大紀アルミニウム工業所 【東証プライム:5702】「非鉄金属」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
基本方針
当社グループは、長年培ってきたアルミニウムのリサイクル事業を中心に、環境に優しい循環型社会の構築を目指して、リサイクルを通じた価値創造を続けていきます。
また、堅実・健全な事業活動により、すべてのステークホルダーとの信頼関係を構築していきます。
わたしたちは、「社会」と「事業」を同軸にとらえ、持続可能な社会と、地球が求める真の企業への持続的な成長を、ともに実現してまいります。
(1)ガバナンス
サステナビリティ推進体制
サステナビリティを推進する組織として、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、その下に分科会を設け、戦略、計画の策定、指標と目標の設定等全社的なサステナビリティ課題に対する分析や財務的影響および対応策を議論する体制を整備しました。
分科会で議論した内容は、サステナビリティ委員会を通じて定期的(原則年1回以上)に取締役会に上程・報告され、取締役会は必要に応じて対策を決議し、監督・指示を行っております。
(2)戦略
①気候変動への取り組みとTCFDへの対応
中長期的なリスクの1つとして「気候変動」をとらえ、関連リスク及び機会を踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ、「2℃未満シナリオおよび4℃シナリオ」を参照し、2050年までの長期的な当社グループへの影響を考察し、当社の製品事業(国内)を対象にシナリオ分析を実施しました。
シナリオ | 概 要 |
2℃未満シナリオ | 今世紀末までの気温上昇を2℃未満に抑えるため、脱炭素社会に向けた大胆な政策や技術革新が進むシナリオ |
4℃シナリオ | 今世紀末までの気温上昇が4℃程度となり、気象災害等が激甚化し、物理的影響が生じるシナリオ |
a.リスクと機会が及ぼす影響
2℃未満シナリオ、4℃シナリオにおいて、事業への影響が大きいと想定されるリスクと機会を特定しました。
シナリオ | 要因 | リスク/機会 | 当社事業への影響 | インパクト評価 |
2℃ 未満 (移行) | スクラップ原料の需要増 | リスク | 調達価格が上昇する |
(リスク:大) |
カーボンプライシングの導入 | リスク | 国内のScope1・2の排出量に応じて炭素税の支払コストが発生、増加する |
(リスク:中) | |
再エネ調達 | リスク | 脱炭素目標の達成に向け、再エネ調達コストが増加する |
(リスク:小) | |
高品位スクラップ原料の需要増 | リスク | スクラップ原料の格上げ工程(不純物除去・無害化)のためのコストが増加する |
(リスク:中) | |
二次合金地金の用途拡大につながる技術革新 | 機会 | 利用対象が広がり、特殊合金の需要が増加し、売上が拡大する |
(機会:中) | |
EV市場の拡大 | 機会 | 車体軽量化のためアルミニウム化が進み、アルミニウム二次合金需要が増加し、車体用合金の売上が拡大する |
(機会:大) | |
リスク | 内燃機関用アルミニウム二次合金の需要が減少し、売上が縮小する |
(リスク:大) | ||
4℃ (物理) | 生産拠点の被災 | リスク | 国内の自社工場が被災することで、製造が停止し操業が困難になり損害が発生する。また、損害保険料の負担が増加する |
(リスク:小) |
b.リスクと機会への対応策
シナリオ分析を通じて特定されたリスクと機会への対応策を、今後、当社グループが注力すべきマテリアリティととらえ、取組を進めていきます。
シナリオ | 要因 | 当社の対応策 |
2℃ 未満 (移行) | スクラップ原料の需要増 | ・原料サプライチェーン構築によりスクラップ集荷体制を強化する ・主要地域(西日本・九州・北関東など)での集荷拠点を開設する ・地域に根差した集荷による、「回収」から「製品まで」のリサイクルループを確立する |
カーボンプライシングの導入 | ・生産や流通過程における二酸化炭素排出量を削減する | |
再エネ調達 | ・生産過程での更なる再エネ移行を推進する 太陽光発電の設置を通じての外部調達コストの抑制 費用対効果の高い再生ECOプランの購入 ・新規調達先の開拓など安定した再エネ調達体制を構築する | |
高品位スクラップ原料の需要増 | ・取扱量を増加させ、格上げ工程での原単位コストを削減する | |
二次合金地金の用途拡大につながる技術革新 | ・新塊合金の二次合金化を進めるための研究・技術開発を行う ・開発した二次合金について顧客のご要望に応じて調整し製品化する ・国内外の自動車メーカー・バッテリーメーカーへのアプローチとコネクション造りを行う | |
EV市場の拡大 | ・今後、EV分野向けに顧客と提携し、車体用アルミニウム二次合金の研究・技術開発を行う ・国内外の自動車メーカー・バッテリーメーカーへのアプローチとコネクション造りを行う | |
・従来のガソリン車用部品に加えて、新たにEV用部品に対応するアルミ二次合金地金を開発・販売する | ||
4℃ (物理) | 生産拠点の被災 | ・被災状況を想定した復旧計画の具体的な策定と継続的な見直し・実践を徹底する ・他拠点での代替生産の体制を強化する |
②人材資本経営の取り組み
当社グループを取り巻く国内外の外部環境の変化がますます激しくなる中で、当社では、VISION 2030「DAIKI ∞NEXT∞」の実現に向けて、その原動力である人材一人ひとりの活躍支援が不可欠と捉えております。
当社グループでは、性別・年齢・国籍・人種・宗教・障がいの有無・性自認及び性的指向等にかかわらず、一人ひとりの個性を多様性として活かし、挑戦・革新し続ける風土の醸成や仕組みの充実を推進する方針であります。そして、従業員の「個」の最大化を支援・育成し、その層を厚くすることが、人的資本の拡充に繋がると考えます。
これらの考え方を踏まえ、当社グループでは、人材の育成及び社内環境整備について推進しております。具体的方針については、次のとおりであります。
a.人材育成方針
当社は、経営コンセプトとして「G&G」を掲げ、世界とリンクするGlobalな視点と活動、そして、地球環境と向き合うGreenの理念と実践に取り組んでおります。この取り組みに向けて、行動指針として掲げる3つの指針①お客様第一主義、②現場主義、③当事者意識の徹底を体現出来る人材を育成していくことが、人材育成の基本的なコンセプトと捉えております。
このような中で、当社では、2021年度発表の中期経営計画の柱の一つ、『人材の育成と活用』を基に「~100年企業 その先へ~」を人材育成コンセプトとし、未来を創造する人材、組織づくりが持続的成長に欠かせないと考え、研修体系を新たに作り直し、階層別研修プログラムを2022年度からスタートさせました。
新研修体系の目的は、異なる拠点社員との交流を図り、対面での研修受講をメインに、中堅層の主任研修では社内の上下階層を超えた働きかけを強めることが社内活性化に繋がるとの考えから、より一層の研修内容を整備しました。
全社員を対象としており、2022年度から2024年度の3年間を育成体系移行期とし、階層や経験を問わない育成体系運用で全社員に浸透させ、また、育成課題や階層別研修以外の新たなテーマの策定などを実施しております。
2025年度以降は定着期として、通常の育成体系運用へと移行し、人材の育成へと努めてまいります。
加えて、グローバルな視点と活動を実現するための戦略として、当社グループの海外子会社への積極的な若手参画の機会創出や、実践的な英語学習の自己啓発支援等にも注力しております。
育成体系図
b.社内環境整備方針
従業員満足や自発的貢献意欲の向上を図り、これを起点としてお客様満足の向上に繋げられるように、従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる働きやすい職場環境の整備に努めていくため、ダイバーシティへの取り組みとして、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲を持って活躍する活力ある組織の構築を推進していきます。
女性社員の活躍推進におきましては、当社は、女性がキャリアを止めることなく活躍できる環境を整えることが重要であると考え、2023年3月末時点において、女性の育児休業後復職率は100%であり、女性社員の仕事と育児の両立支援にも取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ関連リスクの内、環境リスクの1つとして気候変動リスクを認識しております。
各リスクおよび機会についてはサステナビリティ委員会に設置された分科会及び各部門が分析、対策の立案と推進、報告を行い、その進捗管理を行うプロセスを構築しています。
分科会及び各部門と全社的なリスクを統括・管理するリスク管理室は互いに連携し、一元的なリスク管理を行っております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、中期経営計画において、CO2排出量削減を指標とし、2030年度のCO2排出量を2019年度比25%削減※とする目標を掲げています。
※対象範囲:㈱大紀アルミニウム工業所のScope1・2および3(カテゴリー1・4の主要部分)
また、当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人的資本経営の取り組みについては、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(単体)
| 単位 | 2021年度~2022年度 合計(実績) | 2023年度~2024年度 合計(目標) |
研修・人材開発の総時間 | 時間 | 7,500 | 11,400 |
研修・人材開発の総コスト | 万円 | 3,000 | 4,800 |
(単体)
| 単位 | 2023年3月末 (実績) | 2025年3月末 (目標) |
有給休暇取得率(管理職含む) | % | 69.7 | 80.0 |
離職率(定年退職除く) | % | 3.4 | 3.0 |
女性社員比率 | % | 11.0 | 15.0 |
女性管理職比率 | % | 8.3 | 10.0 |
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