企業兼大株主住友金属鉱山東証プライム:5713】「非鉄金属 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)住友の事業精神

 当社グループは430余年にわたり「ものづくり」の会社として必要とされる製品を安定的にお客様に供給することを社会的責務とし、時代の変化に臨機応変に対応しながら事業を継続してきました。こうした思想、理念は「住友の事業精神」として創業から長きにわたり受け継いできました。当社グループは、この先人達が築き上げてきた「住友の事業精神」の持つ価値観、倫理観の重要性を今一度十分に認識し、当社グループの事業と事業に対する社会からの信頼を確固たるものにするべく、これからも努力を重ねてまいります。

第1条

わが住友の営業は信用を重んじ、確実を旨とし、もってその鞏固(きょうこ)隆盛を期すべし

第2条

わが住友の営業は時勢の変遷理財の得失を計り、弛張(しちょう)興廃することあるべしといえども、いやしくも浮利に趨(はし)り軽進すべからず

(1928年 住友合資会社社則「営業の要旨」より抜粋)

(2)経営理念と経営ビジョン

 当社グループは、住友の事業精神に基づき、当社が社会的な使命と責任を果たしていく指針として、次のとおりグループ経営理念とグループ経営ビジョンを定め、事業を進めています。

「SMMグループ経営理念」

・住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステーク

 ホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします

・人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします

「SMMグループ経営ビジョン」

・技術力を高め、ものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします

・コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルでの企業活動により、資源を確保し、

 非鉄金属、機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします

(3)長期ビジョン

 当社グループは、上記の経営理念や経営ビジョンを受け、その到達すべき目標として長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」とそのターゲットを定めています。当社グループは、経営理念や経営ビジョンを基盤とし、資源を確保し、非鉄金属や電池・機能性材料など高品質な商品の提供を通じて、成長性と持続性を拡大させ、当社の企業価値を高めていきます。

「世界の非鉄リーダー」とは

・資源権益やメタル生産量において、グローバルでの存在感(=世界Top5に入るメタル)がある

・資源メジャーでも容易に模倣できない、卓越した技術や独自のビジネスモデルを有している

・持続的成長を実現し、安定して一定規模の利益をあげている

・SDGs等の社会課題に積極的に取り組んでいる

・従業員がいきいきと働いている

長期ビジョンのターゲット

・ニッケル:生産量15万トン/年

・   銅:権益分生産量30万トン/年

・   金:優良権益獲得による鉱山オペレーションへの新規参画

・材料事業:ポートフォリオ経営による税引前当期利益250億円/年の実現

・  利益:親会社の所有者に帰属する当期利益 1,500億円/年

(4)2030年のありたい姿

 当社グループは、経営理念や経営ビジョンを基盤とし、資源の確保、非鉄金属や電池・機能性材料など高品質な材料の提供を通じ、成長性と持続性を拡大させ、当社の企業価値を高め、長期ビジョンである「世界の非鉄リーダー」を実現していきます。また、これは持続可能な社会形成に貢献する取り組みであり、その実現のためのマイルストーンとして「2030年のありたい姿」を策定しました。

 策定にあたり、私たちが2030年に向けて達成すべき取り組みを11個の「重要課題」として設定しました。持続可能な開発目標(以下、「SDGs」という。)との関連については、それぞれに結びつきの強いSDGsを「成長性」、「持続性」の観点から整理し、各課題に共通する当社グループのアプローチであること、当社経営ビジョンに直結することから、「つくる責任 つかう責任」を最重要の課題と定めています。

 なお、11個の「重要課題」の詳細については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」の(2) 戦略をご参照ください。

(5)2021年中期経営計画

 当社グループは、長期ビジョンとターゲットの達成に向け中期経営計画を3年ごとに策定しています。2022年2月に2022年度から2024年度を対象とする「2021年中期経営計画」(以下、「21中計」という。)を公表し、企業価値の一層の向上と新たな成長への挑戦を進めています。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

① 当社を取り巻く経営環境

 「21中計」の策定に際して考慮すべき中期的な経営環境として以下を挙げております。

「当社をとりまく経営環境」

〇非鉄金属需給は一時的に緩む見通し

・銅・ニッケルともに供給増で一時的に需給は緩む見込み

・中長期的には電気自動車(EV)・再生可能エネルギー等を中心に需要増を見込む

〇資源開発・製錬操業をめぐる事業環境はより厳しく

・資源ナショナリズムの高揚

・鉱山の高地・奥地・深部・低品位化等 開発難度の上昇

・地域社会との良好な関係性構築の難度上昇

・環境規制強化

・投資及び電力・資材代などのランニングコスト上昇

〇“素材”の活躍の場は拡大

・エネルギー供給網の構築やEV化により、銅やニッケルの需要増加

・カーボンニュートラル(CN)やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により

 各分野での技術革新・市場拡大が促され、 材料事業にとって事業拡大の好機

〇加速するCN対応

・2050年温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロが共通認識に

〇DXへの対応

・デジタル化、IT化への対応を今後加速化

〇人材確保の難化

・働き方の多様化と従業員の意識変化(人材の流動化)

 足もとの経営環境は、不動産不況の長期化による中国経済の低迷や欧米をはじめとした多くの国・地域でのインフレ率の高止まり、さらに地政学的リスクや世界経済の分断化リスクの高まりなどがあり、不確実性の高い状況が継続しています。

 非鉄金属の需給については、銅は一部の海外鉱山の稼働停止や生産量調整などにより一時的に供給不足となると見込まれています。一方、ニッケルは中国、インドネシアの増産により供給過多が継続すると見込まれています。

 材料事業の関連業界においては、脱炭素化やデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応により需要拡大が見込まれるものの、中国をはじめ世界経済の先行きが不透明なことから市場の成長が鈍化するリスクもあり、予断を許さない状況にあります。

② 「21中計」の基本戦略と進捗

 「21中計」では、『変革への新たな挑戦』をテーマに、「企業価値拡大-大型プロジェクトの推進」「コアビジネスの持続可能性向上」「社会環境変化への適応」「経営基盤強化」の「4つの挑戦」に取り組んでいます。

挑戦1:企業価値拡大-大型プロジェクトの推進

・電池材料(正極材)の生産能力増強

・ケブラダ・ブランカ2銅鉱山開発プロジェクト推進(チリ)

・コテ金開発プロジェクト推進(カナダ)

挑戦2:コアビジネスの持続可能性向上

・3事業連携(ニッケル-電池)のバリューチェーン強化

・菱刈鉱山のサステナビリティ重視の操業への転換

・銅製錬事業の競争力強化

・機能性材料事業の拡大戦略

挑戦3:社会環境変化への適応

・GHG(温室効果ガス)排出量削減

・カーボンニュートラルに貢献する製品・新技術・プロセスの開発推進

・DXへの対応

・人材確保/育成/活用への取り組み

挑戦4:経営基盤強化

・安全への取り組みの強化

・サステナビリティ施策の推進加速

・コーポレートガバナンス

 2021年中期経営計画の2年目となる当期の進捗状況及び今後の戦略の内容については、資源事業では、当社が25%の権益を持つケブラダ・ブランカ銅鉱山フェーズ2開発プロジェクト(チリ)において2023年4月に生産立ち上げを開始しました。2024年度後半からはフル生産体制へ移行する見通しです。また、コテ金開発プロジェクト(カナダ)では、2024年3月末に最初のドーレ(金銀の合金)を生産し、今後、フル生産体制確立に向けて早期の立ち上げを進めます。

 製錬事業では、銅製錬を行う東予工場(愛媛県)において2023年秋に、12年ぶりに炉を完全に停止して修繕を行い、生産能力の増強に向けた整備を行っています。また、使用済みのリチウムイオン二次電池から銅、ニッケル、コバルト、リチウムを回収するリサイクルプラントの建設や、世界最大規模のニッケル資源量を有するカルグーリー・ニッケル・プロジェクト(オーストラリア)への出資を決定し、将来を見据えた戦略投資を進めています。

 材料事業では、電池材料事業は、需要が堅調に推移しフル生産を継続しました。新たな増産のため建設を進めてきた新居浜工場(愛媛県)は2023年度中に建物が完成し、2024年度は設備の設置と生産立ち上げを進めます。一方で、機能性材料事業では、電子部品関係の顧客を中心とした需要の低迷を受け、多くの製品群で減産が継続しました。

 GHG削減について、当社グループは2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みのロードマップを策定しました。中間目標としてスコープ1・2でのGHG排出量を2030年度までに2015年度比38%以上削減する目標を掲げており、省エネ・高効率化の徹底、LNG・バイオマス燃料への転換、再生可能エネルギー由来の電力の利用拡大などを進めていきます。

 人材確保・育成・活用への取組については、「一人ひとりの経験・スキルに着目し、今後のキャリア形成を踏まえ、育成と活躍の機会を提供する」という考えのもと人材育成のための諸施策を行っています。その一環として、多様な活躍の機会の提供によるモチベーションの向上、挑戦・変革・成長ができる企業風土の醸成、社員一人一人が成長し続ける企業文化の創出を狙いとして、2023年7月に総合職の人事制度の改正を行っています。

③ 目標とする経営指標

 「世界の非鉄リーダー」実現に向けては、健全な財務体質に裏打ちされた大型プロジェクトやM&Aへの機動的な対応が欠かせません。当社グループは「21中計」において、財務体質の財務健全性を示す指標として連結自己資本比率50%超の維持を掲げております。

(6)その他

 ㈱ジェー・シー・オーは、施設の維持管理、低レベル放射性廃棄物の保管管理、施設の廃止措置に向けた準備のため、施設の解体や除染等を推進するための諸施策を進めております。当社は、同社がこれらに万全の態勢で取り組むことができるよう引き続き支援を行ってまいります。

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