企業兼大株主大和ハウス工業東証プライム:1925】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループでは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、社会に役立つ価値の創造を目指し、官公庁、国内外の大学、異業種企業とも密接に連携を図りながら、基礎・応用研究から新技術・新商品開発、これらの新技術の建築物や街づくりへの活用・検証まで多岐にわたる研究開発活動を行っております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は10,915百万円となっております。

 当連結会計年度の主な活動は次のとおりです。

(1) 戸建住宅事業、賃貸住宅事業、マンション事業

・2023年4月より、快適防音室・快適静音室「音の自由区」の提案を開始いたしました。当社は、2006年より室内の心地よい響きと外部への遮音を両立させた新築戸建住宅向けの防音室「奏でる家」の提案を開始しており、これまでに累計約3,000室(※1)を提供してきました。そしてこのたび、当社が提案してきた防音室を「音の自由区」と名付け、防音仕様が異なる3つのグレード(快適防音室「奏でる家+(プラス)」、「奏でる家」、生活音を減音する快適静音室「やすらぐ家」)を用意し、当社の防音性能に優れた建物との一体設計で、住まいの防音に加え、新たに静音の提案を行ってまいります。またこの取組みは「第17回キッズデザイン賞」(※2)の「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」において、優秀賞「こども政策担当大臣賞」を受賞いたしました。

※1.2023年3月末時点。

※2.特定非営利活動法人キッズデザイン協議会主催。

・2023年5月、自分らしさを表現できる木の家、木造自由設計商品「xevo BeWood」を発売いたしました。xevo BeWood では鉄骨自由設計商品xevoΣとモジュールを統一することで、顧客ニーズに適した工法選択が可能となりました。構造・防水共に初期保証30年、外張り断熱通気外壁による高い断熱性等もxevoΣと同様です。また、高耐久と美しさを両立する、独自のシームレス外壁「GranWood-BOITH工法」により、多様な外観デザインが実現できます。さらに独自の「邸別構造解析」によって確かな耐震性能を発揮しながら、ゆとりある大空間・大開口やダイナミックなあらわし梁を実現し、安心も心地よさも手に入れた空間が、暮らしの質を高めます。

・2023年10月、分譲戸建住宅に特化したサプライチェーンを構築することで、お値打ち価格でハウスメーカー品質と長期保証を実現した木造分譲限定商品「ComfortWood」の運用を開始いたしました。木造ならではの落ち着きあるデザインとし、「シンプル」と「デコラティブ」の2タイプの外観バリエーションを準備いたしました。断熱等級5、NearlyZEH仕様、初期保証30年等、一般在来工法でありながらハウスメーカー品質でビルダーにはない安心を提供いたします。

・当社と大和リビング株式会社は、エネルギー事業を展開する株式会社サンワ(以下「サンワ」)と共に、サンワが事業主となる新築賃貸住宅「エコンフォート前橋駒形」(以下、本物件)において、雨天時でも約10日間の停電に対応可能(※3)な、「全天候型3電池連携システム」を搭載した、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化に向けた実証実験を開始いたしました。本物件の実証実験は、ご入居者様が日常生活で使うエネルギーや設備の稼働率、余剰電力量のデータを分析することで、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化を目指し、賃貸住宅の脱炭素化による環境負荷の低減に寄与いたします。

※3.水道、ガスが使える場合。

・当社は、分譲マンションに設置されるディスポーザーを利用した、100戸クラスのマンションに導入可能な小型バイオガス発電システムを開発し、マンションの一次エネルギー消費量の削減とレジリエンス性の向上を実現いたします。ディスポーザー搭載マンションに向けて、浄化槽を小型バイオガス化装置に置き換え、得られたバイオガスをコージェネレーションで熱電併給するものです。この開発により、現在高層マンションにおける創エネ設備が太陽光発電しかない状態を改善、BEI値の更なる改善を図り、ZEH-M化を推進いたします。

・当社は、分譲マンションをご検討いただくお客様の利便性の向上や竣工物件の販売促進のため、2020年2月より一部の分譲マンションにおいて、VR(※4)モデルルームを導入いたしました。CGで制作したモデルルームや360度カメラで撮影した実際のモデルルームを、場所や時間の制約なくWeb上で内見が可能ですが、地方や郊外でのマンション居住を検討されているお客様や、パソコンやスマートフォンなどを通じてご自宅等からWeb上でモデルルームを気軽に内見したいというお客様のニーズに応えるため、2023年5月以降に販売を開始(※5)するすべての分譲マンション「プレミスト」において、VRモデルルームを導入することといたしました。

※4.「Virtual Reality」の略で、「仮想現実」などを指す。

※5.一部の分譲マンションではすでに導入済。

 なお、当事業に係る研究開発費は4,485百万円です。

(2) 商業施設事業、事業施設事業、環境エネルギー事業、その他の事業

・当社は、株式会社イシモク・コーポレーションと共同で、植栽ユニットを搭載した独自の個室型ワークブース「ハコノワ」を開発し、2023年7月より販売を開始いたしました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響で、社内外のコミュニケーションにWeb会議を利用する頻度が増えたことで、騒音対策やスピーチプライバシー(※6)の観点から、個室型ワークブースの需要が堅調に推移しております。「ハコノワ」は、当社グループがオフィスビルを建築・リノベーションする際に、お客様のニーズに合わせて提案いたします。

※6.第三者に対し会話が漏れ聞こえてしまうことで発生する機密情報や個人情報の漏えいを防ぐこと。

・当社と株式会社デンソー、アスクル株式会社、エレコム株式会社、タカラスタンダード株式会社、三井倉庫ロジスティクス株式会社、安田運輸株式会社の7社は、長距離輸送の効率化に貢献する幹線中継輸送サービス「SLOC(Shuttle Line Of Communication)」の実証実験を2023年7月に実施いたしました。「SLOC」は、荷物を積載する荷台(コンテナ)部分を脱着できるスワップボディコンテナを用いた幹線中継輸送サービスで、一つの行程に中継地点を設け、複数のドライバーで交代しながら輸送する仕組みです。ドライバー一人当たりの拘束時間短縮により、荷主としての労働環境の確保と運輸を両立する方法として期待されております。2024年問題で不足が見込まれるドライバーの確保や環境負荷低減にも貢献いたします。

・大和ハウスグループの3社(当社、南国アールスタジオ株式会社、株式会社トラス)はBIM(※7)を使用して作成した、商業施設や事業施設などの建物の3次元モデルを、XR(※8)技術に活用することで、メタバース(仮想空間)「D’s BIM ROOM(ディーズビムルーム)」として可視化させる技術を開発いたしました。「D’s BIM ROOM」によって建設予定地で実寸大の外観イメージなどを体感でき、いつでもどこでもメタバース内で打ち合わせが可能となります。また、株式会社トラスが提供する建材データベースに登録されているアイテムから、実寸大で色味や建材の候補を比較して決めることが可能となり、イメージギャップの解消にもつながります。

※7.デジタルモデリングを使用して、初期設計から建設、保守、最終的に廃棄に至るまで、建築資産のライフサイクル全体にわたる情報管理の仕組み。

※8.AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)といった現実世界と仮想世界を融合する表現技術の総称。

・当社は、様々な用途でのZEB(※9)化を推進するため、初期設計段階で利用するZEB設計支援ツール「D-ZEB Program」と、詳細設計段階で利用する「BIM連携ZEB設計ツール」を同時に開発し、2023年12月、本格運用を開始いたしました。これにより、ZEB検討に必要な省エネルギー性能の計算時間を、従来の数週間から1時間以内に短縮(※10)することができ、平面図しかない設計初期段階からのZEB提案や、設計変更時のZEB化の検討にも迅速に対応可能となります。当社は、設計段階の川上から川下までスピーディーで質の高いZEB提案を可能とすることで、2030年度に当社が建築する建物のZEB率100%を目指し、カーボンニュートラルの実現に貢献いたします。

※9.ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略称。建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。

※10.延べ面積2,000㎡程度の事務所の場合。

・当社が行っている熊本県阿蘇市にある森林住宅地「ロイヤルシティ阿蘇一の宮リゾートASONOHARA及び草原育成プロジェクト」が、一般社団法人いきもの共生事業推進協議会が主催する「第3回ABINC賞」において「特別賞」を受賞いたしました。この地区は阿蘇くじゅう国立公園内にあり、地域特有の草原景観の保全・創出に取組んでおります。草原エリアでは、専門家による生物のモニタリングを実施しながら草刈りなどの管理を行い、絶滅危惧種のナガミノツルキケマンやカヤネズミの球巣などの草原構成種を確認いたしました。今後も、生物多様性に配慮した管理手法の蓄積と地域の方々と連携した自然保全活動を継続し、自然と共生した社会の実現に貢献してまいります。

・株式会社フジタ(以下「フジタ」)は、住友重機械エンバイロメント株式会社・国立大学法人東北大学・国際農林水産業研究センター・福山市との共同研究体により応募した「リン吸着バイオ炭によるリン回収及び炭素貯 留技術の実証事業」 (以下、「本実証事業 」という)が、国土交通省の令和5年度補正水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)(※11)「炭化物により下水汚泥資源からリンを回収する技術」(※12)に採択されました。今後、バイオ炭(※13)を用いて下水処理場の脱水ろ液(※14)等からリンを回収することで、より安定的かつ経済的に下水汚泥資源の肥料利用を図る技術について実証事業を実施し、脱炭素・資源循環型の持続可能な社会の実現のために貢献してまいります。

※11.国土交通省ウェブサイト「下水道革新的技術実証事業」より。

※12.国土交通省ウェブサイト「下水汚泥資源の肥料利用促進に向けて技術実証に取り組みます~令和5年度補正予算により、B-DASH技術を新たに採択~」より。

※13.燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物。

※14.下水汚泥処理フローの脱水工程において固形分(脱水汚泥)と分離された液体。

・フジタは、株式会社地球科学総合研究所と共同で、山岳トンネル掘削のために実施する発破時の振動を利用し、トンネル切羽の地質等の状態(性状)変化を毎日、天気予報のように予測して安全性向上につなげる「切羽予報」を開発いたしました。フジタ施工の新三国トンネル工事(※15)において基礎実験を行い、令和元年~4年度横断道羽ノ浦トンネル工事(※16)にて本技術を適用し、有用性を確認の上、実用化に成功いたしました。トンネル内の切羽の性状変化を天気予報のようにリアルタイムに予測、作業関係者に周知することで、従来に比べ、崩落のリスクを低減し、作業の安全性向上に寄与しております。

※15.発注者:国土交通省関東地方整備局高崎河川国道事務所、2021年3月竣工

※16.発注者:国土交通省四国地方整備局徳島河川国道事務所、2023年7月竣工

・フジタは、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科、株式会社アイスクウェアド、株式会社清和ビジネス、株式会社ダイスネクスト、及び明豊ファシリティワークス株式会社と「既存建物情報のデジタル化による空間価値創造(キャンパスマネジメントDX)」社会連携講座(※17)を開設いたしました。本講座は、スクラップ&ビルドによる旧来の施設更新のあり方を脱却するという目的意識のもと、センシングやモニタリング、XR技術やゲームエンジン等の技術を活用し、デジタル空間情報の集約・分析手法やそれに基づく施設マネジメントのための定量的評価・運用手法を確立することで、既存建物群のハード/ソフト両面からの新たなマネジメントのあり方の提案と実証を目指すものです。

※17.社会連携講座とは、公共性の高い共通の課題について、東京大学と共同して研究を実施しようとする民間等外部の機関から受け入れる経費等を活用して設置される講座をいい、民間機関等と連携することにより、東京大学における教育研究の進展と充実を図り、人材育成をより活発化させ、もって学術の進歩及び社会の発展に寄与することを目的としている。

・大和リース株式会社(以下「大和リース」)は、東京製鐵株式会社と、柱・梁・床の構造材に電炉材を採用することで、従来の立体駐車場建設と比べてCO₂排出量を約55%削減する「環境配慮型 自走式立体駐車場」を共同開発し、大和リースにて販売を開始いたしました。建設事業で発生するCO₂排出量の削減は、建設に携わる企業だけでなく、施設を所有されるお客様にとっても不可欠な課題となっております。本商品は、高炉材(※18)に比べ鋼材製造時のCO₂排出量を大幅に抑制できる電炉材(※19)を使用することで、脱炭素社会の実現と、2050年のカーボンニュートラルの達成に貢献いたします。

※18.高炉材は鉄鉱石(酸化鉄)の中から鉄を取り出す際、石炭(コークス)を用いた酸素の除去(還元)が必要となり、その際に大量のCO₂を排出する。

※19.電炉材は鉄スクラップを電気で融解して鉄を製造するので、発電の際に生じるCO₂が主な排出となり、鋼材製造時のCO₂排出量が抑えられる。

・株式会社フレームワークスは物流施設の人手不足への対策としてロボットやマテハン機器(※20)を導入した後に発生する課題解決策として、「PeakPerformPro(ピークパフォームプロ)」を開発いたしました。本ソリューションでは、物流施設運営全体の効率的な運用を実現するため、「物流施設の整流化(※21)」に着目し、物流施設内における整流化を阻害する要因を素早く正確に把握することを起点に、各施設の能力を最大限に発揮した状態を維持することを目指します。今後当システムに蓄積されたデータを活用、分析することで、物流施設全体の更なる効率化・生産性向上の実現に向けたサービスを提供いたします。

※20.物流業務を効率化するために用いられる作業機械の総称。

※21.生産や物流工程において、モノや情報の停滞を排除し、淀みなく流れている状態にすること。

 なお、当事業に係る研究開発費は6,430百万円です。

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