企業兵機海運東証スタンダード:9362】「倉庫・運輸関連業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「総合物流業者としてその業務を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと顧客のニーズを先取りし、生産と消費をつなぐ物流のエキスパートを目指しております。そのニーズに具体的に応える高度な情報力と革新的でスピーディーな経営を行うとともに社会や環境との共存を図り、株主、顧客、社員の信頼と期待に応えてまいります。

(2)経営戦略等

 当社は、従来からの事業である「内航・外航海運」と「港運・倉庫」の強化と育成を以て、業容拡大を目指しております。
 内航海運を中心とする国内物流にありましては、鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送の取扱いを主力としております。この事業の業容拡大にはベース貨物となる鋼材輸送において、安全で安定した配船サービスの提供が最大の輸送責任と認識しております。そのためにも老朽船のリプレイスによる高品質輸送の継続的な提供を考えております。また、傭船船主との良好な関係の構築は不可欠であり、船主の経営強化を目指して新たな体制(共同管理)に着手し、当社と船主によって設立しました七洋船舶管理株式会社がその任に当たっております。これにより、当社の経営基調である「共存共栄」の精神の下、船腹の維持増強と市況変動に耐えうる強固な収益体制の向上に努めてまいります。
 外航海運にありましては、スピーディーでフットワークの良い運航が当社の強みと認識しております。近年一定の成果をあげてまいりましたロシア航路については、主力貨物の輸出停止により中長期的に再開が困難であると判断し、当航路に投入していた自社船を売却し、船舶維持管理コストの改善を図りました。今後は代替航路による新たな収益基盤の構築に注力してまいります。また、インフラ整備等のプロジェクト輸送も収益基盤となっており、引き続き案件発掘に注力してまいります。また、東南アジアに絞った長期安定輸送貨物の獲得も目指しております。

 国内の港運事業にありましては、AEO制度による認定業者として、輸出入貨物のリードタイムの短縮・コストの削減に努め、コンプライアンス重視の高品質な通関業務を顧客に提供し、危険品や他法令規制対象貨物など高付加価値貨物の取扱いの増強を図り、新たな顧客開発による収益力の向上を目指します。特に、国際複合輸送の分野にありましては、従来からの中国、台湾、韓国地域を中心に、最近ではタイ、ベトナム、インドネシア方面へとその取扱い商圏を広げつつありますが、これら業容拡大に欠かせない存在である海外物流パートナーへの訪問を積極的に行い、関係強化を推進することにより、相互に請負貨物の取扱量を拡大してまいります。

 倉庫事業にありましては、港運事業との一体性を発揮し、きめ細かいサービスを顧客に提供することで自社倉庫のさらなる優位性の発揮を目指しております。近年は付加価値の高い危険物の取扱いに注力しており、姫路地区と神戸地区に建設した危険物倉庫が新たな収益基盤となっております。しかしながら、その収益性の高さから取扱いの競争も激化していることから、総合物流業者としての強みを生かし他部門連携の営業活動の強化に注力し、さらなる収益拡大を目指してまいります。また、危険物取扱者の人材育成等安全面にも配慮し、長期安定貨物のさらなる確保に努めてまいります。

(3)経営環境

 次期の経営環境の見通しにつきましては、コロナ禍からのリバウンド需要も一旦落ち着きを取り戻しましたが、物価上昇を上回る継続的な賃上げが中小企業まで波及すれば、国内景気は緩やかな回復傾向を維持すると予想されます。また企業の設備投資も、日銀と欧米の金融政策の影響による国内金利と為替動向を注視しつつも、緩やかに増加すると予想されます。一方で、中東情勢の更なる緊迫化とウクライナ紛争の長期化、米国大統領選挙の行方と米中貿易摩擦による経済安全保障上の規制など地政学的な影響が、港運事業、通関業及び外航事業において幅広い顧客の輸出入貨物を取扱う当社の懸念事項でもあります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 内航事業では、船舶運航及び維持管理コストの増加に応じた、また、当社の安心安全を約束した安定輸送サービスに見合った運賃への改定交渉を継続して実施し、適正利益の確保に努めてまいります。一方で、中長期的に内航船員数が減少傾向にあることに加え、小規模な船主は、船員高齢化などの影響により自主廃業を選択していくケースが今後増加すると予想されます。オペレーターとしての当社は、傭船先への傭船料を改定し、船主と一体となった経営で船団を維持するとともに効率配船に努め、新規傭船先の開拓と関係会社や船員育成船を通じた若年船員の雇用促進を行ってまいります。

 外航事業では、子会社を清算したことにより、船舶維持管理コストが無くなりました。今後は中央アジアやモンゴルなど、鉱物資源が豊富な国向けの設備取扱いの増加が見込めますので、中国の港を経由地とした三国間輸送貨物を物量に合わせた傭船契約にて配船し、準定期配船サービスの提供を目指します。また、同航路の強みを活かし中国発日本向けの輸入貨物の獲得も目指します。他の航路についても、他部署との連携及び当社と協力関係にある船会社と協業し、国内外で集荷活動を展開します。

 港運事業では、2024年問題によりトラックドライバーの労働時間が制限され、元請け業者である当社にも、国内陸上輸送における適法な取組みが求められます。協力会社からの値上げ要請に応じたコスト上昇分を顧客へ転嫁できるよう、価格改定交渉を継続してまいります。また、収益率の向上を目指し、一般貨物以外に、付加価値が高く通関取扱いに専門知識を必要とする貨物の集荷営業を強化します。なお、大阪港及び神戸港においては、2025年開幕に迫った大阪・関西万博関連の建設資材や大型設備機器の荷動きが活発化してくると予想されますので、港運・倉庫事業と一体となった営業サービスをセールスし、受注機会を逃さないように努めてまいります。

 倉庫事業では、将来的に予想される倉庫作業員の不足に対処すべく増員を図っており、その労務費が増加しております。倉庫事業の収益は、主に作業と保管に分かれておりますが、人員を活用できるのは作業面です。収益性を高めるため、回転率の良い輸出入コンテナ貨物の取扱いを増加させること、特に通常の海上コンテナには積めない大型貨物を積載するフラットラックコンテナ等の特殊コンテナとその付帯作業の取扱いを増やすよう営業活動を強化します。また、付加価値の高い危険物の取扱いは競争が激化しておりますが、屋外ヤード及び特殊荷役重機とそのオペレーターを有する当社の特長を活かし、ISOタンクコンテナの営業活動も引き続き強化してまいります。

 当社は、船舶・倉庫等の大型設備を必要とする事業特性から自己資本比率が低いことが課題となっております。財務体質の強化を図るため、自己資本比率30%を確保することを経営指標として取組んでおり、そのためにも更なる経営の効率化を図り、売上高経常利益率5%、ネットDEレシオ1.0倍を目指した業務改善に取組んでまいります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、各セグメント別に特段の経営指標の設定はありませんが、当社全体での経営指標として、自己資本比率30%の確保を掲げ、売上高経常利益率、ネットDEレシオを重視しております。

 当事業年度末における自己資本比率は前年同期より5.4ポイント上昇し35.6%、ネットDEレシオは0.84倍と、当面の目標である30%以上、1.0倍以下を達成いたしましたが、同業他社の水準等も勘案し、引き続き更なる財務体質の強化に努めてまいります。また、当事業年度の売上高経常利益率は前年同期より1.31ポイント上昇し4.64%となりました。

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