企業兼大株主古河電気工業東証プライム:5801】「非鉄金属 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

[古河電工グループの理念体系]

当社グループは、経営の判断の軸となり、従業員一人ひとりが理解・共感し、当社グループで誇りを持って働くことにつながるパーパス(存在意義)を制定し、これまでのグループ理念体系を見直しました。

「古河電工グループ パーパス」(以下、パーパス)は、多様なステークホルダーから真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業グループとして認知され、従業員が誇りを持って挑戦し続けるために定めた当社グループの存在意義を明文化したものです。また、持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観を、「Core Values」としております。
「古河電工グループ ビジョン2030」は、将来社会像やパーパスを踏まえ、時間軸を2030年と定めて描いた当社グループの将来の在りたい姿を定めたものです。ビジョン2030のありたい姿からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義したものが25中期経営計画です。
「古河電工グループCSR行動規範」は、パーパスおよびCore Valuesに基づき企業活動を展開するにあたり、企業の社会的責任の観点から、当社グループの役員・従業員のとるべき基本的行動の規範を定めたものです。


■古河電工グループ パーパス*


*「古河電工グループ パーパス」は、2024年3月に制定され、2024年4月19日から施行されています。

■Core Values(コア・バリュー)

 当社グループが持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観として<正々堂々><革新><本質追究><主体・迅速><共創>の5つを定め、「Core Values」としております。


■古河電工グループ ビジョン2030

 当社グループは、「古河電工グループ パーパス」に基づき、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs*)」が示す社会課題の解決を念頭に置いて2030年におけるありたい姿を描き、そこへ向けて目指す時間軸と領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)を策定しております。

 ビジョン2030のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域において、当社グループは社会課題の解決を目指してまいります。さらに、新領域においても、これまでにない新たな事業の創出を通じた社会課題の解決を目指してまいります。


古河電工グループは

「地球環境を守り」「安全・安心・快適な生活を実現する」ため、

情報 / エネルギー / モビリティが融合した社会基盤を創る。

 さらに、当社グループでは、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義し、収益機会とリスクの両面で次のとおりマテリアリティを特定しております。これらのマテリアリティに取り組むことにより、ビジョン2030を達成するとともに、SDGsの達成にも寄与してまいります。


*SDGs…国連で採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称であり、17のゴール・169のターゲットで構成される国際目標

(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

 当社は、ビジョン2030のありたい姿からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義し、その達成に向け2025年度を最終年度とする4か年の新中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「25中計」という)を2022年度に策定し、各施策に取り組んでまいりました。


<経営環境>

25中計の前提となる当社を取り巻く経営環境は、今後非連続かつ不可逆的に変化していくものと考えております。例えば、ESG/SDGsが企業の存続に欠かせない経営課題となる、人生100年時代等を踏まえた新たなライフスタイルが広がる、人口減少・高齢化の進展により国内市場が縮小する、DX(Digital Transformation)が急速に進展する、等の変化が想定されます。

 このような環境においては、Beyond5G*の実現やカーボンニュートラルの実現、安全・安心・快適に人とモノが移動の自由を享受するための次世代インフラの実現、健康寿命延伸の実現、サーキュラー・エコノミーの実現等の社会課題解決の期待がより高まるものと想定されます。

*Beyond5G…5Gの特徴(高速・大容量、低遅延、多数端末との接続)のさらなる高度化に加えて、空・海・宇宙への利用領域の拡張、超低消費電力、超高信頼等の特徴を備えることが想定されている。6G(第6世代移動通信システム)とも呼ばれる。


<各事業領域における市場環境の見通し>

 世界経済は、成長が持続する中、インフレ率が着実に低下して、「ソフトランディング」に向かう姿となりました。もっとも景気拡大のペースは緩やかで、インフレの動向や地政学的ショックには不確実さが残る等、先行き不透明な状況が続くと予想されますが、当社グループが重点領域と位置づけているインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野、また、注力事業と位置づけている半導体に関連する機能製品分野は、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。

 情報通信分野は、5GやIoT等、クラウドをベースとしたサービスが様々な分野で成長しており、中でも生成AIの分野は急成長を果たしています。それらを支えるデータセンタ関連の光ネットワークの建設は今後も続くと考えられます。足元では世界的な光ファイバ等の需給バランスが復調傾向であり、中長期での継続的な市場成長が見込まれます。

 エネルギー分野は、国内に関しては国のエネルギー政策に伴う洋上風力を中心とする再生可能エネルギーや電力会社のリプレース需要が見込まれ、海外に関しては欧米、新興国での旺盛な需要が継続する見通しであります。

 自動車分野は、経済が拡大基調をたどる下で自動車需要は堅調に推移すると見られ、今後も当該分野は継続的に成長する見通しであります。

 機能製品分野は、生成AI関連市場は好調、スマートフォン・パソコン・HDDの需要は緩やかに復調すると見込んでおり、中長期的には継続的な市場拡大・成長する見通しであります。

<25中計達成に向けた取組み(対処すべき課題)>

25中計のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域における社会課題解決型事業の強化・創出を掲げ、収益の拡大に向けた取組みとして、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいります。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいります。

①資本効率重視による既存事業の収益最大化

 本中期経営計画の目標達成のため、各事業の収益の拡大に向け、引き続き収益性・成長性等の観点から投資配分の最適化を進め、事業ポートフォリオの見直しを含む、資本コストをより意識した経営管理と意思決定を一層加速してまいります。

 光ファイバ・光関連部品等については、高付加価値製品の拡販や新規顧客の獲得に注力し、また、製造能力の整備や生産性の改善に取り組むとともに、ネットワーキングシステムについてグローバル展開の推進により、収益の確保を図ってまいります。電力ケーブルシステムについては、設備投資・更新等による生産性改善、工事施工能力の増強を進めるとともに、国内の超高圧地中線、再生可能エネルギー向けの海底線や地中線の受注活動に取り組むことにより、収益の拡大を目指してまいります。自動車用ワイヤハーネスについては、車両を軽量化することでCO削減に貢献するアルミワイヤハーネスの拡販に引き続き努めるとともに、車の電動化が加速する中で注目されている高電圧対応製品の開発と受注活動を進めてまいります。半導体製造用テープについては、将来的に半導体の需要拡大が見込まれることから、生産能力の増強や、より高性能かつ高品質な製品の提供等を目的とする新工場建設及び試作を引き続き進めてまいります。さらに、生成AIの需要拡大を受け、顧客の様々なニーズに対応した放熱製品の拡販に努めてまいります。

②開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備

 当社グループは、素材力を核として長年培ってきた「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術を活用するとともに、外部パートナーとの共創を進めるほか、デジタル技術やデータの利活用を推進し、課題解決を起点とした製品・サービスの開発・提供を通じて、新たな社会課題解決型事業創出に向けた基盤整備を図ってまいります。

Beyond5G社会に対応するため、フォトニクス技術及び高周波技術を活かし、次世代の情報通信環境において必要となる光電融合の実現に向けた光半導体デバイス等の開発を進め、オール光ネットワークと高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。また、安全でサステナブルなエネルギーの供給に貢献する核融合発電関連製品の共同研究開発等を進めてまいります。さらに、カーボンニュートラルの実現に貢献するために、化石資源を使用しないグリーンLPガス*について引き続き研究開発に取り組んでまいります。加えて、社会インフラ維持管理向けデジタルソリューションについて、顧客への提案活動を進めるとともに、更なる高度化を目指してまいります。

*グリーンLPガス…バイオガス(家畜の排泄物や生ゴミ等を発酵させた際に発生するメタンガスと二酸化炭素)を原料に生成したLPガスのこと。
 

③ESG経営の基盤強化

25中計では、特定したマテリアリティごとに2025年度の目指す姿を定め、それらを実現する施策を策定するとともに、進捗を測定するサステナビリティ指標・目標値を設定しており、それらの達成を図ることで、ESG経営の基盤を強化してまいります。持続可能な企業へ変革する上で必須となっている「気候変動に配慮したビジネス活動の展開」に対しては、低炭素経済への移行を支援する一連の目標と行動である気候移行計画を策定し、それに基づいたカーボンニュートラル実現への取組みを加速してまいります。また、人的資本の強化を図るため、人材に対するグループ・グローバル共通の考え方である「古河電工グループPeople Vision」に基づき、「人材・組織実行力」の強化に取り組んでまいります。具体的には、従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査を実施し、これをモニタリングツールとして、人材マネジメントに関わる取組みを強化してまいります。「リスク管理強化に向けたガバナンス体制の構築」は、当社グループ全体のリスクマネジメントのみならず、サプライチェーンマネジメントと人権マネジメントに関わる取り組みを強化しています。それぞれ具体的には、「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく自己評価調査(SAQ)について当社から国内外グループ会社の主要な取引先へ段階的に拡大しております。「人権デューディリジェンスの実施」については、従業員と取引先を優先して対応すべきステークホルダーとして、それぞれについて想定される人権上の課題を特定し、課題への改善策や予防策を講じております。

(3) 目標とする経営指標

25中計において、資本効率を意識した事業の強化と創出を行うため、ROICやROE等を経営指標として重視し、最終年度である2026年3月期の到達目標水準は、ROIC(税引後)6%以上、ROE11%以上、連結売上高1.1兆円以上、連結営業利益580億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益370億円以上としております。また、25中計では、これらの財務目標に加え、各マテリアリティにおける2025年度の目指す姿を実現するためのサステナビリティ指標(温室効果ガス排出量削減率、従業員エンゲージメントスコア、管理職に対する人権リスクに関する教育実施率等)及びそれらの目標を設定しております。

 ビジョン2030の実現に向けて、本中期経営計画を着実に推進してまいります。

2025年度の財務目標値

ROIC(税引後)

6%以上

ROE

11%以上

Net D/Eレシオ

0.8以下

自己資本比率

35%以上

連結売上高

1.1兆円以上

連結営業利益

580億円以上

親会社株主に帰属する当期純利益

370億円以上

2025年度のサステナビリティ目標値

環境調和製品売上高比率

70%

新事業研究開発費増加率(2021年度基準)

125%

事業強化・新事業創出テーマに対するIPランドスケープ実施率

100%(*1)

温室効果ガス排出量削減率(スコープ1、2)(2021年度基準)

△18.7%

電力消費量に占める再生可能エネルギー比率

30%

従業員エンゲージメントスコア

80(*2)

(単体)管理職層に占める女性比率

7%

(単体)スタッフ新規採用者に占めるキャリア採用比率

30%

全リスク領域に対するリスク管理活動フォロー率

100%

主要取引先に対するCSR調達ガイドラインに基づくSAQ実施率

100%

管理職に対する人権リスクに関する教育実施率

100%

(*1) 2022年度に設定したテーマに関して全件実施を意味する。

(*2) 2023年度に対象範囲を国内外グループ会社に拡大し、単体目標からグループ目標に変更。

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