北海道電力 【東証プライム:9509】「電気・ガス業」 へ投稿
企業概要
ほくでんグループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
ほくでんグループは事業の持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視している。サステナビリティを巡る社会の動向など、経営に与える影響が大きいリスクや収益機会を整理し、役付執行役員(社長執行役員、副社長執行役員、常務執行役員)等で構成する業務執行会議において審議を行ったうえで、取締役会において年度経営方針を策定している。
(2)重要なサステナビリティ項目
重要なサステナビリティ項目である人的資本及び気候変動対策に関する考え方及び取組は、次のとおりである。
① 人的資本
a. 戦略
ほくでんグループにおける主要な事業を営む当社及び北海道電力ネットワーク㈱は、雇用管理を両社一体的に実施しているため、以下の事項は、当社と北海道電力ネットワーク㈱の人的資本に関する方針を記載している。
ⅰ.人材育成方針
当社及び北海道電力ネットワーク㈱は、従業員が事業成長における原動力であるとの認識のもと、事業環境の変化や事業領域の拡大等に対応すべく、優秀な人材の確保や、従業員の教育・育成に取り組んでいる。
人材確保にあたっては、経験者採用を推進しており、多様な視点や価値観を持つ方に実力を発揮し活躍していただくために、通年で採用活動を実施しているほか、女性採用比率の向上に向け、女子学生をターゲットにした企画(女性向け座談会や女性社員による個別アプローチ等)の実施や、身近な存在として学生の動機付けを行うため、OB・OGによる研究室・ゼミ訪問を強化する等の取組を進めている。
人材育成においては、従業員一人ひとりの技術力・専門的知見・スキルの向上等が、電力の安定供給の確保のみならず、競争環境における当社の競争力の源泉にもなることから、職場内教育(OJT)はもとより、新入社員や中堅社員等を対象とした全社共通教育、専門的知見・スキルの伸長を目的とした部門別教育、次世代の経営層候補者を対象に、全社的な経営視点を養成するためのビジネスリーダー研修等、体系的かつ多様な教育・研修制度の充実化を図っている。今後は、新たな事業領域においても力を発揮できる人材や、変革をリードする人材の育成にも注力していく。
また、従業員の自律的なキャリア形成を支援するため、社内公募制度や資格取得に対する合格祝金制度、通信教育への費用助成等の制度や仕組みを整備し、従業員の成長や挑戦を後押ししている。
以上の取組を進めるため、人材情報の可視化に向けタレントマネジメントシステムを導入する等、従業員の能力最大化に資する基盤整備も進めている。
ⅱ.社内環境整備方針
当社及び北海道電力ネットワーク㈱は、「ほくでんグループ人権方針」において、ほくでんグループの事業活動に関わる全ての方々の人権の尊重を表明するとともに、人権に関する国際的規範・原則、及び各国のビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)を支持・尊重している。そして「人権委員会」において、人権問題に関する継続的な教育の推進、人権デュー・ディリジェンスの実施や救済メカニズムの運用について検討を推進し、ほくでんグループの事業活動における人権への負の影響の予防・軽減に努めている。
また、多様な視点や価値観が社内に存在することは持続的な成長に向けた強みとなりうると認識し、性別・入社歴・国籍等にとらわれず人材の多様性の確保に努めている。従業員の多様性を尊重しながらそれぞれの個性を活かして活躍できる職場作りを推進するという方針に基づき、管理職候補となり得る女性社員の情報交換等を目的とした交流会の開催や、経験者採用により入社した者に入社前後のギャップや悩みを聞き取り、必要に応じて個別に対応する等の取組を実施している。さらに、高い技術力や知見を備えた人材に長く継続的に力を発揮してもらうため、2018年4月から、技術・技能継承を支える高いスキルを有する従業員を対象に、満70歳まで特別に雇用を延長する制度を導入する等、適宜、制度の整備・充実を図るとともに、障がいを持つ人がいきいきと働くために適切な就労の場を提供し、働くことによる社会的自立と社会参加を支援していくため、グループ全体で障がい者雇用の拡大に努めている。
加えて、従業員が働きがいを感じ、健康に働き続けることができるよう、これまで育児・介護フレキシブル勤務の導入や在宅勤務の適用回数拡大、時間単位休暇の取得要件拡大等の各種勤務制度の整備のほか、健康経営を担当する役員が統括する健康経営推進委員会の設置等、各種健康経営諸施策の推進や労働安全確保に繋がる活動を推進しており、良好な職場環境の構築による従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいる。そうした取組が評価され、経済産業省と日本健康会議が認定する「健康経営優良法人(ホワイト500)」に4年連続で認定されている。
b. 指標及び目標
雇用管理を一体的に実施している当社及び北海道電力ネットワーク㈱においては、前記「a. 戦略」において記載した人材育成方針及び社内環境整備方針に関連する指標のデータ管理や具体的な取組を行っているものの、ほくでんグループに属する全ての会社において行っていないため、ほくでんグループにおける記載が困難である。このため、次の指標に関する目標及び実績は、ほくでんグループにおける主要な事業を営む当社及び北海道電力ネットワーク㈱のものを記載している。
<人材育成方針に関わる指標及び目標>
2023年3月31日現在
分 類 | 指 標 | 実績(目標) |
人材確保 | 経験者採用比率 | 10% |
女性採用比率 | 16.2% | |
自発的離職率(注2) | 1.8% | |
教育・育成 | 従業員一人当たりの教育投資額 | 87千円 |
(注) 1 当社と北海道電力ネットワーク㈱は、雇用管理を両社一体的に実施しているため、当該指標の実績値や目標値についても両社一体で算出している。また、実績欄の( )内は目標値を示している。
2 自発的離職率は、2022年4月1日時点の在籍従業員のうち、2023年3月31日までに自発的に離職(自己都合)した従業員の比率である。
3 目標値については、当社及び北海道電力ネットワーク㈱において現状で設定しているもののみ記載している。
<社内環境整備方針に関わる指標及び目標>
2023年3月31日現在
分 類 | 指 標 | 実績(目標) |
人権 | 人権方針 | 制定・公表 |
ダイバーシティ | 管理職女性比率 | 2.3%(3.0%) |
男性育児休業取得率 | 24.1%(7.0%) | |
65歳以上の雇用延長者数 | 55人 | |
障がい者雇用率 (注2) | 2.48% | |
健康・安全 | 健康経営に関する社外認定 | 健康経営優良法人「ホワイト500」 4年連続で認定 (注3) |
労働災害度数率 (注4) | 0.37 | |
従業員エンゲージメント | 年次有給休暇取得率 | 86.4%(100.0%) |
エンゲージメントスコア | 社内での独自調査を実施 |
(注) 1 当社と北海道電力ネットワーク㈱は、雇用管理を両社一体的に実施しているため、当該指標の実績値や目標値についても両社一体で算出している。また、実績欄の( )内は目標値を示している。
2 障がい者雇用率については、障害者雇用促進法第43条第7項に基づき公共職業安定所に報告している「障害者雇用状況報告書」に記載している2022年6月1日現在の雇用率である。
3 大規模法人のうち、保険者(健康保険組合等)と連携して優良な健康経営を実践している法人を日本健康会議において認定・公表する制度で、このうち上位500法人が「健康経営優良法人」(通称「ホワイト500」)として認定される。
4 労働災害度数率:延べ100万労働時間あたりの労働災害による休業1日以上の死傷者数を示し、災害の発生頻度を表す。
5 目標値については、当社及び北海道電力ネットワーク㈱において現状で設定しているもののみ記載している。
② 気候変動対策
a. ガバナンス及びリスク管理
気候変動対策を含むグループ経営方針や具体方策について、業務執行会議において審議を行い、その上で、取締役会において重要な業務執行に関する意思決定を行っている。
また、当社及び北海道電力ネットワーク㈱の社長を委員長とする環境委員会を設置し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づく気候関連リスク・機会の整理を含めて、ほくでんグループにおける環境施策全般についての審議を行い、ここでの議論内容をグループ経営方針などへ反映している。
b. 戦略
気候変動関連のリスクと機会を検討するにあたり、IEA(国際エネルギー機関)の1.5℃シナリオや、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の4℃シナリオのデータを参照している。世界の低・脱炭素化に向けて、エネルギー供給側の低・脱炭素化及び需要側の電化とエネルギー使用の高効率化が重視されており、供給・需要の両面からカーボンニュートラルの実現に挑戦する当社の取組の方向性と整合している。
<気候関連リスク>
リスクの内容 | 発現時期 | 影響度 |
CO2排出に対する政策・法規制の強化に伴う費用の増加 | 短・中・長期 | 大 |
脱炭素化対応の遅れによる既設火力の稼働率低下に伴う収益の減少/新技術に係る投資回収の遅延 | 中・長期 | 中 |
電気に対するお客さまの環境意識の高まりに伴う収益の減少 | 短期 | 中 |
再生可能エネルギーの大量導入による競争環境の変化に伴う収益の減少 | 中・長期 | 中 |
ESGへの不十分な対応に伴う資金調達の困難化 | 中・長期 | 中 |
台風・暴風雪などの自然災害の激化・頻発による対応費用の増加 | 短・中・長期 | 中 |
気象パターン変化による収支不安定化 | 中・長期 | 大 |
<気候関連機会>
機会の内容 | 実現時期 | 貢献度 |
石油系エネルギー依存度が高い暖房需要・運輸などの電気への転換、電気自動車の導入促進、データセンターの誘致などによる電力需要の増加 | 短・中期 | 大 |
電化が困難な需要へのCO2フリー水素の供給に伴う収益の増加 | 長期 | |
北海道の豊富なポテンシャルを活かした洋上風力・バイオマス発電などの再生可能エネルギーや原子力発電の活用促進に伴う販売電力量の増加 | 短・中・長期 | 大 |
革新的技術の実用化による火力電源の低・脱炭素化に伴う販売電力量の増加 | 中・長期 | |
グリーンボンド発行などによる資金調達の多様化・安定化 | 短期 | 中 |
早期復旧を通じた信頼性向上による、電気の優位性確保・需要の増加 | 短・中期 | 中 |
[発現・実現時期] 長期:10年超、中期:10年程度、短期:5年程度
[影響・貢献度] 大:100億円超/年、中:10億~数十億円/年程度、小:数億円/年程度
[ほくでんグループの事業基盤である北海道における気候関連機会]
国の研究機関の推計によると、北海道の人口は将来的に減少する傾向が示されている。一方で、北海道の家庭部門のエネルギー消費に着目すると、暖房使用などの用途により、石油系エネルギーへの依存度が全国と比較し非常に高い状況であり、電化の拡大による電力需要拡大のポテンシャルは非常に大きいと考えている。エネルギー供給側の取組として、非化石電源の導入を最大限進めるなど、需給両面の取り組みにより北海道におけるエネルギー全体のカーボンニュートラルの実現に最大限挑戦していく。
c. 指標及び目標
2050年の北海道におけるエネルギー全体のカーボンニュートラル実現に向け、気候変動対策に係る定量目標を設定するとともに、実績を公表している。
<CO2排出削減目標>
目標年度 | 目 標 |
2030年度 | 発電部門からのCO2排出量を2013年度比で50%以上低減(△1,000万t以上/年) |
2050年度 | 北海道におけるエネルギー全体のカーボンニュートラルの実現に最大限挑戦 |
<排出実績>
項 目 | 排出実績 |
発電部門からのCO2排出量 | 1,219万t-CO2[2022年度実績](2013年度比△673万t-CO2) |
Scope1(注) | 1,410万t-CO2[2021年度実績] |
Scope2(注) | 0.1万t-CO2[2021年度実績] |
(注) Scope1、2の範囲は当社及び北海道電力ネットワーク㈱分を計上している。また、Scope1、2の2022年度実績は、情報の集約・算定に時間を要することから、今後公表する「ほくでんグループレポート」に掲載を予定している。
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