太平洋セメント 【東証プライム:5233】「ガラス・土石製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
今後のわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で企業の設備投資も持ち直し、緩やかな回復が続くことが期待されますが、世界的な金融引締めによる影響や物価上昇が消費に与える影響等、依然として先行きは不透明な状況が続いています。
このような状況下、当社グループを取り巻く事業環境につきましては、主要事業である国内セメント事業において、都市部の再開発工事、リニア中央新幹線関連工事、国土強靭化及び防災・減災対策、老朽化した社会インフラの更新など、一定水準の需要が続くと期待されます。一方、建設現場の技能労働者不足に起因する工事進捗の遅れや工期の長期化は今後需要を押し下げる懸念があります。また、石炭等原燃料価格の高騰リスクやカーボンニュートラル、物流業界における諸問題に対応するため、引き続き販売価格の適正化を進めてまいります。
米国経済については、好調な個人消費に加え、インフラ投資法案に基づく公共投資の本格化や2028年開催予定のロサンゼルスオリンピック・パラリンピック関連投資等によって景気が拡大していくことが期待されますが、インフレの長期化に伴う金融引締めの影響や今秋の大統領選挙に向けた動向を注視する必要があります。
このような情勢の中で、当社グループが成長の歩みを止めない企業グループになるとともに今後も持続可能な社会の構築に貢献していくための方向性を明確にするため、2050年をイメージした「2050年のありたい姿」及び2030年をイメージした「太平洋ビジョン2030」を設定しました。さらに、それらを実現していくための中期計画として2024年度から2026年度を対象期間とする「26中期経営計画」を策定し、精力的に取り組んでまいります。
(1)2050年のありたい姿
①グループの総合力とカーボンニュートラルをはじめとする革新的技術を全世界に展開する。
②世界のセメント産業のリーダーとなる。
③人々の安全・安心な脱炭素・循環型社会を支える企業グループになる。
(2)太平洋ビジョン2030
①環太平洋においてグループの総合力を活かしプレゼンスを拡大する。
②カーボンニュートラル実現とサーキュラ―エコノミー実現に貢献する。
③持続的に成長する強靭な企業グループとなる。
(3)26中期経営計画を通じて目指す姿
「3D Approach for Sustainable Future~持続可能な社会の実現に向けた3次元の挑戦~」
当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて3つの取組みを複合的に推進し、その取組みを通じて得た恩恵を広くステークホルダーと共有します。
①国内事業の再生
②グローバル戦略の更なる推進
③サステナビリティ経営推進とカーボンニュートラルへの貢献
(4) 国内事業の再生
国内セメント需要の減少が続く市場環境において、収益重視へ向けた価格政策の抜本的見直し、営業体制の効率化などによるトータルソリューションの提供及び混合セメントの輸出拡大と国内向け安定供給を前提とした生産体制の最適化を進め、国内事業の再生を図ります。
(5)グローバル戦略の更なる推進
米国やフィリピンにおける既存事業の収益基盤強化、未進出エリア・未開拓事業への進出による事業領域の拡大及び混合セメントの展開や物流ネットワークの強化によるトレーディング事業の拡大によって、グローバル戦略を推進していきます。
(6)サステナビリティ経営の推進とカーボンニュートラルへの貢献
2050年サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現を目指し、革新的セメント製造技術確立に向けたカーボンニュートラルモデル工場構想や既存技術を活用した混合セメント化の推進など、カーボンニュートラル戦略に取り組んでいきます。また、DX戦略、人的資本戦略及びIR戦略にも着実に取り組むことでサステナビリティ経営を推進していきます。
(7) 事業戦略
①セメント(国内)
セメント価格の適正化による国内セメント事業の再生を図ります。また、工場設備強靭化による安定生産や2024年問題への対応と輸送体制の強化による安定供給、及び低炭素型混合セメントの製品化検討などのカーボンニュートラルに向けた取組みを進めていきます。
②セメント(海外)
安定と成長が両立する米国市場における事業の深化及びリニューアルプロジェクトが完成するフィリピンでの事業拡大を図ります。また、混合セメントやスラグ、フライアッシュ等のセメンティシャスマテリアルを活用した事業戦略を進出各国で展開していきます。
③資源
既存コア事業の強靭化や資源の長期安定供給体制の構築など、中長期を見据えた資源政策に鋭意取り組み、セメント需要変動に影響を受けない収益構造を確立します。
④環境事業
既存事業の競争優位性拡大に加え、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを同時に進捗させ、新たな付加価値を創造しつつ成長を持続していきます。
⑤建材・建築土木
販売価格適正化やDX投資等による既存事業の収益力強化を推進します。また、新規商材の市場投入及び海外を含む新規事業領域への進出を図ります。
(8) 研究開発戦略
カーボンニュートラル実現を目指した技術開発、事業拡大・収益改善への貢献、持続的成長のための研究開発及びグループ総合研究所への進化を柱として、世界最高水準の研究開発力への深化と経営への貢献を目指します。
(9) 知的財産戦略
カーボンニュートラル推進を支える特許網の構築及び各事業を支える知的資本の拡充に取り組んでいきます。
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