企業兼大株主大阪瓦斯東証プライム:9532】「電気・ガス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営環境

2023年度のわが国経済は、コロナウイルス禍から社会経済活動が正常化するとともに、輸出や設備投資が堅調に推移し、緩やかな回復傾向が続きました。

 エネルギーに関しては、国内における人口減少や工場の海外移転等による需要の減少に加えて、電力・ガス小売全面自由化により、市場の競争は激しい状況が続いており、エネルギー資源の需給バランスの不安定化や激しい価格変動等、LNG調達環境の不確実性等のリスクはさらに高まっております。また、気候変動問題に対応する国内外におけるカーボンニュートラル潮流の加速やデジタル化の進展、価値観の多様化、労働人口の減少、自然災害の甚大化、国際情勢の悪化等、経営環境の変化はスピードを増している一方、カーボンニュートラル社会実現へのトランジションエネルギーとして、CO排出量の少ない天然ガスに対する期待が高まっております。

(2) 経営方針・経営戦略等

 こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」として、天然ガス・電力・LPG等のエネルギーとその周辺サービスや、都市開発・材料・情報等のエネルギー以外の様々な商品・サービスを通じて、「お客さま価値」「社会価値」「株主さま価値」「従業員価値」の創造を目指します。そのためには、持続的な成長を実現することが最大の経営課題であると認識し、2017年に長期経営ビジョン2030「Going Forward Beyond Borders」を、2024年3月には新中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」を策定しました。

 また、当社グループの事業活動におけるカーボンニュートラルの実現の方向性や取り組みを示した「カーボンニュートラルビジョン」を2021年に、「エネルギートランジション2030」を2023年に策定しております。

 当社グループは、これらのビジョン・計画に沿って、時代を超えて選ばれ続ける革新的なエネルギー&サービスカンパニーとなることを目指します。また、経営環境の変化に対応しながら、安定供給やトランジション期における低炭素化等「今日の安心」をまもり続けるとともに、カーボンニュートラル等社会課題の解決が進む「未来の日常」の創造に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

(3) 経営指標

 中期経営計画2026では、各事業の収益性向上や財務健全性の維持、事業の成長に応じた株主還元の実現を掲げ、着実に取り組みを進めていきます。

①  収益性、成長性

ROIC(投下資本利益率)(※)5%程度、ROE8%程度を目標に掲げ、資本効率の向上を通じて、各事業の成長力の向上を目指します。

※ (経常利益+支払利息-受取利息-法人税等)÷(有利子負債+自己資本)

 有利子負債は、当社にリスクのないリース負債を除きます。

②  財務健全性

 連結自己資本比率(※)45%以上、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)(※)0.8以下を目指します。

※ 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の資本性50%を調整

③  株主さまへの還元

 原則、減配を実施せず、増配又は維持を目指す累進配当を基本に据えて、株主資本を基準に配当を行う株主資本配当率(DOE)3%を目指します。

(4) 対処すべき課題

 中期経営計画2026では、重点戦略「3つの約束」として、カーボンニュートラルと天然ガスの高度利用の両輪で社会課題の解決を進める「ミライ価値の共創」、多様な人材が集い切磋琢磨し合う企業文化を目指す「従業員の輝き向上」、資産価値の最大化を図るアセットライトな経営意識の徹底を中心とする「経営基盤の進化」を掲げます。これらの取り組みを通じて、社会課題の解決に資する価値創造と、「国内エネルギー事業」「海外エネルギー事業」「ライフ&ビジネス ソリューション事業」を3つの柱とした、将来の経営環境の変化に対応するポートフォリオ経営の実践を目指します。それらの実現に向け、以下のとおり、課題に取り組みます。

①  国内エネルギー事業
a  安定的、経済的な原燃料調達

 多数の生産者から分散して調達することにより、天然ガス等の原燃料の安定確保に努めるとともに、契約価格指標の多様化等により、市場競争力を高める原燃料調達を目指します。

 また、原燃料調達の不測の事態に対しては、トレーディング等で培ったノウハウを活かし、迅速かつ柔軟に原燃料の確保を図ります。

b  競争力のある電源の確保及び再生可能エネルギーの普及拡大

 新規電源の開発、卸電力市場やアライアンス先からの調達等を通じ、競争力のある電源ポートフォリオの構築を進めます。特に再生可能エネルギーは、カーボンニュートラル化に向けて開発や事業参画を推進し、協業等を通じて調達先の拡大や案件取得を進めていきます。

c  安定供給と保安の確保

 安全かつ安定的な操業を最優先にして、ガス製造・供給設備、発電設備等の維持・増強・改修、地震・津波等の自然災害対策及び感染症の流行等の事態への対策等、安定供給とレジリエンスの向上に継続的に取り組みます。また、万一のガス漏れ等の緊急時への対応を引き続き行い、お客さま先の保安の確保に努めていきます。

d  マーケタービジネスの拡大

 燃料電池等のガスコージェネレーションシステムやガス冷暖房の普及、電力・LPG販売の拡大、「D-Lineup」等の提案メニューの拡充、分散型電源と再生可能エネルギーを組み合わせたエネルギーネットワークの構築等を通じて、カーボンニュートラル化やレジリエンスの向上といった社会課題の解決に貢献していきます。また、デジタルを活用したライフサービスプラットフォームの「スマイLINK」や「住ミカタ・サービス」、リノベーション等のライフサポートサービス、建物・設備の管理やメンテナンス、空調・換気、水処理、省エネルギーや設備稼働状況等の見える化等、エネルギー周辺サービスを拡充するとともに、固定通信サービスや冷蔵食品の定期宅配サービスの「FitDish」、お客さまのライフスタイルやビジネスニーズに応じたエネルギー料金メニューも総合的に提供することで、お客さまの快適な生活の実現やビジネスの発展に貢献していきます。さらに、各地のエネルギー事業者を含めた様々なパートナーとの連携等を通じ、幅広くマーケタービジネスを拡大していきます。

e  エネルギーインフラ開発、エンジニアリング事業の推進

 天然ガス火力発電所等の新規エネルギーインフラ開発を推進します。また、LNGの導入等を検討しているお客さまに対し、これまでの事業展開で培ったノウハウを活かし、ニーズに応じたソリューションを提案することでエンジニアリング事業を推進していきます。

f  公正で効率的なガス導管事業の推進

 一般ガス導管事業者として、託送供給の中立性・透明性の確保や利便性の向上を図りつつ、地域社会や需要家のニーズに応えながら、都市ガス需要の維持・拡大に継続的に取り組みます。

②  海外エネルギー事業

 天然ガス等の安定調達と収益獲得のため、現在取り組んでいる北米サビン社によるシェールガス開発等を着実に推進するとともに、北米フリーポートプロジェクトの液化事業や豪州ゴーゴン・イクシスプロジェクトの生産事業の安全かつ安定的な操業に向け働きかけていきます。IPP事業では、ガス火力発電事業の安定的な操業に努めるとともに、再生可能エネルギー等の開発・取得を進めていきます。

 マーケタービジネスでは、国内で培った知見を活かし、ガス・電力・エネルギーサービス事業の運営や新規案件の開発等に着実に取り組むとともに、事業参画等を通じて新しい領域におけるノウハウの取得を進めます。さらに、ニーズに応じたソリューションを提案することで、エネルギーインフラ開発やエンジニアリング事業を推進していきます。

③  ライフ&ビジネス ソリューション事業

 エネルギー事業で培った技術と知見を基盤に、都市開発・材料・情報等の事業で、固有の強みを活かした商品・サービスを提供することで、国内外のお客さまの快適・便利・健康の実現をサポートし、お客さまの豊かな暮らしやビジネスの発展に貢献していきます。

④  経営基盤
a  ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営の実践

「Daigasグループ企業行動憲章」に基づき、ESGに配慮した経営を実践し、国内外における当社グループのサプライチェーンに関わる皆さまとともに、お客さまや社会からのさらなる信頼獲得に努めていきます。

 環境の側面では、カーボンニュートラル社会へのトランジション期において、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換や高効率な設備の導入等を推進するとともに、再生可能エネルギーの導入や、カーボンニュートラルなLNGや都市ガスの普及等により、お客さま先や自らの事業活動におけるCO排出削減の取り組みを一層拡大してまいります。さらに、カーボンニュートラル社会の実現に向け、e-メタン・水素等の技術開発やサプライチェーン構築を進めていきます。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を踏まえて、カーボンニュートラル化への取り組みに関する情報開示の充実に取り組みます。

 社会の側面では、国際規範に則り、2021年4月に制定した「Daigasグループ人権方針」に基づき、人権や労働・安全衛生への取り組みを進めるとともに、女性取締役の登用等によるDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の風土醸成を進めていきます。

 ガバナンスの側面では、コンプライアンスの意識向上の取り組みを継続するとともに、監査等委員会設置会社への移行等を通じたガバナンス体制の強化や、情報セキュリティ対策等を推進します。

b  イノベーション・技術開発・デジタルトランスフォーメーションの推進
IoTやAI等、最先端のデジタル技術や当社グループ内外のアイデアを活用した新しいサービスの創造による価値向上と、社内での業務改革・システム刷新による生産性の向上に取り組みます。

 また、燃料電池をはじめとするガス機器・設備のさらなる高効率化とコストダウン、新たな材料や情報処理、カーボンニュートラル化等に関する技術開発を推進します。

c  人材・組織の強化

 当社グループのアウトプットの最大化に向けて、多様な人材が集い切磋琢磨しあうことで従業員の力が最大限発揮される環境づくりを進めていきます。人材の面では、多様で専門性の高い人材の獲得を拡大するとともに、従業員の成長を促進する制度・育成策を強化していきます。組織の面では、タレントマネジメントにより適所適材の配置を実現するとともに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進や、働き方・仕事の進め方の変革、成長と挑戦を促す組織風土のさらなる醸成等に取り組んでいきます。

 会社と人材の双方向のコミュニケーションを通じて各取り組みを活性化させ、従業員のエンゲージメント向上を図ります。

(5) おわりに

 グループの内部統制システムの運用状況の確認及び評価を継続的に行い、所要の措置を講じることにより、実効性の高い内部統制を行っていきます。これらの仕組みのもと、以上の課題に対処するとともに、「Daigasグループ企業理念」を実践し、持続的成長に向けて不断の努力を続けていきます。

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