企業大同メタル工業東証プライム:7245】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、経営方針として、「企業理念」、「行動憲章」、「行動基準」、「行動指針」及び「環境基本方針」を掲げ、事業活動を通して社会に貢献してまいります。また、技術立社として、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑技術)の領域をコアに、テクノロジーリーダーとして、来るべき時代を見据え、技術を磨き、企業としての社会的責任を果たしていく所存であります。

 当社グループは、中長期的な視野に立って、販売・生産・技術・新事業などの事業戦略を掲げ、安定的な発展と成長を目指しておりますが、CASEの進展による自動車需要・利用形態の変化やEV化の加速(但し、内燃機関は暫くは残存)、脱炭素・カーボンニュートラル社会への進化に向けた再生可能エネルギー需要の高まりや、ESG, SDGs対応強化の流れなど、企業を取り巻く環境は常に大きく変化しており、その短期的な経営判断は、将来に向けた持続的な成長を確実なものとするうえで極めて難しい舵取りを要求されます。

 そのような経営環境の中、持続的な成長を実現するために、中期経営計画「Raise Up“Daido Spirit”~Ambitious、Innovative、Challenging~」(“大同スピリット”を更なる高みに引き上げ、大きな飛躍を果たす~高い志、改革する意欲、挑戦する心~)を策定し、この計画に基づく活動を通して、企業価値の向上に取り組んでまいりました。ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の悪化、世界的なインフレの継続懸念等による影響・環境変化が激しく、予測が難しい状況下ではあるものの、大同メタルグループは、今後も引き続き進化のスピードを上げて、揺るぎない体制を創りあげてまいります。

(2)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、引き続きすべり軸受の全分野において世界トップシェアの獲得を目指すと同時に、自動車の来るべきパラダイムシフト(エンジンからモーターへ)に向けEV・PHV・HVなどの電動自動車で多くの需要が見込まれるアルミダイカスト製品などの新事業領域への取り組みを強化し、また、成長が期待される既存事業領域である一般産業分野の風力発電等の再生可能エネルギー向け特殊軸受の世界的拡販体制を整備、強化し需要拡大に対応することでシェアの拡大を図り、自動車用エンジン軸受以外の売上高比率を高めることで事業拡大を進めてまいります。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2018年度より開始した当社の中期経営計画は、2023年度をもちまして最終年度を迎えました。これまでの6年間を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響のほか、ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料価格の高騰、エネルギーコストの上昇、当社グループが事業展開している国・地域における地政学的リスク、為替変動などが見られ、当社グループの売上高、利益にも複合的かつ多大な影響をもたらしました。当社グループは、2021年5月に中期経営計画の後半3年間の計画を策定した上で、目標達成に向け、取り組んでまいりました。その結果、自動車業界における半導体の供給不足緩和による自動車主要顧客の生産回復や、船舶業界及び建設機械業界における旺盛な需要に対応することにより、2023年度は売上高128,738百万円(前期比13,257百万円増)となり、目標(売上高102,100百万円)を達成することができました。

 しかしながら、利益面につきましては、高騰する材料費の価格転嫁の取り組み強化等により収益の押し下げ要因の解消に努めたものの、営業利益は6,084百万円(前期比3,259百万円増)、営業利益率は4.7%(前期比2.3ポイント増)となり、目標(営業利益8,200百万円、営業利益率8.0%)を達成するには至りませんでした。

 当社グループとしましては、これらの前中期経営計画に対する結果を真摯に受け止め、今後、事業環境が大きく変化する状況下において、当社グループの持続的な成長と社会貢献を実践し続けるべく、「2030年に当社グループの目指すべき姿」、「当社グループが直面する課題改善を図るための中期的なロードマップ」及び「事業環境の変化に柔軟に対処するための体制の整備」等を検討・精査し、次期中期経営計画を策定していくことが重要であると認識しております。つきましては、今年度(2024年度)は、2025年4月からスタートする次期中期経営計画を策定するための準備期間と位置付け、2025年5月頃を目途に次期中期経営計画を開示する予定です。

 また、当社グループは、前中期経営計画において、「営業利益率」及び「ROE」を目標数値に掲げており、特にROEを上昇させることが経営上の最重要課題であると認識し、その実現に向けた対処策を講じてまいりました。今後につきましては、株主資本コストを上回るROEの実現を目標とし、そのための成長戦略を次期中期経営計画に盛り込むべく検討を進めてまいります。

2023年度の主な実績及び対処すべき課題は以下のとおりです。

<第1の柱:既存事業の磨き上げ>

① 自動車用エンジン軸受、自動車用エンジン以外軸受

 既存事業におけるマーケットシェア(2023年暦年、当社推定)につきましては、2022年に引き続き、自動車エンジン用半割軸受において世界トップシェア(33.3%)を維持いたしましたが、中国での内燃機関搭載車の販売不振等の影響により、前年対比シェア減となりました。また、EV(電動)化の進展により、内燃機関の需要減少の兆候が見受けられる地域も見られるものの、世界的なEV(電動)化の進展は地域毎に異なり、流動的な状況にあると認識しております。当社といたしましては、設備投資については慎重に検討・対処しつつも、市場の顕在ニーズ及び潜在ニーズに確実に応え、トラックエンジン用軸受の拡販やガソリンエンジン用軸受の新規開拓等により更なるシェア拡大を目指してまいります。

 自動車用エンジン以外軸受につきましては、自動車市場のみならず自動車以外の市場のニーズにも対応した新製品・新用途の拡販を、さらにスピードを上げて進めてまいります。

② 非自動車用軸受

 舶用低速エンジン用軸受のマーケットシェア(2023年暦年、当社推定)につきましては、海外市場の開拓強化に引き続き注力し、堅調に推移している船舶市場の中で前年同様73.0%を維持し、売上水準の拡大に寄与することができました。舶用・産業用中高速エンジン用軸受は、前中期経営計画の後半3年間でシェアを拡大できたため、今後の船舶市場以外への用途拡大の展望が可能となりました。

 また、一般産業分野のエネルギー分野においては、天然ガスなどの燃料を使用した高効率な発電機ガスタービン用軸受の好調な需要及びサービスパーツの受注増、石油精製プラント向けの圧縮機用軸受の開拓などが実り、売上に貢献をいたしました。引き続き、マーケットシェアの拡大を目指すと共に、開拓も進めてまいります。

③ 自動車用軸受以外部品

 アルミダイカスト製品につきましては、EV(電動)化自動車用部品の受注増に加え、半導体の供給不足が緩和されたことによる曲げパイプ・ノックピンなどの精密金属加工部品の需要の増加により、売上高が増加しました。

 しかしながら、2022年度に多額の減損損失を計上したアルミダイカスト製品については、2023年度において生産管理体制や工程の改善、品質管理面の体制の見直し等により利益改善を図りましたが、未だ改善すべき課題が残されている状況にあると認識しております。引き続き、生産管理体制や工程改善の強化・推進、品質管理体制の抜本的見直し等により、利益確保に向けた取り組みを強力に進めてまいります。

<第2の柱:新規事業の創出・育成>

 当社グループは、世界的なカーボンニュートラルへの転換、CO₂排出量規制強化に伴うエンジン熱効率向上に対応するため、更なる摩擦損失低減を目指し、従来とは異なるコンセプトで低摩擦特性を向上させた軸受製品の開発を進めております。また、EV(電動)化への対応のみならず、化石燃料を用いない自動車(水素燃料車等)への対応等も行っており、新規ビジネスへと結びつけるべく取り組んでおります。引き続き、風力発電用特殊軸受事業の取り組み強化や環境負荷低減に貢献する製品の開発など、当社コア技術の基礎研究や新領域における技術開発を通じて、当社グループが長年培ってきた技術を最大限活用してまいります。

<第3の柱:強固な基盤の確立>

 当社グループは、グローバル企業として持続可能な社会の実現に貢献すべく、「ステークホルダーにとっての影響度」と「当社グループにとっての重要度」の2軸からESGの各分野で優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、推進を図っております。また、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを継続しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明した上で、気候変動が当社グループ事業へ及ぼす影響を把握するため、シナリオ分析によるリスクと機会の検証を行い、その内容等をTCFD提言に基づき開示をしております。さらに、サステナビリティ経営の強化として、2023年度は、人権方針を策定すると共に、当社グループの価値創造ストーリーを示すため、初めての統合報告書を発行いたしました。

 これらに加えて、サイバー攻撃、情報技術ネットワーク及びシステム障害によるリスクに関しても引き続き対策を講じてまいります。また、海外との人材交流の観点では海外関係会社からの日本への人材の受け入れを実施すると共に、外国籍従業員の採用も強化いたしました。引き続き、技術・技能両面での交流を図ってまいります。

<第4の柱:組織・コミュニケーションの活性化>

 当社グループは、人的資本、多様性に関する施策を着実に実行しており、人事戦略として「働きやすい職場環境」「人材育成」等を優先的に解決すべき課題に挙げる等、活力ある組織づくり、従業員のモチベーションアップによる生産性向上に注力しております。2023年度は、前述のとおり人権方針を策定したほか、所定内労働時間を短縮できる時短勤務制度の利用者の拡大などを行うことにより、柔軟な働き方の実現に向けた支援を強化しました。また、無意識の偏見をなくし、誰もが働きやすい環境を醸成するため、管理者に対する研修も拡充しました。

 引き続き、Daido Spirit(高い志、改革する意欲、挑戦する心)を根底に、自らの能力やスキルを高めながら、メンバーと自由闊達な議論を行い、創造性を発揮してイノベーションを起こすことができる人材の育成や職場環境を構築してまいります。

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