日本、台湾などの工場において積極的に製品の梱包形態をパウチへ変更しています。2023年3月期においては、SRの約15%の製品の梱包形態をパウチへ置き換え、顧客先の廃棄物削減に貢献しました。
③ リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティのリスク管理に組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ ②リスク管理」を参照ください。
④ 指標と目標
政府目標である2050年カーボンニュートラル達成に向け、従来よりもさらに一段高いCO2排出量削減目標として、「2031年3月期までにグループ全体で2017年3月期比40%削減」を掲げました。また、「2031年3月期までに国内エレクトロニクス事業においては、カーボンニュートラル達成」、「国内医療・医薬品事業においてはCO2排出量70%削減」を目指し、「2050年までにグループ全体でカーボンニュートラル達成」を実現します。
CO2排出量実績と目標は、以下のとおりです。なお、CO2排出量削減目標における基準年は、2017年3月期に設定しています。
2017年3月期及び2022年3月期のCO2排出量、2031年3月期の目標CO2排出量
(単位:kt-CO2)
セグメント | CO2排出量 | 2017年3月期 (基準年) | 2022年3月期 (実績) | 2031年3月期 (目標)※1 |
グループ全体 | Scope1+2 | 41 | 49 | 24 |
Scope1 | 16 | 16 |
| |
Scope2 | 25 | 33 |
| |
国内エレクトロニクス事業 | Scope1+2 | 7 | 9 | 0 |
国内医療・医薬品事業 | Scope1+2 | 18 | 19 | 5 |
その他※2 | Scope1+2 | 15 | 20 |
|
※1 グループ全体及び国内エレクトロニクス事業、国内医療・医薬品事業のScope1+2における目標値
※2 その他:海外エレクトロニクス事業、国内その他事業における製造・販売・サービス拠点
今後も、TCFD提言の枠組みに沿って、気候変動がもたらすリスク・機会が事業に与える影響を評価し、それらのリスク低減及び機会獲得への対応を推進することで、事業を通じた気候変動への対応及び情報開示に取り組んでまいります。
(3)人的資本
人的資本等への投資については、長期経営構想「Beyond Imagination 2030」において「多様化する社会や組織に対応する自律型人材の育成・活用」を第一の基本方針として掲げています。当社では、「仕事のやりがい」「職場環境」「公正な評価・給与」の3つをバランス良く整えることで、自ら目標を立て、目標の実現に向け高い志を持つ自律型人材の育成に努めます。
① 戦略
a.組織開発・人材開発方針
社会やビジネス環境のめまぐるしい変化の中、経営理念を実現するため、自らの意志で未来を描き、物事の本質を捉えた判断と周囲を巻き込んだ業務遂行ができる自律型人材を個人と組織の両面から育成すべく「未来共創イニシアティブ」の取り組みを行っています。
未来共創イニシアティブの取り組みの一つとして、2019年4月から「未来共創ミーティング」を部門ごとに実施しています。このミーティングは、グロース・マインドセットを獲得すること、チームの関係性や行動の質を高めることを通じて、強い個人や強い組織になることを狙いとしています。
また、2021年10月にはグループ社員全員で共有し大切にしていく価値観として「太陽バリュー」を、約2年間にわたる社員参加型のグループダイアログセッションを経て策定しました。現在は、部署ごとにリーダーを選出して太陽バリューを具現化する取り組みを継続しており、組織横断的にそれぞれの取り組みを共有できる仕組みづくりを行っています。
b.社内環境整備方針
昨今の法令や社会の要請の変化、就業先、就業形態の多様化等により、労働環境や労働に対する価値観が大きく変化しています。当社グループでは、常に変化する環境下においても社員一人ひとりが自律的に仕事をしていける環境を整えるために、経営陣から社員への3つのコミットメントとして「仕事のやりがい」「職場環境」「公正な評価・給与」の3つをバランス良く整えることで、自律型人材の育成・活用に注力しています。
② 指標及び目標
a.組織開発・人材開発方針
未来共創イニシアティブの取り組みの一つである未来共創ミーティングは、2023年3月末までに131部門で実施され、参加者は1,292名となりました。(部門数、参加者数はのべ数)今後も継続的に実施するとともに、グループ会社への展開を広げていきます。
また、太陽バリューにおいては策定から約1年半が経ち、日常的に意識している社員の割合が向上しています。(以下、グループ社員へのヒアリング結果の推移)今後も、恒常的な日々の仕事のよりどころとなる価値観として根付くことを目指し、取り組みを継続していきます。
未来共創ミーティングの実施と太陽バリュー具現化の活動により、人や組織の関係性は向上し、グループとして大切にしていきたい価値観も根付いてきていると感じています。この流れを、より仕事や事業の成果につなげるべく「パフォーマンス・マネジメント」の強化も進めています。具体的には部下が最大限能力を発揮できるように支援するためのチームマネジメントについてまとめたマネジメント向けのハンドブックを作成し、同ハンドブックを教材にした新任の課長研修の実施、及び部課長全員(50名)に対してハンドブックを配布しました。今後もマネジメントハンドブックのコンテンツを活用した研修等の取り組みを実施していくとともに、現場から見えてきたナレッジ等をハンドブックに取り入れ、当社らしいマネジメントのあり方を追求していきたいと考えています。
人材の開発という点において、上記、未来共創イニシアティブに関する取り組みに加え、社員教育への投資にも注力しています。各個人の知識向上、スキルアップを支援する取り組みとして、会社が推奨する資格の取得費用、新入社員に対する新聞購読費用、業務上必要な書籍の購入費用に対する支援をしています。(2023年3月期実績:当社社員一人あたり約6万円)また成長機会の提供として社内外のセミナーや研修にも力を入れています。(2023年3月期実績:当社社員一人あたり約41万円 ※社内研修の費用においては設計に係る費用等も含まれています。)
b.社内環境整備方針
当社ならびに一部の国内子会社で全社員を対象に実施しているストレスチェックにおいて、法定の要素だけではなく従業員の満足度等も総合的な指標として広く参考にしています。経営陣のコミットメントである「仕事のやりがい」「職場環境」「公正な評価・給与」に対する社員の満足度についても、同ストレスチェックの結果を参考にしています。各種取り組みの成果もあり、個別項目においては全36項目中、31項目が全国平均を上回っており、総合的な指標も全国平均と比較して良好な数値が出ています。
「職場環境」に対する取り組みについては、ただ単に最新の設備が整っていて、きれいで快適な職場を目指すだけではなく、社員の成長や気づきを促す人材開発も意識した職場環境づくりを目指しています。例えば、職場には多くの芸術作品を展示していますが、これは「その芸術作品を見ることで、一流のアーティストがプロになるまでにどれだけの努力をしてきたかを社員に想像してもらい、自身の仕事への向き合い方に目を向けてほしい」という経営陣からのメッセージが込められています。また、ハード面だけでなくソフト面においても、背景の異なる多様な人材の視点を取り入れるため、中途採用も積極的に進めています。(提出会社における2023年3月期中途採用比率:22.7%)
2023年4月には、昨今の環境変化へ適応した形での「公正な評価・給与」を実現することを狙いとし、社員の給与制度を改定しました。今後も様々な環境の変化を予測しながら「仕事のやりがい」「職場環境」「公正な評価・給与」をバランスよく見直していくとともに、社員一人ひとりが自律型人材としてさらに活躍できる環境・仕組みづくりを通じ、楽しい社会の実現を目指します。
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