協和キリン
【東証プライム:4151】「医薬品」
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企業概要
当社グループは、研究開発活動へ経営資源を継続的かつ積極的に投入しています。自社における研究開発が注力する疾患サイエンス領域を骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患に設定し、創薬技術については、先進的抗体技術や造血幹細胞遺伝子治療などの革新的なモダリティを強化することで、Life-changingな価値を持つ新薬を継続的に創出することを目指します。また、価値創造のプロセスの一環として、オープンイノベーション活動やパートナーとの連携推進、ベンチャーキャピタルファンドへの出資、コーポレートベンチャーキャピタルも活用します。研究開発においては、Life-changingな価値の創出に重点を置き、自社でグローバルに展開して価値最大化を目指すだけでなく、社外のパートナーとの戦略的な連携で価値最大化を目指すビジネスモデルも活用します。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は1,035億円です。
<主要開発品の開発状況>
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| 2024年12月31日時点 |
開発番号,一般名 | 対象疾患 | 開発状況 |
KHK4083/AMG 451, rocatinlimab
| 中等度から重症のアトピー性皮膚炎 | 第Ⅲ相試験 実施中 |
結節性痒疹 | 第Ⅲ相試験 実施中 | |
中等度から重症の喘息 | 第Ⅱ相試験 実施中 | |
ziftomenib | 急性骨髄性白血病(AML)(単剤) | 第Ⅱ相試験 実施中 |
急性リンパ性白血病(ALL)(単剤) | 第Ⅰ相試験 実施中 | |
急性骨髄性白血病(AML)(併用) | 第Ⅰ相試験 実施中 | |
OTL-203 | ムコ多糖症I型(Hurler症候群) | ピボタル試験(第Ⅲ相試験相当) 実施中 |
KK8398, infigratinib | 軟骨無形成症 | 第Ⅲ相試験 準備中 |
KHK4951,tivozanib
| 滲出型加齢黄斑変性(nAMD) | 第Ⅱ相試験 実施中 |
糖尿病黄斑浮腫(DME) | 第Ⅱ相試験 実施中 | |
OTL-201 | ムコ多糖症IIIA型(Sanfilippo症候群A型) | PoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当) 実施中 |
KK4277 | 全身性エリテマトーデス(SLE) 皮膚エリテマトーデス(CLE) | 第Ⅰ相試験 実施中 |
KK2260 | 進行性又は転移性固形がん | 第Ⅰ相試験 実施中 |
KK2269 | 進行性又は転移性固形がん | 第Ⅰ相試験 実施中 |
KK2845 | 急性骨髄性白血病(AML) | 第Ⅰ相試験 実施中 |
KK8123 | X染色体連鎖性低リン血症(XLH) | 第Ⅰ相試験 実施中 |
・KHK4083/AMG 451(一般名:rocatinlimab)は、病原性T細胞(炎症性疾患において疾患の原因となるT細胞)に発現するOX40受容体を標的とするモノクローナル抗体です。アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患の根本的な原因の一つとして、OX40シグナル伝達を介したT細胞の活性化により、病原性T細胞の増加とエフェクター機能が誘導され、T細胞のインバランスが生じていることが挙げられます。rocatinlimabは、病原性T細胞の機能を抑制し、またその数を減少させることにより、T細胞リバランスを可能とします。初期の抗体は当社の米国研究チームとラホヤ免疫研究所の共同研究により見出されました。2021年6月1日、当社とAmgen社はrocatinlimabの共同開発・販売に関する契約を締結しました。本契約に基づき、Amgen社は本剤の開発、製造、及び当社が単独で販売活動を担当する日本を除くグローバルでの販売活動を主導します。両社は米国において本剤のコ・プロモーションを行い、当社は米国以外(日本を除く欧州及びアジア)においてコ・プロモーションを行う権利を有しています。現在成人及び青年期(12歳以上)の中等度から重症のアトピー性皮膚炎を対象に8つの試験からなる第Ⅲ相試験(ROCKETプログラム)が進行中です。これまでに3,300名以上の患者さんが試験に参加し、そのうち7つの試験で被験者登録を終了しました。2024年9月にROCKETプログラムの最初の試験ROCKET-Horizonの結果が主要評価項目と全ての主要な副次評価項目を達成したことを発表しました。ROCKETプログラムに加え、中等度から重症の喘息を対象とする第Ⅱ相試験及び結節性痒疹を対象とする第Ⅲ相試験も実施中です。
・ziftomenibは、経口メニン阻害薬であり、アンメットニーズの高い特定の遺伝子変異や再構成を有する急性骨髄性白血病(AML)に対する治療薬としてKura Oncology社により開発が進められてきました。2024年11月、当社とKura Oncology社はziftomenibの販売と開発に関するグローバルにおける急性白血病を対象とした戦略的提携に関する契約を締結しました。本契約に基づき、両社は共同でziftomenibの開発と販売を実施し、米国ではKura Oncology社が、米国以外では当社が開発・薬事・販売戦略を主導します。現在急性骨髄性白血病(AML)を対象に複数の試験が進行中です。2024年12月に、両社はziftomenibについて、NPM1変異及びKMT2A再構成の急性骨髄性白血病(AML)を対象とするシタラビン・ダウノルビシン(7+3療法)やベネトクラクス・アザシチジン(ven/aza)といった標準治療との併用療法に関する良好なデータを発表しました。
・OTL-203は、ムコ多糖症I型(Hurler症候群)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。根本治療法となり得る治療法としてOrchard Therapeutics社が北米と欧州でピボタル試験(第Ⅲ相試験相当)を実施中です。
・KK8398(一般名:infigratinib)は、経口FGFR3阻害薬で、骨系統疾患を対象としてBridgeBio Pharma社傘下のQED Therapeutics社により開発が進められてきました。2024年2月に当社とQED Therapeutics社は骨系統疾患を対象とした日本における開発・販売権の導入に関するライセンス契約を締結しました。現在日本での第Ⅲ相試験の準備中です。
・KHK4951(一般名:tivozanib)は、当社が創製した血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-1、-2、-3チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるtivozanibを点眼投与により後眼部組織に効率的に送達するように設計した新規のナノクリスタル化点眼剤であり、滲出型加齢黄斑変性症(nAMD)及び糖尿病黄斑浮腫(DME)に対して非侵襲的な新しい治療選択肢となり得る薬剤です。現在第Ⅱ相試験を実施中です。
・OTL-201は、ムコ多糖症IIIA型(Sanfilippo症候群A型)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。OTL-203と同様に根本治療法となり得る治療法としてPoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当)を実施中です。
・KK4277は、SBIバイオテック株式会社より導入した抗体をもとに、当社のPOTELLIGENT技術を応用して抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を強化し、それを最適化した抗体です。現在全身性エリテマトーデス及び皮膚エリテマトーデスを対象に第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK2260は、当社独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEGFR-TfR1バイスペシフィック抗体です。がん細胞選択的な鉄枯渇を実現する抗体として設計されており、非臨床試験において、強い薬効を示し、かつ忍容性も示すことを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK2269は、当社独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEpCAM-CD40バイスペシフィック抗体です。各種の腫瘍で高発現しているEpCAMと抗原提示細胞のCD40を架橋することで、腫瘍近傍の抗原提示細胞のみ活性化する抗体として設計されており、非臨床試験において、全身性副作用を抑制しながら抗腫瘍免疫による薬効を発揮できることを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK2845は、当社初の抗体薬物複合体(ADC)の開発品です。標的分子はTIM-3で、2024年10月に急性骨髄性白血病(AML)を対象とする第Ⅰ相試験を開始しました。
・KK8123は、ヒト型抗FGF23抗体であり、X染色体連鎖性低リン血症(XLH)の新しい治療選択肢となり得る薬剤です。2024年11月に、XLHを対象とした第Ⅰ相試験を開始しました。
<主な提携・ライセンス情報>
・2024年1月に線維化を伴う炎症性疾患治療薬の開発を目的とする化合物の独占的開発権をBoehringer Ingelheim社へ導出するライセンス契約を締結しました。
・2024年2月に骨・ミネラル領域の強化を目的として、BridgeBio Pharma社傘下のQED Therapeutics社とinfigratinib(開発番号:KK8398)の骨系統疾患を対象とした日本国内の開発・販売権の導入に関するライセンス契約を締結しました。
・2024年11月にKura Oncology社とziftomenibの販売と開発についてのグローバルな急性白血病を対象とした戦略的提携に関する契約を締結しました。
開発パイプライン一覧
※ziftomenibの開発状況詳細については、Kura Oncology社のホームページ(https://kuraoncology.com/)をご参照ください。
主な申請承認情報
開発番号、一般名、製品名 | 対象疾患 | 申請状況 | 2024年に 承認取得した |
KRN125(一般名:ペグフィルグラスチム、日本製品名:ジーラスタ) | 自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員 | ― | 日本 |
OTL-200(一般名:atidarsagene autotemcel、欧州製品名:Libmeldy、米国製品名:Lenmeldy) | 異染性白質ジストロフィー | ― | 米国 |
KHK4827(一般名:ブロダルマブ、日本製品名:ルミセフ) | 掌蹠膿疱症 | 台湾申請中 | ― |
KHK7580(一般名:エボカルセト、日本製品名:オルケディア) | 二次性副甲状腺機能亢進症 | ― | 台湾・中国 |
AMG531(一般名:ロミプロスチム、日本製品名:ロミプレート) | 再生不良性貧血 | 台湾申請中 | ― |
重症の再生不良性貧血 | ― | 韓国 |
KHK4827は全身性強皮症を予定適応症とする日本での承認事項一部変更承認申請を取り下げたため、該当する申請情報を本表から削除しました。
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