企業兼大株主大塚ホールディングス東証プライム:4578】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道(Commitment)」、「実証(Actualization)」、「創造性(Creativity)」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造してきました。

 引き続き、日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気付いていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 第3次中期経営計画の位置づけと主な施策

 第3次中期経営計画は、「独自のトータルヘルスケア企業として世界に躍進~成長の5年間~」と位置づけ、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業をコア事業として、新たな価値創造と既存事業価値の最大化に取り組み、また資本コストを意識した経営を実践し、持続的な成長を目指しました。

<業績目標>年平均成長率10%以上の事業利益成長

• 医療関連事業・ニュートラシューティカルズ関連事業の主力製品・ブランドの着実な成長により実現(オーガニックな成長)

• 積極的な研究開発投資を行い、次期中期経営計画以降の収益を牽引する新薬開発の継続

  (注)事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費+持分法による投資損益-研究開発費

<事業戦略>既存事業価値の最大化と新たな価値創造

① 主力製品・ブランドへの戦略的な取り組みにより成長を加速

・医療グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」「レキサルティ」「サムスカ/ジンアーク」「ロンサーフ」)、ニュートラシューティカルズ主要3ブランド(「ポカリスエット」「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランド)、ニュートラシューティカルズ育成3ブランド(デイヤフーズ社ブランド、「エクエル」「ボディメンテ」)を成長ドライバーと位置付け、戦略的な取り組みを強化

② 次世代の事業・製品への取り組み

・医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業における持続的成長を牽引する新製品群の上市と育成

 医療関連事業:“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出

 ニュートラシューティカルズ関連事業:環境変化を見据えた新しいコンセプトの創出、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦による、高利益率体制の継続

<財務方針> 資本コストを意識した経営の実践

・成長投資と株主還元の両立

・将来への成長投資と株主還元資金の確保

・規律ある経営実践に向け、加速するグローバル展開を支えるための経営基盤の整備

(2) 第3次中期経営計画の進捗

 第3次中期経営計画の最終年である2023年度の進捗は、以下のとおりです。

<業績目標の進捗>

 2023年度の売上収益は、すべての事業セグメントで増収となり、2,018,568百万円(前期比16.1%増)となりました。主な要因は、医療関連事業において、持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」のグローバル4製品、及び導出品に対するロイヤリティ・マイルストーン収入の伸長が業績を牽引したことによります。さらに、ニュートラシューティカルズ関連事業においても、健康意識が高まる中、「ポカリスエット」の日本・海外の売上が伸長したことに加え、「ネイチャーメイド」が伸長しました。また、その他の事業のファインケミカル分野が好調に推移しました。

 研究開発費投資前事業利益は、620,358百万円(同37.8%増)となりました。主な要因は、グローバル4製品及び導出品に対するロイヤリティ・マイルストーン収入の増収による売上総利益の増加、販売費及び一般管理費を適正にコントロールしたことによるものです。

 研究開発費は、研究開発が順調に進捗したことにより、前期比で増加しました。主な増加要因は、新規作用機序を有する抗精神病薬に係る住友ファーマ株式会社との共同開発及び販売に関するライセンス契約締結に基づく開発費、非小細胞肺がんを対象として開発中のzipalertinib/TAS6417、及びIgA腎症を対象として開発中のsibeprenlimab/VIS649が順調に進捗したことや為替影響があったことによります。

 事業利益は、想定以上の売上成長と販売費及び一般管理費を適正にコントロールした結果、312,553百万円(同78.7%増)となり、第3次中期経営計画の業績目標である「年平均成長率10%以上の事業利益成長」を大きく超えて、年20%強の高水準を達成しました。

<事業戦略の進捗>

 既存事業の売上収益は順調に伸長し、製品価値最大化に向けた医療グローバル4製品を中心とした承認申請・取得やエリア拡大、ニュートラシューティカルズ主要3ブランドを中心とした市場浸透やエリア拡大等は、以下の通り順調に進捗しました。新たな価値創造に向けた研究開発もコア領域を中心に進捗し、第4次中期経営計画以降を見据えた積極的な投資を進めました。

 医療関連事業において、成長ドライバーのグローバル4製品は前期比で大幅に伸長しました。アンメット・ニーズの解決に貢献する後期開発パイプラインの中で、ブレクスピプラゾールは、米国においてアルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(攻撃的行動及び発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)の適応症を有する初めての抗精神病薬として承認を取得しました。超音波腎デナベーションシステムは、米国において高血圧の新たな治療選択肢として、腎デナベーションデバイスとして初めて承認を取得しました。新製品育成についても着実に進捗しております。

・「エビリファイ メンテナ」に続く新たな製剤であるアリピプラゾール2カ月持続性注射剤について、2023年4月、米国で統合失調症と双極性Ⅰ型障害の効能で承認を取得しました。

・「レキサルティ」は、米国においてアルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(攻撃的行動及び発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)の適応症で2023年5月に承認を取得し、日本においても2023年10月に承認申請しました。また、日本において大うつ病の適応症で2023年12月に承認を取得しました。

・「サムスカ/ジンアーク」は、経口水利尿薬としての医療現場における価値が向上し、さらに世界初の常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)治療薬として日本・米国・欧州で患者さんに貢献しています。

・「ロンサーフ」は、米国においてベバシズマブ併用療法で切除不能な進行・再発大腸がんを適応症として2023年8月に承認を取得しました。

 ニュートラシューティカルズ関連事業において、売上収益は順調に成長しながらも事業利益率12%以上を維持し、前期に続き、売上収益、事業利益ともに過去最高となりました。引き続き、高成長市場においてブランドを確立することにより、さらなる事業規模の拡大と収益性の向上を目指します。

・「ポカリスエット」は、生活者の健康管理意識の高まりとともに水分・電解質補給の重要性が浸透しています。また、新エリアへの展開を進めています。

・「ネイチャーメイド」は、健康意識の高まりによる需要が拡大する中、消費者の生活スタイルに合わせた新たなアプローチに取り組んでいます。

・ニュートリション エ サンテ社ブランドは、フードサービス*やEコマースの拡大を進めています。

* 公共機関や学校等における給食サービス

 ROEは、AVP-786に係る減損損失等の影響により2023年度は5.3%となりましたが、2024年度は資本効率の向上につとめます。

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 2023年度を最終年度とした第3次中期経営計画期間には、新型コロナウイルス感染拡大の影響とロシア・ウクライナや中東情勢に伴う地政学的リスクの高まりにより、社会情勢は一層不透明さを増し、当社グループの事業活動においても一定の影響を受けました。2023年は、コロナ禍で自粛されていた社会活動が再開されたことに伴い、新たな事業環境に対応するマーケティング活動や営業活動等を積極的に進めてまいりました。一方で、原材料価格の高騰、為替変動による物価上昇等にも対処してまいりました。

 根本的なヘルスケア業界を取り巻く事業環境は、高齢化、高額医薬品の発売、感染症対策等による医療費の増加傾向が続き、日米欧諸国において治療に対する医療コストへの関心が高まっております。限られた財源の中で、医療指針が医療コストと治療効果のバランスの中で捉えられ、薬価制度の改革やジェネリック医薬品の浸透が進む一方、AIや機械学習、遺伝子治療等の新テクノロジーが台頭してきています。このような中、病気に対する日々の予防を含む健康への意識が一段と高まりを見せております。当社グループは“大塚だからできる”新たな社会への貢献に引き続き取り組むとともに、これらの健康意識の高まりを成長機会と捉え、持続的成長の実現に向けて進んでまいります。

 当社グループは、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道」「実証」「創造性」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と、世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造してきました。日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気づいていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。

 医療関連事業は、“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出により、課題解決に向けた様々な取り組みを進めています。治療満足度の低い疾患が多く残されている精神・神経、がん、循環器・腎領域を中心に、多様な事業のシナジーを活かした独自のアプローチにより、革新的な新薬の創出を目指します。また、医療の最適化に向けた体系的なソリューションについて挑戦してまいります。さらに、アライアンスやオープンイノベーション、ベンチャーキャピタルとの協業等による創薬基盤の強化、創薬モダリティの多様化に取り組み、持続的な進化と成長を目指してまいります。

 ニュートラシューティカルズ関連事業は、健康への意識が高まる中、医療関連事業で培われたサイエンス・ノウハウを活かしながら、顕在化されていないニーズや社会課題に対して新しいコンセプトのソリューションを提案し、世界の人々の健康維持・増進による健康寿命の延伸に貢献することを目指します。グローバルにおける環境変化を見据え、最新のサイエンスやテクノロジーと独自のビジネスモデルを組み合わせて、新たな価値の創造、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦を進めます。健康を取り巻く様々な社会課題に対して、課題の顕在化から啓発活動を継続的に実施し、各ブランドからそのソリューションをこれからも提案し続けます。さらに外部機関との連携を強化し、これらの活動を推進してまいります。

 財務方針としては、資本コストを意識した経営の実践に向けて、両事業とも既存事業最大化に向けた投資および次期中期経営計画以降を見据えた新規事業への積極的な投資をするとともに、シェアードサービスの拡大、IT基盤の強化、グループ内金融の推進、プロキュアメントの最適化をはかり、規律ある経営実践に向けた取り組みを進めています。

 また、当社グループは、企業理念のもと、事業を通じた社会課題の解決に取り組み、自らの持続的な成長と健康でサステナブルな社会の実現を目指します。

 2024年度から2028年度までを対象期間とする第4次中期経営計画の策定を進めており、2024年6月7日に公表を予定しています。

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